愚行連鎖

さようなら愛しのディーゼルエンジン


GB500とLJ78

気が滅入っている…

ディーゼル車にとうとう死刑宣告が出た。
ウチ当りの車齢だと来年5月で全て駄目だとか。
平成9年規制対応でも、その後数年で殺されるらしい。

ううう…イヤだけど買い換えかぁ…
まだ10年。手放したくはないのだけれど。

読売には「来年5月で都内のディーゼル乗用車は事実上乗れなくなる」と大見出し一面で載ったのだが、どこに問い合せても、これが本当かどうかは分らない。
一番信頼が置けて、きちんと記事を扱っている4×4 Magazineでさえ、先行き不透明としか書いていない。
はっきり言って、誰も真実を知らないようだ。

ディーゼル狩りのそもそもの出発点にある意図には反対しないけれど、いい加減、全体を見渡せないスタンドプレーは止めて欲しい物である。
前にも書いたことがあるが、ディーゼルエンジンは“可能性を秘めた発動機”。
訳知り顔の非科学的輩に贖罪の羊にされて、抹殺されてしまうのは忍びないのである。
しかし、道を見回すと、確かに黒煙モクモクの不愉快なディーゼル車が多いのも事実。
だが、これとて、ディーゼル車が即ち“悪”なのではなく、整備不良や悪質な脱税混合燃料利用が原因とも思われる。
更には、オカミがきちんと指導できず、硫黄垂れ流し燃料を売り続けた儲け優先の石油会社や、野放しにされやれば出来るはずの正常な進化を怠った自動車会社の被害者とも言える悲しい機械達の姿なのだ。

個人的には(時々、もう一寸速ければ、と思うことはあるけれど…)他には何の不満もなく、とにかく気に入っている愛車--LJ-78G初期型--5ドア、ランドクルーザー・ナナマルワゴン“プラド”だが、どこへ行ってもいじめられて肩身が狭いディーゼルエンジン。
その上、オカミの命で存在その物にとどめを刺されてしまっては…

乗用車用の有害物質除去装置はいまだにその姿を見ない。
いっそ、ハイラックス・サーフ辺りのガソリンエンジンを探して移植とも考えたが、それも叶わぬ事。

乗れない車を所持できるほどウチには余裕はないのだ。

合理性だけで考えたら、車なんて持たないでタクシーとレンタカーを使うのが一番。
しかし、車好きにとっては「車と暮らす」事が重要なのである。
そして、私はと言えば、オフロードがどうのアウトドアがどうのではなく、既に普通の乗用車に乗れない体なのであった。
(他人の乗用車を頼まれて転がしたり、やむを得ずタクシーに乗ったりすると圧迫感でいたたまれなくなる)
あの低い視点と頭を圧迫する天井に何時間も潜っているなんて気が狂ってしまう。
カーゴスペースがでかくないとイヤだし。
かといって、ワンボックスには絶対乗りたくない。
オーナー諸氏には悪いけれど、ワンボックスは缶ビールを持って2列目シートに乗るモノである。

ちょっと気を取り直す

結局新プラドである。
(ミツビシやイスズは最初から念頭になかった)
軽い気持ちでなじみのディーラーに見積取らせたら、営業だけでなく、店長まで何度も家に来て、懇願するので決めてしまった。
ホントにフケーキなんだなぁ。
特に交渉したわけでもないのに、かなりの良い数字を出してきた。
それでも高い。借金も財産だぁぁぁ!!クソ。

我が“ヨンクの師匠”FJ氏は

それは一瞬でも買う気を見せた時の、常套手段ですよ。

と、仰るが…
人づてに聞いた話、同じトヨタでもトヨタ店、トヨペット店などは対応が違うらしい。
クラウンとか、セルシオとか、ランクル100とかシグナスのような「待ってれば金持ちが勝手に買いに来る」車を扱っているところは、お店から貧乏人に見られると、見積を頼んでも営業すら来ないとの評判である。
ウチは現プラドからのつきあいのビスタ店。
トヨタ系でもビスタ店とカローラ店は熱心なのだそうだ。

新プラドのこと

当初、「新プラドなんてパジェロの皮を着たサーフじゃないか」と思っていたのだが…
色々調べてみると、やはり疑いのない、これはランクルの血筋なのだ。
固定アクスルでなきゃイケナイとか、パートタイム4×4じゃないと認めない、なんて言っているのは進化のない動脈硬化なんだと気づいた。
どう考えても走るのは舗装路99%、その多くが高速道路なのだから、高速安定性とか、最新の安全性を求めるのは当たり前であろう。

クロカン性能よりも長距離万能ツアラーとしての行き方は決して間違いではない。
ナナマルでさえ、登場したときは(ヨンマルに比べて)軟弱だと言われたのだから…
現に旧プラドは言うに及ばず、ゴウマル、ロクマル、ハチマル、ヒャクと続く「ステーションワゴン」系のランクルはそうした血筋の車達だと言っても良いだろう。

ウチの使用形態から言えば、ベストマッチは決してヨンマル/ナナマル系ではなく、ゴウマル/ロクマルの流れを汲むナナハチ/キュウゴウ系なのだ。
ジープで言えばJ-30/ワゴニア/チェロキーの系譜かな?
(とは言えロクマル/ハチマル/ヒャク系は何にしてもデカ過ぎる)

エンジンも新型のディーゼルはもの凄く良いのだが、もはや運命を決められた悲しい発動機。
決めたのはガソリンV6の3.4で、LSDを組んで貰った。
(燃費が恐いな。カタログデータで8.4km/l)
形はいまだに旧型の方が良いと思っているが、よく見ると新プラドもなかなか可愛らしい形をしているのかも知れない。
(無用にでかいけど…図体でかくても中は狭い)

まぁ、好きな車を手放すのは本当に悲しいのではあるが…

V6/3,400なら追い越し車線をガンガン走れそう…
それがこれからの正しい四駆の道かもしれない。
ウチの場合、豪雪他悪天候の中、高速を飛ばすシチュエーションも多いので、フルタイム四駆も魅力的である。

「狭い日本、そんなに急げば、速く着く」なんちって。

新プラドには3.0直4ディーゼルと2.7直4ガソリン、3.4 V6ガソリンがある。でも、どうせなら、でV6にしてしまった。
(好きで乗ってるんだから、もうどうとでもしてくれという気分だね。)
NA(ノーマルアスピレーション/過給式でない)エンジンも魅力である。

しかし、V6 3.4と言ったところで低速向けにデチューンされたエンジンなので、決して速くはないのではないか、と思っている。
数値的には3.0ディーゼルの方がずっと良さそうである。

新プラドの場合、ガソリンエンジンはパジェロ対抗のためのバリエーション稼ぎで、本来の姿は新型のディーゼルエンジンのようだ。
このディーゼル。資料を見る限りでは素晴らしいエンジンなのだ。

本当はオーバーフェンダーのないナローボディが欲しかったのだが、ディーゼル以外は選べない。
プラスチックのガワがボディにべたべたと貼り付いていて些か見苦しい。
カタログには全ての写真に装備されている、役に立ちそうもないオプションの「バンパーガード」は流石に注文から外して貰った。
バンパーを保護するって、一体何?
その立派な“ぷらすちっく製の”「バンパーガード」が傷ついたら困るから、バンパーガードのガードも要るんじゃない?
絶対何も付いてない方が格好良いと思うのだが…
なんか、無駄にデカイんだよなぁ。

何と、MTもディーゼルの安いのと3ドアのV6にしか設定がない。
5ドアのガソリンとかディーゼルの高い方だとATしかない。
(まぁ、今更MTを買おうとは思わないが…)
昔あったセリカのフルチョイスシステムなんて、今はもう出来ないのかなぁ。
ボディからエンジンから内装までラインナップから好きなように組み合わせが出来たのである。

格好良く言うと、「自動車が欲しい」のではなく
「歴史とコダワリと思想」に乗りたいのだ。私ゃ。
「ランクル」という日本の輝かしい自動車史にね。
(ランクルは今年50年、クラウンよりも古い歴史があるのだ)

でも…

用事があって、旧プラドで、金沢まで往復してきた。
アベレージ130〜140(内緒)で旧プラドは絶好調。
何の不足もない。(まぁ、もう一寸速ければ…とは思うが)
なんで、こんなに気に入っている車を手放さなければならないか、何とも割り切れないものがある。
新しいランクルは、4月の初めに納車される予定だが…
確かに、新車は嬉しい、でも…
旧プラドと別れるときには…ちょっとウルウルしてしまうかも知れない。

▼ ディーゼルは悲しく消えゆくのみ


[参考資料] 2001.3.5.読売夕刊
ディーゼル車 来年5月、排ガス規制

3大都市圏 乗用車は事実上禁止に

 大都市圏の深刻な大気汚染改善を目指す政府の自動車窒素酸化物(NOx)削減法改正案が6日、閣議決定され、今国会に提出される。来年5月から施行される予定で、これまで対象外だったレジャー用四輪駆動車などディーゼル乗用車も、ガソリン車並の厳しい排ガス基準が適用される。乗用車では規制に適合するディーゼルエンジンの開発が遅れており、東京、大阪、名古屋の三大都市圏では事実上、所有できなくなる。
 現在走っている車も新車登録から七−九年の猶予期間が過ぎると、走れなくなる。国内のディーゼル乗用車は約五百万台で、乗用車全体の12%だが、乗用車全体のNOx排出量の約三割を占め、乗用車の規制が不可欠と判断した。
 改正案には、発がん性が指摘されるディーゼル排気微粒子など「粒子状物質(PM)」も、新たに規制対象に加えられた。また最新排出基準を達成できないバスやトラックも、新車登録から八−十二年の猶予期間を過ぎると使えなくなる。
 法改正に伴う制令で対象地域(東京、大阪など六都府県、百九十六市区町村)を拡大、名古屋市周辺の二十−三十市町村も新たに加える。
 大都市圏の排ガス規制をめぐっては、昨年一月の尼崎公害訴訟判決で、ディーゼル排気微粒子の規制を怠った国の責任が指摘され、規制強化が迫られていた。

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