愚行連鎖

■青春デンデケデケデケ

1992.11.17.入手1992.12.1.読了

「人は見かけによらぬもの」の極地、我が敬愛する大林宣彦監督の新作映画、なかなか映画館に足を向ける余裕はないのだが、原作の文庫を発見した。

なんなんじゃ?これは?
文体、文章、ともにこれはなんだ?の世界。
しかし、甘く切ないあの頃へいつの間にか引き戻されて行くこの不思議。
(物語舞台は1966年、主人公は高校1年生、私よりだいぶ歳上だが…)

ほのかな恋はある。しかし、「青春」ものにつきもののラブストーリーや憧れのマドンナ(美少女)はここには登場しない。
(美少女、かも知れないは出て来るのだが…)

特に大きな事件があるわけでもない。
物語の山場は何の事はない地方の片隅の高等学校のニキビ臭い文化祭。
スリルがあるわけではない。サスペンスがあるわけでもない。
ましてやお色気やアクションなどどこにもない。

だけど、せ・つ・な・い。

ノーキー・エドワーズのギターを聞いたことがある人(殆どの日本人)なら、分かるかも知れない。
“あの”大林監督が映像化に踏み切った理由が読めばすぐに分かる作品なのだ。
紋切り形の評論家なら「これは私達のアメリカングラフティ」等というかも知れない。でも私は絶対にそうはくくりたくはない。

これは小説と言うよりも思い出の情景なのかも知れない。

最近「私家版」と銘打った版があるようだ。今度再読してみよう。

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