もう一度、会費を見直そう


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記載者:竹内壽一 on November 01, 2105 at 10:29:11:

■会費半額一律化の全面実施による歪み
2004年度以降のJIA新入会員に加え、2005年6月から、旧来の会員にも会費年額一律3万6千円が施行されました。今までの会員種別を整理し、同等の権利と義務をもつ会員の会費を統一して、念願の会費一律化が実現しました。その意味では大変ありがたいことです。しかし、今年度の施行後、JIAの多くの部署で資金不足によって活動が停止ないしは縮小され、さらに予算不足やその配分をめぐって意見が対立するなど、大きな歪みが顕在化しつつあります。JIAの定款第3条(目的)にあるように、「本会は、建築家の職能理念に基づいて、建築家の資質の向上及びその業務の進歩改善をはかることにより、建築物の質の向上及び建築文化の創造・発展に貢献」できない状況になりつつあるのです。関東甲信越支部では、少なくとも2006年度は、年会費3万6千円に加え、「支部独自に『緊急拠出金』との名目で1万円徴収する」線でコンセンサスが得られようとしています。これはこれで与条件の中では最善の解決策としても、数年後も見据えたグランドデザインをもたないことには会員の不安は募るばかりです。

■会費半額一律化の前提は1にも2にも会員増強
会費半額一律化は、2004年度総会決議事項が1年の準備期間を経て実施されたものですが、この決議には大前提がありました。会員増強目標、全国で、2004年度:1000名、さらに2005年度:1000名、計2000名を実現することでした。会員増強は2004年度総会当初では、(1)各会員が1人の新入会員を勧誘すれば達成できる、(2)若い新入会員は会費を半額にすれば増強できる、と考えられていたのです。

■会員増強の成果
2004年度の結果は、新入会者:約400名、退会者:250名で、150名の増員ですが、退会予備軍とされる会費未納者が150名もでて、結果的には会員増強±0。私は、会長指名により本部と関東甲信越支部にわたり、会員増強に尽力しました。しかしこの実践の結果、私は「先立つ数年前から行っているのに、そう簡単に新会員を増強できるものではない。しかし、このまま2005年度から従来の会員にまで半額化を執行するとJIAの財政が破綻してしまう」と判断し、以下のように提案しました。

■旧来の会員への半額化執行猶予の提案=否決
半額化が従来の会員にまだ執行されていない時期ならば提言できるとの判断から、2004年度末2月の理事会で、「現行の会員は年度毎の会員増強の目的を達していないので、2005年度から執行予定の半額化は据え置きとしたい。会員増強の成果に応じて、会費を減額するのが筋である。」と提案しました。しかしこの提案は、「遅い。1年間かけた準備が無駄になる。既に各支部・地域会では2005年度はどのように不足資金を解消するか検討済みである。いま2004年度総会決定事項を翻すと、朝令暮改であり、退会者が増えると予想されるので、後戻りできない」・・・・などの理由により、理事会で否決されました。(「提案時期が遅い」ことに対しては、「JIA建築家大会2004東京」の準備と「(仮称)新台東病院基本設計のダンピング問題」への対応に忙殺されていましたので、そこまで頭が回りません。)

■関東甲信越支部での2006年度財源確保の検討
私の所属する関東甲信越支部では、支部長の意をもとに、特別会計ゆえに自助努力の結果貯められた教育関連実行委員会の予算や繰越金を一般会計化し、さらに教育積立金や別の当支部積立金などを取り崩して、2005年度の予算は、ひとまず確保できました。2005年度になって、本部決定を受けて、全国の各支部で2006年度以降の財源確保の検討が始まりました。関東甲信越支部でも「支部財政検討特別委員会」が執行部を中心に結成され、2回/月のペースで開催されました。3回にわたって各地域会会長への説明とご意見を仰ぎ、当支部では、少なくとも2006年度は、年会費3万6千円に加え、「支部独自に『緊急拠出金』との名目で1万円徴収する」線でコンセンサスが得られようとしています。同時に、現在支部会員向けサイトに「支部財政検討特別委員会」のページを掲載し、会員の意見募集を行っています。全国の多くの支部でも「1万円/人程度の不足」との声が多いようで、ひとり関東甲信越支部が1万円/人不足とはいえないようです。

■本部での会費以外の財源確保の検討?
本部では、会費3万6千円を大前提にして、(1)本部機能の軽減化のために委員会の活動目的別整理・統合、(2)目的別、自発的な寄付的会費の新設、などが提案されています。任意の自発的活動なら寄付(人の厚意)でも良いでしょうが、ミッションを帯びたものは、義務として徴収した会費による一般会計から捻出するのが本筋です。本部では、財政が苦しいがゆえに様々な資金の集め方が提起されているのです。それは一度決めた会費3万6千円を不可侵の暗黙了解事項として、個別に、「これもよし、あれもよし、みんなよし」としていく姿勢であって、「一体どこに幾ら払えば十分な活動ができるのか」と会員を混乱させ、結局、会のまとまりはなくなると思われます。

■さて、2007年度以降はどうするか=「もう一度、会費を見直そう」

T.JIAの不健全な財政に対処するには、会費一括徴収のみとすること
1.混乱を避けるために、義務としての徴収は、シンプルに、会費一括徴収のみ。複数の名目で徴収するよりも、いっそのこと、会費改定の方がすっきりします。そのあと、地域会をより充実するための地域会独自の費用徴収は任意です。(定款第25条に基づく事項:地域会設置基準)
2.各支部での財政問題の審議には限界があります。例えば、関東甲信越支部の2006年度は良いとしても、「緊急拠出金」との名目は、時限の不明な緊急対策の域を出ません。また、見通しのない会員増強が成就するまで「緊急拠出金」が続いてはたまりません。名目はどうであれ、支部毎にばらばらに徴収する現状から統一して恒久的な対策を講じない限り、会員の不安や不信はいつまでも解消されないでしょう。この恒久的な対策は、各支部の声を反映した本部での検討と理事会決議、さらには総会決議に委ねざるをえません。

U.「会員増強を前提とした現在の会費」はこのままでよいのか
1.会員増強は、JIAの存続する限り継続的努力を要しますが、会員数の約1/20に当たる年間250名程の退会者が出るのは自然だと思います。2004年度の会費未納者の実数も考慮に入れれば、400名の新人を確保してやっと現状維持です。
2.会費半額一律化の大前提となった会員増強2000名は、本当に達成可能なのでしょうか。現在も継続している会員増強が誤りだったのではなく、「会員増強を前提とした会費改定の決定」が、結果的に誤りだったのではありませんか。
3.執行部は「新会員の大きな入会動機は会費一律半額化だ」と思い込んではいないでしょうか。さらに、ある地域会会長曰く、「うちの先入観に捉われない新人は、JIAは財政が潤っているので、会費半額化が実現できたと思っている。」
4.因みに私は別の新人に聞いてみました。「貴方は会費が1/2になったから入会したのか。」「否。JIAに魅力があると思ったからです。魅力のない会なら、たとえ会費1万円でも入会しません。」「会費は安いに越したことはありません。」・・・・・・新会員は魅力があることで入会しているのです。また注視すべきは、新人は、「しっかりした独自の倫理規定をもち、遵守する魅力的な協会だろう」と期待していることです。

V.続いて、私の提言したいことなど
1.JIAの不健全な財政状況の打開には、「会費3万6千円を見直す」ことを視野に入れ、会費改定の準備をするべきです。多くの支部で「1万円不足」とのことですが、本部への上納金なしであって、もし仮りに従来どおり会費が本部:支部≒50:50に振り分けられるなら、ざっと見て約2万円の増額でしょう。さらに、2004年度以降の新入会員へは、当分会費改定しないなど、配慮を要します。
2.寄付金や基金、さらにはいつ終わるとも分からぬ「緊急拠出金」を集めても、抜本的な対策にならず、所詮、(言葉の矛盾ですが)「継続的な緊急対策」の域を出ません。会費規定はじめ諸制度はサステーナブルでなければなりません。
3.思い返せば、2002年のアンケートで唐突に出てきた3万6千円案は、願望が先にたった「とらぬ狸の皮算用」でした。一般会員から見れば、「執行部は3万6千円でやっていけると思っているから、3万6千円案が出てきたのだろう。ならば会費は安いのがよい。」と誰しも思うでしょう。「会費一律半額化」と「会員増強」とは順序が逆で、会員増強の成果に応じて、徐々に会費を下げていく慎重な政策を採るべきでした。
4.会長はじめ理事の皆さん(私も含めて)には、「あの決定は誤りだった」と素直に認め、朝令暮改と非難されようと、会員に謝罪し、路線を変更するのが良いと思います。思い込みや誤りを認めず、希薄な根拠の上にさらに新しい徴収方法を積み重ねることは、もうやめようではありませんか。
5.私の強調したいことは、誰も先のことが読めなかった会費改定が、結果的に誤りであったことに気づいたとき、迅速に誤りを認め、正す勇気をもつことこそが大切だということです。
6.本部では総務委員会のほか、会長諮問の基本政策委員会に「見直し」WGが幾つもあります。しかし、残念ながら、「会費改定(額)を見直す」WGは、現時点ではありません。また、「支部・地域会組織の見直し」に関連して会費を検討しようとする動きもありますが、本格的に会費改定を検討するものではありません。会費や経費はまず現体制の中でどう対処するか、審議すべきものと考えます。

■さらに皆さんにお聞きしたいこと
私の根本的な疑問、(1)会員増強2000名は本当に達成可能なのか、(2)新会員の大きな入会動機は会費一律半額化なのか、について執行部(私もその一端にいます)は眼をそらすことなく現状を把握し、さらに「会費をもう一度見直す」ことを主眼に、この財政難への対処方法を論議していただきたいと思います。さらに、これにはミッションを受けた特定の委員会やWGを超えて、どこの委員会でも審議する必要と自由があると思います。いかがでしょうか。私は執行部のみならず、多くの皆様の誠意あるご意見をお伺いしたいと思います。
誤りに気づいたとき路線変更できる柔軟な組織であってほしいと切に願うものです。


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