要望書案


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記載者:安達治雄 on March 26, 1999 at 23:48:32:

元の記事:事の経緯 /記載者:安達治雄 on March 26, 1999 at 23:35:51:


1999年3月**日
財団法人 東京都防災・まちづくりセンター 理事長 * **様
社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 支部長 ****

要望書

謹啓 貴財団におかれましては益々ご盛隆のこととお慶び申し上げます。

さて、このたび「住まいづくり・まちづくり協力員制度」を設立され、都内各区市
の密集住宅市街地整備促進事業の実施に対し具体的な推進方法を提示された点、当協会と
いたしまして敬服の念を禁じ得ません。
当 日本建築家協会といたしましても、日頃よりまちづくりへの積極的な貢献を重ね
て参りたいと存じており、こうした制度の志す目途には、出来得る限りの協力をさせて
頂きたいと願うものであります。
今回の募集にては、設計・監理を業務とする私たち建築家にも貢献の場が設定され
ていますが、残念なことに下記の2点において、私たちが設計等の業務を通じ社会に貢献
する際の、私たちの倫理規定、行動規範に合致しない部分がありました。

そこで、出来得る限り早期に、この件につき貴財団と当協会の協議の場を設けて頂
けるよう、ここにご高配を切にお願いする次第です。

問題点(1)
この制度の登録者の責務として記されているところでは、「協力員として登録した
企業のアドバイザーは、無償で次の業務を行なうこととなります」すなわち「建替相談会
への対応」「設計計画及び資金計画等の案の作成」「共同建替えに係る土地所有者又は建
物所有者等の調整」等々と多くの無償業務が規定され、結果的に、知的生産が無償で当然
かのごとき我が国の恥ずべき風潮に、公共の制度がさらに拍車をかける内容となっていま
す。
なお、申すまでもなく、一部のハウスメーカーのごとく契約の勧誘のために案を無
償で提供するという「営業行為」は、成約に至らない多数の営業経費を、無断で成約者に課
していることに他ならず、依頼者との信義を守ると言う建築家の中立的立場とはこれは矛
盾するところです。また、工事請負という多額の経費吸収母体を建築家(専業の建築士事
務所)は職能上持たず、これは、報酬の基準である建設省告示1206号にても、そのつ
ど請求し得るのはその「当該業務」に関するものに限定され、他の依頼者への無償提供分
を転嫁することなど想定されていないことからも、ご理解頂けると存じます。

問題点(2)
この制度は 当初よりハウスメーカー等を主として想定の上 発案されているとも拝
察され、結果として、市民にとって「事業者」内の設計者と工事業者を識別し難いシステ
ムとなっていると思われます。
例えば、昨年暮の貴財団ご配布の資料にも、「アドバイス」の次にいきなり「建替
の話がまとまった場合には、工事を受注する」とあります。

私たち建築家は、いかなる場面においても、依頼者と工事業者との間にあって第三
者的立場をもって、公正を実現する職分であります。従って、この制度における実務の場
にあっても、営利的な請負企業と混同されるような依頼者市民の方々との接し方は、避け
ねばならないことをご理解頂けると存じます。


以上がご配慮を賜りたい事項でありますが、より良い制度の実現に向けては当協会
としても可能な尽力は致したいところです。
従いまして、この件、重ねてここに協議のお願いを申し上げる次第です。
敬白


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