過去の記事5(2000.12.7〜12.27 )

12月27日(水)

用心深い間は下げ難い。

 投資家は短期間に大きな損失を被りましたが、参加者全員がかなり慎重になっています。このような用心深い時に、狼狽売りが急増し、先の下げ局面と同様のことが繰り返される確率は低いと思います。

 ただ、個人投資家は全てを投げて、口座を閉鎖するところまで追い込まれた人も少なくないでしょうし、今回こそ「あきらめの悪い」投資家もあきらめさせられたようです。短期間に信用残が10%程度も減少しましたが、投げた投資家は相当の痛手を負った筈で、復活は並大抵のことではありません。

 結局、すぐには下げないものの、上値を買えるだけの体力は無いので、個別物色しつつ方向を模索することになりそうです。また、流動性の低下でリスク・マネーの参入が阻害されており、悪循環を起こしていると考えられます。

取り組みだけに頼るのは危険。

 本日も取り組み重視の売買が活発で、同じ業種で、帝人は上げ東レは小幅高だったり、キャノンが急反落したのにリコーが高くなっています。いずれも取り組みだけで差が出ているようですから、いずれ反落するのは目に見えています。

 大成建設の場合も逆日歩銘柄で人気化しましたが、本日、逆日歩が解消された途端に出来高が急減し下げました。また、以前にリストラで買われていた日産自動車ですが、空売りが買戻しで半分ほどに減少した為に今週になっても下げ止まりません。日産の場合も、実際は、リストラよりも空売りが多いために買われていた面が強かったかもしれません。日産は来年の花形銘柄に挙げている評論家も多いのですが、需給相場ですから、戻り売りが正解でしょう。

 余談ですが、例年通り、ある調査機関が来年の日経平均の高値と安値をアンケートしましたが、今月上旬のアンケートだったこともあり、下限について14000円までと答えた方が半数以上もありました。ほんの一週間程で、大半の方が来年になる前に見通しを間違った訳で、掲載を苦慮しているそうです。

 以前に、ローレンツの法則で述べましたように長期予測はほとんど意味を持ちません。また、長期予測を平気で述べる評論家やアナリストも信用しないほうが良いと思います。

12月26日(火)

流動性不足と円安に注意。

 本日も意図的とも言える引けにかけての買い上がりで、14000円台をかろうじて回復しました。買い方は「押し目買い」と言うより、14000円に乗せること自体が目的だったような買い方です。大台回復とは言え、約3.5億株の出来高では上下どちらとも言えない信頼性に欠ける価格形成でした。

 今晩はフランクフルトやロンドンが休みで、海外の半分が取引無しですから、明日も薄商いが続きそうです。大勢は海外次第の相場ですから、何とも言えませんが、このリクイディティのない相場で参加するリスクを考えるとアウトスタンディングのポジションを減らしておく必要がありそうです。

 このなかで帝人松下電工などに加えて、本田技研まで逆日歩銘柄として買われています。方向性が無い相場で需給だけに注目して売買されていて、ネット時代はマネーゲームが幅をきかせると考えて良いでしょう。

 この傾向はますます増長されそうで、「帝人買い・東レ売り」「本田買い・トヨタ売り」など常識では考えられないパターンが継続されると思います。

 もう一つの大きな問題点は、113円台に入ってきた円安です。この為に、日本株を安く買えると考える外人投資家より、アセット・アロケーションの見直しで売るほうが多いと見られ、休み開け後の外人動向を注目したいと思います。

12月25日(月)

投信のアベレージ買いで指数が上昇。

 ナスダックのリバウンドに歩調を合わせた「写真相場」で真空地帯を駆け上って14000円目前になりました。

 今日の戻りは、投信や年金の買いを受けた証券トレーダーたちが、平均単価を高く作るように、引けの買い配分を厚めにした(「価格操作」に近いような)買いによる上昇が中心と思われます。買い銘柄の平均値を上げておけば、自己売買が儲かりますので、売物薄の中を引けにかけて、価格が急上昇するものが目立ちました。

 キャノン松下、ソニーの高値引けは機関投資家の注文執行の方法によるものですから、額面通りに受け取ることは出来ないでしょう。

 ただ、クリスマス休暇の海外市場を気にせず売買できますし、TOPIX先物の引け後の大きなベーシスを見ても、明日以降も同様の買いが継続しそうですから、このような上げが続いても不思議ではありません。また、公的資金のように安く買うことより、株価を上昇させることが目的のような買い方をすれば、年内、株価が堅調の可能性もあります。

 一部ですが、明日まで「タックス・ロス・セリング」による売りが出ます。引かれ玉の整理には好都合な上昇になりました。

 全般に出来高が少なく、信頼性に欠ける上昇場面になると思われます。オプションのインプライド・ボラティリティー(予想変動率)の急低下も気になり、戻り売りスタンスで良いと考えています。

計画未達の持ち合い解消売りに注意。

 金融機関による持ち合い解消売りは、月平均で4千数百億円が出されています。これは今年一貫した金融機関の態度で、今後、株式保有組合でも出来ない限り、着実に株を売り続けるでしょう。

 問題は、今月のように相場が悪くて売れない分を計画通り売ろうとすれば、来月分に上乗せして売る必要があることです。また、来月も売り難い相場なら2月や3月に集中して処分するしかありません。明日以降3月末まで営業日で60日を切ってきました。この日数で約2兆円分の売り切りを出すなら、平均で毎日300億円強の売りが出ます。上値が重くなるのは当然のことと思われます。

 また、優良株に突然多くの売りが出始めることがあるのも、品薄銘柄や下げ過ぎた銘柄を売れずに「売れるものを売る」ような金融機関があると想像しています。

 今後、リクイディティ(流動性)の無いものは個人の参加が少ない為に手掛け難く、リクイディティのあるものは持ち合い解消売りのリスクがあるというジレンマに市場が陥るのではないかと心配しています。

12月22日(金)

14000円前後へリバウンドか。

 引け後の先物の上昇などを見ますと、来週は大きな戻り売りが出そうに無い14000円前後までは、真空地帯を駆け上るように上昇すると思われます。機関投資家も含めて、ほとんどの投資家は含み損になり新規投資が出来る状態ではありませんが、解約や追証の投げにも限度があり、損失確定の売りがいつまでも続かないと思います。

 加えて、29日の最終単価の気になる年金資金や外人投資家のドレッシング買いも多少期待できそうです。

 しかし、需給が悪いことに変わりは無く、テクニカルな反発の域を出ないでしょう。

 その中で、証券会社としても何もしない訳にはいかないので、古河電工など取り組みの良い銘柄を取り上げ、盛り上げようと「努力相場」を展開するでしょう。ソフトバンクアドバンテストなど売り込みの無い銘柄はテクニカル・リバウンドの後、再度急落する可能性もあり、注意が怠れません。

ネットが投資方法を変えた。

 ネットでの株式売買が増えてきたことで、投資銘柄や投資方法が大きな変化を見せています。ITバブルに気を取られていて気づかなかった証券マンが多かったかもしれませんが、手数料の安いネット取引こそ値嵩株よりも大型株のほうに向いている筈で、実際、大型の低位株にネット証券の手口が増えています。オールド・ファッションドの証券マンは時代の変化についていけないかもしれません。

 というのも、個人が新日鉄重工、帝人など、機関投資家向きの銘柄を日計りも含めて短期売買していて、相場に影響を与え始めているからです。個人投資家が帝人大成建設などを買いの対象にすることは、数年前まで考えられなかったような物色の仕方です。大型株を買うような個人投資家は以前なら、半年以上ホールドするような顧客でしたが、まさか、短期売買の為に帝人を買うことは想像できなかったことです。

 ネットの信用取引はまだ一般的ではありませんので、完全前受制で現物買いです。それに対して、従来型の証券会社の信用顧客が空売りを出す為に取り組みが良くなっていく銘柄が増えてきました。今日値上がりした銘柄に取り組み以外の上げた理由が見当たらない銘柄が散見されます。例えば、清水建設、大成建設、鹿島建設、帝人、東急電鉄、松下電工、石川島などです。

 決しておかしな銘柄ではありませんが、取り組み妙味のない東レは下げ、帝人との差はかなり開いてきました。石川島松下電工なども当初の材料ではなく、今や取り組み妙味のある仕手株として売買されるようになっています。まさにネット時代が投資スキームまで変えてしまったようです。

 ここで注意しなければならないのは、アラ石Jエナジーの例を出すまでも無く、売り方の踏み上げが進み急騰すれば、あとはしこり玉の山になってしまうことです。もうひとつは、採算を度外視して工事確保に走る建設会社を買っていることの合理性です。勿論、これは最後にジョーカーを掴んだ人が負けという徹底したマネーゲームであることはいうまでもありません。建設株などひとたび相場が反転すれば、最後の買い方が怪我をすることになりそうです。 

12月21日(木)

目先の底値確認へ。

 ナスダック市場が7日上げた後に7日連続で下げました。その為、昨日がいわゆる変化日となり、戻りに転じやすい日柄になっています。日数経過は非常に大事な要素ですが、この変化日にストキャスティクス%Kがゼロになり、オプションのインプライド・ボラティリティーが36%を付けて急上昇するなどの状況が合わさって出てきますとかなりの確率で反転します。

 本日は2時半頃から先物の板が無いところをフリーフォールの状態で値下がりする駄目押しの場面になりました。恐怖感に駆られると人間は理性の部分が飛んでしまって、動物としての本能に従って「みんなと同じ行動を取って安心しようとする」行動に走ります。12日に15300円を付けてから2000円ほど下げたことはその時点では頭の中に無かったでしょう。皆が揃って売り手になり、買い手がなかなか出ない状態でした。

 下げた分だけ(ダウンサイド)リスクは減っているのですが、リスクを減らそうと売ってしまいたくなるのは不思議なことです。

日経リンク債の失敗。

 本来債券では無いのですが、デリバティブを使って債券にしたものを「仕組み債」と言います。EBも仕組み債の一種です。EBと同じような仕組みでソニーなどの株券に替えて日経平均先物オプションなどを使って、債券に仕立てたものが日経リンク債です。日経平均にリンクして配当が出たり、損になったりしますが、かつてヤクルトが大きな損失を出したのも、この日経リンク債でした。デリバティブの知識があまりない役員がノックインしたのにヘッジをしなかったので大損になりました。

 この仕組みは簡単で、例えば、17000円の指数の時に、ある期間内に(例として)13500円以下にならなければ年率5%程度の金利を払い、13500円に一回でもタッチ(ノックイン)すれば償還時の日経平均の損失率に応じて資金が戻されます。今回の下げで次々とノックインが出ましたので、例えば、17000円の時にリンク債を買った投資家は償還時に13500円なら、下げ率を引いて約77%の元本と金利しか戻りません。10億円買っていれば2億3千万円の損になります。

 上場企業でも運用難で、ヤクルト事件に懲りずにリンク債を買う法人がたくさんあります。この日経リンク債のノックインはEBの現物償還と同じ意味があり、今後、日経平均が上昇する課程でヘッジの損失確定売りを浴びることになり、上値が重くなる一因になります。ソニードコモで起こったことが日経平均で起こることになります。また、需給悪の要因を抱えてしまった訳です。

12月20日(水)

オプションが示す135−145のレンジ。

 GS(ゴールドマン・サックス)の先物手口が相場動向に大きな影響を与えることが多いですが、昨日の大量のTOPIX先物売りと135プットの買い持ちに注目しています。

 今日もTOPIX先物が終日、逆鞘に推移していましたが、これがGSなどの買い戻しで順ザヤにならなければ上昇はないでしょう。また、GSは135プットをリスク・ヘッジ(フロア)として大量に買っていると推測され、GSのとっている13500円を下値としたレンジがひとつの目安になると考えています。

 大手外資系はNTTドコモなどの売りを委託された場合、すぐに全部を売れませんのでポジションのヘッジでTOPIX先物などを先に売っておきます。その為、下げの初動では逆鞘になり、現物が売り終わればヘッジとしての先物は買い戻されますので、順ザヤに戻ります。ですから、先物が順ザヤに戻れば、売り終わったことの証明になり、後は、ショートカバーで急反発することが多くなります。いわゆる「ベーシス」を良く見る必要があると思います。

 マーケット参加者は下がれば下がるほど弱気になって売り込み、ついには空売りまでしてしまう人も多くいます。その後、ショートカバーに巻き込まれてしまい、買いでも売りでも損をする人が結構います。

 オプションのインプライド・ボラティリティーは1月のSQまで休みが4日多い上に半日商いが2日もあり、この時期には上昇し難いものです。それでも今日の大引けで24%ほどに上昇してきました。また、ソフトバンクNTTドコモなどが叩き売られている様子から、あきらめの悪かった投資家も随分あきらめさせられたようです。このような状況から、135へのオーバーシューティングの可能性も考慮しつつ、先物買いやプットショートを試すことも可能ではないかと考えています。

 補足しますと、インプライド・ボラティリティーが高いということはオプション料が高いということと同義ですが、参加者は相場が下がれば下がる程、保険としてのプットを高く買いたくなります。ところが、冷静に考えますと、相場が下がれば下がる程、下値のリスクは低減しますから、プットは安くなるほうが合理的です。それにもかかわらず、プットを高く買うという非合理的行動に出るほど参加者が混乱した時が底打ちとなります。

 ですから、いくらが底値かという議論は本末転倒した議論で、ある状況が出たときの価格が底値と判断すべきで、非線型の世界を単純なテクニカルで判断することは短絡的思考であることを知って頂きたいと思います。

12月19日(火)

亀井発言のしっぺ返し。

 今月初旬の「株を売るな」という恫喝発言で市場参加者は大いに強気にさせられました。「これ以下に下がらないなら買えば儲かる」というリスク・フリーの状態が生じたようです。いつでも、下がれば御上が何とかするというモラル・ハザードを起こしたといっても良いでしょう。しかし、買うだけ買った後に上値を買ってくれる投資家がいないことに気がついたときは既に遅く、梯子を外されていたということになりました。

 そのために、今日は大方の予想を裏切って4日続落ですし、引け前はフリーフォール状態でした。

 浦上理論では金利低下でそろそろ金融相場でも良いのですが、今日の相場ではまだ、逆業績相場の途上にあると言えそうです。

 また、10月と11月の初旬に買われたNTTドコモ野村証券が揃って悪役になっています。これは、1月以降に予想されるNTTドコモの公募増資を市場が嫌っていることを示します。NTTの公募・売り出しの際、セカンダリーになる前日に次の公募計画を出しました。この下げにはNTTグループが投資家を軽視したファイナンスをするのではないかという拒否反応があると思います。

あきらめが上昇の原動力。

 しかしながら、相場というのは面白いもので、「上げそうに無い」と思う人が多いほど上がる確率が高くなり、「下げそうに無い」と思う人が多いほど下がります。ですから、相場についてどう考えるかを人に尋ねることに、実はほとんど意味がありませんし、投資家があきらめた時が良い買い場になります。

 現在は弱気が充満しているといいますが、まわりの証券マンはそろそろ止まるでしょうと言っている人も多く、その人たちは現時点で弱気ではありません。全員に聞く訳にはいかないので、心理的な弱気や強気を数値化して判断しようとするのが、経済物理学の方法です。それによると、まだ戻り売りに分があると言っていますので、買いの場合は短期売買になりそうです。

12月18日(月)

投機資金が中心の動き。

 最近の市場は短期的かつ投機的資金が目に付き、落ち着いて投資できる環境ではありません。外人投資家の休みが多い為、個別銘柄の変動率が相当高いまま推移しています。26日以降の市場で外人がどのように動くか多いに注目したいところです。それまでは、全体の方向性については先週の見通しを維持して良いでしょう。

 個別には、ソフトバンクの一文新安値が注目されます。ここが底になればIT関連株全般の底打ち期待が出るでしょう。ナスダックの前回のザラ場安値2520ptsはシカゴのオプションのインプライド・ボラティリティー(31.2%)から見て、当面下回らないのではないでしょうか。仮に、安値更新した場合でも、ここからの下値はNYのショート・ポジションの大きさから考えて、短期的にカバーしてくると思われます。

 問題は日本市場の構造的な諸問題で、上昇トレンドに入るには越えなければならないハードルがたくさんあります。日本の場合、戻り場面はまだまだテクニカルな上昇に終わりそうですから、小刻みな売買で対処するしかないようです。

四季報の好調銘柄にも売り。

 三菱信託が公的資金の一括返済の為に持ち合い株を売却したかどうか定かではありませんが、先週のキリン旭硝子に加えて、アマダ(6113)特殊陶業(5334)などが大きく売られていました。

 本日発売の四季報によりますと、アマダは通期受注を1210億円から1900億円に大幅増額の書き方ですし、特殊陶業はIBM用のセラミック・パッケージを一括受注し大幅増額と出ていました。決して大きく売られる要素はありませんので、単なる需給と思われます。投資家としては良いものを安く買うチャンスかもしれません。

 他にも、日本CMK(6958)、MARUWA(5344)、浜松ホトニクス(6965)、THK(6481)、ASK(9756)、昭和電工(4004)など、安くなっていますが、新しい四季報を一読されれば、これらの銘柄と付き合ってみようという気になると思います。

 例えば、昭和電工は時価総額が約1400億円ですが、来期の連結経常利益が300億円予想で、時価総額の実に21%以上も稼ぐ会社です。なかなか魅力的だと思います。

12月15日(金)

持ち合い相場が継続。

 今週はディーラー中心に大いに目論見が狂ってチャボついた相場になりました。月曜はMSCIの思惑で売り込んでいたことが裏目に出て、ショートカバーを余儀なくされ、昨日は大統領選後の上げを見込んで買い込んだことが失敗し、反動安となりました。

 日経平均先物の日足を見ますといわゆる「窓空け」にが多くなっています。一夜明けると価格が飛んでしまい連続性がない日足が何度も出てきます。今週月曜日に上離れた窓を今日は下離れて窓を形成しました。いわゆるリバース・アイランド=離れ小島のチャートを示しています。この形は天井(底)形成で出る形とチャートのテキストにあります。

 しかし、最近、「窓」は頻繁に出るようになり、あまり意味を持たなくなったかもしれません。結局、日経平均はNY市場に強く連動し、一晩明けると売り気配か買い気配で始まることが多く、主体性がないだけと捉えています。

 14500円以下では、金融機関の大半が株式で損失を被るゾーンであり、前回も強引にサポートした経緯があり、持ち合い相場が上下とも離れることなく、底練り相場になると見ています。トレーダー仲間では「持ち合い相場の横離れ」などと言っています。なかなかトレンドが出ないということです。

 ただ、最低限、下げの過程でオプションのインプライド・ボラティリティーが高まることが必要で、この点、外人の参加者が少ないこともありますが、今のように低いままではリバウンド力は小さいと見るしかないでしょう。

 今日の下げはGLOBEX市場の先物の下げを折り込んでいますので、もし海外であまり下げなければ、週初は投信の設定もあり、リバウンド場面になるでしょう。

 下げ場面では、基本的に売り込み銘柄を買うようにすれば怪我をしないで済みそうです。東急電鉄(9005)、石川島(7013)、旭硝子(5201)、セガ(7964)などたくさんあります。

12月14日(木)

2時過ぎに下げるパターンが定着?

 NYの下げで完全にはしごを外されましたが、それにもめげずに買いに行ったところ、上がらないので大引けで投げてしまったという相場でした。全くその日暮らしで方向感の出ない相場つきでした。今月はほとんどの日でこの「引けにダレるパターン」です。

 2時過ぎにダレる相場には理由があります。先物の手口をみてお分かりのように、外資系の手口が極端に減っていますが、大半の外人が休みを取っています。その影響が国内勢の短期売買指向を際立たせる結果になっています。少なくとも外人勢は時差がありますからここまでの短期売買は無いと思われます。

 国内勢中心で売買するとネットの影響は知らない間に大きくなってきたことが分かります。「ディーラーが2倍いる」そんな感じです。

 ただ、RSIやストキャスティクスでみると、過熱感があったので当然の調整と考えています。参加者が少ないので下げたからと言って、明日はまた違う流れになるでしょうし、再び下降トレンドに復帰することもなさそうです。

 また、手掛かり材料がないのでつまらないことで投機資金が集まります。石原産業の材料も具体性がありませんし、大成建設は始めて5銭の逆日歩が付いた為に200円に乗せました。大成建設などはいくら空売りが増えても現物の持ち合い解消売りのニーズが圧倒的に大きいでしょうから、目先、空売り筋が買い戻せば、後は急落するでしょう。

 「逆日歩に買い無し」という言葉があります。これは逆日歩がつくことで、「買い方が勢いづいて踏み上げ、後は急落し相場が終わるから買うな」という意味に理解しています。大成建設など業績で買えないものはアラ石日商岩井の例でも分かるように売り方の買い戻し一巡後は急落します。Jエナジーも買戻しが進行し買いだけが取り残される形になってきましたので、買い方は早めに投げた方がよさそうです。

 日経平均はNY市場にも方向感が無いことで迷走しそうですが、明日設定予定の日興投信が1800億円集めたようですから、日興の買い手口が注目されると同時に日経平均の切り返しに貢献しそうです。

12月13日(水)

大底打ったソフトバンクの影響は大きい。

 需給の悪かったソフトバンクが5000円割れで一気に損失確定玉を出させる結果になり、出来高569万株はこの株が大底を付けた証明になりそうです。相場にはあらゆる可能性があり、どのような変動の確率も常に同率であるというのがフラクタル理論で証明されています。その最も確率の低いところにあるような変動が今日のソフトバンクに起きたのでしょう。

 毎日同率の可能性でもこれぐらい稀なことは滅多に起こりませんから、ソフトバンクの4750円の安値は当分破られることは無いと考えて良いでしょう。1日あれば相場はしきい値を越えて転換することは良くあることです。

 この株が底打ちすれば値嵩株全体に大きな影響がありそうです。特に、店頭の値嵩株グループはソフトバンクの信用買いの代用にされていた株も多く、7掛けの担保掛目を嫌って現金化するような換金売りが止まれば、小型株の急反発が見込めます。

 同時に売り込み銘柄も循環物色されていて、本日は重工石川島が買われました。下げていた旭硝子は空売りが多く良い買い場と考えています。

年金決算のドレッシング買いと円安の綱引き。

 年金は12月末の単価をたいへん意識します。その為の買いも季節要因としてあります。機関投資家の参加シェアが高くなった近年は12月相場を上げて終わらせたいという意識が強く働きます。外人投資家の多くが休暇を取る時期の為、外人売りが下火になり、相場を戻すチャンスになっています。実際、12月に外人投資家が売り越しになることはほとんどありませんでした。

 一方、円がロンドン・タイムで112円のミドルまで売られており、波乱要因です。弱い通貨は基本的に経済の先行き見通しから売られるのであり、外人の日本株に対する考え方に通じるものです。また、アセット・アロケーションからの円資産売りになりますので、外人投資家の休み開けの動向には注意が必要だと感じます。

12月12日(火)

アナリスト受難が続く。

 昨年に「ソフトバンク買い」のレポートはたくさん見ましたが、「売り」のリコメンデーションを今年になってあまり見たことがありません。基本的にアナリストは売り推奨をしたがりません。その為、ソフトバンクは兜町でイメージが良く、新規の空売りがあまり入りません。それが、今のソフトバンクに致命傷になりました。買い残は残ったままで、売りは買戻しで減るばかりになり、取り組みは最悪です。

 一方、セガは倒産可能性さえ指摘される昨今ですから、売りが溜まり、逆日歩が付く寸前まで空売りが増えてきました。「ソフトバンク売りのセガ買い」はこの相場が需給だけで動き、アナリスト・レポートなどファンダメンタルズは意識されない相場展開を示す一例として象徴的に取り上げました。取り組み面から、セガは益々有望と考えて良いでしょう。アナリストが考えているような理屈で売買すれば大損するのが今の相場でしょう。(アナリストは取り組みが良いので買い推奨とは書けませんから、多面性をもった株式相場には勝てません。)

需給に偏った展開。

 もうひとつ、同じように需給で差が出た例として、アラ石日商岩井があります。同じような時期に上昇し、その後急落しながらも、アラ石だけがストップ高で切り返しているのも空売りが多い為です。日商岩井には空売りがほとんど入りませんでした。安値引けになっているのも肯けます。

 その中間にあるものが、Jエナジーです。売り買い拮抗していますが、やや買いが重たくなっています。Jエナジーは2円高でした。それぞれ株価が需給を良く表しています。BSも同様です。お持ちの個別銘柄の戻りメドを仮儒の分析で考えてみることをお奨めします。

 その他では、東急電車が面白い動きです。

 しばらく、個別の需給に左右される展開で、日経平均を心配しているのは現政権や12月末の評価が気になる信託の年金運用ファンドマネージャーたちということになりそうです。(ドレッシングはあるかもしれません。)ただ、日経平均はオプションの状況が下げに無警戒になっていますので、ショートカバー後の下落が予想されます。

12月11日(月)

森を見ずに木を見る相場。

 相変わらず外部要因に指数は支配されています。MSCIは来年11月から再来年の5月にかけての変更となり、この材料で買われたNTTドコモなどが売られ、松下、トヨタが急反発しました。数日はMSCIの材料での売買をアンワインド(巻戻し)する動きが残りそうです。

 言われている材料では相場は動かないことの典型でした。その意味で米大統領選後のハネムーン・ラリーも本当にあるのかどうか疑わしいものです。基本的に業績が下降トレンドになれば、相場の本格反騰はないと考えたほうが良いでしょう。

 本日の相場もリクィディティ(流動性)重視でファンダメンタルズを軽視する傾向のトレードが続きました。新日鉄がその典型ですが、売り込みの多い古河電工三洋電機など需給が良く売買がしやすい銘柄を再度物色しています。しかし、何度も同じ銘柄がクローンのように出てきては、「またか」という感じが否めません。

 今週も森を見ずに木だけ見ているような相場展開が継続するでしょう。過去にも金利低下の状況下で、株式が債券感覚で買わたこともありました。過去のパターンでは鉄鋼、化学大手、造船、電気大手、海運、電気・瓦斯といったところが循環、あるいは同時に買われていました。注意すべきは出来高が大型株相場と言うには少な過ぎる点です。インプライド・ボラティリティーからも上値はあまり無さそうです。

 これらの買いを一巡させた後に、ハイテク株の復権か売り込まれた小型株を買うことになるかもしれませんので大型株を売買している間に「お買い得銘柄」を探しておくことにしたいと思います。

12月8日(金)

その日暮らしの日経平均。

 MSCIの問題はどう影響するか、大統領選の代理人選びの期日でNYはハネムーン・ラリーに入るのか、など相変わらず外部要因で動きそうで、日経平均は「その日暮らし」で主体性の無い動きになるでしょう。

 狭い範囲でもみ合っている日経平均ですが、このレンジを多少逸脱する場面がありそうですが、新規のトレンドを形成するまでには至らないと考えています。これは現政権が抜本的な改革を先送りする体質を持っていることに外国人投資家の懐疑が強いことが主因と見ています。

 また、値嵩指向から正反対の大型株指向になり、ポイントがリクィディティ(流動性)になっています。さらに日計り中心の商いが目立ちますから、方向感を示すことはますます困難になってきました。日計り商いの為、ほとんど毎日引けでは下げています。

 更に、テーマが無い為に、昨日のザラ場情報の「ソフトバンク売り・セガ買い」のように需給だけを考えたポジションが面白いと思います。週初の「地所売り・三井不動産買い」も本日着地することが出来ました。

 このような状況ではレンジの上限・下限で逆張りが有効でしょう。個別銘柄と同様、オプションではそれぞれのレンジの上限でコールの売り、下限でプットの売りが有効と思われます。

銀行株アナリストへの不信。

 最近、ある大手銀行の頭取がたくさんのアナリストが参加する説明会で「不良債権終結宣言」を出しました。ところが、その都銀は大手ノンバンクや大手小売企業などへの債権を正常と分類しています。にもかかわらず、アナリストからはいっさい反論は出ませんでした。

 彼らも結局はサラリーマンであり、所属の会社と大手銀行とは多くの取引関係があります。銀行の問題点を知っていても、得意先の機嫌を損ねるレポートが出せる訳がありません。実際にあった話として、外資系でも問題点を指摘したレポートが大手銀行から激しいクレームを受け取引停止の圧力がかかったことがあります。

 銀行株アナリストが正直にレポートを書こうとすれば、自らの職を掛けて、銀行から借りた住宅ローンの心配をしながら書く決意が必要になるでしょう。

 多かれ少なかれアナリストは企業の問題点をオブラートに包んで書くしか無く、読み手は行間に潜む問題点を探すことで注意するしかないでしょう。 

12月7日(木)

MSCI決定待ちで見送り。

 MSCIの発表が日曜日にある為、本日と同様に週末は手控え気分が強くなるでしょう。実際に見直しとなれば週初は売られるでしょうから、下げれば買い場になることも考えられます。

 仮に、月曜日に下げたところで買えば良いと考える投資家が増えることで明日は見送り気分が一段と強まりそうです。更に、ロール・オーバーされた裁定残がSQ後に解消売りとして出されることは良くありますので、注意したいものです。

 最近は土日を挟んで大きく動くことが多く、オーバー・ウィークエンドのポジションを嫌う傾向が一段と強くなっています。

時価総額主義の修正相場。

 もう一つ、MSCIの浮動株問題が象徴するのは「流動性」です。これが、昨年と今年の大きな相違点です。昨年はヤフーに象徴されるように「時価総額主義」のもと浮動株が少なく時価総額が大きい株を買いました。株式は売買が出来て(利食いが出来て)始めて意味がありますが、昨年は流動性を無視して突き進んでいました。。

 その反省からでしょうか、極端に「流動性」のある大型株指向になり、新日鉄川鉄を売買する展開になっています。この傾向はしばらく続きそうですから、押し目があれば買いで良いと思います。

 また、管理相場色が強いですが、しこりの大きいソフトバンク富士通、NTTドコモなどの動きが140−150レンジをどちらかに抜けるきっかけを作りそうで、目が離せません。

 

12月6日(水)

上昇トレンド形成は無理。

 以前申しましたように米国民は大統領はどちらでも良いという選択をしたのであり、そのことは、景気が良かった為に米国民の脇が甘くなっていたことの証明でもあると考えています。

 バブルと言うのは必ず大きな反動があります。経済活動の落ち込みはこれから数年続くかもしれません。例えば、賃貸ビルの契約は5年が普通ですが、景気が落ち込んでも、NYで2倍以上になった賃貸契約は5年間支払い続ける義務があります。また、個人でストック・オプションを行使した際に税金がかかりますが、行使後に株式を売らずに持っていて、損になっても税金だけ支払う義務のある人がたくさん出てきました。アセット・デフレーションが進行しているとみて良いでしょう。

 この状況が金利低下や大統領選の決着で基本的に変わる訳ではないので、トレンドが変わる事を期待する必要はないと思います。このような時は、大きく取ろうとせずに、株価の波を利用して確実に利益を積み重ねていけば良いと思います。

 次限月オプションのインプライド・ボラティリティーが低い時に、大きく買いのポジションを取る必要はないでしょう。本日のBS(5108)のように混乱時に買ってこそ値打ちが出るというものでしょう。今日は全体では、アドバンテストトランス・コスモスなど、売り場を提供していました。また、イトーヨーカ堂の1日と4日の5800円のダブルトップに気がついて売りを実行した人はなかなかのレベルだと思います。今日の引値は5020円でした。

スプレッド市場について

 日経平均先物にはスプレッド市場があります。裁定取引は主に日経平均型とTOPIX型があり、それぞれ先物と現物の差を利用して利益を確実に得ようとする方法です。その場合、現物はそのまま期限がないのですが、先物には期限があり、売り玉を次限月に乗りかえる場合にスプレッド市場を利用します。

 スプレッド市場を利用しますと一回の売り又は買いの取引で2枚の約定が成立します。つまり、10000円を同ざやとして、10000円で1枚売りますと、その時の先物価格15000円なら、15000円で12月を1枚買い・3月を1枚売る商いが成立します。買いはその逆です。

 そのスプレッド市場で現在10020円や10030円の取引が成立しています。つまり、3月ものにロールすれば、20円〜30円高く先物が売れるので売り方である裁定業者は喜んでロールするでしょう。

 買い手の中心は大和投信のブル型投信の買いです。投信はロール・オーバーが必須であるのに対し、売りロールが必須でない裁定業者がブル型投信の買いロールを待って、有利な価格を成立させる傾向があります。

 その為、約23億株ある裁定残をロールさせれば裁定業者は20円〜30円分の利益が確定します。次限月が高ければ裁定取引を続けることが有利になるので、ロール・オーバーが進み、SQでの持ち込み売りは少なくなります。

 先物買いの大手である大和投信を中心に裁定業者に金利を提供する作業を続ければ、裁定業者は残高を減らすこともなく、うまみのある裁定取引を続けるでしょう。ある意味で、ベア型を売らずにブル型ばかり売っている証券会社のお陰で外資系や野村証券は大いに潤っています。

 このような仕組みで、SQは大きな売り物は出ないと思われますが、普段の相場で、いつ先物が売られて相場が崩れるか分からない爆弾はこれからも抱え続けることになります。

 

12月5日(火)

低位株かハイテク株かの選択?

 低位株が下がれば次はハイテク株に戻るという意見を聞きましたが、それはちょっと違うと思います。もともと、低位株動意のきっかけがハイテク株の不振ですから、低位株がおとなしくなったからといっても、たかだか一週間でハイテク銘柄のリハビリが完了するはずもなく、低位株が駄目なら相場は下向きのトレンドに回帰せざるを得ないと思われます。

 調整後に再度、低位株を買えるかどうかの選択をするのではないでしょうか。電線株ソフトバンクなどを買うか新日鉄を買うかといった「路線争い」がありそうですが、いずれも決定打として問題があります。

 景気が既に山を越えた可能性を債券市場は示していますから、株式市場は投機的な動きをある程度許容する形が理にかなっているように感じます。昨年の値嵩株相場はアナリストが大いに活躍しましたが、最近の不動産株の活躍や鉄鋼株の動きはアナリスト受難の時代がしばらく続くことを示していると思います。

 弱気の人が多いから上がると言う説もあります。確かに今は弱気が多いのですが、問題は弱気が現象面や投資家の行動面で明確に出ていないことでしょう。本当に弱気なら信用の買い玉を整理して、空売りを増やせば良いのですが、実際には空売りはほとんど増えていません。更に、強気なら現金を持ってきて買えば良いのですが、個人は投信を解約し、信託銀行以外の投資家は売り越して株を現金化する流れは続いています。

 したがって、どちらかというと、ミニ金融相場的な展開になるほうが活路を見出せるのではないでしょうか。

10日のMSCIの見直し問題。

 MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は今年の2月に指数算出方法を見直すとしていましたが、いよいよ10日(日本時間同日午後8時15分)に結果が発表されます。今年は指数の入れ替えで乱高下した経験があるだけに警戒感が強くなっています。仮に、見直しされれば、MSCI指数で運用している金額は巨額ですから、かなりの影響はありそうです。

 ある調査機関の計算では、浮動株が世界的に見て少ない日本株が見直しによって売られる金額は約5000億円程になるそうです。これは日経平均をおよそ400円程押し下げる力になると見ています。それ程大きな売り圧力ではないのですが、市場心理を冷やす効果次第で増幅される可能性も否定できません。

 その場合、過剰反応するようであれば良い買い場になりますので、市場が神経質になる場面を待ちたいと考えています。

 

12月4日(月)

方向性の無い展開、投機資金に注意を。

 投機資金は株式市場に必要なものですが、8億株台の出来高の内、日商岩井が1億株の出来高となるなど、相場の質の悪化が目立ちます。三菱商事物産も上昇しましたが、ニチメン丸紅など質の悪いものほど良く上がる展開で、食傷気味になってきました。極めつけは5円だった山水電気が大商いで4円も値上がりし、9円を付けました。上場廃止確実な銘柄を売買するので究極のマネーゲームです。

 銀行株でも大和銀行安田信託が高寄りした後、じり安になりました。「安ければ何でも買い」だった為に、資金の逃げ足が早く、一瞬の躊躇で売り損ないます。このような将来性のあまりない銘柄を大商いにつられて、買いを実行すると簡単に「塩漬け銘柄」を作ることが出来ます。

 また、業種間でもちぐはぐな動きが目立ちました。例えば、NECが75円高の2245円に対し、富士通は29円安の1808円でした。さらに、三井不動産が86円安の1186円に対し、三菱地所が19円高の1290円となるなど、業種間で需給の差で格差が付き過ぎている点も気になります。市場に方向性が無いので、コンビネーション取引には向いています。(富士通買い・NEC売りなど)

 市場は「その日暮らし」で首尾一貫しない物色人気が続いており、新規売りで対処出来そうな銘柄も出てきました。特に、証券株は売りで良さそうです。一方で、野村の戦略ファンドに組み込みが多いことで売られた松下電産は良い買い場を提供していると思います。

 指数に付いては方向性がはっきりしない為に上値はあまり重そうです。

相場のゆらぎと投資家の心のゆらぎ。

 一般に揺らぎは電位のゆらぎや風のゆらぎが例えられます。「雑音」、「あそび」、「ゆとり」などと意味づけしています。

 そこで、日本の古い書物で「ゆらぎ」のことが出ていましたので、ご紹介しましょう。それは宮本武蔵の『五輪書』の一節です。

 『兵法の道において、心の持ちようは常の心に替わる事なかれ、

 常にも兵法の時にも少しもかはらずして、

 心を広く直にしてきつくひっぱらず、少しもたるまず、

 心のかたよらぬように、心を真中に置きて、心を静かにゆるがせて、

 そのゆるぎのせつなもゆるぎ止まぬやうに、よくよく吟味すべし』

とあります。如何でしょうか。マーケットのゆらぎを研究するのが経済物理学ですが、投資家の心のゆらぎを知ることと同じことかも知れません。

12月1日(金)

「転換国債」構想と「売り禁止」の亀井発言で危機脱出。

 唐突に出たようにみえる亀井発言ですが、持ち合い解消売りに対して事前にいろいろな案が検討された結果、パフォーマンスとしてなされたとも考えられます。実は計算された発言だったかもしれません。

 そうであれば、持ち合い株をこれから売らなければならない機関投資家が、逆に、買ってきた説明がつきます。個人投資家は概して、銘柄選択を間違えた為に含み損が多く、低位株の相場に参戦出来ていません。10億株を超えた出来高は低位株相場であってもかなりのボリュームで、機関投資家の積極姿勢がなければ実現できない数字でしょう。

 また、もうひとつの大きな理由は市場金利の急低下です。これでゼロ金利解除以前の実勢金利まで低下しましたので、大型の低位株を利回りで買う理論的な根拠が出てきました。更に、企業への貸出し金利が引き下げられますので、ゼロ金利時と同じ金融緩和状態が生まれました。

 実質的な低金利の金融緩和状態が続けば「不況下の株高」が演出されることも考えられます。いわゆる金融相場です。新日鉄、川鉄などファンダメンタルズでは買えない銘柄が上がるのは久しぶりでしょう。また、日産自動車の700円台は必ず持ち合い解消売りが出ていた為に「越えれない壁」だったものが、亀井発言で越えてくる可能性があります。

 今回の低位株相場は夏場に起きた展開を既に上回る勢いがあり、ITバブルでつかまっている投資家が乗り換えるまで意外と大きな相場が見込めそうです。

 ただ、指数は来週のSQで14000円−15000円のレンジを想定している業者が多い為、15000円以上ではデルタ・リバランスで急上昇・急低下の11月SQと同じような動きも想定しておいた方が良いでしょう。