12月1日(金)

「転換国債」構想と「売り禁止」の亀井発言で危機脱出。

 唐突に出たようにみえる亀井発言ですが、持ち合い解消売りに対して事前にいろいろな案が検討された結果、パフォーマンスとしてなされたとも考えられます。実は計算された発言だったかもしれません。

 そうであれば、持ち合い株をこれから売らなければならない機関投資家が、逆に、買ってきた説明がつきます。個人投資家は概して、銘柄選択を間違えた為に含み損が多く、低位株の相場に参戦出来ていません。10億株を超えた出来高は低位株相場であってもかなりのボリュームで、機関投資家の積極姿勢がなければ実現できない数字でしょう。

 また、もうひとつの大きな理由は市場金利の急低下です。これでゼロ金利解除以前の実勢金利まで低下しましたので、大型の低位株を利回りで買う理論的な根拠が出てきました。更に、企業への貸出し金利が引き下げられますので、ゼロ金利時と同じ金融緩和状態が生まれました。

 実質的な低金利の金融緩和状態が続けば「不況下の株高」が演出されることも考えられます。いわゆる金融相場です。新日鉄、川鉄などファンダメンタルズでは買えない銘柄が上がるのは久しぶりでしょう。また、日産自動車の700円台は必ず持ち合い解消売りが出ていた為に「越えれない壁」だったものが、亀井発言で越えてくる可能性があります。

 今回の低位株相場は夏場に起きた展開を既に上回る勢いがあり、ITバブルでつかまっている投資家が乗り換えるまで意外と大きな相場が見込めそうです。

 ただ、指数は来週のSQで14000円−15000円のレンジを想定している業者が多い為、15000円以上ではデルタ・リバランスで急上昇・急低下の11月SQと同じような動きも想定しておいた方が良いでしょう。

11月30日(木)

機関投資家が低位株に参戦。

 ITバブルに踊った機関投資家(外人投資家も含む)は今、ファンドの修復に躍起となっています。そこへ例の「亀井発言」が出た為に低位株で最も注意すべき事項=持ち合い解消売りが当面手控えられそうな状況になり、宝の山に向っていったのでしょう。

 個人はまだ、(以前の値嵩株も含む)値嵩株に拘泥しており、身動きがとれません。逆に、低位株はもともと個人の持ち株比率が高いので、やれやれの売りが出ています。実際に低位株を買っているのは外人投資家を中心とする機関投資家で、一部の個人やディーラーが「ちょうちん」をつけています。

 新日鉄を始め低位株は業績面では買えません。ある意味では少し長めの「ホットポテト」と言えます。単純に消去法的に循環物色で休養充分であった低位株が浮上してきたと考えて良いでしょう。

 これは、あきらめの悪い投資家をハイテク株から引き離す効果もありそうです。逆に、個人投資家がハイテク銘柄から低位株に乗りかえるようになれば、低位株相場の終局でハイテク銘柄の良い買い場になると思われます。

 いずれにせよ、年末らしい餅つき相場が始まったので、しこり玉がなく相場好きの方には歓迎すべき状況でしょう。ハイテク株はその間下げても水準的には知れていると思われ、ここからは時間整理になりそうです。

 また、オプションの商いもある程度多く、ボラティリティーが高止まりしていることから、日経平均は大きく上げないまでも水準を徐々に切り上げる展開が予想されます。

11月29日(水)

口先介入より規制緩和を。

 不動産投信が期待され三菱地所三井不動産が目先の天井を付けたようになりましたが、材料出尽くし的な売りの他に税制面など各論の問題がありそうです。

 不動産流動化策はある意味で光ファイバー網の推進より重要ですが、不動産投信の税制面が不透明に思えます。詳しくは分からないのですが、不動産を取得した場合、登録免許税(登記の印紙代)が確か5%、不動産取得税が4%、課税標準額に対してかかる筈です。投信の場合、取得しても最終的に(将来は)売却するので登記に対していっさい課税せず、流動化を促進した方が結果は金融を安定化させ税収を増やすのではないでしょうか。

 行政改革が典型例ですが、日本は総論賛成・各論反対ですから、実行段階では骨抜きになるのが普通です。しかし、不動産の流動化はこれからも景気回復のキーワードですから、税関係費用は全てゼロにするように考えるべきでしょう。実際、不動産会社などは売買のために取得しても中間省略登記で最終的な買い手が登記する仕組みですから、投信から税金をとるのはおかしなことだと思います。

大和銀−東京生命の弱者連合。

 大和銀行の首脳陣はなかなか度胸があるようです。例の債権の巨額損失事件で株主代表訴訟で敗訴したばかりというのに東京生命の資金援助を引き受けるのですから。

 協栄生命広島総合銀行が各30億円、お互いに劣後ローンを組んでいたケースを以前紹介しました。破綻した今、広島総合銀行協栄生命から返してもらえませんが、協栄生命に広島総合銀行はつぶれない限り30億円の返済義務があります。このケースで大いに問題なのが、お互いに財務内容が悪いのを承知で時期をずらして資金提供していたのではないかと考えられる点です。

 大和銀行は現在の東京生命の資産内容を充分に調べてから協力するといっているとはとても思えません。充分な審査なしに融資する銀行の姿勢はお互いに弱みがあるのではないかと疑われても仕方ないと思います。

 大和銀行の株価が200円にいつも大量の買い物があり、引値で200円を上回っているのは作為的な動きを感じます。兵銀の例もある通り政府の力を借り過ぎた銀行ほど駄目になっています。兵庫銀行の場合は天下りの受け入れが多い銀行として有名でしたが、ダイエーなどの支援でみどり銀行になって再度破綻しました。大和銀行東京生命の救済策以外でも既に近畿大阪銀行なども救済しており、ちょっとした不良債権の巣窟になりそうな気配です。

低位株が宝の山に。

 今の低位株はほとんど下値の不安がない銘柄が多く、(乱暴な言い方ですが)下がらなければ上がるだけの状態にあると思われます。低位株にも循環物色の波が押し寄せてきているので、しばらくハイテク株を休ませる意味でも買われて良いと思います。

 たくさんの銘柄が底値圏にあり、昭和電工のように急騰する銘柄が次々に出てくると思われます。

11月28日(火)

亀井発言で低位株が急騰。

 民間企業がいちいち亀井氏の株売り自粛発言を聞く必要はありませんが、銀行は売りを監視される立場にあり、当面はペースを落とさざるを得ないと思われます。

 為替市場などでも「ヒヤリング」と言ってMOFが状況を聞きに来るだけで「口先介入」になり、投機的な動きは鎮静化します。

 先の経済物理学会シンポジウムでも報告されたように自由な市場ほど相場の触れが大きくなり、異常値が出やすく、規制を加えるほど変動率は低下するのがマーケットです。債権(JGB)市場では2分間の「板寄せ」時間がありますが、その間に注文を整理することで価格が急変するのを冷やします。(ちなみに相場においては150秒が科学的にクルーシャルな時間という報告がありました。また、相場に勝つには各自の「タイム・フレーム」を知ることも重要でしょう。)

 本来、市場を規制することは「板寄せ」のような場合や信用規制などに限定されるべきで、「株を売るな」というのは公務員の執務範囲を逸脱しています。勿論、市場を阻害することですから、有ってはならない話です。それを分かっていて口にするのは、それだけ政治家や官僚は市場の急落を恐れているということであり、コントロールしようとする力が絶えず働いていると考えて良いでしょう。

 また、銀行決算が悪く、一番強いはずの東京三菱銀行でさえ業務純益が半減した実態では政府・与党関係者が身震いして、思わず本音が出てしまったのは致し方ないことでしょう。

 ふだん、気がつかないだけで自由な市場とほど遠いのが日本の株式市場です。それをコントロールする限界に近づいた為に亀井発言が出たと思います。台湾でも公的資金でずっと買い支えていたのですが、支えきれずに壊滅的な下げを演じたばかりです。日本ばかりが弱いわけではなく韓国や豪州なども「弱さ」を競っています。

 アジアでは原油と石油製品の輸入の対GDP比で占める割合が(日本の0.9%を例外として)韓国の6.5%を筆頭に原油高の影響がたいへん大きい経済です。

 北米とアジアへの輸出に大きく依存し、構造改革や規制緩和が遅れている日本株が売られるのは仕方のない流れでしょう。

 おかしな規制を労せずに、いち早く持ち合い解消売りを出させることで「株価の適正値」を出すほうが早道ではないかと思います。

 結局、この「亀井発言」で管理相場色が強まり、指数は狭いレンジの動きを強いられそうです。その中で、一時的にせよ持ち合い解消売りの出し難くなった低位株が活発に買われそうです。前回同様なら約1ヶ月間、低位株物色の流れが続きました。今回はやや投資家の体力に難がありますので、早めの対処が必要でしょう。

11月27日(月)

売られ過ぎの反動。

 今日の戻り場面で意外だったのはNEC富士通、ソニーといった「しこり玉」の大きい銘柄ほど戻り率も大きかったことです。例えば、富士通は2700万株を超える信用残があり、どこの証券会社でも頭痛の種です。これは、先週までに信用の追証などで必要以上に売られていた反動が起こったと考えて良いでしょう。

 松井証券の信用評価損率が先週の−15.8%から−13.4%まで急回復しており、買い残の多いものほど戻りの率が大きかったことが分かります。これは、信用残が多いものほど売られていたことの裏返しの相場が今日の相場であったということを示しています。

 戻った率が大きいと言っても売られ過ぎの反動高の域を出ないでしょうから、続くとは思えません。基本的に戻り待ちの玉が多く、信用残が多いことには違いありませんから、ハイテク銘柄の戻り一巡後はどうなるか、何が買えるかにすぐさま焦点が移るのではないでしょうか。

 少なくとも、富士通ソフトバンクが毎日賑わって上昇していく展開にはならないと思われます。

テーマ株が売られた後は?

 一方で、下げ相場で新しいテーマ株として買われていた不動産流動化関連や、デジタル家電株が大きく売られていました。松下地所、三井不動産などが急落しています。強い相場ならこれらのテーマ株も含めて続伸した筈でしょうから、早くもテーマ株が息切れするようでは、次に中心になるセクターは存在するのか?非常に難しい相場展開になったと感じます。

 今後は電通国際情報サービス(4812)が30日に東証一部に上場しますが、IPOの限られた銘柄が賑わうのではないかと考えています。持ち合い解消売りが出ないことが再び注目されるかもしれません。

 もう一つは低位株が約半年間の下げ相場から復活することが考えられます。数百円以下の銘柄に出来高が増えつつある銘柄が散見されます。下値リスクがない投資スタイルは値動きの派手さはないですが、確実性は高いでしょうし、ハイテク株を休養させるためにも出番が近いように思えます。

 全体では15000円回復するかどうかといった相場ですから、15000円までの展開であっても利益が出るように買うことを心がけたいと思います。

 11月24日(金)

方向性よりも短期売買が中心の相場展開。

 最近の人気株の動きは、方向性をみての売買より、極端に短期売買をする(ディーラーも含めた)デイトレーダーの動きに翻弄されているように思います。

 ただ、それもソフトバンク富士通などでは大商いになったことで目先の買い場になったと考えています。いわゆる「ホットポテト」なので、買った人はやけどをしないうちに早めに次の方へ回すべきではありますが。 

 また、マツモトキヨシは4日連続でストップ安で普段の数十倍の商いになりました。この株にオプションがあれば脅威的なIVとなったことでしょうし、ここはある種の「異常値」が出やすいと言えます。このような「異常値」を見つけて買いに出ることは経済物理学的には理にかなっていて、カンやチャートで買うのとは訳が違うと思います。

 もう一つ個別で気になったのは、松下電工です。この下げ相場で五日連続で上げています。1.5円の逆日歩が付いたことで新しい相場に入ったと見て良いでしょう。

 参加者が少なかったオプション市場は休み前とはいえ、インプライド・ボラティリティーが23%程度まで低下し、弾性値がなくなり、指数のリバウンドは期待薄でしょう。その中で、個別に対処するほうが賢明だと数字は教えてくれているようです。

 NYは半日商いのようで感謝祭休暇のところが多く、今晩は模様眺めになりそうです。その場合、月曜日もある程度しっかりした展開が予想されます。14000円をサポートしながらも15000円は超えれない相場がしばらく続きそうです。しかし、個別では興味深い展開が多く見られますので、楽しめる相場ではないでしょうか。

11月22日(水)

外人買いコストに接近。

 加藤氏の失敗は森政権が不人気な為に交代を主張し、政策論争がなかった点が共感を呼ばなかったからではないかと思います。野党も政策抜きで数だけで共闘しようとした点で加藤氏と同じ失敗をしています。外国人には松浪某議員「水かけ事件」も政策不在の野蛮国家と映り、日本売りに拍車をかけたようです。

 ただ、現水準は昨年買い越した外人買いの平均コスト(推定)にあと4%程度まで下げています。その水準からは外人も為替益だけが利益となり、更に、13000円まで下げれば為替益も含めて、売れば損失になると思われますから、外人にとってもそれ以下に売れるのかという疑問があります。

 このことを考えますと、14000円割れでは外人売りも一旦収まると見るのが自然でしょう。その為、リバウンド狙いの好機と考えています。

 松井証券のレポートにある信用評価損率もかなりのマイナスになっているようですし、ソフトバンクが下げて319万株の大商いとなったことなどをみても、一旦リバウンドするか、底打ち場面が近い状況を示しています。

 とはいえ、個別には、下げが遅れていたNTTドコモ野村証券などはこれから下げるかもしれませんし、浮動株が少ない割りに機関投資家が買い過ぎた消費者金融株なども下げ止まる感じがしません。

 また、石川島住電、松電工など取り組み銘柄に一段と信用売りが増加し、戻り局面では注目されそうです。

日経平均と逆相関の裁定残の増加傾向。

 ここ3年間で見る限り裁定取引は日経平均が上昇すれば積み上がり、下降すれば解消売りで残が減少するというパラレルな傾向を示していました。ところが、最近数ヶ月は下げ過程にありながら裁定残が積みあがっています。

 このことは、下げが先物を使ったスペキュレーションではないことを表すと同時に、現物の売り切りが多かったと考えられます。しかし、それ以上に不自然な先物買いが頻繁に行われ、下げをコントロールしていたことが、かつてない「下げ相場で裁定残が増える」という珍現象を引き起こしたのでしょう。

 振りかえってみますと、選挙やゼロ金利解除、サミット、NYの急落、政治の混乱など連続的に日経平均はサポートが必要な場面を迎えてきたことで「先物による相場安定」を図るしか手がなかったとも考えられます。

 勿論、裁定残は仮儒であり、いつか解消されるものです。それが、12月のSQになるか、来年になるか誰にも分かりません。これも一つの「問題の先送り」と言えますが、デリバティブで翻弄されている個人投資家には、不用心なときに解消売りが出されることも多く、迷惑な話になりそうです。

 信用残が少し減り、需給の改善が進んでいると報じられていますが、実際は、「問題の先送り」が多く、中期的なトレンドの改善は困難ではないでしょうか。

11月21日(火)

危機ラインでの防戦買い。

 加藤氏の問題は「同じ穴のムジナ」という言葉通りになり、政治家に期待しても仕方がないことを再認識させたようです。また、円安政策が必要な時ですから、森政権の続投で円安になれば、森氏の功績は大と言うべきでしょう。その点では、日本は森政権を大事にしなければなりません。

 また、NYが安い時は決まって引けにかけて買いが入るお決まりのパターンも健在でした。NYが小康状態の時に下押すことを警戒したいと思います。休みがあるとはいえ、オプションのインプライド・ボラティリティーは下げた割には伸びず、上昇への蓄えは不充分です。

 ただ、松下住電、地所、石川島、Jエナジーなど高値圏の銘柄に空売りが急増していて、売って取れる相場でもなさそうです。売り込まれた銘柄ほど反発局面では早いと思われます。売りなら消費者金融株が急落していますが、MSCIの浮動株指数の問題で売られていると思われ、まだ、売りに分がありそうです。

 14500円以下では金融不安の再燃が心配され、全資産の約20%を株式で持っている大手銀行のクレジット・クランチが生じると思われます。それだけに、14000円割れは大きな抵抗があると考えています。数年前では問題の無かった水準が、度重なる益出しクロスの為に大手銀行の体力が相当落ちています。

 預金保護や分別管理が徹底して、金融不安は庶民の間では感覚がないですが、実態経済の足かせになってからでは身動きが取れないことになります。金融機関のリスク許容度が低下している現状に対して、破綻の連続で慣れが出て、世論に危機意識が少ない点が問題と考えています。

負けを認めない投資家

 一般的に個人投資家は下げても、最低限度しか処分しないことは前回の下げ相場で分かっています。

今日の日経金融新聞によるとプット・ショートで損失を抱えた大手顧客(日経では事業法人となっています)が来年の9月物のプット・オプションのクロスを証券会社との間で実行していると伝えています。その為に、実際の売買に影響を与えない145の当限のプット・オプションが異常に建て玉が膨らんでいます。

 この来年9月物への長期ロール・オーバーは手法としては「上がるまで待つ」しかなく、来年も低調ならリーソン事件を彷彿とさせる可能性があります。「地雷の爆発」がロールされたとも言えると思います。ここにもあきらめの悪い大手の投資家がいます。

 また、銀行が持ち合い株をクロスではなく売り切っていれば、含み損の問題も出ませんでした。残念ながら、銀行ですら「負けを認めない」投資家になっており、問題の先送りは日本特有のお家芸で、相場低迷の背景になっています。実に頭の痛い問題です。

11月20日(月)

持ち合い相場に変化?

 指数を維持するような買いもある一方で、主力株がさしたる買いも無く値を消しています。Jエナジーの活況は相場の方向を無視した投機資金しか今のマーケットに入れないことを良く示していると思います。

 オプションのインプライド・ボラティリティーが25以上を維持していたことに示されるように、売り込み警戒感が市場にあることが、下げのスピードを緩和しているようです。依然として、この力は働いていると思われますが、今週中に持ち合い相場を離れるかもしれません。相場の実態が既に14000円すれすれになっていると感じられ、実勢を追認する相場が解り易いのではないでしょうか。

 このところ2時から3時の大引けにかけて指数採用の銘柄を買い上がる動きが継続しており、売り込みも入らない状況ですが、徐々に相場の実態と乖離している感が否めません。

米選挙結果は景気のピークを象徴する。 

 アメリカの大統領選挙の行方が相場に大きく影響すると考えるのは間違いかもしれません。米国民が2人のうち「どちらを選んでも構わない」と選択したことが選挙結果ではないでしょうか。このことは、失業者もほとんどいなくなったアメリカの好景気のピークを示す現象として象徴的な出来事と考えています。

 景気拡大が長く続き、大きな対立点がなく、見分けがつかないこともありますが、米国民の脇の甘さを示していると思います。好景気がこのまま続くから大統領はどちらでも良いと考えたとしても不思議ではありません。

 GMなどが在庫調整のために大勢のレイオフを実施することが休み中に伝えられました。これは本田トヨタ、日産にとっても他人事ではないと思われます。米国依存の高い日本株のシェアを落とそうとする外国人の動きが相場が冴えない根本原因であり、政局は副次的なものでしかないと考えています。

11月17日(金)

レンジ内の動きを想定。

 月曜日はNYが落ち着いていれば反発すると思われます。週明けはいつも週末毎のヘッジを外す動きがあります。

 上昇の場合、ポジションを多く抱えている方は軽くするチャンスで、売りも出来る方はヘッジを考えるべきでしょう。「安いから買う」という考えよりオルタナティブ指向で対処するほうが良いと思います。

 投資家も証券マンもいつも何を買うか考えていますが、上がった日には「何を売るか」考えるようなストラテジーを持ち、リスク少なく収益を上げるポート作りを目指してはどうでしょうか。銘柄選定も大事ですが戦略で稼ぐやり方がしばらくは有効だと考えています。例えば、しこり玉があっても、「カバード・コール」のチャンスを探すこともひとつの戦略です。何もしないより良いでしょう。

テクニカル分析の失敗が相次ぐ。

 このところ、テクニカル・アナリストの買い推奨がことごとく失敗しています。間違う原因はテクニカル分析の場合、持ち合い解消売りなどで浮動株の比率が変わることを計算に入れていない為に失敗していると思われます。

 浮動株比率が変われば、計算の前提条件が変わります。つまり、判断の初期値が変わり、パラメータも当然変えて考えるべきで結果も異なって当然です。

 市場に出てくる株数が変わってくれば、動き方も当然変わります。同じ判断基準で推測することにもともと無理があると思います。この時期から3月末まで、テクニカル分析をしている人は前提条件の変化を考慮せずに相場に臨むことになり、失敗を重ねることになりかねません。

 また、テクニカルには「信じるか信じないか」という非合理的な側面があり、合理的な判断を曇らせることになりますので、テクニカルも参考にして、需給やファンダメンタルズなどに幅広い判断をした方が良いと思います。

11月16日(木)

ホット・ポテトでやけどをしないように。

 ロンドンのトレーダーたちが良く言っていた言葉に、暴騰・暴落中の銘柄を買いにいきますと「これはホットポテトだよ。気を付けてね。」と良く言われました。

 つまり、「ホットポテト」(あつあつの石焼きイモみたいなものでしょう)を持ったら、すぐに次の人へ渡さないと自分がやけどをしますよ、という忠告をしてくれた訳です。

 上げ相場の押し目買いと違ってリバウンド相場は良い所を買っても、それは「ホットポテト」ですから長く持つとやけどをします。

 例えば、ソニーを13日の380円安で安いと思って8470円で買ったとします。8780円にすぐにリバウンドしますが、利食いしなければ、喜びも束の間で今日の8320円となり、見事にしこり玉となりやけどをします。

 安いか高いかは株式の世界では相対的なもので、買う人は高値覚えをしていて「安い」と感じているに過ぎません。あくまで、自分が買った価格より値上がりしたときに「安く」買ったと言えるだけです。ですから、自分が買った後に上値を買ってくれる投資家がどれぐらいいるかを「マーケッティング」するぐらいの気持ちで買わなければ結果的にやけどをすることになるでしょう。

15000円シーリング相場

 これだけ売りたい投資家がずらりと並んだ環境では15000円に戻る程度でも利益が出るつもりでどこで拾うかを検討しています。その程度の相場と割りきって、出来るだけ安く仕入れるつもりで臨んだ方が良いと思います。もし、値ぼれで買うのであればそれは全て「ホットポテト」であると疑って買うほうが良さそうです。

 また、これだけ板が薄いとちょっとしたことでも1日あれば14000円割れを実現してしまう可能性があり、多くのポジションを抱えないようにしたいと思います。既に、大半を利食っていてリスクはほとんどありませんし、残りは準大手証券株などで売りヘッジしていますので仕込み場を待てば良いだけになっています。

11月15日(水)

三角持ち合いを形成中。

 米国に依存した相場がこれだけ続きますと投資家が市場から離れていくのも当然と思われます。どの時点からか、日本株における個人売買のシェアが落ち込んできた為に「仕手株相場」とか「材料株相場」になることがほとんど無くなってしまいました。

 バブル期までは仕手株相場はかの是川銀三氏の別子(住友鉱)持田薬のような大相場が投機資金の受け皿として存在していました。今のような投資の端境期に人気化する魅力のある材料株がなかなか見つかりません。リスク・マネーが遊びを求めて市場に入ってきても良いのですが、証券会社の募集物優位の営業姿勢もあって人気株が出難くなっています。

 今日は材料株としてジャパン・エナジー新潟鉄工が賑わいましたが、実質債務超過と思われる会社で浮動株も多く、上がれば持ち合い解消売りが大量に出るような銘柄をとても買う気にはなれません。むしろ、空売りなら面白いでしょう。そういう訳で「幕間つなぎ」という重要な役割を担う人気銘柄が出ないことは証券界の「構造問題」でもあり、醒めたマーケットにつながっています。

空からナイフが降ってくる?

 出来高減少のため、小型株の急落が相次いでいます。今日はPC機器でお馴染みのメルコ(6913)がストップ安(2510円で−400円)でした。出来高は僅かに3.43万株でした。今週の月曜日は豊田合成がストップ安で昨日は三城がストップ安でしたが、いずれのケースでも出来高面でストップ安するような出来高ではなかったですし、また、急落するほど質の悪い株ではありません。

 豊田合成は4日間で7000円の株が2200円ほど値下りし、4760円になりました。三城のケースでは先週の4700円から今日の3430円まで1270円も値下がりしましたが、その間の出来高は僅かに43万株でした。投資家は道を歩いていたら突然空からナイフが降ってきたようなもので、安心して投資できる環境と思えません。中には、有名なアナリストが推奨していた銘柄もあり、最近の売りはそれらをファンディングしていた投信が投げているものと思われます。

新政権期待が頼りの相場。

 相場はやや高めのインプライド・ボラティリティーに支持される形で、三角持ち合いの上限を試しにいっていると思われます。何よりも、米国の選挙結果が週末には決着しそうなことや日本でも政権交代が目前になっていることに期待感があると思われます。政権交代なら一時的にせよ上昇場面が考えられます。指数売買では政権交代のタイミングを充分見極める必要があると思います。

11月14日(火)

個人投資家の株式市場離れが顕著。

 最近、ある人気の株式サイトに対するアクセス数が年初の約半分に落ち込んでいます。個人投資家の株式市場離れがはっきりしてきました。講演会の入りも極端に落ち込んでいるようです。

 個人投資家で最もアクティヴな投資家は信用取引の投資家です。その評価損が改善しないまま何ヶ月も経ったことで、下げ場面でも新規で買う気持ちが随分失われてきたようです。

 そのため、個人が得意の小型株で板が入らなくなり、投信の解約売りなどの僅かの売り物で急落する銘柄が相次いでいます。例えば、三城(7455)は後場ストップ安するまで2万株程度の売り物がこなせませんでした。

 このような板の薄い状況では一般的な投信の「バイ・アンド・ホールド」型は身動きがとれないでいます。かといって、解約があれば場に出さざるを得ませんから、投信が買っていた銘柄ほどフリーフォールの状態で下げています。

 小型株での状況はやがて中大型株へ波及することが多く、小型株だけの問題にしない方が良いと思います。また、業績からして安すぎると思われる水準まで売ってくることも多いので手を空かしている投資家には良い拾い場になりそうです。ただ、この現象は3月までの長い期間にわたって繰り返し行われることの始まりと感じています。

 投信の販売不振や銀行のリスク許容度の減少が、NYや政局の混迷とは根本的に異なる要因で兜町を支配しつつあるようです。

 このところ、少ない戻りに対して大きな下げのパターンを繰り返しており、マーケットの脆弱さが表面化してきたようで危惧されるところです。ロスカット・ルールを持ちながらバーゲンハンティングに徹したいと思います。

11月13日(月)

出来高少なく、長引く調整を暗示。

 日経平均は大きく下げたもののSQを除いた金曜日の出来高と同水準でした。価格水準ではしこりを持った投資家はどこまで下げても投げは大量に出なくなっているようです。投げるに投げれないことが原因と思われます。

 10月31日の14333円まで下げた日で5.66億株の出来高でした。その前後の日では今よりも出来高は多かったので、強弱感が現在よりか対立していたことになります。結局、株式相場の米国シフトが一段と鮮明になり、強弱感はあまり対立せずに、(下げてはいますが)時間調整になっていると思います。

 下げてもセリング・クライマックスという感じではなく、無気力な「ナスダック連動型」の下げに終始し、ピンポイントで買い場が捉え難い下げになると考えています。本日の下げにしても投げが多く出たというよりも買いが入らないという形での下げでした。

大手銀の含み益が大幅減少。クロス処理が問題に。

 休み中の日経新聞に大手銀行の株式含み益が9月末で(3月末に比べて)4.2兆円も減少していると伝えられています。9月末の15747円より日経平均で約1100円値下がりしている現在、みずほHDがほぼ含みが消えているのを始め、大和、中央三井、安田は含み損になっています。

 また、含み益を合計しても約1.5兆円程度しかありません。この水準では不良債権の処理は絶望的と考えられます。

 みずほHD興銀が典型的ですが、興銀は含み益が大きい優良銀行と見られていましたが、不良債権処理の為に株式の益出しクロスを大量に行った為に現在は大幅な含み損を抱える銀行になっています。

 外人買いなどで水準が上がっている間に「売り切り」で対処すれば良いものの、益出しした後にすぐ買い戻す「クロス取引」が中心だった為に、ここからの下げは金融不安の再発が予想されます。

 銀行としてはリスク資産を処理せずに抱えていたことが明らかになったことで、今後の株式市場の大きなトレンド転換は難しいと思われます。銀行は含み損を抱えていては再生が不可能ですから、本音では急いで株式資産の圧縮を考えているでしょう。

 そういう訳で、当面はバーゲンハンティングを考えていますが、選挙結果が出てNYが上げた時やFOMCでバイアスがニュートラルになったときには戻り売りを実行する構えで良いと思います。

11月10日(金)

時間調整入りへ

 来週は、最近の高値15620円と安値14340円に挟まれたレンジを狭くした形で三角持ち合いに入りそうな気配を感じます。最安値では信用の評価損がマイナス20%を実現し、心理的な極限状態に陥ることも市場は経験しました。その点で下げの限界も感じられた状況です。

 一方で、下げ相場にあってありがちな急激な戻り場面も経験し、戻りのエネルギーもある程度放出したと思われます。従って、NY市場の大暴落でもない限り、今後は「しこり玉」の整理に時間をかける相場になりそうです。

 特に、政府売り出し株と公募株を無理にセールスしたNTTの悪影響が残っている為に、個人投資家は市場への関心を薄めています。この為、市場の厚みがなく方向感のない展開になると思われます。

 また、大統領選の混迷で米国はおろか、世界中のマーケットが方向感のない展開になっています。相変わらず大きく米国に軸足を置いた状態では、ハイテク株を筆頭に低迷を脱することは期待薄でしょう。何よりも、「それに変わるもの」がなく、魅力に乏しい状態が続きそうです。

出来高減少で持ち合い解消売りも目立つ。

 商いが少ない為に、量的には増加していない法人からの持ち合い解消売りが相対的に目立ち始めました。日経金融新聞で、日産自動車の上値が重い理由に上げられていましたが、日産の側でも相手側の株式を売っていると想像できる事例がありました。また、銀行株が低迷している原因は買い手が少ない現状で持ち合い解消売りが早くも出ていることが主な原因でしょう。

 このように、出来高が細っている市場では需給が悪い為に法人の売りが目立ってしまい、それが、参加意欲を削ぐという悪循環が起こりつつあります。

政権交代の可能性

 今日、加藤氏が野党が内閣不信任案を出した場合、欠席すると発言したと報道されました。これは今後の国内株式の大きな変動要因になると思われます。山崎氏など共に民主党と連合するか、党内で交代を迫るか流動的ですが加藤政権を目指す動きが進みそうです。

 財政再建論者の加藤氏は兜町では不人気ですが、民主党と組んだ場合、森政権よりましと好感される可能性があります。ただし、外人は亀井氏らの財政拡大路線を好んでいますので外人の反応はネガティブなものになりそうです。大統領選の結果より、国内政治の方が流動性を増してきた感じです。

11月9日(木)

一段の急落も。

 予想した通り、今日はSQの週にありがちな変化の激しい動きが見られました。業者(自己売買)はオプションをショートした場合、予想したレンジを外れるとSQに近くなるほどヘッジの為に先物を売買して損失が出ないように組み替えます。今週、特に15000円以上を想定していなかった業者は先物を大幅に買い越しました。

 ですから、通常なら200円程度の上げにしかならない相場で400円も上げ、200円しか下げない筈の相場で400円下げるようなことが「想定レンジ」外では当たり前に起こります。原因は先物によるデルタ・リバランス(ヘッジ比率の見直し)にあった訳です。

 このことを知らずに、仮に、順バリの投資家がいて15500円以上になれば買い転換するとしたら、「ボリンジャーバンドの上限狙い」などと言って買った途端に、15000円割れになりますし、また、15500円を付ければルスカットにすると決めていた投資家もロスカットした直後に大きく下げるという変化に翻弄されます。間違える為にテクニカルをやっている結果になります。

 投資家でテクニカルを学ぶ人は多くても、デリバティブを学ぼうとする人はほとんどいません。これほど多くの場合で、テクニカル上の「ダマシ」が先物の影響で作られている現状がありながら、理解しようとする人がたいへん少ないのは不思議なことです。また、証券マンが実際は顧客のために仕事をしていないという残念な現状を物語っています。

 SQ値算出後に先物主導で下げが起こることが想像されますので、オプションのインプライド・ボラティリティーなどの推移に留意しつつ、松下電器住友電工、石川島、三洋電気など好取り組み銘柄に絞って買い場を待つ姿勢が良いと思います。

個人投資家は常に買いのバイアス(4)

 投信に先物を使ったブル・ベア・ファンドがあるのはみなさんご存知だと思いますが、ブル対ベアの比率はご存知でしょうか?その数字は日本の証券界の後進性を象徴的に現していますので紹介したいと思います。

 例えば、大和投信のパワー・セレクト・ファンドという投信があります。選択できる先物のファンドで強気なら「ダブル日本株ポートフォリオ」を買えばよく、弱気なら「ベア日本株ポートフォリオ」を買って、その通りになれば利益になります。もともとヘッジ機能がある投信という点がこのファンドのメリットです。

 ところが、大和投信のホームページで公開されている純資産残高は、10月末で、強気の「ダブル日本株ポートフォリオ」が1616億円に対し、「ベア日本株ポートフォリオ」は僅かに3億円しかありません。

 何と、ベア1に対しブルが538倍もあります。2対8ぐらいならともかく、1対538です。せっかくヘッジ機能のあるベア型を全く使っていないことになっています。

 このことは、個人投資家の自己責任にも大いに疑問を感じますが、強気一辺倒で証券会社がセールスしている姿勢が示されています。下がると思って顧客にベア型を勧める証券マンはほとんどいないということです。ナスダックが下げ始めた時期にもベア型の増加は見られませんでした。換言すれば、顧客はどんな場合にも証券会社から(営業政策上)強気のアドバイスしか受けれない仕組みになっているということです。

 ファンドの基準価格の上げ下げは年間を通じればブル型とベア型で半々ですが、アドバイスを受けようとしても証券会社では538倍の圧倒的多数で強気の話を聞かされます。残念なことに、個人投資家は証券会社の言い分を聞かずに相場に臨んだ方が勝てる確率が上がることになります。

 (一般的に)もし、株式で利益を上げたいと思われるなら証券マンに相場の先行きを聞かないほうが良いでしょう。利益を上げるタイプの投資家は投資家自身で全てを判断しているように思います。

11月8日(水)

選挙後にドル安の可能性。

 ドル=プット料がここ数年来の安い水準で推移しています。FX市場では強いドルが確信されている状態が続いています。今回ブッシュ氏が当選なら、大幅減税の為に金利が上昇すると見られていますが、マーケットはきっかけ待ちの状態でしたから、動き出す可能性が十分あります。

 仮に、円高になった場合、ある程度まではユーロ勢中心にアロケーション買いが入り、日本株の上げ要因になります。強気派の論拠とされるでしょう。しかし、一定の水準以上では米国勢が利食いする絶好の機会にもなりますので、ボラタイルな展開になりそうで、一方向にポジションを傾けたり、思い込んだ取引は警戒すべきでしょう。

 トヨタが最近の高値を付けているのも円高より業界代表であり、流動性で買われている面が強いと思います。今のところ円高や北米市場の売り上げの減少より、アセット・アロケーションを考えての買いが上回っている格好ですが、更に、円高が進んでも買い進めるのでしょうか。

 このところのバイナリーコード銘柄の買いにはまともな理由が無く、為替狙いだけではないのかと疑われる銘柄選択が多くなっています。証券株では新光岡三などは見向きもされず、野村、大和のみといった買い方をしています。証券会社の成績は最近駄目ですから大手と準大手で差を付けている根拠は大いに疑問です。

 ドコモの買いなども業績などより為替狙いの買いという印象です。

 また、市場参加者のうち、外人とディーラーの比率が高く、厚みが見られません。そのために個人好みの小型株の多くは動意なしのままです。物色の柱が無く参加者限定ではリスクを取り難い状況だと感じます。TDKアドバンテストなどの値嵩株はヘッジで売るタイミングがあれば実行したいと考えています。

NTTの売却可能日が証券会社で差異。

 今回の公募・売り出し分の売却可能日をある証券では7日からとなっているのですが、他の証券では10日からとなっています。証券会社によって拘束期間が異なるのは公正さを欠くと思いますが、この点で当局が指導をしないことは怠慢ではないでしょうか。

 実際、NTTは昨日から売り出し株の「跳ね返り玉」のために安くなっています。明日からしか売れない証券会社の顧客は明らかに不利になります。このようなことまで「自由化」する必要はないと思います。投資家としては(誰でも出来ることではないのですが)信用口座を作って自衛するしかありません。しかし、真の自由化とは機会の公平さのことである筈ですから、後から売る人が損になるようなら、業界団体で協調する方法も検討して良かったのではないでしょうか。

11月7日(火)

他力本願では上値も限定的。

 今回の戻りの中心はNTTドコモ野村証券といった銘柄です。これは、欧州系の買いで上げた10月の戻り場面と同じ動きです。今回もユーロに対する介入姿勢を見て円高を予測した欧州系の資金がアセット・アロケーションを見直したのではないかと見ています。10月の買いも短期間(4〜5日)で終了していますので、11月1日から買い始めたようですから、明日ぐらいまで買ってくれば様子見になるかも知れません。

 銘柄から考えて、同じ買い手が参加していることは確実と思うのですが、前回と異なるのはJTみずほHDを買わずにソフトバンクが買われた点でしょう。また、彼らにとって16000円台だった10月に比べて1000円下でのナンピン買いになったことも注意点です。タイミングが底割れ寸前で買うところなどはLPS(SPC)などを使った「黒目の外人」もあやしいと考えています。

 また、SQの週はオプションの感度(センシティビティー)が上がりますので、リバランスの動きに振りまわされます。昨日はBOAが225先物で約2000枚の買いを見せましたが、本日はパリバが約1000枚の買い越し手口を出していました。このような一時的な動きに相場の基調が変わったと錯覚しないように注意したいものです。

 個別には、人気銘柄だった日産三菱重工、石川島、松下電産などが売られていたり、NTTソニーなど主力株の下げに象徴されるように、「一方を上げれば他方が沈む」ような相場では、力強い上げ相場は期待薄でしょう。特に、個人投資家は今回の戻りでもまだ大きな痛手を負っていて、相場に参加するどころでない人が多いと思われます。

 自らは参加せず、外人買いという期待感だけでは戻りが限定的になってもやむを得ないところです。

 また、郵貯の受け皿と期待された株式投信が極度の不振で、11月の投信設定は全体の約4分の1に落ち込んでいます。多い時は設定の半数以上が株式投信でしたが、成績不振のため売れ行きが大幅に落ちています。10月の株式投信の販売額は今年初めて1000億円を下回りました。

 大和武蔵が沈没し、ジパングも地盤低下が著しく、戦略の無い日本株戦略ファンドが低迷している現状では投信の売れ行き不振は当然のことでしょう。さらに、ただ下げたのではなく、各ファンドともTOPIXに比べて、約10%も余分に値下がりしていることに説明がないことも問題だと思われます。