スリランカ一人旅
2014年7月26日〜8月3日
昨年、念願のマチュピチュに到達。
その時点で次の旅の目的地は漠然とイメージしていた。
以前、世界遺産を紹介する番組で見た遺跡、スリランカのシギリヤロック。
動機の1つはアジアのマチュピチュと評されていること。
本物のマチュピチュへ行った次はアジアのマチュピチュへ。
目次
7/26・シンガポール経由コロンボ
7/27・コロンボ
7/28・キャンディ
7/29・ダンブッラ
7/30・シギリヤ
7/31・移動日
8/1・コロンボ
8/2・シンガポール
8/3・帰国
準備
夏の旅は3〜4月くらいに計画し、航空券を探し始める。
今回は4月からの消費税増税もあったので、3月中に航空券を買っておきたかった。
調べると海外航空券に消費税は適用されないとのことで、慌てて買う必要は無さそう。
しかし代理店を通した場合の手数料には消費税がかかるらしい。
さらに消費税増税と同じタイミングの4月に燃油サーチャージの値上げも予定されている。
というわけで結局は3月中に買っておくべきとの結論。
スリランカ航空なら直行便もあったが、選んだのはシンガポール航空。
シンガポール航空の方が安かったのと、シンガポールに寄ることが出来るのも良かった。
今回は発着が共に羽田空港。
成田発着の方が数千円安かったが、成田までの交通費と所要時間を考えたら羽田発着にした方が結果的に得になると判断した。
1泊はしないがシンガポールで朝から晩までブラブラする時間の余裕はある。
これでシンガポールは4回目で、香港の3回を抜いて私の訪問国では最多となった。
しかし泊まったのは2年前の1回だけ。
いかに経由地としてよく利用しているか、アジアのハブ空港として機能しているかが分かる。
話をスリランカに戻すとスケジュールは1週間。
それだけあればスリランカの主要観光地を回ることが出来る計算。
メインはシギリヤロック。
巨大な岩の上にある王宮跡と都市遺構の世界遺産。
高い所(といっても岩の上だが…)にある都市遺構という点でマチュピチュを連想させ、森の中に作られていたという点でボロブドゥールをも連想させる。
マチュピチュのように山の中に隠れたように存在していたわけではなく、マチュピチュ程の謎に包まれているわけでもない。
それでもシギリヤロックの成り立ちは5世紀(477年〜495年)。
歴史という点ではマチュピチュを遥かるに上回る。
アジアのマチュピチュと呼ぶのは失礼にあたるかもしれない。
航空券の予約はしたので残るはホテルの予約。
これも増税前にやってしまうのが金銭的にはお得なのだろうが、そうすると旅の計画を練る楽しみが一気に終わってしまう。
こればかりは増税後でも良いと考える。
旅の計画を練る楽しみ、priceless
普段の平日よりも早く朝の5時には起床し、6時に家を出る。
今回は往復ともに羽田発着。
空港までの移動は通常だとバスを利用する。
しかし今回は世間的にも夏休み中のしかも土曜日。
道路状況が読めなかったので、無難に電車で移動することにした。
帰りはバスでいくら遅れてくれても構わないが、行きで遅れると致命的になりかねないので。
予定通りに到着した羽田空港。
チェックインはネットで済ませていたので、航空会社のカウンターで発券だけしてもらう。
今回の飛行機はシンガポール航空。
最近何かと話題のマレーシア航空の隣国の航空会社だが、マレーシア航空とシンガポール航空の名前だけを見た時に感じるこの安心感の違いは何だろう。
準備を早々に終え、朝食は空港内のコンビニでおにぎりとお茶を買って済ませる。
朝からビールも考えたが、1週間日本食と離れるので敢えての決断。
出発までは時間があったので羽田空港内にある出入国審査自動化登録窓口へ。
今年のゴールデンウィークに海外へ行った同僚から自動化のことは聞いていたので、やっておこうと思っていた。
必要書類に記入し、パスポートを提示し、左右両人差し指の指紋を登録。
朝一だったので待つことも無く僅か数分で手続き完了。
パスポートの査証(VISA)の最後のページに自動可手続き完了済みのスタンプを押してもらう。
その足で出国審査へ向かうと有人のゲートには長蛇の列が出来ている。
一方で自動化ゲートは誰も並んでいない。
機械にパスポートを読み取らせ、指紋を認証。
行列を尻目に僅か数秒で出国手続き完了。
搭乗手続きでファーストクラスやビジネスクラスの利用客が空いている窓口へ優先的に案内されてスムーズに手続きをしているような優越感。
ただ、自動化ゲートを通ると出国スタンプが押されない。
あのスタンプが増えるのが旅のささやかな楽しみ。
事前にネットで調べたら自動化ゲートを通った後で係員に言うとスタンプも押してくれるとか。
そんなわけで出国直後に傍にいた係員にお願いすると何の確認もせずに奥の事務室みたいな所に入り、すんなり押してくれた。
夏休みのスタンプラリーの駅のように、出国スタンプを用意しておいても良いんじゃないかと思った。
搭乗口は出国審査の所からすぐだったので空港内を散策する気にはならず。
そもそも羽田の国際線は最近ようやく充実してきた感があるので散策する場所はあまり広くない。
こればかりは成田に軍配かもしれない。
シンガポール航空なので最初に向かうのは経由地のシンガポール。
日本人にも人気の典型的な観光国。
さすがは夏休み、空港も混んでいる印象だったが、機内もしかりで子供も目立った気がする。
9時20分発の飛行機、シンガポールまでの飛行時間は6時間20分の予定とのこと。
最初のウェルカムドリンクとおつまみ、1度の機内食を経て15時55分(シンガポール時間14時55分)にシンガポール到着。
機内アナウンスで外気温は32度、というのを聞いて機内がザワつく。
東京は前日に今季初の猛暑日(35度)を記録、なんで赤道間近の国より日本が暑いんだ…
シンガポールからスリランカのコロンボへ向かう飛行機までは約7時間の空き時間。
その時間を使ってシンガポールへ入国して軽くブラブラする予定だった。
今回の旅の微々たる目的の1つが2年前のマーライオン狩りで会えなかったチビマーライオンを見ること。
2年前はメンテナンス中で見られなかったが、さすがにもうそれも終わっているだろう。
そう思ってシンガポールの入国審査に向かう空港内で新たなマーライオンを発見。
空港内の非公式マーライオンだが、見つけたからには写真を撮らずにはいられない。
マーライオンの呪い(2012年のユーラシア大陸最南端旅行記参照)が解けていないようだ。
空港内マーライオン
シンガポールの入国審査は予想以上に長蛇の列でシンガポール入国は到着から1時間後。
まずは5,000円をシンガポールドル(以後S$と表記)に両替。
レートが良くないとされる空港両替だが、今回の滞在は短時間なので街で両替に取られる時間を使いたくなかった。
5,000円程度なら空港両替でも良い、タイムイズマネー。
5,000円が60.35S$で1S$≒82.8円。
2年前の旅行記を振り返ると1S$≒65円となっている。
2年で円安加速しすぎだろ…これがアベノミクス効果か?
そのお金を使って最初にしたのはバックパックを空港内に預けること。
チャンギ空港には24時間営業の荷物預かり所がある。
3.21S$(≒266円)で身軽になるなら安い出費。
2年前にも来ているシンガポール、記憶も鮮明なのでガイドブックも不要。
ただ念のために地図だけは事前にタブレットPCでオフラインでも使えるようにしておいた。
MRT(電車)のチケットを買い、何も迷うことなく街まで出る。
行きは数時間しか余裕がないので往路の目的は2年前に見られなかったチビマーライオン。
シティホール駅で降りて外に出てタブレットPCの地図を確認…するまでもなくマリーナ・ベイ・サンズの船が見えたのでそちらへ歩く。
(後で調べるとラッフルズプレイス駅で降りた方が近かった)
シンガポールを代表する超観光地、マーライオンとマリーナ・ベイ・サンズという2大名物が同時に眺められる。
私の目的はチビマーライオン、2年前の修理が効いたのか綺麗になっている気がした。
もっともその前に見たのは2007年なので、そう鮮明に覚えているわけではないが。
2年越しのチビマーライオン
相変わらず大量の観光客のマーライオンパーク。
修学旅行なのか制服着た大量の日本人女子高生が集合写真を撮っていた。
早くも往路のシンガポールでの目的を終え、後は残りの時間を飲んで過ごすくらい。
スリランカではあまり自由にビールが飲めないかもしれないと予測し、往復共にシンガポールでビールを飲む時間を得られるようなスケジュールにしておいた。
マーライオンパークから観光客向け飲み屋街のボートキーとクラークキーを歩き、2年前の旅の最終日に見つけた自家製ビールが飲める店・Brewerkzへ。
2年前にも行ったお店は健在、早い時間なので安い値段でビールが飲める。
スリランカでもこう気軽にビールが飲めるだろうか。
店ではWi-Fiが繋がり、現地からのツイートにも成功。
スリランカでもこう気軽にツイート出来るだろうか。
ビール2杯でサービス料と税込で会計は21.2S$(≒1,756円)。
物価は安くないシンガポール、そのくらいは覚悟しないといけない。
ビールを飲み終え、スリランカへ向かう飛行機の出発までにはそれなりに時間はあったが、早めに空港に向かう。
旅は始まったばかりだし、安全確実に早めの行動を心掛けておくのと、シンガポールの空港は充実しているので空港散策で時間を使えると判断。
シンガポールの利点は何よりも都心部から空港までの移動がMRTを使って30分程で済む手軽さ。
これだから気軽にトランジット待ちで入国できる。
空港でファストフードみたいなフィッシュボールヌードル5S$(≒414円)と空港内コンビニで買ったカールスバーグ4.5S$(≒373円)で軽食。
合わせて9.5S$(≒787円)は空港値段としてもシンガポールの物価の高さを感じる。
搭乗までは空港内をブラブラ。
そしてチャンギ空港には結構色々な所にマーライオンがいることを知る。
土産物屋は勿論、空港内にチョットしたオブジェみたいな感じでも置いてある。
合計で3つのターミナルがあるチャンギ空港。
空港内だけで公式のマーライオン数を超える気がする。
そうこうしているうちに搭乗時間。
飛行機は現地時間22時55分の発予定だったが、実際に動き出したのは23時30分頃。
スリランカのコロンボまでの搭乗時間は3時間30分を予定とのこと。
この日はコロンボの空港で夜明かし予定だったので遅れるのは大いに結構。
これがコロンボのホテルを予約していたら遅くなってチェックインできなかったらどうしようとあらぬ心配をしないといけないところだった。
今回乗ったシンガポール航空の機内には1人1台モニターにPC用のUSBケーブル差込口まで付いていた。
そんなわけでタブレットPCを充電しつつ移動できたのが良かった。
シンガポール時間のAM1時頃に機内食が出されるのでビールとともにいただく。
飛行機に乗ると食事の時間はかなり不規則になる。
隣に座ったスリランカ人?のオバちゃんはベジタリアンメニューを注文していた。
普通の機内食配膳よりも先に特別メニューがCAから渡されていた。
たまに機内で早めに機内食を貰っている人はこういうことだったのかな。
シンガポール時間2時55分、スリランカ時間だと0時25分にコロンボ空港に到着。
シンガポールとスリランカの時差はマイナス2時間30分。
日本とスリランカの時差はマイナス3時間30分。
日本が12時ならスリランカは8時30分。
以降はスリランカ時間で記載。
スリランカの到着は予定より20分の遅れだったらしいが、正直もっと遅れてくれても良かった。
先述の通り、この夜は空港泊を予定。
到着が日付を超えているし、この時点でコロンボの町へ出るバスは数が限られている。
前回のペルーでも似たような状況だったが、その時は初の南米という不安もあったのでホテルは予約しておき、タクシーでホテルに向かった。
しかし今回はアジア、それも治安という点では良い方の部類に入るとされている国。
深夜に到着して空港泊はインドでも経験済みだし、インドと比べればスリランカの方が安全な気もする。
というわけで空港泊という結論になった。
入国審査を終える前のエリアの方が限られた人しか入れないので、そこで1泊しようかと思っていた。
ただ、事前にネットを見るとそのエリアで寝ている人はあまり見ない、追い出されるのでは?という情報や、飛行機の到着からかなり時間が経っての入国審査だと審査官に色々と質問されて面倒だったという情報があった。
最初からトラブルは避けたいので素直に入国することに。
普段はなんだかんだと時間がかかるイメージの入国審査。
しかし遅くなっても構わないと思っている時の入国審査に限ってスムーズに列が進むという皮肉。
スリランカ入国にはビザが必要で、事前にネットで申請するか、当日現地で取得するかの2択。
事前に取得した方が5ドル安いので事前に取得しておいた。
その際にネットで手続きしたビザ取得ページをプリントアウトして持って行けと書いてあったが、実際にはそんな紙は見向きもされなかった。
恐らくアメリカのESTAのようにコンピュータ上に登録してあるのだろう。
入国手続きを終えるとすぐに免税店がある。
酒やお菓子など定番の店よりも数多くあったのが家電の免税店。
なんだか昔の秋葉原にあったような小さな家電屋がいっぱい並んでいるような雰囲気だった。
なんだろう、家電製品の輸入物に税金が沢山かかるようなお国柄なんだろうか。
何もチェックされない税関を出て到着エリアに。
人も多く、賑わっているようで泊まるのに支障は無さそう。
まだ営業している両替用の銀行があったのでレートを見てみるが、日本円はどこの銀行も同じだった。
地球の歩き方によるとスリランカの場合は空港の両替でもそれほどレートは悪くないとのこと。
それならば手始めに1万円を両替すると12,300スリランカルピー。
1スリランカルピー(以後Rsと表記)が0.81円とやや計算しづらい。
8掛けてゼロを1つ取るのが最も分かり易いか(例100Rsなら100×8=800→80円)。
なんだか消費税の計算のようだ。
現地のお金も手にし、後は朝まで時間を過ごすだけの状態になったのは現地時間1時30分過ぎ。
ベンチを見ると寝ている外国人もいるし、まぁ大丈夫だろう。
バックパックはベンチに固定し、自分もそれに絡まるようにして座ったまま寝る。
早朝に家を出て、シンガポールの街を歩き、スリランカのコロンボの空港で夜を明かす。
いつもながら旅の初日というのは時差の影響もあって長い1日だがアッという間に終わる気がする。
当然疲れもあったのだろう、寝苦しく感じることもなく就寝。
空港内ベンチで座ったまま寝る。
荷物の一部は一応身体に絡めておいたが、周囲にも人は多く、寝ている人もいたので置き引きの危険はあまり感じなかった。
周囲の話し声も言葉が分からないと単なる音にしか聞こえず問題なし。
とはいえ座ったまま寝ているので何度か目が覚め、体勢を変えたりし、クーラーの効きすぎで少し寒くなってウィンドブレーカーを着て寝る。
現地時間6時頃、何事も無く1夜を過ごして起床。
空港内のフードコートと銘打たれていたが、実際は総菜パンが少しあるくらいの売店みたいなところで朝飯。
エビの揚げ物を挟んだパンと魚のすり身が入ったようなパン(それが1番指さしで注文し易かった)と水1リットルで合計275Rs(≒224円)。
空港内でこの値段なので物価は安そうだ。
美味くも不味くも無い飯を食べ終わって6時30分過ぎ、外は曇っているが明るくなっている。
そろそろ街へ出ることにし、空港の外へ出ると中とは比べものにならない人。
どうやら中に入るにはセキュリティチェックが必要そうで、昨夜泊まった所も誰でもやたらに入れる場所ではなかったようだ。
空港職員みたいな人にコロンボへ向かうバスの乗り場を聞き、話しかけてくるタクシードライバーをやりすごしてバス乗り場へ。
止まっているバスは満席で、次が15分後にくるということなので待つ。
暑さはまだ朝だからかそこまでは感じない、まぁ暑いことは暑いけど。
街へ向かうバスは古びてはいるがちゃんとしたバス。
高速道路を使うハイウェイバスでコロンボのバスターミナルまで約45分120Rs(≒98円)。
朝飯も安いと思ったが移動手段も安い。
スリランカの首都は長い名前で有名なスリジャヤワルダナプラコッテ。
1985年にそれまで首都があったコロンボから首都機能を移転したコロンボの隣町。
但し、事実上の首都は現在もコロンボで、繁華街や交通の起点などもコロンボに集まっている。
東京から首都機能だけを埼玉や千葉に移転したようなイメージか(…と言ったら埼玉や千葉に失礼か)。
到着したコロンボのバスターミナルはこれぞ発展途上アジアの雑然という雰囲気。
お世辞にも綺麗とは言えない敷地内にバスがこれでもかと詰め込まれ、その間を人が縫うように歩く。
帰りはココから空港へ向かうことを考えるとバスが多すぎてどこから乗れば良いのか分からず大変そう。
まぁ今から帰りのことを考えて不安になることもない。
まずはバスターミナルからすぐ近くにあるはずのコロンボフォート駅(日本に例えるなら東京駅)を探す。
この日のホテルもその近くにある。
同じバスに乗っていた西洋人が駅の方向を人に聞いていたので後ろをついていくことに。
バスターミナルを出て駅へ向かう道路沿いの商店街はインドに似た雑然さ。
言葉は悪いが、同じアジアでも香港やバンコクの商店街よりも遙かに汚く臭い。
所々でトゥクトゥクドライバーが客引きしてくるが、こちらはインドに比べるとだいぶ緩い気がする。
歩いて数分で到着したコロンボフォート駅はそれなりの規模だが、首都のターミナル駅にしては小さい。
今回の旅は訪れる街は事前に決めてホテルは予約しておいたが、移動手段は何も予約していなかった。
スリランカはバスの路線網が発達していて、主要都市の移動なら大体なんとかなるだろうと事前情報で感じていた。
この日はコロンボに宿泊予定だが、翌日はスリランカ第2の都市であるキャンディへ向かう。
スリランカで列車を使うなら今回の旅ではコロンボ-キャンディ間くらいだと思っていた。
個人的にはバスよりも列車の方が好きだ。
車窓から眺める景色は独特だし、渋滞も無く事故も少ない気がする。
駅構内にツーリストインフォメーションがあったのでキャンディ行きの列車を聞く。
明日は月曜日で混むから予約した方が良いみたいなことを言われる。
ツーリストインフォメーションもマージンがあるのか、キャンディからは車をチャーターした方が効率的だとか、ホテルは決めているのか等々と色々聞いてくる。
キャンディ行きの列車だけで良いと言うと素っ気無くなり(私がそう感じただけかもしれないが)、それなら鉄道の予約カウンターへ行け、とのこと。
予約カウンターへ行ってみると壁に主要路線の予約状況みたいなのが張られており、翌日のキャンディ行きの朝7時発列車の1等席は既にフルの文字。
インドでアグラからヴァラナシへ行こうとして全ての列車が満席で危うく旅の目的を遂行できなかったかもしれない事態を思い出した。
これは予約できる時にしておいた方が良いと判断。
窓口で聞くと7時の列車の2等席は空いているというので購入。
コロンボからキャンディまでは約120km、それで280Rs(≒228円)なのでかなり安い。
でも地球の歩き方を見ると2等は190Rs(≒154円)って書いてある。
駅の窓口で買ったものだからボッタクリは考えにくいし、単に値上げだろうか。
値上げにしては結構な幅の値上げ…とはいえそれでも日本円に換算すると安いのに変わりはない。
なんにせよ翌日の足が確保できたのでひとまずは安心。
この時点で時刻はまだ朝9時前。
この日のホテルは駅から近かったのでチェックインは出来ないまでも荷物を預けるためにホテルに向かう。
Booking.comで予約したところだが、大丈夫かコレ?というような外観。
明らかに安宿然とした外観で入口のドアには鍵がかかって入れない。
用がある人はチャイムを鳴らせ、と書いてあったのでチャイムを鳴らして待つこと数秒。
ホテルマンとは思えない、普通のオッチャンみたいなのが出てくる。
今日泊まるのだがチェックインには早いので荷物を…と言いかけたが、部屋は空いているから良いよと早々にチェックインさせてくれた。
TVも冷蔵庫も無い部屋はかなり殺風景だが、広さはそれなりでクーラー付、シャワーも温水が出そう。
6,500Rs(≒5,285円)なのでそれくらいは当然であってほしいが、最初に外観で覚悟をしていただけにそのギャップで悪くは無いと感じる。
荷物を預けるだけのつもりだったが部屋に入れたので少し荷物の整理をして一息。
Wi-Fiも部屋からちゃんと繋ったので到着ツイート。
落ち着いたところでこの日はコロンボの街を適当に散策する予定。
地球の歩き方を見てなんとなくのルートを決めて行動開始。
スリランカが欧州各国(ポルトガル・オランダ・イギリス)の植民地時代に栄え、現在も大きなビルが建つフォート地区を経てインド洋沿いへ。
インド洋へ辿り着くまでに3人ばかり、親しげに英語で話しかけてくる輩がいた。
そこのホテル(高級)で働いている、オフィシャルポリスで働いている、なんて発言がいかにも胡散臭い。
その3人が揃って口にしたのが「Today is National Holiday」という言葉。
地球の歩き方を見ても7月27日がスリランカの祝日だとは書いていない。
日曜日のことをナショナルホリデーと言うだろうか…
そしてその3人のうち2人が「ナショナルホリデーでエレファントパレードがあるから見に行かないか」みたいなことを言う。
こうした親しげかつ怪しげな声掛けはインドを筆頭に他国でもあったから免疫が出来ている。
何か良からぬ企みがあるんだろうと思い、適当にやりすごす。
少し歩いて海沿いの道に出ると、私が初めて目にするインド洋。
(正確には12年前にマレーシアのペナン島で見た海もインド洋と呼べるのかもしれないが…)
天気は曇りで海沿いらしく潮風が強い。
道と並行して1段下がった所は砂浜が広がっているが、風の影響もあってか波はかなり高く、海水浴をしている人は誰もいないし、海水浴が出来るような設備(着替える所やシャワーや海の家とかそうした類のモノ)は無さそう。
それでも地元民が足だけ海に浸かってキャッキャ遊んでいたりはした。
曇天のインド洋
海沿いにある広場がゴールフェイスグリーンと名付けられているが、グリーンの緑というよりも枯れて茶色が目立っていた。
市民の憩いの場でもあるらしく、露店が出ていて現地人(だろう)もかなり歩いていた。
その海沿いを南下する通りがゴールロードというコロンボのメインストリートにあたる。
そのメインストリートの様々な所で道路工事を行っており、埃っぽいし道路も車とバスとトゥクトゥクがひっきりなしに走って騒々しいし空気も良くない。
これがメインストリートとなるとコロンボの街歩きはあまり楽しくないかも。
もっともこの旅の主目的はコロンボではないので、まぁ良しとするか。
しばらく歩いていると当然だが暑くなってくる。
途中にショッピングセンターがあり、スーパーも併設されていたのでペットボトルの水500mlを40Rs(≒33円)で購入。
交通機関といい、水といい、物価は安く感じる。
ゴールロードを南下して地球の歩き方に紹介されていたスリランカ料理の店「ニュー・バナナ・リーフ」へ。
テイクアウトもやっているお店で、現地人と思われる人でそれなりに繁盛している模様。
しかし店構えや内装、現地人ばかりと思われる客層を見て嫌な予感が的中、メニューにビールがない…。
念のため聞いてみても「No Beer」と言われてしまう。
やはりか…インドでもそうだったが現地人が多い≒外国人が少なそうな店のビール定着率は低い気がする。
ビールは諦めて注文したのはこの店で人気だというチキンブリヤーニ495Rs(≒402円)。
インドに近いスリランカだけにメインはやはりカレー。
大量のサフランライス(ターメリックライス?とにかく黄色くて少し味の付いたご飯)にゆで卵、チキン、カレー系の小皿2つとスパイスのようなもの、サラダ風生野菜がセットになっている。
それらをバナナの葉の上で混ぜ合わせて食べる(それが店名の由来か?)。
現地人は手でグチャグチャ混ぜつつ食べていたが、さすがにそれは出来ずフォークとスプーンでいただく。
インドで食べたターリーみたいなカレーセット。
味も量も申し分なし、ビールに合う辛味だったのが残念。
最後に口直しサラダを食べたらヤバイ唐辛子系がいたようでしばらく口の中がヒリヒリ。
インド系だったり強めの香辛料だったり、アジア飯だなーという感じ。
ビールが飲めなかったので、近くにある「クリケット・クラブ・カフェ」へ行くことにする。
ネットの口コミ情報でそこでは常にビールが飲めると書いてあった。
向かっている途中で雲行きが怪しくなり、そうこうしているうちに雨が降り出した。
夕立に似たこの降り方は危険だ、と思った先から雨が強くなる。
地図でちゃんと道を把握していなかったが雨が強かったので、カフェの文字が見えた店の軒下に飛び込む。
とりあえずここで雨宿りしようと思ったらそこが目指す店だった。
地図で見当をつけてはいたが雨で避ける所がないという状況の中でよく駆け込めた。
店内に入り、ライオンビール455Rs(≒370円)を注文。
このライオンビールがスリランカで最も有名な銘柄だそう。
1パイント(568ml)で今日の昼飯1食とほぼ同額。
でもスリランカに来て初のビール、なんだかようやく落ち着けた気がする。
そして店内で地球の歩き方を読んでいて気が付いた。
読者の体験談を載せた一角で「ゾウのパレードがあると誘ってくる手口に注意」とのこと。
お祭りでゾウのパレードがある、とトゥクトゥクに乗せられて法外な料金を請求されるというもの。
まさに私が声をかけられたのと同じパターン。
私がゾウのパレードに興味を示したらトゥクトゥクに乗せられていたのだろう。
危なかったと思いつつもまぁ初歩的な手口だな。
観光地で親しげに話しかけてくる輩は要注意、相変わらずの教訓を初日に再認識できた。
外は雨だろうから店内でタブレットPCとブルートゥースキーボードを使って旅日記を書きつつ時間を過ごす。
2杯目を頼みがてら店員に外の状況を聞くと雨はもう上がったという。
東南アジアにありがちな急に降ってすぐに上がるパターンの雨だったようだ。
ビール2杯とサービス料と税金で1,154.35Rs(≒938円)をクレジットカードで清算し、ホテルへ戻ることにする。
行きで相当歩いたので戻りはトゥクトゥクと交渉。
何もせずに歩いているだけで向こうから勝手に声をかけてきてくれる。
声をかけてきたドライバーにホテルの近くにあるフォート地区のワールドトレードセンターまでいくらかを確認する。
この旅では初めてのトゥクトゥクなので向こうの言い値で様子見。
200Rs(≒163円)と言うのでこちらはその半額の100Rs(≒81円)を提示。
そこからは200Rsと100Rsの間のせめぎ合いの末、140Rs(≒114円)で決着。
初回の交渉にしてはまずまずの成果か。
単純に日本円で考えれば最初の言い値の200Rs(≒163円)でも全く問題無いんだが、旅人の意地というかなんというか。
ただ帰国して旅日記を書きながら思い出したのが今年の初めにエクアドルで起きた事件。
新婚旅行の夫婦がホテルの手配した公式タクシーに乗らず、安い白タクに乗ったらそれが強盗の車で…という事件。
あれは料金交渉が発端ではないが、少しでも安く移動代を済ませようとして起こった事件ではある。
行く国にもよるが、あまり無茶な料金交渉は避けるべきだと思った…と気付いたのは帰国後だけど。
トゥクトゥクを降りてフォート地区をぶらつくが、日曜の影響かあまり活気がない。
またもや親しげに話しかけてくるオッサンに日本人か、どこへ行くなどとしつこく話しかけられたりで面倒臭い。
スリランカ到着初日で早くも客引きとの対戦で面倒さを感じているのはブランク期間のせいか。
こういう客引きとの戦いは発展途上アジアが最も激しい。
ココに来る前のシンガポールでは皆無だったし、昨年のペルーや一昨年の西欧でも無かった。
そう考えて遡るとこの客引きの執拗さはやはりインドが最も近い。
インドより緩いとはいえやはりインド系の国、スリランカ。
これは実質首都のコロンボだからこそなのか、この後に行こうと思っている各種世界遺産がある街でも同じことなのか。
その辺は翌日以降に判明するだろうが、久々にこういう国に来た。
今後は少し気を引き締めてかかった方が良さそうだ。
到着した朝から精力的に行動したので疲れ、一旦ホテルに戻って小休止。
仮眠のつもりで横になっていたらすっかり眠ってしまう。
時間的には晩飯の時間だったが、昼飯の量がそれなりにあったのであまり腹は減っていない。
身体も外へ飯を食べに行くとよりもこのままお休みモード。
すぐにでもベッドでちゃんと眠りたいが、ここ2日間は汗だくで歩き続けていたのでシャワーを浴びる。
あまり勢いのないお湯だし、石鹸しかないが、久しぶりのシャワーでスッキリ。
ついでにTシャツとトランクスも石鹸で洗う。
今回の旅はスリランカ初日と最終日はコロンボだが、それ以外はどの街も1泊だけの予定。
なので洗濯した衣類が翌朝にちゃんと乾くかどうかが心配。
今回の部屋は天井にファンがあったので、それの真下に洗濯物を広げて乾燥。
翌日乾いていなかったら次のホテルに持ち越しだ。
仮眠したばかりとは思えないほどすぐに就寝。
キャンディ行きの列車は7時発だったので早起きする必要があった。
まだスリランカ時間に馴染んでいないだろうから携帯電話(…とはいえ海外で使えないようにSIMカードを抜いてある)のアラームをかけておく。
しかし、前夜は現地時間21時前に就寝していたので自然と5時くらいには目が覚めていた。
天井ファンの下に置いた洗濯物は見事に乾いていた。
今回のホテルは朝食などという立派なものは無かったので荷造りをして6時過ぎにはホテルを出て6時20分には駅に到着。
外観はそうでもなかったがコロンボフォート駅だが、中に入ると大量のホームがあり、事実上の首都の駅だということを感じさせる。
キャンディ行きの列車のホームを駅員に聞いて待つ。
見た目にも旅行者が沢山いたので間違いは無さそう。
6時55分頃に列車到着、乗車券に記載された号車に乗る。
2等席のはずだが車内は予想以上にショボい。
スリランカ最大の都市から第2の都市へ向かうとは思えない。
指定席の通路側で隣席には現地の(?)オバサン。
しかし出発後、他に空いている席があったので窓側に移動。
列車はスリランカの自然の中をあまりスピードを出さずに走っているという印象。
ノンストップで行くのかと思いきや、7時40分頃に停車し、結構な人が乗ってくる。
一旦指定された席に戻ったら他の席も全部埋まった。
前日の時点である程度の便が満席になっていたというのもあながち間違いではなかったのかもしれない。
所々ウトウトしながらも列車は進み、場所によっては山間を走っているのか景色の良い所を走っていることもあった。
窓側でなかったのが悔やまれる。
最初に止まった以外はキャンディ到着前に1度、降車だけと思われる停車があり、その10分後くらいにキャンディ駅に到着。
時刻は9時40分、コロンボから約2時間30分だった。
キャンディはスリランカの中部に位置する街。
スリランカ第2の都市だけあって駅はそれなりの規模。
列車を降りると少し雨がぱらつき、若干の肌寒さを感じる。
海沿いから中央の丘陵地帯に来たから気候も変わったか。
…なんて思って駅から街へ向かって歩き出すと雨は上がり、すぐに暑くなる。
まだ朝の10時前だったが例によって荷物を預けるためにホテルへ。
キャンディでのホテルは街の中心部にあるクイーンズホテル。
キャンディで最も有名とも言われる老舗ホテルだが、Booking.comで思ったほど高くなかったので決めた。
前日のコロンボのようにアーリーチェックインはできず、荷物だけ預かってもらうことに。
ホテルの目の前にキャンディ最大の観光地である仏歯寺とキャンディ湖。
仏歯寺は午後に行くとして、まずは適当にキャンディの街を歩く。
キャンディはスリランカで最も多い民族であるシンハラ人のシンハラ王朝が最後に都を置いた場所で、街全体が世界遺産。
事実上の首都コロンボに対して古都キャンディ。
昨年訪れたペルーで言うリマとクスコみたいな関係だろうか。
ただクスコのように落ち着いた感じはあまりなく、アジア的雑然さや騒々しさはスケールこそ違えどコロンボと同じ。
こういったところがアジアのアジアたる所以だろうか。
街を歩きつつ、考えてみれば前日は晩飯も食わずにこの日も朝飯を食べていなかった。
昼飯には早い時間だったが、地球の歩き方に載っていたローカルフードのレストラン「ミッドランズ・デリ」へ。
店の雰囲気でビールは無いだろうと思ったがその通りだった。
その代わり、ジンジャービアなる地元では好まれている(と地球の歩き方に載っていた)ジュースがあったのでそれにする。
チキンヌードル200Rs(≒163円)と、ジンジャービア90Rs(≒73円)。
ジンジャービアは文字通り生姜味のする甘い炭酸飲料。
ジンジャーエールの生姜感と甘みを強くした感じか。
暑い中を歩いてきた身体に生姜のピリッとした辛味と全体の甘ったるさと炭酸が混じり合ってまぁ悪くない。
勿論ビールの方が良いのは言うまでもないが。
チキンヌードルは鶏肉ビーフン炒めで日本の塩焼きそばみたいな感じ。
前日のコロンボでのローカルレストランでもそうだったが、ここでも量がかなり多い。
これで合計290Rs(≒236円)なんだから安い。
飯を食べていると外が大雨になっていた。
少し待つと止みそうな雰囲気の雨だったので店内でゆっくりして雨が上がったのを見計らって店を出る。
しかし雲の流れが速く、たまに雨雲が出てチラホラ降ったりしてあまり安定しない。
街を適当に歩いて時間を潰し、14時過ぎになりホテルにチェックイン。
歴史あるホテルだけに内装は古びているが、初日のホテルと比べると別格でこれこそホテル、という感じ。
冷蔵庫もテレビもあったが、冷蔵庫内のミニバーにビールがない。
午前中に街をブラブラしているときに大きめのスーパーに2軒行ったが、そのどちらにもビールが置いていなかった。
中途半端なアジアの国に来るとこういうことがあるんだよな。
ホテルで小休止後はキャンディ1の観光地であろう仏歯寺へ。
文字通り仏陀の歯が納められている寺。
人口の7割が仏教徒というスリランカにあっては聖地とされている場所。
ホテルの目の前が寺の入り口で荷物の中身をチラ見する程度のセキュリティチェックを終えて境内へ。
入場料1,000Rs(≒813円)はスリランカに来て1番の出費。
さて入ろうと思ったら突然の大雨で屋根の下で足止めを食らう。
例によって10分もしないで止んだが、不安定な天気は今後の行動にも支障が出そうだ。
仏歯寺内はクツを履いて入ることは出来ないため、入り口でサンダルを預けて裸足で入る。
ちなみに短パンやタンクトップ等の肌を露出させた格好でも入れない。
雨が降ったばかりなので所々に水たまりがある。
しかし建物内だけでなく、外の部分も裸足で歩き回らないといけないので細かいことはもはや気にならない。
寺院内には仏歯が奉られているという部屋があるが、1日3回のお披露目式の時以外は閉ざされている。
その部屋の前では仏教徒と見られる信者が何か熱心に念仏唱えてお祈りをしている。
明らかに観光客ではない、地元の人(と思われる)が熱心に祈っているのを見ると安易に写真を撮ってはいけないような厳かな気持ちになる。
ただ、仏歯寺の見所はそれ以外にはあまりパッとせず。
これがキャンディ最大の見所と言うには申し訳ないが少々物足りなさが残った。
1日に3回ある仏歯のお披露目を見たら少しは違うのかもしれない。
頑張ればその時間にもう1度来ることもできたが、そこまでして見なくても良いかなと思った。
キャンディでは年に1度、ペラヘラ祭という大々的な祭りが開催される。
そこでは仏歯が寺から出されて象と共に街を練り歩くのだとか。
そのペラヘラ祭が翌週に予定されていたらしく日程的にはニヤミスだった。
ただその時期はホテルの値段も倍以上に跳ね上がるらしいので、外れていて良かったのかもしれない。
なお、帰りに預けたサンダルを回収したらチップとして100Rs(≒81円)取られた。
寺を出て小休止にビールと行きたかったが、地球の歩き方を見るとすぐ近くにセイロンコーヒーを出す喫茶店(日本人経営)があるとの情報。
スリランカ(旧名セイロン)と言えば紅茶が有名だが、紅茶の栽培前にはコーヒーを栽培していたという歴史があった(…ということを今回の旅で初めて知った)。
未だスリランカに来て紅茶を飲んでいないが、歴史的背景を考えると先にコーヒーを飲むというのもなかなか面白いかなと思って来店。
店名にもなっているナチュラルコーヒー400R(≒325円)と月曜で安くなっているコーヒープリンみたいなデザート170Rs(≒138円)を注文。
こちらの物価からすると少々お高いのだろう。
クーラーの効いた店内で飲むホットコーヒーはそれなりに値が張るだけあって贅沢な味わい。
違いを説明するのは難しいが、後味に癖がないというかスッキリ飲めるというか、高級ホテルで飲むようなコーヒーの味。
コーヒーポットに入って出てきて3杯は飲めたことを考えると値段もそう高くない。
コーヒープリンも美味しく、日本で出されても遜色ないと思うが、そもそも私は日本でそういう店には行かないので違いはよく分からないな。
いずれにせよ仏歯寺見学の後の優雅なひとときを過ごした。
ビールが無くてもいけるじゃないか。
レジで会計する時に店内を見ると明らかな日本人が2組いた。
ここまでキャンディでは殆ど日本人を見ていなかったのに、地球の歩き方効果絶大だな。
仏歯寺と並ぶキャンディの名物は街の中心にあるキャンディ湖という人造湖。
暗くなるまで時間はあるのでキャンディ湖を臨む小高い丘(レイクビューポイント)へ行こうかと思ったが、先程からいつ降るともしれぬ空模様。
景色の良い所へ行って景色が見られなかったり、雨を避ける所が無かったら面倒。
景観は諦めて見た感じ行けそうな気がしたキャンディ湖を1周してみることに。
いつ雨が降っても大丈夫なように雨宿りができそうなポイントを確認しつつ、湖沿いに遊歩道があるので歩いてみる。
序盤はこの辺りの名物であるキャンディダンスを見ないかという客引きがやたら現れるが、それを越えると人通りも疎らになり(とはいえ車道と並行しているので車通りは多い)、湖沿いをひたすら歩く。
遊歩道は湖沿いにずっと続いており、これが日本ならランナーが絶対にいるだろうなと思えるポイントだった。
1度だけ雨が降り、大木の下で数分足止めを食らったが、それ以外は雨が降ることもなく、簡単に湖を1周できた。
帰国して距離を調べたら1周約2.8km、まぁ余裕だな。
曇天のキャンディ湖と中央奥に見えるのが仏歯寺
そのまま駅近くまで歩き、キャンディマーケットという市場へ。
1階は果物や野菜から肉魚まで生物も扱う一角もあり生々しい臭いと雰囲気。
2階では土産物屋がメインのようで、庶民のマーケットと観光客用の店が混在している。
その後、闇雲にキャンディ市内を歩いた後で晩飯は地球の歩き方に「市内でアルコールを飲むならここ」と紹介されていた「ザ パブ」という文字通りの店へ。
店内の客は西洋人ばかりで値段も明らかに現地人向けではないが、しっかりメニューにビールがあって、それほど高いというわけでもない。
生400mlで440Rs(≒358円)とビーフBBQセット748Rs(≒608円)。
ビーフBBQセットは牛肉と野菜が串に刺さり、焼き鳥の牛肉版みたいな感じ。
スリランカ色は全くない居酒屋メニューだけれどまぁそれで良いや。
ビール2杯で合計1,628Rs(≒1,324円)、現地の物価で考えると高めが大したことは無い。
晩飯を終え、すっかり夜になった中をホテルに戻るが、仏歯寺もキャンディ湖もクイーンズホテルもライトアップされているようなことはなかった。
街のスーパーではビールが入手できなかったので、ホテルでの飲みはホテルのバーへ。
現地では高級に分類されるホテルのバーは外に面しており、夜風が入って気持ち良い。
メニューを見るとカクテルも豊富だったのでたまにはビール以外も…とテキーラサンライズ650Rs(≒528円)を注文。
メニューの中ですぐに内容が分かって飲みたいと思えるものがそれだったので。
少しぬるめで甘ったるい感じが2007年にシンガポールのロングバーで飲んだ本場のシンガポールスリングを思い出させた。
序盤にシンガポールに寄ったのも何かの縁だったのかな。
ホテルで飲みながら夜を過ごす、ようやく旅らしくなってきた。
アラームもセットしていなかったが6時過ぎには目が覚め、7時前には朝食へ。
これぞホテルの朝食、という典型的ビュッフェ。
現地では高級ホテルに分類されるだろうから、しっかりちゃんとしたビュッフェ。
例によって食べ過ぎた気がするが、これから次の街へ移動することを考えると食べられるときに食べておいた方が良い。
次に行く街はダンブッラ。
スリランカの中央部にはキャンディ、アヌラーダプラ、ポロンナルワという3都市を結んだ三角形とその内側が文化三角地帯と呼ばれている。
その中に今回のメインイベントのシギリヤをはじめ、数々の遺跡群がある。
ダンブッラはその文化三角地帯の中央あたりに位置し、世界遺産にしてスリランカ最大の岩窟寺院がある。
シギリヤ観光の中継地にもなる所なので1泊する予定にしていた。
とはいえ街の規模はそれほど大きくないらしく、見所も世界遺産の岩窟寺院くらい。
お昼頃に着いていれば良いだろう。
コロンボからキャンディの移動は列車の時間に縛られたが、これから先はバスで移動する。
スリランカではバスの交通網が発達しているため、特に予約などしなくても来たバスに乗れば大体の所へは行けるという情報を信じて行動開始。
9時過ぎにホテルを出て、キャンディのバスターミナルへ。
コロンボほどの規模は無いが、それでもバスが大量に止まっていてどれがどこへ行くのかサッパリ分からない。
その辺にいた適当なおじさんにダンブッラ行きのバスの場所を聞き、アッチだと言われた方へ近付くだけで別のおじさんがダンブッラはこっちだ!みたいに言ってくれる。
ちょうど発車するタイミングだったらしいバス。
乗ったバスは小型のマイクロバスみたいなので、現地人が乗るような古びたバスではない。
乗客も西洋人旅行者風ばかりで、車内はクーラーも効いて快適。
てっきりローカルバスでの移動と思っていたが予想外。
ダンブッラまで200Rs(≒163円)。
ローカルバスならもっと安いんだろうが、クーラー付で座って行ける快適な車内ならこの値段で充分。
窓から眺める景色で、どこかの町のお祭りみたいなパレードに遭遇。
地球の歩き方を見ると7月29日はラマダン明けということでイスラム教徒の祭りだとか。
スリランカでのイスラム教徒の割合はそう多くは無いはず(1割未満)だが、アレがソレだったのだろうか。
たまに途中で現地人を乗せるも、立ち乗りが出るほどではなく、出発から約2時間でダンブッラに到着。
大きな道沿いでバスを降ろされるが、周囲にはそれほど目立つ何かがあるわけではない。
まずはホテルのあるダンブッラの新市街へ行き、荷物を預けてから旧市街にある岩窟寺院に行きたかった。
タブレットPCの地図を見て新市街の方向を把握して歩き出す。
前日のキャンディとはうって変わって見事な晴天で陽射しが痛いレベル。
ホテルのある新市街に近付くと道路沿いも賑やかになってくる。
ホテルを斡旋したいのかトゥクトゥクドライバーなのか、数人話しかけてくる輩はいたものの、適当にやり過ごしてホテルへ。
まだチェックインは出来ないとのことだったが、荷物は預かってもらう。
ホテルのオッチャン(ホテルマンではなくホテルのオッチャンと呼称すべき容姿だった)に雨は降りそうかと聞いてみると降らないと言うので折り畳み傘とウィンドブレーカーは置いていく。
ついでにトゥクトゥクで岩窟寺院まで行ったら幾らくらいかを聞くと150Rs(≒122円)とのこと。
その情報を得てホテルを出たところでトゥクトゥクに声をかける。
岩窟寺院まで幾らか聞くと150Rs(≒122円)と言うので、ホテルのオッチャンの言った通り。
ただ、初回で150Rsの言い値ならもっと下げられるだろと120Rs(≒98円)で提案すると素直にOKと実にスムーズに交渉成立。
先程バスで通った道を逆に走り、5分ほどで到着。
岩窟寺院は軽い山の上にあり、その麓には黄金のブッダ像。
天気も好転
コレコレ、こういうのを求めていたんだよ。
麓で入場券1,500Rs(≒1,220円)を購入。
仏歯寺でも思ったが通常の物価に比べると観光地の入場料はかなり高い。
現地語(シンハラ語)が読めないので分からないが、現地人はもっと安いのだろうか。
岩窟寺院は麓から整備された階段を10分ほど登った所にある。
少し歩くだけで汗が噴き出す。
途中の道には猿が沢山いて、人に慣れているのか全く逃げようとしない。
地球の歩き方によると好天ならシギリヤロックも見えるとのこと。
幸いにして好天で、方角的にアレがソレだろうというのは見ることが出来た。
岩窟寺院の入口に到着。
入場券は麓で買うのだが、買わずに岩窟寺院の入口へ行ってしまうと券が無いからダメだと帰されるとか。
最初から上で券を売れば良いのに何かそうできない事情でもあるのだろうか。
仏歯寺と同じく入口脇で靴を預けて裸足で寺院内に入る。
天気が良いので石畳の床が熱い。
岩窟寺院は全部で5つの部屋で形成されている。
それぞれの部屋が繋がっているわけではなく、1回外へ出て次の部屋へ移動、という感じ。
外から見る岩窟寺院
部屋の中には巨大な寝仏や大小様々な仏像が沢山。
キャンディの仏歯寺ではやや物足りなかったが、ようやく世界遺産らしい所へ来たという実感が湧いてくる。
ただ事前に地球の歩き方で見て想像していたよりもスケールは小さかった。
もっと広大なスペースにダイナミックに作られていて、5つの部屋も次第に岩窟の奥へ奥へと行くのかと思っていた。
意外にアッサリ5窟まで見終わったので、今度は地球の歩き方を一通り眺めてそれぞれの部屋の解説を読んでもう1度最初から見直し。
少しは違った目線で見ることが出来たがまぁどれも似たようなもの。
特に寝仏はどの部屋にもいて、とりあえずコレ作っとくか、みたいなのを感じられた…なんて言ったら罰が当たりそうだ。
どの岩窟でも現地人と見られる人が真面目に祈りを捧げているシーンが見られる。
キャンディの仏歯寺と同じく、ただの観光地ではないモノがあるのだろう。
中から見る岩窟寺院
岩窟寺院を降り(預けていたサンダルは返却時に25Rs≒20円のチップを求められた)、帰りは岩窟寺院のある旧市街からホテルのある新市街まで歩いてみることにする。
天気が良かったのでこの旅で初めて日焼け止めを塗って出発。
進行方向の車道側(左)を歩くと車が後ろから来て走り去るので怖いのと、トゥクトゥクがいちいち止まって乗ってけ乗ってけとウルサイので右側を歩く。
旧市街と名が付いているとはいえ何もない通りをひたすら歩く。
車道こそアスファルトだがそれ以外(勿論歩道なんてものは無い)の部分はむきだしの土。
道が砂で埃っぽいのと車も結構なスピードで走って排気ガスをまき散らす。
健康的に歩いている感じは全然しない。
ダンブッラで1泊しようと決めた時、宿泊地を旧市街にするか新市街にするかで迷ったが、新市街にしておいて良かったと思うほど旧市街には何も無かった。
結局、新市街のホテルまで徒歩約3,40分。
大して歩くのに魅力的な道でもなく、トゥクトゥクで約5分120Rs(≒98円)なら後者だな。
ホテルに戻ってチェックイン。
今回の旅で1番安い宿だからあまり期待していなかったが、思ったより良い。
部屋は広いしクーラーも完備。
冷蔵庫とTVは無かったが、このクラスでは始めから期待していない。
難点はトイレとシャワーが同じフロアで敷居や段差が無いのでシャワー浴びたらトイレの床も水浸しになること。
もう1つは部屋からWi-Fiが繋がらなかったこと。
これは1階のロビーへ行かないとダメなようだった。
それ以外は充分と思えるホテル。
むしろダンブッラの新市街の中ではかなりまともなホテルなのではなかろうか。
ホテルへ来るまでに街中を歩いていて食事が出来そうな所はあったが、ビールが飲めそうな所は見当たらなかった。
ホテルのロビーへ行ってみてホテルのオッチャンにビールがあるか聞いてみる。
すると「今から冷やすので時間をくれ」と。
今から冷やす?なんだそりゃ。
とはいえビールが飲めるのなら良い。
30分後にまた来る、と一旦部屋に戻って旅日記などを書きつつ時間を過ごす。
キッチリ30分後にロビーへ行くと待ってました、ビール登場。
スリーコインズという今までに飲んでいないスリランカの銘柄。
これまでは全部ライオンラガーというスリランカで最も有名な銘柄のビールだった。
30分でキンキンに冷えるわけもなく、若干ぬるかったがビールはビール。
この日の目的は全て果たした後なので美味しく感じる。
夜も飲むなら冷やしておく、と言われたのでお願いする。
晩飯には時間が早かったのでダンブッラの街を歩いてみる。
しかし少し歩くと栄えている場所はすぐに終わり、車道だけのような感じになる。
街の中では少し大きめのスーパーがあったので入ってみるがやはりビールは無かった。
栄えている所は一通り歩いたが、街歩きが楽しい所ではないという印象。
失礼ながらほぼ岩窟寺院だけの街かもしれない。
地球の歩き方にはダンブッラのレストラン紹介は1軒も無く、ネットの4トラベルで唯一レストランとして紹介されていた「ベントタ ベイク ハウス」という店で晩飯。
街を歩いていてもそれなりにちゃんとした店構えの飲食店はココくらいしか見当たらなかった気がする。
1階は地元民向けみたいな感じで2階に上がるとエアコンも効いてレストランっぽくなったのでそちらに入る。
18時過ぎと少し早い時間だったからか客は私だけ。
予想はしていたがビールは無い。
この店構えでビールが無いとなると、ダンブッラで外国人が気楽にビールを飲めるのはホテルだけなんじゃないかと。
ビールはホテルで飲むことにし、前日のキャンディでも飲んで悪くなかったジンジャービア75Rs(≒61円)を注文。
料理はスリランカ風カレー230Rs(≒187円)。
初日にコロンボで食べたチキンブリヤーニと似たようなモノ。
値段が半額近いのはコロンボとダンブッラの物価の差だろう。
カレーはチキンやら豆やら色々乗っかってビールにも合いそうなのに惜しい。
無難に美味しく、量は多く…というかスリランカで出てくる料理はいずれも量が多い。
辛さも手伝ってジンジャービアは2本目を注文。
ソフトドリンクをお代わりするとは。
カレーの辛さとジンジャービアの甘辛さが巧いアクセントになっている気がする。
ビールが無ければその土地でよく飲まれているであろう飲料を選んでおけば間違いはない気がした。
私が食事している間に2組ほど客が来たが、中華系の家族と西洋系のカップルで、いずれも観光客のように見えた。
料金はサービス料と併せて418Rs(≒340円)、観光客向けのレストランにしては安い。
満腹になり店を出ると辺りは暗くなりつつある。
後はホテルでビールだな、とホテルへ戻ると「冷やすから待て」と。
オイオイ、夕方には「夜も飲むなら冷やしておく」って言ったじゃないかよ。
愚痴っても仕方ないのでまたしても30分後、ということで一旦部屋へ。
旅行記を書いたり、地球の歩き方で翌日の予習などをして改めてロビーへ。
今度はちゃんとビールが出てきてくれたがオッチャンが今日は祭りだから外へは出ずにココで飲め、みたいなことを言ってくる。
元よりココで飲むつもりだったが、急に何を言い出すのかと思ったら1人でホテルの庭のテーブルにいた西洋人男性が声をかけてきた。
彼が言うには今日がラマダン明けの祭日でアルコールを出したらダメだからココで飲めということらしい。
スリランカ人の英語が理解できなかったのを西洋人に通訳してもらってようやく理解。
そういえば地球の歩き方でも7月29日はイスラム教徒のラマダン明けの祭日と書いてあったし、ダンブッラに来るまでにそれっぽいパレードみたいなものを見ていたのを思い出した。
その西洋人の兄ちゃんも机の陰からビール瓶を出し「オレもビールを隠して飲んでいるんだ」と。
その流れで会話が始まり、お決まりのWhere are you from?と聞かれたので日本だと答えると、10年前に4年間名古屋に住んでいたと言われた。
おいおいそのパターンって典型的な観光客の騙しの手口…と思ったが、相手はどう見ても西洋人、ロンリープラネット持っている明らかな旅行者、ホテルの庭でビール飲んでいる。
日本語も片言ながら喋れ、名古屋の栄に住んで東邦大学で英語を教えていたという。
私を騙すメリットも意図も無さそう。
ホテルの庭のテーブルだし、そんなこんなで一緒に飲むことになった。
彼はカナダ出身で現在はイングランド在住で学校の先生をしている、どんな経歴だよという人。
10年前に日本で英語を教えていたということは年齢的には私とそう変わらない気がする。
今日キャンディから来て、明朝にシギリヤへ行き、ダンブッラに戻って岩窟寺院に行くと言う。
その後はキャンディでペラハラ祭りを見て東海岸へ抜けてサーフィンをし、南海岸でホエールウォッチングをするんだとか。
その際に、「クジラは見るだけだ。君たちのように食べはしないよ。」とブラックジョークまで言われた。
話の前後や雰囲気から悪意の無いジョークなのは分かっていたが、それ下手したら人種差別発言だぞ。
とはいえヘラヘラと苦笑いしか出来ないのが情けない。
もっとも、私の英語力が豊富だったとしても口論はしなかったと思うが。
学校の先生をしているというだけあって話好きなのか、ひたすら色々と話してくる。
案の定、あちこち旅をしている人で、お互いに意見が一致したのは「最も大変だったのはインド」という点。
彼はインドのゲストハウスで強烈な腹痛に襲われて1週間近く入院させられたとか。
彼が言うには恐らくゲストハウスのスタッフが食べ物に毒を混ぜたのではないかと。
ゲストハウスと病院が結託していて、お金を稼ぐためにそういう事例があるらしい。
にわかには信じがたい気もするが、あのインドならありそうな話…ってこれも差別にあたるかな。
後はスーパーにビールが置いていないのはラマダンのせいではないかという話も。
確かにこの日がラマダン明けだからそれまではビールを店頭に出さない、というのは頷ける。
コロンボは都会なのでそこまで厳密ではないが、地方に行けばそうした宗教色が濃くなるのでは、とか。
結局小1時間くらい喋っていた気がする。
最も、喋っていたのは専ら相手で、割合的には7:3か8:2かというところ。
翌朝にシギリヤへ行くという予定が同じだったので一緒に行こうみたいになったらちょっと面倒だと思ったが(イヤではないのだが、ずっと一緒で英語を駆使しないといけないとなると気も張るし遣うし、自分のペースで観光できないな、と)、幸いそこまでは提案してこなかった。
結局彼は同じホテルに泊まっているわけではなく、ただ飯を食いに(ビールを飲みに?)このホテルに来ただけのようだった。
帰り際にホテルのオッチャンから瓶ビール2本を渡されており、その際にもホテルのオッチャンは「外で飲むな、ココで買ったと言うな」と念を押していた。
そんなにデリケートなものなのかね。
そんなわけで久々の異文化コミュニケーションだった。
ちなみに帰国後に調べたら東邦大学って東京の大学だったので、名古屋に住んで東邦大学で英語を教えていたという話は嘘だったのかと思った。
しかし「東邦大学 名古屋」で調べたら愛知東邦大学というのが出てきた。
東京の東邦大学とは別物らしいが、ちゃんと名古屋にも東邦大学が存在していた。
もはや疑う余地も理由も無いが、やはり彼は本物だったのだろう。
異文化コミュニケーションは楽しかったし勉強になったものの、約1時間も殆ど英語だけの会話はかなり疲れた。
残ったビールを飲み切ると部屋に戻ってシャワー浴びて早々に就寝。
この旅の最大の目的地へ向かう1日。
午前中にはシギリヤに着いていたかったので気が逸ったか6時には自然と起床。
6時30分にはロビーに下りてみるが、誰もおらずロビーの鍵すら空いてなくて入れない。
このまま金を払わずに逃げようと思えば逃げられるレベル。
朝になって気が付いたのが足の3,4箇所が蚊に食われている。
恐らく前夜の異文化コミュニケーションだろう。
Tシャツとハーフパンツで夜にビール飲みながら庭にいるなんて格好の餌食だ。
腕が刺されていないのは手首に巻く虫除けリングをしていたのが良かったのだろうか。
足用にもう1セット持ってきておけば良かった。
出発時に蚊を媒介としたデング熱に気を付けろとの情報があったが、そんなの気を付けようがない。
何事も無いことを祈るのみだ。
(なお、帰国後に日本で何十年ぶりかのデング熱発病が確認され、代々木公園閉鎖など結構なニュースになったのは単なる偶然か)
ホテルの従業員っぽい人を見つけたので朝飯は?と聞くと7時30分からだとの答え。
一旦部屋に戻って出発する準備だけ整えておく。
朝食はビュッフェなんて立派なものではなく、フルーツ、トースト、スクランブルエッグというもの。
この日はシギリヤに到着したら午前中にはシギリヤロックに登るつもりだったので朝食はしっかりと食べる。
ホテルのオッチャンにシギリヤへ行くならチャーター車で他の宿泊客と一緒に500Rs(≒407円)で連れて行ってくれるとのことだったが丁重にお断り。
恐らくバスの10倍以上の値段だし、バスもシギリヤ行きに乗れば良いだけなので大変ではないだろう。
チェックアウト時に会計をカードでお願いしたら手数料が3%かかると言われた。
現金は初日に空港で両替した1万円分のスリランカルピーだけでここまで乗り切っている。
3%くらいならカードで良いだろうとカード決済。
サインはホテル側のクレジットカード処理機であろうタブレットPCに指で手書きするという電子署名。
カードに手数料がかかる辺りはアナログっぽいのに決済はハイテク。
8時30分ごろにホテルを出てバスターミナルまで歩く。
既にシギリヤ行きのバスが止まっていたので乗り込む。
キャンディからダンブッラへ来た時のようなクーラー付のバスではなく、現地人が乗るようなおんぼろバスでクーラーなど勿論無い。
出発前だからか運転手はおろか、客が誰もいない。
果たしてこのバスで大丈夫なのか。
少し不安だったが待っていると見覚えのある西洋人が。
前夜一緒に飲んだイングランド在住カナダ人だった。
飲みながら話した時には「朝の7時にはシギリヤに行きたい」と言っていたはず。
時刻は8時45分、飲みすぎで寝坊か?
「Good Morning」「オハヨー」と挨拶をして握手を交わす。
面識もある明らかな旅人が一緒のバスなのでまぁ大丈夫だろう。
そうこうしているうちに現地人と思われる客もチラホラ乗ってくる。
9時過ぎにバスは出発したが、あろうことか私の泊まっていたホテルのすぐ目の前がバス停だったらしく、そこに停車。
さらにそこで10分以上も待って客を乗せていた。
結局バスターミナルまで行く必要は無かったということか。
最終的に満席になってバスは発車。
最初は空いていた車内だったのでカナダ人の彼とは必然的に席が離れた。
バスの乗車券は34Rs(≒28円)、なんという安さ。
ローカルバスなので所々で客を乗降させつつ進む。
途中で車窓からは「WINE SHOP」なる店が見え、どうやら酒屋のようだった。
ちゃんと酒が売っている場所もあるんだな。
9時45分くらいにシギリヤロック近くに到着し、バスを降りる。
カナダ人の彼はそのままシギリヤロックへ行くと言っていたが、私はホテルに荷物を預けたかったのでそこでお別れ。
タイミングが合えばシギリヤロックでも会うかもしれない。
バスを降りてからアスファルトですらない土の道を10分弱歩き、この日のホテルである「シギリヤヴィレッジ」の敷地内へ。
旅のメインイベントなのでそれなりに良いホテルを予約しておいた。
広大な敷地内にコテージが点在しているタイプのホテルで、敷地内が既に公園のよう。
フロントやロビーにはバーが併設されており、前日のように酒に困ったり、ぬるいビールを飲まされることは無さそう。
綺麗に整備された庭やプールなど高級ホテル感が満載。
フロントへ行き、チェックインは無理だろうが荷物を預かってもらおうとしたら45分待てば部屋が用意できるというので待つことにする。
さすがは高級ホテル、45分待つこともなく30分ほどで部屋に案内される。
コテージが数軒連なった長屋みたいなのが点在しており、その中の1つが私の部屋。
リゾートの別荘のような雰囲気で部屋の中も広さも文句なし。
強いて挙げる難点はバスタブが無かったことだが、スリランカでは1度も無かったのでこれがデフォルトなんだろう。
部屋まで案内してくれたボーイに今日雨は降りそうかと聞くと、雨はここ2ヶ月降っていない、とのこと。
これで折り畳み傘を部屋に置いていける。
コロンボとキャンディでのにわか雨が旅の雨を全て持って行ってくれたか。
傘を持たない代わりに日焼け止めをこれでもかと塗って出発。
ホテル近くにトゥクトゥクがいたが、遺跡入り口まで100Rs(≒81円)という情報だけ聞いて歩く。
目指すシギリヤロックはすぐそこに見えが、入り口は正面だけなのでそこまで歩かないといけない。
入場券は3,900Rs(≒3,171円)か30ドル(≒3,090円、1ドル103円計算)の選択制。
スリランカルピーで払ったが、ドルの方が若干安いレートだったか。
この旅で1番の出費であると同時に私が訪問した世界遺産の入場料ラインキングでもマチュピチュに次ぐ2位にランクイン。
そんなところまでマチュピチュ真似しなくても良いのに。
それにしても現地の物価からするとかなり高い。
恐らく現地人価格は違うのだろう。
巨大なシギリヤロック、入場しなくても様々な角度から見ることが出来る。
しかし正面から見るためには入場しないといけないようになっている。
ちょうど正面の所に入場口があり、入り口付近は木が生い茂っていてちゃんとは見られない。
入場しないとベストポジションで見られないとは巧いこと造ってあるなと思った。
入場して所々にある木々を過ぎると正面からロックの全貌が見られる。
やはりこれを目的に来たので感慨深い。
どの観光地でもそうだが、本物を肉眼で見るとそのスケールや奥行が感じられる。
どんなに3Dの技術が発達しても、その場に立って肉眼で見る感動に勝るものは無いだろう。
メインイベント
ロックにじわじわと近付き、いよいよ登りはじめ。
登山道(?)は階段になっているので危なさは無い。
ただ、ちょうどタイミングが悪く、現地の団体客に当たった。
階段は狭いので、詰まると先に進めない。
団体客が修学旅行なのかは分からないがどう見ても10代の若者の集団で、喋りながらダラダラ登るので遅くて鬱陶しい。
10代くらいの若者のそういった雰囲気というのは世界共通なのか。
仕方ないので敢えて長い休憩を取り、団体客がだいぶ先に行ってから改めて登り始める。
中腹にはロックで最も有名であろうシギリヤレディと呼ばれる女性の壁画がある。
5世紀に描かれたとは思えないくらい今でも色が鮮明に残っている。
以前は500人ほどの女性の姿が描かれていたらしいが、風雨に晒されたり破壊に遭ったりで今は18人しか無いとか。
シギリヤレディだけは風雨に晒さないためか幕がかけられており、中ではフラッシュ撮影も禁止(写真はOK)、警備員も常時いるらしい。
登るにつれて風がかなり強くなり、日射しは元々強いので、太陽と風の両方がかなりの力で攻めてくる。
なんとなく北風と太陽の話を思い出した。
特に風は一時的に歩けなくなることもあり、場所によっては身の危険すら感じるレベルだった。
周囲に高いモノが何も無いから必然的に風も強くなるんだろう。
登り始めから30分ほど(途中で休憩やシギリヤレディなどでゆっくりしていたので、急げばもっと早く着く)で、頂上まであと一息かつ頂上にある王宮への入口となるライオンテラスに到着。
ここからが本番?
そこは広場になっていて石を削って作ったと思われる巨大なライオンの両前足があり、その足の間に頂上への階段が続いている。
以前はライオンの頭部があったらしく、ライオンの口の中から喉を通って頂上(王宮)へと続いていたと考えられているらしい。
そもそもシンハラ語でライオンは「シンハ(Shinha)」、喉は「ギリヤ(Giriya)」でライオンの喉「シンハギリヤ(Shinhagiriya)」が変化して「シギリヤ」になったのではないかとも言われている、と地球の歩き方情報に記載されていた。
ここから先は岩肌に沿って作られた非常階段のような鉄製の階段を登っていく。
頂上へ続く階段
途中で現地のガイドっぽい人に「大きな蜂の巣があるから気を付けろ」と言われた。
地球の歩き方にも蜂がいることがあるので注意しろと書かれていた。
実際に見ると確かにかなり巨大な蜂の巣。
階段からは離れていたのと蜂が出ている様子は無さそう。
世界遺産でもある観光地で高い入場料を取っているんだし、危険と分かっているなら駆除しちゃえば良いのに…というのはダメなんだろうか。
ちなみに帰国後にネットを見たらタイミングが悪いと本当に蜂が出るらしい。
チケット売り場に「蜂が出ているから頂上まではいけない」という貼り紙がしてあったとか。
ただ、実際に途中まで行くと無料で防護服(顔も含めて全身を覆う本格的なもの)を貸してくれて登ることが出来たとのこと。
私は幸いにして蜂に遭遇することも無く登り切ることが出来た。
岩の頂上は王宮やそれに付随して建てられていたであろう建築物の跡が点在。
マチュピチュのように建物がちゃんと残っているわけではなく、ほぼ土台が残っているだけという感じ。
頂上周辺はひたすらこんな感じ
マチュピチュが15世紀頃に作られたのに対し、シギリヤロックは5世紀頃。
約1000年の違いが荒廃度の違いか。
最上段にあるのが王宮跡でそこから見渡す景色は爽快。
まぁただ基本的に見える景色は自然だらけ。
アンコールワットやボロブドゥールからの景色も似たような感じだった気がする。
見渡す景色はひたすらこんな感じ
すぐに降りるのも勿体ないので頂上でなんとなくダラダラ。
頂上でもあったし、登っている時もあったのが、現地人(多分)に写真を撮って良いかと聞かれること。
最初は写真を撮ってくれと言われているのだと思いYESと言うと、カメラを渡すのではなく私の横に並んでその友達が私と一緒の写真を撮る。
え?私と写真を撮りたかったの?
最初はスリを疑って貴重品に神経を集中していたが、1人が撮り終わると「オレも」みたいに今度は写真を撮った人が私の横に並ぶ。
シギリヤロック登山中に3回はあったし、同じように西洋人旅行者に声をかけている人もいた。
どうやら単純に外国人と写真を撮る、というのが1つの話のネタになるんだろうと判断した。
2度目からはこちらも素直に応じてやることにしつつも、貴重品には細心の注意を払うことは忘れなかった。
結果的に問題は何も無かったが、用心に越したことはない。
そんなこんながありつつ、いつまでも上にいても仕方ないので下山、というか下岩か。
下りはアッという間で特に見所も何も無い。
シギリヤロックの脇にも出口があり、そちらの方がホテルには近かったが、敢えて正面から出る。
正面にはチケット代に含まれているシギリヤミュージアムがある。
折角高い入場料を払ったのだから満喫しないと。
入口のパネルに「日本国とスリランカ国との友好と協力の証として日本の国民より贈与されました」と日本語で記載されている。
現地語2つ(シンハラ語とタミル語か?)と英語でも恐らく同じことが書いてあった。
それなら展示物にも日本語の紹介文くらい載せてくれたら良かったのに。
大多数の人がシギリヤロックを見たら満足するのだろう、ミュージアムはかなり閑散としている。
遺跡からの出土品やシギリヤレディの再現などの展示物。
展示物の中で最も力が入っていたのがシギリヤロック周辺の復元ジオラマ。
でもそのジオラマがある部屋だけは撮影禁止だった。
減るもんじゃないし、シギリヤロック本体ですら撮影可なのに。
入場料に含まれていたから入ってみたが、シギリヤロックだけで充分に満足できていたのでミュージアムは余興みたいなものだった。
心なしか館内の係員もそんな雰囲気を察するのかあまりやる気がない感じ。
そんなミュージアムを出てこの日の予定は全て終了。
後はホテルに戻るだけ、しかもホテルにバーがあるのは確認済みのため、確実にビールが待っている。
ただ1つ思いつき、泊まるホテルではなく、その隣にある「シギリヤホテル」へ行ってみることにする。
シギリヤロック間近にある2大高級ホテルが私の泊まる「シギリヤヴィレッジ」と、「シギリヤホテル」。
最初は「シギリヤホテル」に泊まろうと思っていたが、ワールドカップにかまけていたら都合の良い日程が全部埋まっていた(あるいは極端に高い部屋しか空いていなかった)。
隣にある「シギリヤヴィレッジ」は空室があったのでそこに泊まることにした経緯があった。
どちらもシギリヤでは高級ホテルに分類されるので大差は無いだろう。
つまり「シギリヤホテル」にもバーはあるだろうと思った。
もしもダメでも泊まるホテルは隣にあるのでそれほど無駄足にもならない。
シギリヤロック登山で疲れていたのでトゥクトゥクを使うことに躊躇は無い。
ロックの前には暇そうなトゥクトゥクドライバーがいるので歩いているだけで声をかけてくる。
シギリヤホテルまで、と言うと300Rs(≒244円)と言う。
イヤイヤ、いくらなんでもそれは無い。
最初にホテル近くからシギリヤロックまでと声をかけてきた言い値は100Rs(≒81円)だったし。
Too expensiveと苦笑いして歩き出すと200Rs(≒163円)と言ってくる。
No,100Rs(≒81円)と食い下がる、150Rs(≒122円)まで下げてくる。
基準となっているのは最初にホテル近くで声をかけてきた言い値の100Rs。
最初にその値段で声をかけてきたということは100Rsでも充分ということ。
100Rsじゃないなら歩く、と言って歩き出すと、後ろから追ってきて「OkOk、100Rs」と。
300Rsからスタートしたことを考えれば上出来だろう。
勿論現地人の感覚からすればそれでもかなり高いんだろうけど。
ちゃんとシギリヤホテルまで行ってくれたので100Rs(≒81円)に20Rs(≒16円)札を追加して渡す。
しかし帰国して旅日記を書きながら実際に日本円に換算して書くと、数十円で妙に頑張って交渉していることに気付く。
現地だとその数十円が重大事項のように感じるのは通貨感覚が現地モードに近付いていたということか。
なんにせよ、予約しようと思って出来なかったシギリヤホテルに到着。
広大な敷地内にコテージ風の建物が点在する様は私が泊まるシギリヤヴィレッジと大差無さそう。
フロントのある建物へ行き「Only use bar ok?」と聞く「sure」と快く言われる。
地球の歩き方によるとシギリヤホテルのプールサイドからロックを一望できるとのこと。
ロックの頂上から見下ろした時にプールが見えたのはこのシギリヤホテルだったのだろう。
そしてバーはそのプールサイドにあり、確かにロックが綺麗に見られる。
屋根のある日陰の席を選び、ビール450Rs(≒366円)を注文。
ライオンラガーは瓶ビールながらしっかり冷えている。
ダンブッラでは温いビールしか飲めなかったのが、旅の最大の目的を果たして冷えたビール。
しかも場所は高級ホテルのプールサイドバー、目の前には踏破したばかりの旅の最大の目的地シギリヤロック。
この旅でこれ以上の至福の瞬間があるだろうか。
朝飯以来何も食べていなかったのでフィッシュ&チップス600Rs(≒488円)みたいなツマミを食べつつビールを2本。
〆はメニューに載っていたオリジナルカクテルのシギリヤプライド750Rs(≒610円)なる1品を注文。
マンゴー系の南国フルーツにレモンライムが混ざっているところまでは分かったが、ビール2本を飲んだ後だとそこまでしか特定できず。
旅のクライマックス、天気雰囲気環境のいずれもパーフェクト。
最終的にビール1本450Rs(≒366円)×2とフィッシュ&チップス600Rs(≒488円)とカクテル750Rs(≒610円)、サービス料混みでをクレジットカード清算。
現地の物価で考えれば高いんだろうが、世界遺産至近の高級ホテルと考えると安い部類に入るだろう。
世界遺産と高級ホテルの割高感と現地の物価感を掛け合わせてちょうど良いレベルか。
シギリヤホテルを出て、歩いてシギリヤヴィレッジに戻る。
隣のホテルとはいえ、お互いの敷地が広大なので徒歩5分ほど。
シギリヤヴィレッジに戻って分かったのはどちらのホテルも大差無さそうだということ。
シギリヤホテルの部屋の中こそ見られなかったが、似たコテージタイプのようだったし。
違いが見られたのはプールサイドからのロックの眺め。
シギリヤヴィレッジの場合は角度をつけないと見えないが、シギリヤホテルの場合はプール正面に見える。
プールの広さもシギリヤホテルに軍配。
値段は少しシギリヤホテルの方が高かったと思うので妥当なのかもしれない。
この日の目的を終え、いつもなら適当に町の散策に行くところだが、ホテル周辺に町と呼べるようなものが無い。
ただ、ホテル自体が小さな1つの村のようになっている。
そんなわけでホテルの敷地内探索へ。
子供の頃に家族旅行でホテルに泊まると「ホテルを探検だ!」みたいなことをしていたが、今のそれはホテルの敷地内を本当に文字通りの探検。
敷地内には住所のように部屋番号が割り振られている。
広大な庭には池や畑もあり、アチコチに猿がいて、池では亀が甲羅干しをしている、その周囲ではアヒルが歩き回り、木にはリスと生き物がいっぱい。
本当に1つの村みたいにコテージが点在していて面白い。
こういうタイプのホテルに1人旅で泊まるのは初めてだな。
なんか幼少時代のアメリカで似たような所に泊まった記憶が微かにあるが。
ホテルの散策を終えると、今度は自分の泊まるホテルのバーへ。
少し趣向を変えてビールでは無くモヒート700Rs(≒569円)。
自分が泊まっているホテルだと代金をルームチャージにできるのが良い。
日本の居酒屋で出てくるモヒートとは違い、これでもかとミントの葉が入ったモヒート。
ミントの葉が多すぎてストローが吸いにくいほどで、この辺は高級ホテルのバーっぽい。
プールサイドバーでダラダラして夕暮れのロックが見られるかと思ったが、少し夕焼けは見られたものの、夕焼けに染まるような景色にはならなかった。
結局そのまま暗くなり、晩飯までには少し時間があったので一旦部屋に戻る。
晩飯もホテルのレストランで済ませることにする、というか前述の通り周囲には何も無いので。
西洋人客ばかりのレストラン内、席に着くとビュッフェが1,750Rs(≒1,423円)orアラカルト、と言われる。
ビュッフェを食べるほどにお腹は空いていなかったのでアラカルトメニューにしておく。
シュリンプカクテル600Rs(≒488円)とミックスヌードル750Rs(≒610円)。
当然これまでの庶民食堂より高いが、まともなホテルのまともなレストランならこんなものだろう。
ミックスヌードルもキャンディの大衆食堂の安かろう多かろうみたいなのドーンとしたモノではなく、しっかり形を整えて盛りつけしてある。
味はまぁ普通ながらも大衆食堂のようにがっつり塩の固まりが入ったしょっぱい部分などは無く、どこか上品に感じられる…のは雰囲気のせいもありそうだが。
その2品とビール2本、料金はルームチャージにしてしまうのでサービス料を含めた合計の会計がいくらになるかは不明。
値段を気にせず部屋につけといて、というのがセレブ気分。
レストランの横にあるバーへ移動し、食後の1杯にマティーニをいただく。
シギリヤロックを終えてからビールとカクテルのちゃんぽんばかり。
さらにメニューに「SRI LANKEN SPECIAL」との記載があったARRACK(アラック)400Rs(≒325円)を注文。
ヤシの実を蒸留させたお酒でブランデーのような芳香と味。
これまでも散々飲んだ挙句に最後はマティーニと現地の蒸留酒という危険な飲み合わせでこの日を締めて部屋に戻る。
海外ではどれだけ飲んでもある程度の冷静さを保っていられる。
飲んでホテルに戻る道すがらでも何があるかは分からないので気は張っている。
しかし今回は高級ホテルの敷地内、しかも周囲は殆ど何も無いためにアクシデントが起こる可能性も低い。
必然的に飲みすぎて気持ちが緩んでいるのが感じられた。
もっとも、それが自覚できているだけまだ冷静なのかもしれないが。
やや酒が残った状態で6時30分頃に起床。
考えてみれば前日は昼過ぎにビール2本とカクテル2杯、夜もビール2本とカクテル1杯に蒸留酒。
旅の最大の目的を無事に遂行したから調子に乗っていたな。
朝食は例によってビュッフェ。
キャンディのクイーンズホテルよりも充実している。
この日はダンブッラを経由して一気にコロンボまで戻らないといけない。
長距離の長時間移動になるはずなのでしっかり朝食を摂っておく必要がある。
量も種類も豊富なビュッフェで色々詰め込んでおく。
この日も良い天気でホテルから見えるロックが朝日を浴びて美しい。
良い天気で良いホテル、もう1泊したい勢いだが、正直もう1泊したとしてもすることが無さそうだ。
チェックアウト時にこれまでの飲食代をクレジットカードで清算。
合計で3,980Rs(≒3,236円)、晩飯とビール2本とカクテル2杯と蒸留酒1杯、多分安いだろう。
9時前にホテルを出てシギリヤのバス停へ。
バスがいつ来るのかは分からないが、現地人が数人いて「Bus to ダンブッラ?」と聞くと「Yes」とのことだったので待っていれば良いのだろう。
10分後くらいに到着したバスは既に現地人を満載している。
行きと同じく34Rs(≒28円)、現地人の乗降を繰り返して10時過ぎにダンブッラのバスターミナルに到着。
すぐにコロンボ行きのバス乗り場を探す。
長距離になるので普通のバスではなく、インターシティという高速バスに乗りたかった。
バスターミナルの係員みたいな人に聞くとインターシティはあっちだ、とバスターミナルではなくその前にある大通りだと言う。
確かにバスターミナル内にはバスの行き先が書いてあるがその中にコロンボの文字は無い。
言われた所へ行くと数人の現地人がいたのでコロンボ行のバスはココで良いのか聞いてみると大丈夫そう。
少し待っているとコロンボ行きのバスがすぐに到着。
バスの正面にコロンボと英語でも書いてあるし、バスの乗員が「コロンボ!」と連呼している。
しかしバスは明らかに地元のローカルバスで、高速バスには見えない。
とはいえ高速バスがいつ来るのかは分からない。
確実にコロンボ行きのバスが目の前に来ているのなら乗っておいた方が良いと判断。
バス内は地元民と思われる人たちで満席、観光客っぽい人は見当たらない。
長い移動になるだろうから座っておきたい。
どうしたものかと車内を見渡すと最後列の席で現地人が席をずらして場所を空けてくれた。
座らせてもらうものの、バックパックを抱えて座るとかなりキツイ。
バスにエアコンは無く、最後列の席で現地人に挟まれて暑い。
外からの風が涼しいのが救い。
途中でバスの乗員(というか普通の兄ちゃん)が料金を回収しにくる。
コロンボまで285Rs(≒232円)、毎度のことながら公共交通機関は安い。
ローカルバスなのでアチコチで現地人の乗降がある。
次第に車内は混雑していき、座っていてもギュウギュウの状態。
おまけに道が荒く、運転も荒いため色々なところに力を入れて踏ん張る必要があり、車内で身体が何回バウンドさせられたことか。
急ブレーキも何度かあり、事故らずに無事にコロンボまで行けるのかと不安になった。
インドのニューデリーからアグラへ向かう列車の辛さを思い出した。
10時15分頃にダンブッラから乗ったバスは、13時15分頃にサービスエリアのような所で休憩に入る。
念のためにタブレットPCの地図とGPSで現在地を調べたが、ちゃんとコロンボに向かっているようだった。
後半になると客も減っていき、荷物を置く余裕も出てきた。
コロンボに近付くと渋滞が発生し、バスターミナルに到着したのは15時15分すぎ。
結局丸5時間かかった計算だが、無事に戻ってこられて良かった。
荒い道と運転で一時はどうなることかと思った。
初日以来だがまぁ勝手知ったるコロンボの街。
駅方向へ歩きがてらトゥクトゥクと交渉。
泊まる予定のホテルまで100Rs(≒81円)で行ってくれと言うと200Rs(≒163円)だと言うので150Rs(≒122円)で決着。
荷物も多かったのでそれほど無茶な交渉はしなかった。
この日のホテルはスリランカでの最後のホテルになるので良い所を予約しておいた。
ゴールフェイスホテル、コロンボの象徴的な老舗の高級ホテルで、昭和天皇も滞在したことがあるという。
ネットで見るとそこまで高いわけでは無かったので決めた。
生憎とホテルの半分くらいが改装工事中で外観はイマイチだったが、入ってみると歴史を感じさせる重厚な内装にテンションも上がり、ウェルカムドリンクも出てきた。
部屋は歴史あるホテルなのでやや古びた感は否めないが、問題無い広さに加え、窓からはインド洋が見えるロケーション。
前日に続いて高級ホテル感が満載、今回の旅は全てのホテルが合格点という旅になった。
インド洋の海岸沿いにホテルのプールと庭があり、そこにはバーも併設されている。
そうなるとやることはただ1つ。
心地良い海風に吹かれながらインド洋に沈みつつある夕陽と共にビール。
昼間の長時間移動が大変だったからこそ余計に贅沢な時間に感じられる。
至福の時
前日のシギリヤで飲んだビールも格別だったが、旅をほぼ終えてインド洋の夕陽を眺めながらのビールもまた格別。
今回の旅の2大美味かったビールに認定。
ビールを2本飲んで、夕暮れを眺める。
インド洋に太陽が沈むその瞬間が見られるかと思ったが、水平線まである程度近付いたらいつの間にか太陽が消えていた。
雲に隠れたわけでも無さそうなのに、どこへ行ったのか。
リマで太平洋に沈む太陽を見たときはちゃんと海に沈むのが確認できたのに。
色々な条件とかあるのだろうか。
日が暮れてからホテルの近くにあるショッピングセンターのスーパーへ。
初日のコロンボ散策時でビールが売っているのを確認していた所。
職場用のばらまき土産も物色しつつ、それを買うのは翌日の最終日。
缶ビールのライオンラガー110Rs(≒89円)だけ買ってホテルに戻る。
晩飯は敢えてホテルのレストランにする。
ここまで来たら高級ホテルのレストランでディナーまで行ってしまおう。
レストランに入ると「Do you have reservation?」と聞かれる。
勿論していないので「No」と答えたが無事に席に案内される。
しかし周囲を見るとさすがに高級ホテルのレストラン、雰囲気が違う。
前日も現地では高級ホテルのレストランだったが、それはあくまでも観光地の高級ホテルのレストラン。
今回は都市部、しかも事実上の首都にある高級ホテルのレストラン。
漂う雰囲気は前夜よりも遥かに高級感がある。
私の格好はTシャツにハーフパンツ…これは場違いだ。
今回の旅でキャンディ、シギリヤ、コロンボとそれなりのホテルに宿泊して思った。
チョット良いホテルに泊まるなら1枚くらいは襟付きのシャツを持って行った方が良さそうだ。
そろそろその辺の分別も付けないといけない年齢か(…気づくのが遅い)。
でも改めて見ると西洋人の旅行者みたいなのはTシャツ短パンという私と同レベルのラフな格好をしている。
西洋人だとそんな格好でもなんとなく様になっている気がする。
あまり萎縮する方がみっともない気がしたので、場違いかもしれないがディナーを楽しむんだと己に言い聞かせて、普通に堂々としているよう心掛ける。
日本人は場を読む空気が良くも悪くもありすぎるのかもしれない。
ココは外国なんだし、自分はココでは外国人なんだし、ある程度のことは許容されるだろう。
それで他人に直接的な迷惑をかけているわけでも無いだろうし。
そんなある種の開き直りも旅で身につけたモノの1つかもしれない。
でも次は襟付きシャツを…とか思っているんだけど。
そしてメニューを開くとさらに驚き。
食事メニューのほとんどが4桁(1,000Rs≒813円)以上。
これまでのスリランカではありえなかったこと。
やはりここは高級ホテルなのだ。
メインコースの料理の中で安すぎず、そこまで高くない、という値段だったチキンなんちゃらを注文。
ドリンクは勿論ビール、これは値段で選んだわけではないが。
料理のチキンなんちゃらはスリランカらしさこそ無かったが、骨付き鶏もも肉を焼いた1品で普通に美味。
ビール2杯とサービス料込みで約3,000Rs(≒2,439円)。
こちらの物価で考えれば高いことは高いが、それでも結果的にはたかが知れている。
それよりも改めてシギリヤロックの3,900Rs(≒3,171円)というのがいかに高いのかを実感。
レストランでのディナーを終えると夕暮れにも訪れたプールサイドバーで食後の1杯。
スリランカは紅茶の国だったな、ということでロングアイランドアイスティ(850Rs≒691円)を注文。
ただメニューを見るとロングアイランドアイスティに紅茶は入っていなさそう。
帰国して調べると紅茶を入れずに紅茶っぽい見た目と味にしたカクテルがロングアイランドアイスティだとか。
まぁ細かいことはイイや。
夕方と同じく、海風が心地良い海岸沿いでカクテルを飲みつつ、最後の夜を過ごす。
内陸部とは違って風はだいぶ湿っているが、日本のようなムワッとした暑さがないのは良い。
前夜は少々飲みすぎたことを思い出し、この夜は1杯だけにしておく。
とはいえ、シャワー浴びた後にスーパーで買った缶ビールも飲んでいるんだが。
スリランカ最終日。
今回の旅では1日毎に街を移動していたので午前中に移動を済ませておきたいという気持ちがあり、どうしても朝は慌ただしかった。
最終日はそれを気にしなくて良いシチュエーション。
なにせ出発の飛行機は日付が変わった1時20分発。
ほぼ丸1日コロンボにいられる余裕がある。
ホテルの朝食はかなり充実したビュッフェ。
高級ホテルの期待を裏切らない、確実にこの旅で最も良い朝食。
キャンディのクイーンズホテル、シギリヤのシギリヤヴィレッジ、高級ホテルのレベルも値段も次第に上がっている。
案の定、食べ過ぎた気はするが、今日は1日長いのでコレでも良いだろう。
最終日の高級ホテルなのでゆっくりチェックアウトするつもりだった。
しかし午前中に部屋でダラダラしていると他の部屋の掃除が始まり、その音が聞こえてくる。
「Do Not Disturb」にしておいてもなんだか妙に落ち着かない。
勿論、ちゃんとしたホテルなので部屋に入ってくるようなことは無いが。
昼前にチェックアウトして清算は今回もクレジットカード。
前夜のディナーやバーでの料金も含まれているが、もうこの旅では慣れたもので値段はチラ見。
何がいくらとか細かいことを覚えていないし、極端な料金でなければ素直にサインする。
思えばこの旅、初日の空港で両替した1万円分の現金以外は使っていない。
主な清算は殆どクレジットカードで済ませてしまっている。
ここまでクレジットカード利用率が高い旅も初めてかも。
それが失礼ながら先進国とは呼べないであろうスリランカ。
クレジットカードの普及率を感じさせると共に、通貨の壁というのが低くなっているのかもしれない。
チェックアウトと同時にバックパックはフロントに預かってもらい、身軽になってこの旅最後の街歩きへ。
まずはホテルのすぐ近くにあるゴールフェイスグリーンを歩いて北上、フォート地区へ。
途中で今日がブッディストフェスティバル(仏陀の祭日)、エレファントパレード(象のパレード)と言う2人ほどと遭遇。
イヤイヤ、その手口は初日に体験済みだっての。
苦笑いして「I know I know」と言っていたらコイツ分かってる、みたいな感じで離れていった。
欧州列強の植民地時代の名残を残す建物が並ぶフォート地区を歩き、その後はアジア的雑然と混沌を絵に描いたようなペター地区へ。
そこでもやはりナショナルホリデー、ブッディストフェスティバルという輩。
まったく、どんだけ仏陀のお祭りがあるんだよ。
仏教には「人を欺くな」みたいなの教えは無かったのかと疑いたくなる。
コロンボのフォート地区とペター地区はいずれもコロンボ中心部の北側。
そこからひたすら歩いてシナモンガーデンと呼ばれる、以前はシナモンの栽培などをしていたという地区へ。
ひたすら歩くが、基本的に大通り沿いなので車の通行が多く、騒々しいし埃っぽいし、道は砂っぽくてサンダルに小石とか入って鬱陶しいしあまり街歩きは楽しくない。
考えてみると今回4つの街に滞在したが街歩きが楽しい、というのはあまり無かった気がする。
歩行者天国で観光客と現地人が混在する商店街みたいなのが無いからだろう。
例えば昨年のペルーではリマの旧市街、一昨年のスペインではバルセロナやマドリードの中心部。
そういったものがあった方が街歩きは楽しめる気がする。
ショッピングモールやスーパーなどに寄って涼んだり職場用の土産を物色しつつ歩く。
なんとなくトゥクトゥクに乗るタイミングを逸して結局歩き続けた。
目指したのはパラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ。
スリランカの有名な建築家ジェフリー・バワのオフィスとして使われていた場所を改装してカフェにしている観光客に人気の店。
こうした完全に観光客向けの店の良い点は高い確率でビールがあること。
ライオンラガーが500Rs(≒407円)弱。
飯はスナック系のフライドポテトとマッシュルームフライでそれぞれ500Rs(≒407円)弱。
上品なカフェだけど頼むのは居酒屋メニューみたいなもの。
まぁ雰囲気に拘らず好きなモノを頼むのが正しいよな。
店内にいると外ではスコールのような大雨が降り出す。
外の席にいた客が慌てて屋根のある所へ避難。
ダンブッラやシギリヤで雨が降ることは無かったが、コロンボでは前日も初日もスコールみたいなのがあった。
海岸沿いと内陸部という場所の違いが気候の違いだろうか。
雨が止むまでは店内にいた方が良いだろうと判断してビールを追加。
腰を据えるつもりでゆっくり飲みつつ、旅行記やWi-Fiも繋がったのでツイートなど。
どうせ30分もすれば止むだろうと思った雨は意外と長引き、1時間ほどしてようやく上がった。
時刻は17時30分過ぎ、コロンボで最後に行こうと思っていた場所へ。
スリランカと言えばセイロン、セイロンと言えば紅茶。
しかしここまでの旅で紅茶はホテルの朝食時にしか飲んでいなかったので、最後はちゃんとした紅茶を飲んでおこうと思った。
向かったのは国営の紅茶局が運営しているという紅茶カフェ「セイロンティー・モーメンツ」。
国営の紅茶局なんてのがあるあたり、お国柄か。
18時過ぎという中途半端な時間だからか客が殆どいない。
メニューを見ると産地毎に複数の銘柄が並んでいる。
しかし産地の違いなど正直よく分からない。
メニューの1番上に載っていたヌワラ・エリヤ産の紅茶を注文。
スリランカの5大紅茶生産地の1つというのは地球の歩き方で見て知っていた。
300Rs(≒244円)、ポットに入って出てきたので3杯は飲めた。
さて、肝心の紅茶の味はどうか。
巧く説明はできないがホテルで飲む紅茶とは明らかに違う。
独特の後味というか、どこか香草を思わせるような芳香が残る。
無難に美味しい、普段飲むような紅茶とは一味違った時点で飲んだ価値があった気がする。
1つ80Rs(≒65円)と安かったのでついでに注文したのはツマミならぬお菓子。
これもメニューを見ても良く分からなかったので店員にオススメを聞いて注文。
蒸しパンみたいな1品と、なんだか形容しがたい葉に包まれた黒糖菓子みたいなもの。
どちらも紅茶に合って美味しかった。
最後の最後がビールにツマミではなく、紅茶と菓子というのは私の旅では異質だな。
これがスリランカの〆
時間は19時近くになり店を出ると外は再びの雨。
後はスーパーでお土産を買ってホテル経由で空港へ行くだけとはいえ、最終日の最後にして雨に祟られたか。
持ってきておいた折り畳み傘がようやく出番を迎える。
昼間の街歩きでお土産を買うスーパーを決めていたのでそこを目指す。
雨も降っているしトゥクトゥクを使いたい。
しかし夜で暗いのと雨が降っているのでなかなか捕まらない。
トゥクトゥクはそれなりに走っているが、殆どが客を乗せているので止まってくれない。
どうでも良い時は鬱陶しいくらい声をかけてくるのに、必要な時にいないなんて。
なんかこれまで散々トゥクトゥク相手に値下げ交渉をしたり、声をかけてくるのを無視してきたツケが回ってきているような気がした。
目指すスーパーに向けて歩きつつ、車道を見つつトゥクトゥクがいたら止まってくれるよう促す。
ようやく止まってくれた1台に目指すスーパーを告げると100Rs(≒81円)と言う。
雨も降っているし交渉する気力もなく即決。
この旅で初めて向こうの言い値でトゥクトゥク乗る。
無事にスーパーまで行き、コレと検討をつけていた土産用っぽいチョコレートと、スリランカ紅茶詰め合わせセットを購入。
チョコレートはスリランカ風なパッケージではあったものの、恐らく中身は普通のチョコ。
紅茶をアピールした紅茶風味のチョコレートやクッキーみたいなものがあったら土産として流行りそうな気がする。
その辺りは観光客が増えていく過程で成長の余地ありだろうな。
なお、会計はクレジットカードが使えた。
大きいスーパーなので入口にトゥクトゥクが数台。
相変わらずの雨だし、ホテルまでは距離もあるのでトゥクトゥクを使うことに何の迷いもない。
ホテルまで2kmくらいだろうから200Rs(≒163円)が相場か。
こちらからトゥクトゥクドライバーに声をかけ、200Rsと言うと素直にOKと。
この旅で初めてコッチの言い値で1発OK。
つまり言い値が高かったんだろうけど最終日だし、もう買うもの無いだろうから細かいことは気にしない。
ホテルに戻り、荷物を受け取り、買ったお土産をバックパックに詰める。
中の荷物を全部出して配置し直してまた詰める。
高級ホテルのロビーで何やってんだというような光景。
ホテルを出てバスターミナルに向かうために最後のトゥクトゥク交渉。
ホテルの前の通りはコロンボのメインストリートなので車は勿論トゥクトゥクも多くてすぐに捕まる。
折角なので最後は交渉する。
最初に止まったドライバーの言い値は300Rs(≒244円)。
相場的には半額で行けるはず、こちらは150Rs(≒122円)からスタート。
大通りなのでこちらも強気に交渉し、170Rs(≒138円)で決着。
トゥクトゥクに乗ると雨が強くなり、屋根のあるトゥクトゥク内なのに横から漏れてくる雨でかなり濡れる。
空港までは高速バスを使いたかったので「ハイウェイバス」とドライバーには伝えてあった。
バスターミナルが近づき、トゥクトゥクの運転手はどうやら周囲の人に高速バスの乗り場を確認してくれている。
そしてバスターミナルに近付くと、そこのカウンターだ、みたいなことを教えてくれた。
多分親切な人だったんだろう、170Rsで決着したが200Rs(≒163円)を払ってトゥクトゥクを降りた。
バスターミナルに入り言われたカウンターへ行くと、エアポートバスはアッチだと別の方向に案内される。
そこのカウンターへ行くと「エアポートバス、フィニッシュ」と言われる。
え、終わり?そんな馬鹿な。
「No bus?really??」と改めて聞くとどうやら高速バスが終了し、ローカルバスしか無いということらしい。
しかしローカルバスがどこから出るのか、聞いてもよく分からない。
187番のバスだと言われたが、その187番がどこから出るのかが分からない。
アッチだと言われるもののそれはどうやらバスターミナルの外を指している。
外は夜の雨、空港行きのバスを探して歩き回るのも厳しい。
この旅で最後の試練にぶち当たった気分。
地球の歩き方はどの国を見ても大体そうなのだが、空港から街へのアクセスは比較的色々載っているが、街から空港へのアクセスは大雑把なことが多い。
電車みたいに固定された路線なら良いのだが、どこから出るのか微妙なバスは非常に分かり辛い。
今回はバスターミナルが大きすぎて逆に分からないような状況。
これはまずい、もしかして空港まで行けないのではと少しの絶望感。
最後の手段は1番近くの高級ホテルへ行ってタクシーチャーターという考えが頭をよぎる。
幸いにしてかなり早めの行動を心掛けていたのである程度の時間のロスは大丈夫。
昼にこの辺りを歩いた時、反対側の車道から空港行きっぽいバスが出ていたことを思い出す。
一縷の望みを持ってまずはそちらに行ってみることに。
そう思ってバスターミナルを出ようとしたら西洋人旅行者を発見。
ちょうどそのときに1台のバスがターミナル前の大通りで止まる。
見ると187の数字とAIRPORTの文字、まさに空港行きのローカルバス。
西洋人旅行者も乗り込んだので大丈夫だろうと思ったが念のために運転手にもエアポート行きかを確認して乗り込む。
まさかの偶然、これは旅人としての嗅覚なのか、絶妙のタイミングで空港行きバスが来て乗ることができた。
しかし乗ったのはローカルバス、大変なのはここからだった。
ダンブッラからコロンボに向かうバスと同じでエアコンもなく、満員の車内。
おまけに私が乗った前方には大荷物を持った西洋人旅行者が数人。
最後に飛び乗ったので当然座れるはずもない。
暑い、ギュウギュウ、重い荷物、立ち乗り、荒い運転、バスに乗っているだけで汗だくになった。
前日のダンブッラからのバスも大変だったが、それを遙かに上回るこの旅1番の過酷さ。
唯一の救いはこれが最後になるであろうということか。
料金は100Rs(≒81円)だったが、倍払ってもクーラー付きの座れる車両に乗りたかった。
ローカルバスなので途中で乗客の乗降が頻発し、渋滞もあってなかなか進まない。
後半になって席に余裕が出てきてようやく座ることが出来た。
コロンボのバスターミナル前から1時間40分くらいかかってようやく到着。
エアポート、と言われて降りたが空港の入口では無い。
ローカルバスは空港から500mくらいの所までしか行かないという地球の歩き方情報。
西洋人旅行者も皆が降りたので間違いはないのだろう。
だが、暗くて空港がどっちの方向なのかが分からない。
1台だけ止まっていたトゥクトゥクは西洋人がさっさと交渉して行ってしまった。
そのトゥクトゥクの去った方向を見てそちらの方へ歩き出す。
幸いにして雨は上がっていたので歩くのはそう苦ではない。
念のためにタブレットPCのマップとGPSでも確認をして方向は正しそうだった。
空港の近くなので車はそれなりに走っているが、人通りは殆ど無いし周囲は真っ暗。
地図とGPSで方向は間違っていないと思いつつも不安になる。
すると現地人っぽいオジサンが1人歩いてきたので「Airport this way?」と聞いてみると、Yesと答えてくれる。
英語で話したところによるとそのオジサンは空港の近くに住んでいるという。
空港まで行くなら付いてこい、と言う。
これがコロンボの街中だったら何か騙す意図があるのかもと疑ってかかるところだが、地図とGPSを見る限り方向は正しそうだし素直に従っても良さそう。
お互い片言の英語でコミュニケーションをとりつつ歩く。
オジサンはコロンボの港で働いている、とのことだった。
スリランカはどうだった、何日滞在した、どこが良かった、この後はどこへ行く等々。
話すのは専ら向こうでこちらはただ答えるだけ、みたいな会話。
暗くて目標も分からない中だったので思ったより歩いた気がした。
結局10〜15分くらい歩いたところで、空港の入口だと教えてくれた。
元々あまり疑う気持ちは無かったが、結局なんの損得勘定もなく、普通に案内してくれただけだった。
「サンキュー、ストゥトィ(現地語でありがとう)」と握手をして別れた。
最後の最後に良い出会いをした気がする。
ようやく到着することが出来た空港。
空港に到着するまでの約2時間が精神的にも肉体的にもこの旅で最も過酷だったかもしれない。
時間は21時45分頃、飛行機は日付が変わって1時20分発の予定。
余裕をもって22時に着いていれば…と思っていたのでほぼ時間通り。
空港で改めて荷物の整理をして、残金を確認すると750Rs(≒610円)。
結局最後まで初日の1万円を両替しただけで現金は乗り切った。
空港内のスーパーにビールが売っていれば買っていたのだが、無かった。
それならば両替をしようと思ったが、1,000円にも満たない。
何も無いよりはマシと米ドルに替えることにする。
一部の綺麗なお札は記念に残しておき、約500Rs(≒407円)を両替。
結果、3ドル(≒309円)という。
端数は切り捨てされて足元を見られている気がしたが、スリランカルピーを持っていても仕方ないので納得する。
ただ、空港の味気ない両替で細かな端数を取られるくらいならこれまでのトゥクトゥクドライバーにチップとしてあげた方が良かったな。
出国審査前のエリアに目ぼしい所は無かったので出国審査へ。
簡単なセキュリティチェックを受け、出国審査は10分も並ばずに終わった。
その後のエリアは意外にお店などが豊富でベンチも沢山。
到着ロビーからもこちらへ来られそうで、中には寝ている人もいる。
実は到着した日もコッチ側に来て寝られたんじゃなかろうか。
それが可能であったのなら到着エリアよりもこちらの方が安全に見える。
次回に似たシチュエーションがあるなら試す価値はありそうだ。
落ち着けるベンチを見つけて顔用と身体用のメントールウェットティッシュで顔と身体と足を拭く。
顔と足を拭いたウェットティッシュはかなり茶色くなり、1日コロンボの街を歩き続けた汚れがこびりついている感。
特に足がヤバく、拭いたウェットティッシュ自体がかなり汗臭い。
明朝、シンガポールに着いたら空港にシャワールームがあったはずなのでお金を払ってでもシャワーを浴びて着替えようと思う。
そうしないと街の美化に厳しいシンガポールに入国できないんじゃないかと思うくらい汗臭い気がした。
出発の1時間ほど前に搭乗口へ行き、改めてセキュリティチェックを受けて搭乗待ち。
そこから30分ほど待たされて入った機内はほぼ満席。
1時25分に動き出し、1時35分に離陸。
1日の疲れが出て出発前から殆ど寝ていた気がする。
2時30分過ぎに機内食、どうやら晩飯の扱いのようだ。
この日の食事は全て不規則な時間だ。
いつものようにビールを注文したらキングフィッシャービールが出てきた。
これは確かインドのビール、しかもストロングと書いてありアルコールが7.2%もある。
まさかインドのビールが機内で飲めるとは。
スリランカに近いからこそだろうか。
考えてみればこれほど動き回った旅はインド以来かもしれない。
同じホテルには2泊しなかったし、移動の予定は全て現地手配、空港泊や機内泊もインドと同じ。
ローカルバスの過酷さもインドの列車と重なる。
やはり発展途上アジアを旅するにはこうなるのだろうか。
でもそろそろ年齢的に今回のような旅は厳しくなってくるのかな、とスリランカを離れる機上でインドのビールを飲みつつ思った。
飛行時間は約3時間40分、スリランカ時間の5時15分、シンガポール時間7時45分にシンガポール到着。
チャンギ空港で最も新しいターミナル3に到着。
空港内もトイレも綺麗、この空港のトランジットエリアなら住める。
まずは何よりもシャワーを浴びたい、恐らくそれは入国前のエリアにあるはず。
インフォメーションで場所を聞いて向かう。
シャワー利用は税込16.48シンガポールドル(≒1,365円、以下S$)。
思ったよりも高かったがクレカで迷わず支払い。
鍵のかかる個室のシャワールームが並び、スリランカで泊まったどのホテルよりも綺麗で清潔。
サンダルごと全身を洗い、Tシャツも着替えてサッパリ。
これでどうにかシンガポールに入国できるだろう。
シャワーを終えるとラウンジが使え、PCでインターネットできるし、コンセントも使えるしWi-Fiも空港のとは別に設定されている。
挙げ句にはビュッフェコーナーもあり、各種ドリンクや軽食、サンドイッチなどがつまめる。
それらもシャワー料金に含まれているらしい。
複数あるソファも快適だし、余裕で寝られる。
シャワーだけで16.48S$(≒1,365円)なら高い気がしたが、このラウンジ付きならむしろ安いくらい。
予想以上に快適な空間だったのでタブレットPCの充電をしつつ長居してしまった。
シンガポール発の飛行機は22時30分なので時間にはかなり余裕がある。
もっと早い時間の飛行機もいくつかあったのだが、帰路もシンガポールに寄りたかったのと、羽田着の飛行機を選んだら必然的にそれになった。
コロンボと違い、シンガポールの場合はMRTがあるので空港に戻る交通手段が分からずに困るなんてことも無い。
戻り時間の計算をしてから街へ出ることに。
時間をずらしたからかシンガポールの入国審査は誰もいない。
こんなの初めてな気がする。
入国審査官も暇なのかこれまで求められたことが無かった帰りの航空券を見せるように言われた。
勿論何の問題も無く入国完了。
来た時と同じように荷物を預けて街へ向かう。
帰路のシンガポールでの主な目的は2つ。
そのうちの1つがホーカーズ(屋台街)のチキンライス。
日本でいうオムライスのご飯みたいなチキンライスでは無く、海南風チキンライスやハイナンチキンライスなどと呼ばれるもの。
茹で鶏とその茹で汁で炊いた白米を共に皿へ盛り付けた料理でタイ料理だとカオマンガイの名前で知られている。
前回(2012年)に来た時に食べ、安くて美味かったのを覚えていた。
今回も是非食べたいと、前回と同じマックスウェルフードセンターを目指す。
MRTで最寄りのタンジョン・パガー駅へ。
前回も来た、旧シンガポール駅に近い所。
地上に出て街の綺麗さと車は多く走っているのにその静かさに感動する。
スリランカだと埃っぽい荒れた道とひっきりなしに鳴らされるクラクション、声をかけてくるトゥクトゥクドライバーと何か騙そうとする輩で油断も隙も無かった。
それがシンガポールだとまぁ落ち着いて歩ける。
これこそが先進国だよなと思う。
それと同時に私が諸外国(特にアジア)へ行くと感じる「クラクションの音量(あるいは数)と民度(あるいは国の発展度)は反比例する」という持論にますます確信を持った。
目指すマクスウェルフードセンターに着いたのがちょうど12時頃。
前回チキンライスを食べた天天海南鶏飯は大行列。
当時から人気店ではあったが、今回は昼飯時ということもあり前回よりも混んでいる。
そして並んでいる人の1〜2割くらいは日本人だった気がする。
現地人ばかりの行列なら並んでも良かったが、日本人もチラホラいる中では並びたくない天邪鬼。
屋台街には似たような店があり、天天海南鶏飯の3軒隣にもそれなりに人が並んでいるチキンライスの店。
店頭に掲げられている新聞か雑誌の切り抜きを見ると天天海南鶏飯で修業をしたシェフが独立して開いた店、みたいなことが書いてある。
行列もそこそこだし、ココで良いかと思って並ぶ。
他に全く列のできていないチキンライスの店もあったが、さすがにそこは避けた。
チキンライスセット5S$(≒414円)と他の店で買ったタイガービール小瓶4.2S$(≒348円)。
コッチでは安いもののはずがスリランカ値段で考えると高い。
チキンライスの味はまさに求めていたもの。
2年前のチキンライスの味を覚えているわけではないが、記憶の中の味と大差無い気がした。
倍以上の時間をかけて並ぶであろうことを考えるとこれで充分。
その後、チャイナタウン駅からベイフロント駅へ行き、シンガポールの象徴ともなっている船のオブジェが乗っかったマリーナ・ベイ・サンズホテルへ。
シンガポールでの主な目的の2つ目はこの船の展望台。
この展望台、宿泊客以外は23S$(≒1,906円)払えば登ることが出来る。
しかし、宿泊しなくても23S$払わなくても同じような景色を楽しむ方法がある。
シンガポール在住の友人がいるという同僚から教えてもらったその方法は展望台にあるバーを利用すること。
高級ホテルのバーなのでドリンクとサービス料で20S$(≒1,657円)くらいかかるが、展望台の料金とほぼ同じと考えるとドリンクも付いてくるバーの方がお得、ということ。
折角教えてもらったので行くことにした。
MRTのベイフロント駅から直結しているマリーナ・ベイ・サンズホテル。
そのタワー3に「KU DE TA」(クデタ)というバーへの直通エレベーターがある。
バーへ行くと言うと通してくれてエレベーターに。
タイミングが良かったのかエレベーター内に客はおらず、エレベーターを独占して一気に57階まで。
到着すると室内のガラス張りレストランと屋外にバーという雰囲気。
1段下がった所が有料の展望台らしく、バーからそちらへは行けないようになっていた。
バーの方が1段上なので高い所からの景色が見られる。
但し、展望台の方が船の先端など展望台の端っこまで行けるような作りになっている。
それでも景観はバーからでも充分。
マーライオンパークを始めとしたシンガポール一帯の景色。
反対側は海に面していてタンカーなどの船が行き交っているのが見える。
街と海の両方が眺められる。
同じ高所からの眺めでもシギリヤロックとは種類が違う。
そして太陽の強烈さはシギリヤロックと同じだが、違うのが風。
高所かつ海がすぐそばにあるのに展望台は風が全く吹かない。
そのような設計になっているのだとしたら大したものだ。
パラソル付のテーブルとイスや、立ち飲み用のテーブルなどがあり、飲んでいる人や明らかな日本人もチラホラ。
満席というわけでは無く、半分くらいの入りか。
暫く景色を眺めていても店員からは何も言われない。
セルフサービスみたいなものなのか、とりあえずバーカウンターへ行きメニューを見る。
さすがは高級ホテルのバー、パッと見で殆どのメニューが15S$(≒1,243円)超え。
高いメニューが並ぶ中でも値段的にも手頃だし、最も馴染みがあるビールを注文。
ビール16S$(≒1,326円)とサービス料や税込で18.83S$(≒1,560円)。
有料展望台の料金が23S$(≒1,906円)と考えればこちらの方が安い。
有料展望台の方が行動範囲は広そうだとはいえ、殆ど同じ景色を有料展望台より安く、しかもドリンク付きで楽しめるのなら軍配は完全にバー。
高いビールなのでゆっくり飲みたいが、太陽が近くて暑いので油断するとすぐに温くなりそう。
Wi-Fiが繋がるのでツイートなどをして展望台での時間を過ごす。
ビール1杯だとそう長時間持つわけではなく、景色も特に変化は無いのでバーを後にする。
このまま降りるのも惜しいなと思ってバーの反対側へ行ってみたら屋上プールがあった。
世界一高い所にあるプールという触れ込みの所。
ココは入口にホテルマンがいて、ルームキーか何かを見せないといけないらしく、宿泊客しか入れないようになっていた。
ただそのプールの入口脇にもう1軒のバーを発見。
入口には「夕方(18時だったかな?)からはドレスコードがあります」みたいな表示。
時間は昼過ぎなので大丈夫、ここまで来たら入ってみる。
眺められる景色は最初に行ったバーは海から街まで270度くらいが見られたが、こちらはシンガポールの街並みが180度くらい。
その代わりにプールが見られるようになっているのと、客はこちらの方が少なくて落ち着いている。
何か頼まないとな、とやっぱりビールを注文。
値段は同じだったが、こちらの店だとツマミのポテトチップスが付いてきた。
サービスはこちらの方が良いか。
日陰で大きな扇風機が回っている席があったのでそこで休憩。
店内を見ていると客は入ってくるが、何も注文せずに景色だけ見て写真撮って出ていく連中も数組いた。
日常茶飯事なのか特に店員も注意するわけでもない。
ただ明らかな観光地で高級ホテルの展望台に来ているのだからそこは何か注文するのがマナーだと思う。
この場所に来ている時点でお金持ってないわけが無いんだし。
トゥクトゥクの値段は頑張って交渉するが、こういう所ではキッチリお金を払う。
私の旅人としてのプライドみたいなものか。
シギリヤロックの頂上からの景色との違いたるや…
チキンライスを食べ、マリーナ・ベイ・サンズの展望台へも来られた。
これで今回の旅の目的は100%果たしたので後は惰性で過ごすくらい。
マリーナ・ベイ・サンズの近くにガーデンズ・バイ・ザ・ベイという植物園が2012年6月にオープンしたとの情報。
私が前回シンガポールへ行った直後にオープンしたことになる。
一部に有料のスポットもあるが、基本的に入場無料とのことなので歩いてみる。
しかし少し歩いただけで強い陽射しと暑さですぐに疲れてしまう。
考えてみれば前日は昼過ぎからほぼずっと歩き続けており、さらに睡眠時間は飛行機内の合計3時間あるかないか。
そんな状態でそれほど精力的に行動できるわけがない。
広すぎる公園内を暑い中あまり歩く気になれず、早々と引き上げてクーラーの効いたマリーナ・ベイ・サンズ内に避難。
ホテルに隣接されているショッピングモールをウロウロするも座って休むような所は意外と少ない(飲食店に入れば別だが)。
旅の目的は全て果たしたわけだし、そろそろおとなしくすることに。
MRTでクラークキーへ移動し、最後のビールを物色。
夕方の時間帯でハッピーアワーの店が殆ど。
1BUY1GETよりも1ビール半額となっていてくれた方が安上がりで済む。
ハッピーアワーで半額になるとはいえ高級ホテルでもないのにビールの値段が15S$(≒1,243円)って高すぎるのでは。
或いはハッピーアワーだけの二重価格か。
どちらにせよ、ハッピーアワービール7.5S$(≒621円)とおつまみのオリーブ6S$(≒497円)くらい。
ゆっくり飲みつつも時間を過ごす。
会計は合計16.20S$(≒1,342円)
最後の店はクレジットカードでは無く、余っていた現金で清算。
シンガポールドルも結局初日に両替した5,000円分だけで過ごせた。
ビールを飲み終え、時間は早かったが店を出て空港に戻ることにする。
最後の力を振り絞りマーライオンパークまで歩き、締めにマーライオンを眺めておく。
マーライオンに始まり、マーライオンに終わった旅になったのかもしれない。
次がいつかは分からないが、チャンギ空港の利便性を考えるとシンガポールは今後も経由地として訪れることがありそうだ。
初めてシンガポールを訪れてから12年が経ち、今回で実に4回目。
私の訪問国回数としては香港(計3回)を抜いて単独トップに立った。
しかし、シンガポールで宿泊したのは1回だけ。
いかに経由地として利用しているか、優れているかを表す数字かもしれない。
最初に訪れた時はセントーサ島にユニバーサルスタジオは無かった。
2回目に訪れた時はマリーナ・ベイ・サンズは無かった。
3回目に訪れた時はガーデン・バイ・ザ・ベイ(植物園)は無かった。
次に来る時にはまた何か新しい名所が出来ている気がする。
そんなことを思いながら空港へ。
空港に到着し、荷物を受け取ってさっさと出国手続き。
出国手続き後の方が色々と設備が充実しているのは把握済み。
昼にチキンライスを食べた以外はポテトチップスとオリーブをつまんだだけなので少し腹が減ってきた。
残りの現金は5S$(≒414円)、街中のホーカーズなら余裕だが、空港の食堂街は物価が高い。
いくつか見て回るが食事として食べられそうな物の最安値は5.5S$(≒456円)。
見事に0コンマ単位のシンガポールドルが足りない。
小皿料理1品だけなら5S$以下であったが、それだけ買うのも貧乏臭い。
日本人がアチコチにいたので少しだけ両替してもらうことも出来ただろうが、コンマ僅かのお金を両替するのも貧乏臭い。
下手なプライドが邪魔をする。
トゥクトゥクの交渉で値下げさせるレベルの金額だけになんだか悔しい。
店員に聞くとクレジットカードが使えると言うので現金はやめてカードに。
これで一気に形勢逆転、何でも食べられる。
さっきまではいかに5.5S$で抑えようかばかり考えていたが、気にせずビールまで付ける。
とはいえ飛行機で機内食も出そうなのでガッツリ食べることはせず、控え目にワンタンヌードル6S$(≒497円)とビール5S$(≒414円)。
旅の最後に空港のフードコートで1人、安っぽい飯とビールを飲んでいるとなんともいえない侘びしさが。
似たような状況でも出発時ならテンションも上がっているのだが。
飛行機の搭乗開始まで約1時間。
免税店を冷やかす気にもなれず、搭乗口近くで座って待つ。
必然的にこれまでの疲れが一気に襲ってきてアッという間に眠りに落ちる。
ハッと気付いて起きた時には搭乗時間、幸いまだ搭乗は始まっていなかったが危なく寝過すところだった。
帰りの便もほぼ満席で、夏休みだからだろう家族連れが目立つ。
他のアジアの国ほど雑然としていないし治安も良くて英語も通じる。
セントーサ島(ユニバーサルスタジオがある)、動物園、植物園、ショッピングモール、カジノ等々…
あらゆる客層に対応した施設があるので家族旅行にも最適だろう、シンガポール。
残念ながら私はマーライオン狩りと経由地くらいにしか利用していないが…
席に着くとすぐに就寝態勢。
ウトウトしていると機内アナウンスがあり、搭乗手続きをしたが乗らなかった客の荷物を降ろす作業をしているために出発が遅れているとのこと。
そんなこともあるんだなってのと同時にそこまで分かるシステムになっているんだと感心した。
もしかしてテロ防止かとも思ったが、単純に荷物だけ日本に持って行っても意味が無いわな(勿論テロ防止の意味合いもあるんだろうが)。
シンガポール時間の23時過ぎに離陸、飛行は6:45を予定とのこと。
さっさと眠ってしまいたいが、もうすぐ来るであろう機内食を考えると完全に眠るわけにはいかない。
結局機内食が来たのは0時30分頃、意外と時間がかかった。
勿論ビールと共に完食し、今度こそちゃんと就寝。
起床もやはり機内食。
シンガポール時間でAM4時、結局3時間くらいしか眠っていない。
パン1つとカップケーキとフルーツの朝食だとビールを飲む気にもなれない。
次第に窓の外が明るくなっていき、窓の外には明らかに富士山が見えた。
モニターに映される飛行状況を見ても位置的に富士山だし、あんな綺麗な三角形の山が単独で見えるのは富士山以外に考えられない。
これまでにも飛行機の窓から富士山が見えたことはあったが、今回ほど大きくは見えなかった。
以前に富士山が見えた時は成田着の便で今回は羽田着。
羽田便の方がより陸地に近い所を飛ぶ、という違いだろうか。
シンガポール時間でAM6時前、日本時間だと7時前、羽田に到着。
今回も無事に帰国。
朝の便だからか羽田だからか、入国審査は並ぶことも無く終了。
折角の自動化ゲートは出国時にしか使わなかった。
地元へのバスを確認するとおよそ10分後に出発という好タイミング。
外へ出ると朝なのにムワッと蒸し暑い。
この時点で既にスリランカよりもシンガポールよりも暑いってどういうことだよ…
羽田の利点は何といっても近さ。
帰国から2時間もしないうちに帰宅していた。
近いのは良いが、現実に戻る時間があまりに早すぎるのも考え物か。
〆
今回の旅の印象は「久しぶりにアジアらしい旅をした」ということ。
現地での移動を全てその場で決め、毎日滞在する街が変わる。
振り返るとそうした旅はインド以来。
さすがにインドのようにホテルも何も決めない旅はもうやる気は無いが、このレベルの旅ならまだまだこなせそう。
スリランカのイメージはリトルインドと言ったところか。
人の見た目が似ているのは勿論、トゥクトゥクの多さや街の喧騒、カレーが目に付く食事もそう。
ただ全体的にスケールは小さく、事実上の首都コロンボは大きかったが、第2の都市キャンディがあの規模ということは他の街は言わずもがなか。
その分、インドよりは擦れていないというか、過ごし易い、旅し易い印象もあった。
トゥクトゥクや客引きもインド程の煩わしさではないし、騙そうとする手口もワンパターン。
アジアの国の中でも治安は良い方だと言うのもなんとなく分かる気がした。
インドとの違いはヒンドゥー教と仏教という宗教観の違いだったりするのかな、などと何も知らないのに偉そうに思う。
本文中でもインドとの比較は出てくるが、似た雰囲気の国だから似た雰囲気の旅になったのかもしれない。
私は文化三角地帯のごく一部しか行かなかったが、スリランカには他にもアヌラーダプラやポロンナルワという代表的な世界遺産の古都もある。
効率良く回ればダンブッラとシギリヤは1日で行けて次の街まで移動できただろう。
昔の私ならそうした旅をしていたかもしれない。
でも昨年のマチュピチュもそうだったが、コレという目的(今回ならシギリヤ)があればそこをじっくり堪能するスタイルに変わってきている気がする。
こうして旅の形も少しずつ変わっていくのだろう。
今回も全体的にアナログな旅をしつつも現地感覚では高級に分類されるホテルやレストランへ行き、支払いは殆どクレジットカード。
現地で使用した通貨が初日の1度だけの両替で済んだ旅は初めて。
ある意味でクレジットカードという世界共通の通貨を持っているようなものか。
そしてもう1つの旅の重要なツールが前回から使用しているタブレットPC。
今回泊まった全ての宿、クレジットカードが使えるような飲食店でも高い確率でWi-Fiが使えてネットに接続できた。
そしてタブレットPCで最も役に立ったのがGPS付の地図。
地球の歩き方など紙媒体の地図だと初めて降り立つ街では自分がどちらに向かっているのかが分かり辛い。
その点でGPS付の地図なら進む方向までしっかり分かる。
ネットに繋いだ状態で1度目的の地図にアクセスしておけば、後はオフラインでも使えるのが素晴らしい。
前回もその便利さに感激したが、慣れもあって今回の方が多く活用できた。
こんなに便利ならもっと早くから着目しておけば良かった。
スマホがタブレットPCの小型版に電話機能も付いているというのなら、スマホも相当便利なのか。
将来スマホを持つようになった時、もっと早くスマホに変えていれば良かったと思うのだろうか。
…話がいつの間にか変わっている。
そんなわけで原点回帰のようなアナログな旅をしつつもデジタルツールを駆使した旅となった。
この旅の形は暫く変わらないか。
旅の費用
スリランカ往復航空券(シンガポール航空、羽田〜シンガポール〜コロンボ)
65,000円
航空券関連諸税(空港使用料・保安料・保険料・サーチャージ)
56,140円
往復航空券代合計
121,140円
7/26
シンガポールのバーでビール(BREWERKZ- RIVERSIDE PT)
1,770円(21.20S$)
現地両替
5,000円
7/27
コロンボのホテル(CITY BEDS THE REGENT)
5,164円(6,500Rs)
コロンボのカフェでビール(THE CRICKET CLUB CAFE)
918円(1,154.35Rs)
現地両替
10,000円
7/28
キャンディのホテル(QUEENS HOTEL)
8,222円(10308.17Rs)、宿泊費とカクテル1杯
キャンディのレストランで晩飯(THE PUB)
1,294円(1,628Rs)
7/29
ダンブッラのホテル(HOTEL TINAYA)
4,909円(6,100Rs)、宿泊費とビール代
7/30
シギリヤのホテル(SIGIRIYA VILLAGE)
9,903円(96.03ドル)
シギリヤホテルのバー
1,809円(2,250Rs)
シギリヤヴィレッジのバーと晩飯
3,201円(3980.01Rs)
7/31
コロンボのホテル(GALLE FACE HOTE)
19,620円(24391.52Rs)、宿泊費と晩飯とバー
8/1
コロンボのカフェ(PARADISE ROAD GALLERIE)
1,908円(2372.22Rs)
コロンボのスーパー
2,043円(2,470Rs)
8/2
シンガポールの空港ラウンジ(AMBASSADOR TRANSIT LOUNGE)
1,382円(16.48S$)
マリーナ・ベイ・サンズのバー(KU DE TA)
1,583円(18.83S$)
マリーナ・ベイ・サンズのバー2軒目(KU DE TA-MBS)
1,583円(18.83S$)
シンガポールの空港で軽食(PALMS FOOD INT'L P/L)
925円(11.0S$)
その他
スリランカビザ
3,116円(30ドル)
海外旅行保険
2,420円
合計
207,912円
アジアだけの旅にしては高かった気がする。
それなりに良いホテルに泊まったことと、物価の高いシンガポールが原因か。
そう思って過去のアジア旅と比べてみたら目立って高かったのは航空券代だった。
恐らくサーチャージが効いているのだろう。
金額はクレジットカードの請求額を記載しているため、本文の値段とは齟齬があると思う。
クレジットカードだと詳細が残るので旅の記録にしても良い。