ユーラシア大陸最南端
2012年5月3日〜8日

毎年海外へ行こう、2005年から続いているこの習慣。
2年に1度は2回海外へ行こう、2008年から続いているこの習慣。
夏季オリンピックとサッカーW杯イヤーは2回海外へ行っている年。
今年は夏季オリンピックイヤー、しかし行くところがなかなか思い浮かばなかった。

 

準備

今夏の海外旅行の第1目標は昨年行こうと思って行けなかったペルーのマチュピチュだった。

本当はマチュピチュ発見から100周年である去年に行きたかった。

しかし行こうと思った4ヶ月前に検索したら安い席は既に売り切れていた。

昨年の轍は踏まぬぞと半年以上前から航空券を探してみたが安い席は早くも売り切れ。

旅行代理店から代替案を提示されるも10万円もの開きがある。

安い航空券に10万円上乗せしてまでも今年マチュピチュに行きたい理由は無い。

これから出てくる航空券はあるかもしれないが、代替案を探しておいた方が良さそうだ。

近年はアジア旅行が主だったが、昨年ロシアへ行ったことでヨーロッパ旅行は解禁していた。

ヨーロッパを候補地に入れられると旅行範囲は格段に広がる。

そんな中でもスペインは卒業旅行で行きたいと思いつつもルートの関係上行けなかった国の1つ。

そのスペインの位置を考えたらその横のポルトガルが思い浮かんだ。

ユーラシア大陸の最西端であるポルトガルも悪くない。

ネットで調べるとユーラシア大陸の最西端の地というのがポルトガルのロカ岬という所にあるらしい。

旅の目的地として良いなと思いつつ、ユーラシア最西端があるのだから東南北もあるのだろうと調べてみた。

北と東はいずれもロシア、北に至っては地球上の大陸の最北端になるとか。

さすがにそれは厳しいと思ったが、意外にハードルが低そうだったのがユーラシア大陸最南端。

マレーシアの都市ジョホールバルから少し行った所にあり、シンガポールから日帰りツアーが出ているくらいの場所らしい。

これなら行けるのでは?

しかもシンガポールやマレーシアなら長期休暇を取らなくても大丈夫そう。

メインとなる夏旅行の前にサブのアジア旅行として適当な場所。

折りしも職場で今年のゴールデンウィークは休みの配列が良いねーと雑談していたところ。

5月の1日と2日を休んだら前後の土日を含めて9連休になる配列。

それを踏まえてマレーシアとシンガポールの航空券を調べてみたけれど予想通り連休中はそれなりの値段。

しかし帰国便を連休明けに指定すると意外に高くない。

連休の間ではなく、連休明けに休みを取ることが出来れば良い。

週末に酒飲みながらネットで検討しているうちにどんどんその気になってきた。

そして気がつくとシンガポール行きの航空券を探していた。

ユーラシア大陸最南端の地はマレーシアながら、シンガポールから行った方が近い。

おまけにマレーシアの首都クアラルンプールよりもシンガポールへの飛行機の方が多い。

そんなわけでシンガポール行きの航空券を予約してその場でネット購入。

購入前にその他の航空会社や旅行代理店のツアーなど諸々を検討したうえでの購入ではあるが、僅か数10分で数万円の航空券を購入。

私史上でも類をみない衝動買い。

シンガポールとマレーシア、どちらの国もこれまでに訪れたことはあるが、宿泊を伴う滞在は無かった国の2つ。

奇しくもマレー鉄道でタイ・マレーシア・シンガポールを縦断してからちょうど10年。

このタイミングでこの2ヶ国を訪れることは必然なのかもしれない。

 

 

2012年5月3日 木曜日

今回の航空券は羽田空港発。

衝動買いしたときには意識していなかったが、改めてEチケットを印刷しようとして気がついた。

海外旅行=成田空港のイメージが定着していたので羽田だとは思わなかった。

ちゃんと確認したから良かったものの、下手したら成田へ行っていたかもしれない。

羽田発は23時50分の予定、つまりゴールデンウィーク後半初日は殆ど丸々休日として使える。

…と思っていたが外は生憎の雨がかなり強く降っている。

最低限の旅の準備だけ済ませると後は家でゴロゴロするいつものなんでもない休日。

それでいながらこれから海外だと思うとソワソワしてしまう。

こうした出発前の気分がまた良い。

成田空港へ行く際はいつも地元からバスに乗るが今回は羽田空港。

おまけにゴールデンウィークともなると道が混んでいるかもしれない。

そんなわけで今回は敢えて全て電車で空港まで行くことにした。

明るいうちはかなり降り続いていた雨も上がり、旅の始まりとしては幸先が良い。

夜も遅い時間だったので電車も空いている。

ゴールデンウィーク後半初日の夜が終わりそうな時間帯、電車の中もどことなく疲れた空気が漂っている。

そんな中、私のゴールデンウィークはまさにこれから始まるという高揚感。

横浜経由で京急に乗って到着した羽田空港国際線ターミナル。

まだ新しく小奇麗な感じがしたのは気のせいだろうか。

到着早々に搭乗手続きを済ませてから羽田の国際線ターミナルを散策。

成田空港よりも「和」を重視したようなレストラン・売店街。

22時を過ぎると次第に閉まる店も増えてくる。

開いていた喫茶店に入ってビールとツマミ。

晩飯を食べようかと思ったが搭乗手続きの際に機内食が出るかを確認したら出るというので控えておいた。

23時を過ぎると殆どの店が閉まってしまい、かなり寂しくなる。

出国手続きを済ませた先の雰囲気は成田も羽田もそう変わらない。

シンガポールまで直行のJALは満席、さすがはゴールデンウィーク。

日付が変わった頃に離陸した飛行機。

機内食が出るのを今か今かと待っていたが、出てきたのはスナックとおにぎりという軽食。

ちゃんとした機内食が出るとばかり思っていたので拍子抜け。

ビールで流し込んで就寝。

 

 

2012年5月4日 金曜日

日本時間の早朝5時30分頃に朝飯が出た。

機内食って朝食のことだったのか。

そういえば「機内食は出ますか?」とは確認したが、晩飯か朝飯かは確認していなかった。

さすがにこの時間からだとビールを飲む気になれず、オレンジジュースで健康的な朝食。

7時間弱のフライトの末、シンガポールのチャンギ空港に到着。

日本時間6時50分、シンガポール時間5時50分、外は夜明け前で真っ暗(以降の記載はシンガポール時間)。

まずは入国手続きを済ませてシンガポール入国。

タバコ1本からでも課税対象で厳しいと聞いていた税関も何事も無くスルー。

到着から30分後にはシンガポールに入国していた。

シンガポールのチャンギ空港からマレーシアまでのバスが出ているのでそれに乗って一気にマレーシアまで行く予定。

空港のインフォメーションでバス乗り場を聞くと始発バスまで1時間近く時間がある。

まずはシンガポールのお金を手に入れないとバスにも乗れない。

目に付いた空港内両替所の中で最もレートの良さそうな所でとりあえず3,000円を両替する。

3,000円で45.3シンガポールドル(以降の記載はS$)、1S$≒66円(以降のレートはこれで計算)。

10年前に初めてシンガポールを訪れたときは1S$≒71円、5年前に再訪したときは日本で両替して1S$≒87円。

今回が1S$≒66円なら過去のシンガポール来訪と比べてもかなり良いレートだ。

マレーシア行きのバス乗り場を見つけ、バスの到着を待つ。

次第に明るくなり、7時をすぎて日が出ると東南アジア特有の蒸し暑さが勢いを増す。

案内表を見ると7時15分発のバスが10分待っても来ない。

空港のバスターミナルみたいな所なので、すぐ近くではシンガポールの有名ホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」の立派な送迎バスが止まっている。

明らかな日本人観光客が嬌声を上げてそのバスに乗り込んでいくのを見送る。

マレーシア行きのバス乗り場は他に誰も待っている人がいなく、本当にココから出るのかと不安になる。

蒸し暑さが不快になってきた10数分後、ワゴン車に毛の生えたような車が止まった。

地方の温泉宿の送迎バスのようで、20人も乗れない小型バス。

まさかコレ?と思い「to ジョホール・バル(マレーシアの国境の街)?」と聞くと「Yes」という運転手。

オイオイ、国境を越えるバスがコレなの?

すぐ横に止まっているホテルへの送迎バスの方が何倍も立派じゃないか。

おまけに出発時刻を15分以上も過ぎているにもかかわらず運転手は客の私を置いてどこかへ行ってしまった。

数分後に運転手は飲み物を買って戻ってきたが、運転席に戻るではなく喫煙所でタバコを吸っている。

案内表の時刻はとっくに過ぎているのに自由すぎる。

そうだ、ココは日本じゃないんだと改めて感じる。

閑散のバス
国境越えのバス内

結局私1人だけを載せてバスは出発。

料金はマレーシアの国境の街ジョホール・バルまで7S$(≒462円)。

最初は私しか乗っていなかったバスだが、バスはチャンギ空港にある3つのターミナルを経由する。

2つ目のターミナルで乗ってきたのは明らかに日本人。

同じ日本人だからだろうが、運転手に「ジョホール・バル?」と聞いた英語の発音ですぐに分かった。

1人で乗ってきた日本人(男)で、恐らく向こうも唯一の乗客である私を日本人と認識しただろうが会話は交わさなかった。

シンガポールの空港から直接マレーシアに向かおうとしている時点で旅の初心者では無いだろう。

最後まで2人だけなら言葉を交わしても良かったが、次の空港ターミナルで東南アジア系の複数人が乗ってきた。

それでバス内の席が半分くらい埋まったので話すタイミングを失った。

そうこうしているうちにバスは空港を出てマレーシアへ向かう。

陸路での国境越え(正確には橋だが…)は10年前にシンガポールを訪れて以来。

その時はタイのバンコクからマレー鉄道を南下した最後の国境がマレーシアとシンガポールだった。

あれから約10年、今度はシンガポールからマレーシアへの国境を越える。

久々の国境越えを楽しみにしていたが、前夜の機内泊が効いたのだろうバスの揺れでアッという間に眠りに落ちていた。

目が覚めると橋の上っぽい、アレ?もしかして国境?と思うとバスが止まった。

半分眠ったような状態でバスを降ろされた。

我々のバス以外にも様々なバスが到着していてそれなりに人がいる。

乗客は全員降りて大きな建物に向かう、どうやらそこがイミグレーションのようだ。

人の流れについていくとシンガポールの出国手続き。

シンガポールに入国した2時間半後にはもう出国しているという事態に。

そのまま流れで入口とは別の出口へ進むとそこにも様々なバスが止まっている。

自分の乗ってきたバスがどれだか分からなくなり焦る。

幸い運転手がコチラを見つけて手招きしてくれて助かったが、置いていかれたらどうなったのだろう。

危うく国境間の無国籍地帯で置いてけぼりを食らうところだった。

コーズウェイと呼ばれるシンガポールとマレーシアを結ぶ国境橋をバスは進む。

すぐにマレーシアのイミグレーションに到着。

何事も無く入国審査が終わり、マレーシア入国。

シンガポールと国境を接しているマレーシアの街はサッカー好きならその地名を聞いたことがあるであろうジョホール・バル。

マレーシアの首都クアラ・ルンプールに次ぐ第2の都市。

クアラ・ルンプールがKLと略されるように、ジョホール・バルはJBと略されるらしい。

以降は本文でも基本的にJBと記述する。

立派な建物のイミグレーションビルはJB駅に直結しているらしく、ウロウロしていると駅ビルに入っていた。

10年前にはマレー鉄道でJB駅からシンガポール入りしたが、こんなに立派な建物ではなかった。

ガイドブックによると当時のJB駅はもう無く、現在の駅はJBセントラル駅として新設されたものらしい。

さすがに10年も経つと色々なことが変わる。

駅の中にはお店とともに両替所もあったので5,000円をマレーシア通貨のリンギットに両替。

5,000円で187リンギット(以降の記載はRM)、1RM≒27円(以降のレートは1RM=27円で計算)。

10年前にマレーシアを訪れたときは1RM≒32円、シンガポールでもそうだったが今の日本円が強いということか。

無事にJBに到着してお金も手に入れた、ようやく旅が始まる。

時刻は朝の9時過ぎ(シンガポールとマレーシアの時差は無い)。

予定ではこの日のうちに旅の最大の目的地であるユーラシア大陸最南端に行ってしまうつもりだった。

荷物が邪魔だったのでホテルへ行き、チェックインは出来ないまでも荷物だけ預かってもらえるか頼んでみることにした。

ネット経由で予約したJBでのホテルはプテリ・パシフィック。

「JBで最高級のホテル」と地球の歩き方に紹介されていたにも関わらず朝食付き1泊6,900円だったので即決した。

朝食無しなら6,000円未満だったが、高級ホテルの朝食バイキングは好きなので朝食付きにした。

JB駅から徒歩数分で辿り着いたホテルは高級ホテルと言うだけあって立派。

フロントへ行って荷物だけ預かってもらえないか交渉。

「今夜泊まるんだけどチェックイン時間前だから荷物だけ預かってくれませんか?」

というようなことを英語で伝えてホテルバウチャーを見せるとなにやら手続きをしている。

そしてルームキーを渡してくれた。

え?部屋行って良いの?チェックイン?

なんと朝の9時30分過ぎにもかかわらずチェックインさせてくれた。

荷物だけ預かってもらえれば良かったのだが想定外のアーリーチェックイン。

JBでも幸先は良さそうだ。

ちゃんとしたホテルだけにちゃんとした部屋で満足。

部屋に入ると少しゆっくりしたいとも思ったがイヤイヤ、旅は始まったばかり。

バックパックは部屋に置き、最低限の荷物だけを持って身軽になり部屋を出る。

目指すはユーラシア大陸最南端。

到着初日でテンションも高く、旅の疲労も蓄積されていないうちに今回の旅では最も難易度の高い所へ行ってしまうつもりだった。

ユーラシア大陸最南端の地はJBの郊外にあるタン・ジュン・ピアイという所。

地球の歩き方・マレーシア版にも載ってはいるが写真も無く文字だけ数行の紹介。

おまけに行き方も「JBからタクシーで2時間」なんていうアバウトな記載しかない。

地球の歩き方ですらそれなのだから他のガイドブックは言わずもがな、というか載ってすらいない本が多い。

地球の歩き方に載っているようにタクシーをチャーターすれば簡単に行けるんだろうが、それだと面白みが無い。

というわけで行き方はネットで調べておいた。

タンジュンピアイへの旅行記を載せているいくつかのサイトを見るとJBからポンティアンという所へ行き、そこからタクシーを使うのが一般的らしい。

まずはJBのバスターミナルを目指す。

JBセントラル駅前には多くのバスが止まっていてバスの前では係員が行き先を連呼している。

JBのバスターミナルであるラーキン行きのバスに乗ると1.7RM(≒46円)。

10分ほどでラーキンバスターミナルに到着。

バスターミナルだけに大量のバスが止まっている。

目指すはポンティアン(PONTIAN)だが、バスが多すぎてどれがそれだか分からない。

人はいっぱいいたが、制服を着ているわけではないので誰がバスの係員なのか分からない。

その辺のオジさんにポンティアン行きのバスを聞くと教えてくれた。

96と書かれたバスにはPONTIAN/LARKINという文字があった。

どうやら終点がポンティアンのようなので、降りる所で迷う心配は無さそうだ。

事前のネット情報だとJBからポンティアンまでのバスは1時間に1本くらいらしい。

時刻表が無いので何時に出るのか分からないがバスには何人か乗客が乗っている。

さっさと乗っておいた方が安全だと思って乗車。

シンガポールからマレーシアへの国境バスより遥かに立派で日本の観光バスを少し古くしたような感じ。

出発を待っていると意外に沢山の人が乗ってきて私の隣も埋まってほぼ満席。

料金は5.4RM(≒146円)、バスが出発すると心地良い揺れですぐに眠くなる。

ウトウトするがあまり冷房が効かないバスで車内が蒸し暑い。

窓には日差し避けのカーテンがかかっていて景色も楽しめない。

結局殆ど寝ているうちに1時間ほどかけてポンティアンのバスターミナルに到着。

JBと比べるとかなり田舎だが、ホテルや商店やレストランはあったので観光客でも困ることは無さそうだ。

バスで行けるのはココまでで、この先の足はタクシーしか無いらしい。

バスターミナルのすぐ近くにタクシーターミナルもあって沢山のタクシーが止まっている。

これも事前のネット情報でタンジュンピアイ近辺に流しのタクシーは無いのでポンティアンからチャーターすべしとのこと。

タクシーターミナルへ行くと代表者みたいな男がどこへ行く?と声をかけてくる。

「タンジュンピアイ公園まで行って1〜2時間待って戻ってきたら幾ら?」と聞く。

すると男は近くに何人かいた連中に現地語(マレー語?)で何事か話しかける。

「80RM(≒2,160円)」と言ってきたので「60RM(≒1,620円)」と返すと「70RM(≒1,890円)」で決着した。

ネット情報でも70RMで行ったと書いてあったので納得したが、意外にアッサリ決着したのでもっと落とせただろうなとは思う。

とはいえ無事に行ってさえくれればそれほど熱心に値段交渉する気力も無かったのでその値段で良いだろう。

エアコンもないオンボロタクシーでユーラシア大陸最南端を目指す。

あまり車が通っていない道をひた走り、確かに大陸の端に向かっているような雰囲気。

ポンティアンから30分ほどかかって到着したタンジュンピアイ公園。

え?ココ?と思うほど辺鄙なところで、確かに流しのタクシーなどいないどころか車すら通らない。

国立公園の扱いらしいが開いているのか不安になるほど閑散としている。

入口まで1人も観光客がいないまま、20RM(≒540円)の入園料を払って園内へ。

ちなみにマレーシア人だと入園料は5RM(≒135円)となっていた。

マングローブが覆い茂ったジャングルのような公園内を桟橋の遊歩道が迷路のように伸びている。

桟橋の下は陸と海とその中間の沼もあり、桟橋の遊歩道しか歩ける場所が無い。

公園内をとりあえずまっすぐ進むとマングローブジャングルが途切れて海が見えてくる。

アレがユーラシア大陸最南端か?と思ったがネットで見た最南端の画像とは違う。

桟橋はそこで途切れて海を見渡せるようになっているがユーラシア大陸最南端の碑は無い。

引き返して別の道へ行ってみると物見やぐらみたいな建物に突き当たった。

とりあえず登ってみて綺麗な景色が見えるのかと思いきや、マングローブ群が高すぎて海なんて一切見えず。

なんのために作ったんだか…

公園内には野生のサルが沢山いて桟橋上も平気でウロウロしている。

やたらでかいトカゲが歩いていたり、小型のワニがいたり、虫も多いし、謎の生物の鳴き声なんかも聞こえてくる。

基本的に哺乳類以外の生き物が苦手な私はビクビクしながら歩く。

桟橋の途中が欠けていたりで足元にも注意しないといけない。

先進国ではない海外の緩さというかチープさみたいなものがにじみ出ている気がしてそれもまた良し。

最初はまっすぐ歩いていて気がつかなかったが、ちゃんと最南端はコチラみたいな標識が出ているのに気がついた。

標識の示す方へ数百メートルほど歩いていくとあった。

ネットで見たのと同じユーラシア大陸最南端の碑、というか地球を模したモニュメント。

大陸最南端と銘打ちながらそれがあるのは海の上に浮かぶ桟橋の先。

桟橋が続く道
海の上の大陸最南端

突っ込みどころはあれど辿り着いたこの旅最大の目的地。

おまけに観光客も係員も誰一人としていない。

ユーラシア大陸最南端を完全に独り占め。

地球上最大の大陸であるユーラシア大陸の最南端という名前だけ聞くとかなりスケールが大きい場所。

そのイメージから感じる印象と現地に立って感じるインパクトとのギャップが激しすぎる。

地球儀のモニュメントも近くで見るとかなり安っぽい作りなのが、さらに海風に晒され続けてだいぶ傷んでいる。

園内の閑散っぷりも含めてB級観光地っぽさが満載。

ガイドブックにもろくに載っていないのも納得。

そんなココへ辿り着くまで現地バスを乗り継いでタクシーをチャーターしてのローカルな旅っぷり。

よほど物好きでないとこんな所に来ないだろうなという所へ来たという1周回った満足感みたいなものが芽生えた。

なお、現地ではユーラシアという表記は無く、「Southern Most Tip of Mainland Asia」という表記だった。

ひとりですが、なにか?
オンリーロンリー最南端

公園に着いたときにタクシーの運転手に「2時間くらい待ってくれ」と言い残したが園内を一通り回って戻っても1時間くらいだった。

その間に目にした観光客は全部で5人(日本人はゼロ)。

日本や世界の様々な観光地へ行った自負はあるが、観光地とされる所でこんなに人が少ない所は初めて来た。

園内で見たサルの方がよっぽど数が多かった。

タンジュンピアイ→4travel

タクシーが待っている駐車場へ戻っても車は当然のように増えていない。

運転手もすることが無いのであろう、車の中で爆睡していた。

現地では平日の昼間とはいえ、あんなに少ない客入りでやっていけるのかと無用な心配をする。

ユーラシア大陸最南端なのだから少し工夫すればそれなりに客を呼べるような気はするのだが。

再びタクシーに乗りポンティアンまで戻る。

時刻は13時30分、シンガポール到着からここまで一気に駆け抜けた感じ。

飯は早朝未明の機内食以来食べていない。

途中のどこかで食べようと思っていたが、早く目的地へ辿り着きたい一心でその機を逸していた。

晴れてこの日の目的にしてこの旅最大の目的を達したところでJBに戻る前にポンティアンの街で昼飯を食べることにした。

通りに面して店内も開けた感じのレストラン…というよりも食堂があったので入る。

半セルフサービスのような店で、皿にご飯をよそってくれてその上にバイキングのように並んだ料理を載せるという形式。

ドリンクは勿論ビール!と行きたかったが、なんとビールが無かった。

そういえばマレーシアはイスラム教の国で酒類は出さない店も多いとか。

仕方が無いので適当な現地のジュースっぽいのにした。

飲んでみるとスポーツドリンクっぽかったので暑い中を歩いてきた身体にはビールの次くらいに良いものだった。

料理はご飯の上になにやらよく分からないチキンカレーのようなものをかける。

味もサラサラとした辛くないカレーのようで無難にまとまっている。

料理と飲み物を合わせても4.4RM(≒119円)とか安すぎる。

ビールが無かったことといい、完全に現地人向けの店に入ったようだ。

JBまで戻るには来たときと同じバスを反対に乗るだけ。

ポンティアンのバスターミナルでJB行きのバスを待つ。

時刻表など無いのでいつ来るのか分からない不安はあったが少し待っているとすぐに来た。

窓の外の景色を眺めたいと思いつつも、走り出すと疲れからすぐ眠ってしまう。

行きも帰りも殆ど寝ていたので詳細は不明だが、思えば停留所などには止まっていなかった気がする。

1時間以上走っていたわけだし、路線バスというよりは中距離バスみたいなものだったのだろうか。

それにしては5.4RM(≒146円)という料金は安い。

JBに戻ってこられたのは16時過ぎ。

この日の目的は果たしたので、小休止しようと一旦ホテルに戻ることにした。

その際にこれまで飲めていないビールを買っていこうとJBセントラル駅構内のセブンイレブンに入る。

…と、ビールが無い!?

まさか駅のコンビニにもビールが無いとは思わなかった。

駅前の商店みたいな所に入ったらようやく発見、タイガービール1缶7RM(≒189円)って日本とそう値段変わらない。

交通費や飯の安さから考えると高い。

やはりイスラムの国、あまり酒を飲む文化が無いのだろうか。

ともかくホテルの部屋に戻ってようやくビールを飲んで一息…と思ったらホテルの部屋に入れない。

カードキーを何回挿してもエラーになる。

恐らく朝早くにチェックインしたため、一旦カードキーの設定がリセットされてしまったのではないかと思われる。

フロントで事情を説明してカードキーの設定をし直してもらった。

こうした細かなトラブルを1つのイベントとして楽しめると旅のレベルが上がっていることを実感できる。

気を取り直してビールを飲んで一息。

シンガポールに着いたその日その足でマレーシアに入ってこの旅最大の目的地のユーラシア大陸最南端まで突破した達成感に浸る。

落ち着いた後は晩飯までの時間潰しとしてJBの街をブラブラ。

まずはシンガポールとマレーシアを結ぶコーズウェイという橋を見渡せるポイントへ。

海(川のようだが)の向こう側がシンガポールで、本当にすぐそこに外国があるという所。

橋の上をひっきりなしに車やバイクが行き来する様はとても国境を通過しているという感じがしない。

皆わざわざ毎回両国の入出国手続きをしているのだろうか。

国境を眺めた後はJBの繁華街を一通り歩く。

繁華街といっても栄えているのはごく一部で充分に歩いて回れる距離。

外はゴミゴミした印象であまり綺麗な街並みとは言えず。

東南アジアらしい雑然さというのは充分に感じられたが、街の規模がそう大きくないのでスケールは小さめ。

JBセントラル駅に隣接したシティ・スクェアは建物内も綺麗で日本にあるショッピングセンターと比べても遜色無い。

こうした近代的な建物の中はどこの国もそう変わらないか。

晩飯はチキンが名物と地球の歩き方に載っていた店へ行ってみる。

ジャラン・ドービーという古い建物が残る地区にあるレストラン。

いくつかの飲食店がある中でも流行っているようだった。

地球の歩き方にも載っているし、店構えを見ても街角の食堂よりは少しレベルが高そう。

ここならビールがあるだろうと期待してメニューを開いたが…無い。

諦めきれずに「Can I have beer?」と聞いてみると「Sorry no beer.」というつれない応え。

仕方ないのでノンアルコールでも良いので何を飲もうかメニューを見ていると「No beer but root beer is good!」と店員さん。

イヤイヤイヤ、ルートビアって!

ビアと言いつつビールとは全然違う代物、日本での蔑称「飲むサロンパス(湿布薬)」だってことは知ってるから!

10年前にマレーシアに来たときも飲んだ経験があった。

何故かマレーシアではこのルートビアというのは結構人気がある飲み物らしい。

とはいえどうせビールが無いわけだし、折角店員が薦めてくるしこれも経験?と半ばヤケクソの意味も込めて注文。

料理に先立って運ばれてきたルートビア。

なんとアイスクリームが入り、コーラフロートならぬルートビアフロート。

一口飲んで「あぁ、やっぱり…」予想と記憶通りの味。

不味いというわけではないのだが(美味いわけではないが)、「飲むサロンパス」と最初に形容した人は本当に巧い(美味いでは無い)と思う。

少なくとも言えることは1つ、食事に合うものではない。

食事として注文したのはこの店名物のチキンチョップ(揚げチキン)とフライドライス(炒飯)。

これら2つが両方ともピリ辛で美味しく、非常にビールに合いそうな味付け。

こんな料理を提供しながらビールを置いてないなんて勿体なさ過ぎる。

注文したルートビアではなく持参したペットボトルの水と一緒に食べる。

ルートビアフロートは食後のデザートにした。

折角店員が薦めてくれて注文したものだし残すのは悪い気がしてちゃんと全部食べ飲み切った。

おかげで暫くゲップがルートビアに侵された。

帰りに缶ビールを購入してホテルの部屋で口直し飲み。

結局マレーシアの外食ではビールが飲めなかった。

10年前にクアラルンプールやペナン島へ行ったときは不自由なく飲めていた気がするのだが。

やはり首都やリゾート島ではなく、JBという都市だからなのか、たまたま入った店がそうだっただけだろうか。

いずれにせよ、東京から始まったと言っても良い長い長い1日が終わった。

 

 

2012年5月5日 土曜日

前夜は長旅の疲れもあって22時過ぎには就寝し、起床は8時過ぎ。

10時間以上も通して眠っていたなんて最近記憶に無いくらい。

眠っている途中、外で雨音が聞こえるなと思っていた通り、起きると生憎の雨。

前日のうちにユーラシア大陸最南端に行っておいて良かったと思える。

朝食はこうしたホテルでは恒例のバイキング形式。

高級ホテルのバイキングらしく種類は豊富でついつい食べ過ぎる。

料金は宿泊代に含まれているしバイキングで好きなだけ食べられるしこの後行動することを考えると食べすぎも気にならない。

朝が最も何の心配もしなくて済む食事かもしれない。

朝食を食べているうちに外の雨は上がったようだ。

やはりこの日も幸先良し。

この日の予定はシンガポールへ行く…というか戻ること。

とくに時間は決めていなかったのでチェックアウト(12時)までの時間を有効に使うべく、午前中に軽くJB観光することに。

ホテルから徒歩20分ほどの場所にアブ・バカール・モスクなるイスラム寺院がある。

途中にはサルタン王宮という宮殿もある。

徒歩20分なら歩いて行って帰ってきてもチェックアウト時間には間に合うので行ってみることに。

シンガポールとの国境でもある海沿いの道をひたすら西に歩く。

殆ど歩く人がいないのか歩道は狭く、車道は車がビュンビュン飛ばす。

途中で歩道が途切れていたりしてかなりヒヤヒヤしながら歩く。

入場料を払ってまで見る気は無かったのでサルタン王宮は外観だけ眺めて通り過ぎる。

アブ・バカール・モスクにいたってはムスリム(イスラム教徒)以外はそもそも入ることが出来ない。

それでも「マレーシア1美しい」(自称)というモスクは外観もそれなりに立派で朝から現地の?観光客もチラホラ。

小高いところに建っていて、シンガポールまで見渡せる。

中に入ることは出来ないので、モスクの周囲を1周して終了。

これでJBの主要所は基本的に押さえただろうという満足感。

アブ・バカール・モスク→4travel

マレーシア通貨のリンギットも余っていたので帰りはタクシー。

朝から蒸し暑い中を歩いて20分ほどの距離をタクシーだとクーラー効いて快適な中を5分8.6RM(≒232円)で行く。

最初からタクシーでも良かったくらいだな。

ホテルで荷物をまとめて出発。

前日のアーリーチェックイン代金を請求されたらどうしようかと少し不安だったがそんなことは無かった。

ホテルを出てまっすぐJBセントラル駅へ。

とりあえずJBでの目標は達したのですぐにでもシンガポールへ向かうことに。

そういえばユーラシア最南端やJBの街中も含めて日本人は一切見なかった。

最初にシンガポールの空港からバスで一緒だった彼はどこへ行ったのだろう。

また、JBはマレーシアの中でも治安が悪いことで有名、と地球の歩き方に載っていたが全くそれを感じることは無かった。

こんなこと(ユーラシア大陸最南端来訪)でも無ければ来なかったであろう街。

また訪れることがあるだろうか。

前日と逆のルートを辿ってマレーシアの出国手続きを済ませる。

出国手続きを済ませるとバス乗り場へ。

複数のバスが止まっている中、シンガポール行きのバスを見つけて乗り込む。

シンガポールのクイーンストリートバスターミナルまでのバスは2.5RM(≒68円)と、国境を越えるバスとは思えない値段。

国境越えをちゃんと体感しようと意識してコーズウェイ(国境橋)を通過するも僅か数分の出来事。

乗り物に乗っての国境越えだと感慨もそう無い。

いつか自分の足で国境を越える旅というのもしたいと思った。

シンガポール側のイミグレーションで入国手続き。

早くもこの旅での入出国スタンプが6つ(日本出・シンガポール入&出・マレーシア入&出・シンガポール入)に増えた。

入国手続きの書類を書いていなかったので他の人よりだいぶ遅れを取った。

しかし遅れたとしても次のバスに乗れば良いので焦りは無い。

前日は取り残されたらどうしようという不安があったが、旅も2日目ともなると精神的余裕が出てくる。

こうして旅のレベルが上がっていくことを実感。

シンガポールの入国手続きを終えてバスを待つ。

数分待つとバスが到着。

マレーシアから乗ってきたときとは違うバスに乗ってシンガポールへ向かう(料金は最初の2.5RMに含まれている)。

シンガポールに入ると心なしか道も綺麗に整備されている印象で快適に高速道路を走る。

シンガポール動物園を示す高速道路の案内板には日本語表記まであった。

一般道に下りると渋滞するあたりも都会に来た印象。

マレーシアでの出国手続きからおよそ1時間、シンガポールのクイーンストリートバスターミナルに到着。

バスターミナルはブギス地区という辺りにあり、巧い具合に私がホテルを予約したのもこの地域。

JBと比べると明らかに綺麗で賑やかな通り。

僅か1時間の移動(実質の移動は40分くらいか)で国も変わり雰囲気も随分と変わるものだ。

ホテルまで歩いて行ったらホテル前のベンクーレン通りを殆ど閉鎖して大規模工事中。

見ると地下鉄のベンクーレン駅を作っているらしく2017年まで工事らしい。

泊まるホテルがちょうどその通りの前で見事に被っている。

これはシンガポールのホテルの幸先が良くない。

チェックイン時間までは少し時間があったのでホテルの近くで時間を潰すことに。

すると徒歩1分ほどの所にバーを見つけ、昼過ぎだけど開いている。

昼からでも気軽にビールを飲める所があるというのもJBとは違う。

そもそも考えてみればJBではホテル以外ではビールを飲まなかった(飲めなかった)。

私の旅としては異例だ。

JB分を取り返すべく昼からバーに入りタイガービールの生1杯11S$(≒726円)、物価は安くない。

入ったのはアイリッシュパブだったのだが、壁に貼ってあった「IRISH PHILOSOPHY」ってのが面白かったので紹介。

There are only two things to worry about,either you are well or you are sick.

If you are well,then there is nothing to worry about.

If you are sick,there are two things to worry about.

Either you will get well or you will die.

If you get well,there is nothing to worry about.

If you die,there are two things to worry about.

Either you will go to heaven or hell.

If you go to heaven,there is nothing to worry about.

But if you go to hell,you'll be so damn busy shaking hands with your friends.

You won't have time to worry!

要は心配するな…ってことかな。

そんなこんなでビールを飲みつつホテルのチェックイン時間になった。

ホテルへ行くと予想はしていたが古びて狭い。

部屋の窓からは巨大な工事現場が見渡せる。

1泊1万円強するホテルだったが、JBの7,000円弱のホテルの方が遥かにランクが上。

シンガポールはホテル代が高いことで有名らしい。

他のアジア諸国で1万円出せば高級な部類のホテルに泊まれるが、シンガポールでは中級ホテル。

今回の所は中の下といったところ。

値段を考えると久々に外れのホテルだった。

ホテルは荷物を置いて寝る所だと割り切ることにしてシンガポールでの行動を開始する。

今回の旅のメインテーマはユーラシア大陸最南端だが、もう1つのテーマがマーライオン。

実は10年前にシンガポールに来たときに私は「マーライオンの呪い」にかけられていたのだ。

今回はその呪いを解くのが旅のもう1つの重要なテーマだった。

さて、「マーライオンの呪い」とは何か。

話は10年前に遡る。

10年前、友人とともにタイ・マレーシア・シンガポールの3ヶ国をマレー鉄道で縦断した。

当初の予定ではタイのバンコクからマレーシアのクアラ・ルンプールまで行って、そこから飛行機でバンコクに戻る予定だった。

しかし旅をしているうちにどうせならマレー鉄道終着駅のシンガポールまで行こうと予定を変更した。

そして辿り着いたシンガポール。

当初は来る予定が無かったのでシンガポールについては何の下調べもしていなかった。

シンガポールに何があるんだろうと友人と話して出た結論は「マーライオン」。

それならマーライオンを見に行こう、ということに。

ただマーライオンがどこにいるのか分からない。

シンガポール駅のインフォメーションで貰った地図を眺めていると見つけた「Merlion」の文字。

よし、ココへ行こう、とマーライオンを目指した。

その辺のくだりは10年前のタイ旅日記に記載してあるので割愛。

結果的に我々が見たのはセントーサ島というリゾート島にいるマーライオンで、口から水を噴射している最も有名なマーライオンでは無かった。

帰国してその事実を知ったとき、いつか正式なマーライオンを見にシンガポールを再訪しなければと思った。

そしてそのチャンスが訪れたのが5年前のトルコ旅行時。

シンガポール航空のトランジット待ちにより、シンガポールで数時間の空き時間が出来た。

「今こそ5年前(当時)見られなかったマーライオンを見るときだ」そう思ってシンガポールの街へ繰り出した。

事前の下調べの甲斐もあり、5年越し(当時)に望んでいたマーライオンを見ることが出来た。

その辺のくだりは5年前のトルコ旅日記の序盤に記載してあるので割愛。

トルコ旅行から帰国して旅日記を書いているときにマーライオンについて調べて愕然。

シンガポールには正式に5頭のマーライオンがいるという。

まだ終わっていなかった…

シンガポールに行けば行くほど次のマーライオンが姿を現す。

これはシンガポールに再び来させるためのマーライオンの呪いなのだ。

10年前にシンガポールに初めて来たときからかけられていたマーライオンの呪い。

呪いを解くためには全てのマーライオンを訪ねる必要があるのだろう。

ネットで調べるとシンガポール政府(観光局?)が公式に認めているマーライオンは全部で5頭。

その他に非公式で数頭のマーライオンがいる。

それならば存在が確認されている全てのマーライオンを狩ってやろうと意気込んだ。

ホテルを出てまず目指すは公式マーライオンの中で最もマイナーな存在のマーライオン。

シンガポールの銀座通りにあたるオーチャードロードの西端にあるツーリズム・コート(政府観光局)の庭にいるという情報。

オーチャードロードというシンガポール最大の通りの先にあるので、街の感覚を掴むためにも散策がてら歩いて行くことにした。

高級ブランド店や日系デパートなども並ぶオーチャードロード。

この通りは10年前にも来ているはずだが、こんなに派手な通りだった記憶は無い。

東南アジアの雰囲気はどこにも無く、完全に先進国のメインストリート。

途中にあるラッキープラザという建物内の両替商のレートが良いとの地球の歩き方情報だったので行ってみる。

シンガポールドル(S$)は初日に空港で両替した3,000円分(≒45S$)以外は手にしていない。

「MONEY EXCHANGE」と掲げた店はいくつもあるが、レートを示している店は少数。

これも経験、ということで片っ端から「Japanese 10 thousand yen(1万円) how much?」とレートを聞いて回る。

だいたいどこの店も152S$〜154S$との答え。

「I'll come later」と言って去ろうとすると声をかけてくる店は交渉の余地あり。

結局いくつか回ったが1万円だと155S$、とのこと(もっと高額ならもう少し交渉の余地がありそうだった)。

あまり交渉の時間を使うのもなんだし155S$で納得。

空港では1S$≒66円だったがココだと65円、というわけで以降は1S$≒65円でレート計算する。

余っていたマレーシア通貨(リンギット)は面倒なので言い値で替えて両替商を出る。

改めてオーチャードロードを歩いて西の外れにあるツーリズム・コートに到着。

繁華街から道を1本入るので意外に閑散としている。

裏口のようにも見えたツーリズムコートの入口(だったのか?)にいた、この旅1頭目のマーライオン。

観光客は勿論のこと人っ子一人いない。

なんだか前日のユーラシア大陸最南端といい、誰もいない所に縁がある旅なのか。

公式マーライオンの中では最もマイナーなマーライオン。

その存在はあまり知られていなく、地球の歩き方にも載っていない。

その容姿も我々がイメージするマーライオンとは少し違う。

エキゾチックというかなんというか。

あるサイトによるとその特異な容姿ゆえシンガポール政府もあまり公にしたくない1頭だという都市伝説も。

世界一変なマーライオン
マイナーマーライオン

なにはともあれ1頭目の狩猟に成功。

公式ながら殆ど存在を知られていないコイツはマイナーマーライオンと名付けよう。

1頭目を狩ったその勢いで郊外に存在が確認されている非公式マーライオンを探しに行く。

MRT(電車)の「アン・モ・キオ」(頭の中ではどうしてもアンキモに変換されてしまう)という駅から少し歩いた所にいるらしい。

ネットでその存在を知ったが観光地でもない郊外の住宅地というアン・モ・キオのどこにマーライオンがいるのか情報が乏しかった。

いくつかネットを調べたところ、アン・モ・キオ通り1号線沿いかつビシャンパークという公園近くという情報を得た。

ハッキリとした場所は分からないまま、条件に当てはまる所をgoogle mapとストリートビューを使って探すと発見。

まさか自宅にいながらにしてネットで非公式マーライオンを見つけられるとは。

そこまでの地図を印刷して持ってきたのでその地図通りに進む。

巨大なマンションが団地のように乱立するまさに郊外住宅地という雰囲気。

余談だが国土が狭いシンガポールでは住民の8割以上がマンション暮らしらしい。

アン・モ・キオ駅から徒歩15分ほど、地図の通りに進むと発見したマーライオン。

マンション群のゲートのような所の両脇に佇む2頭のマーライオンはシーサーのよう。

世界一ペアなマーライオン
シーサーマーライオン

観光地でもなんでも無いところなので観光客はいるはずもなく人は殆ど通らない。

1頭目のマーライオンに続き、ココも閑散。

なにはともあれ2,3頭目の連続狩猟に成功。

観光地の要素が全く無いココだけはネットの力無しでは辿り着けなかった。

マーライオンの中で最も難易度が高いと思われていたが無事に到着。

シンガポール郊外の道まで把握しているgoogle mapとストリート・ビュー凄し。

夕方くらいに一旦ホテルへ戻りビール飲んで一息。

朝飯がバイキングで沢山食べていたため、昼飯を食べるタイミングを逸していた。

晩飯はブギス地区のリャン・シア・ストリートが飲食店街だというので行ってみた。

あまり混んでもいなく、空いてもいない手頃な店に入る。

ビール2杯16S$とチキンステーキのようなプレート8.9S$で24.9S$(≒1,618円)。

普通に日本で食事してビール飲むのと変わらない値段。

シンガポールだとホーカーズという現地人が集まる屋台の集合店が安くて美味いという事前情報。

次回以降の食事はホーカーズで充分そうだ。

晩飯を終えて周囲はすっかり暗くなったが、街は十分に明るい。

そんな中、この日最後の目的地はマーライオンパーク。

誰もが知る元祖マーライオンがいるシンガポール1有名な観光地。

5年前に行ったときは明るいうちだったので、夜に行くのは今回が初めて。

夜風に当たりながら20分ほど歩く。

マリーナベイという湾にかかるエスプラネード橋からまず見えてきたのはマーライオンではなくマリーナ・ベイ・サンズ。

巨大なビル(ホテル)の上に巨大な船のオブジェが乗っかった現在のシンガポールで恐らく最も有名な建物。

建物全体が発する灯りはハリウッド映画に出てくる巨大なロボットのよう。

土曜の夜ということもあってか橋の上は観光客多数でそれ自体が夜景になっているマリーナ・ベイ・サンズを眺め写真を撮っている。

この旅で初めて観光地らしい観光地に来た。

橋の先がマーライオンパークの入口で日本語表記もあり、観光客が更に増える。

本家マーライオンの背後に迫る小マーライオンから狩るか、と思ったらいない。

アレ?小マーライオンがいると思われる所に何やら囲いが出来ている。

「Merlion Cub is undergoing a makeover」との表記と共に「See you soon in July 2012」と。

狩猟失敗
檻の中にいるらしい…

要は2012年7月まで修理中?ということだろうか。

分かったのは小マーライオンが見られないということ。

予想外の狩猟失敗。

まぁコイツは5年前に見ているのでギリギリセーフということにしておこう。

2007年当時
5年前、向こう側ではマリーナベイサンズを建設中

本家マーライオンは元気でやっぱり観光客多数。

夜はライトアップされて元気良く水を吐き出している。

マーライオンの視線の先にはマリーナ・ベイ・サンズ。

10年前は勿論、5年前にも無かった建物だ。

時間がちょうど20時になるとマリーナ・ベイ・サンズのショーアップが始まった。

建物全体が輝きを増し、カラフルなサーチライトが夜空を照らし、海から噴水や炎が噴き出す。

マーライオンパークからもよく見渡せ、その時間帯はマーライオンそっちのけで皆がマリーナ・ベイ・サンズに注目する。

毎晩無料で行われるショーらしく、ラスベガスのようだ(…ってラスベガス知らないけど)。

派手なライトアップのショーを見ながらこの電気代はどこから?とか今の日本の電力事情じゃ出来ないなとか無粋なことを思う。

世界一有名なマーライオン
夜景に映える元祖マーライオンとマリーナ・ベイ・サンズ

サタデーナイトはまだまだ続く。

マーライオンパークから徒歩圏内にボートキー・クラークキーと言った飲食店が集まる通りがある。

観光客も多く、クラークキーのアーケード街では生ライブのイベントも開催していてかなり賑やか。

適当に目に付いたバーに入ってビール飲みつつ一息。

マレーシア・JBの夜の過ごし方とはだいぶ違う。

外国人観光客にも分かり易い飲み屋街があるというのは心強い。

マレーシアから始まった1日がシンガポールで更けていく。

 

 

2012年5月6日 日曜日

シンガポール2日目。

この日の第1目的はシンガポールにも存在するユーラシア大陸最南端の地へ行くこと。

シンガポールは正確には島なのでユーラシア大陸ではない。

しかしシンガポールに言わせると「マレーシアから橋で繋がっているのだからシンガポールもユーラシア大陸だ」とのこと。

その強引な理屈でシンガポールにもユーラシア大陸最南端の地がある。

その場所があるのはセントーサ島、奇しくも10年前に訪れていた島だった。

しかし島国シンガポールの中の更に島であるセントーサ島にありながら「ユーラシア大陸最南端」とは無理がありすぎる。

しかも「大陸」最南端と銘打っているのはセントーサ島の中にある更に小島。

しかもしかもその小島ですら地図を見るかぎり最南端では無い。

マレーシアの最南端も海の上にある桟橋って時点で突っ込みどころはあったが、シンガポールはその遥か上を行く。

でもまぁ折角来ているのだし、その辺のネタ具合も含めてアジア的な旅の醍醐味。

これが日本と某国だったら「最南端はコチラだ!」ってネタだけで国際問題になりそうだ。

それに比べればどちらも突っ込みどころ満載のマレーシアとシンガポールの方が平和的。

というわけでセントーサ島を目指す。

セントーサ島はシンガポール最大のリゾート島。

島内にホテルやビーチは勿論のこと、ユニバーサルスタジオなどの遊園地、カジノなどの大人の娯楽も備えている。

10年前に来たときはそこにいる巨大マーライオンだけを見にきた。

くどいようだがその辺のくだりは10年前のタイ旅日記に記載してあるので割愛。

10年前はシンガポール駅から歩いて島内入りしたが、今回はMRTとモノレールを乗り継いでセントーサ島へ。

ハーバーフロントというMRTの駅から直行モノレールで入島料込み3S$(≒195円)。

モノレール内は日曜日の家族連れやカップルがリゾート島に向かう平和な空気が漂う。

そんな中で1人いる私は結構異質な存在。

日本だと遊園地に1人、みたいなシチュエーションなんだろうが海外だとそれほど気にならない不思議。

モノレールの終点であるビーチ・ステーションで降りる。

好天の中、赤道直下のシンガポールは朝から暑い。

おまけにセントーサ島はビーチリゾートでもあるので遮るものも無く、雰囲気も相まって暑さ倍増。

あまり綺麗とはいえないビーチながら朝から泳いでいる人が多数。

パラワンビーチという砂浜近辺を歩きつつ、ユーラシア大陸最南端を目指す。

そのパラワンビーチから吊り橋を渡った先の小島がシンガポール版ユーラシア大陸最南端。

自称
大陸最南端の小島

マレーシアのそれのようにコレ!という何があるわけでもなく、小島の入口と中程に「SOUTHERN MOST POINT OF CONTINENTAL ASIA」と書かれた看板があるだけ。

後は「Sentosa」と島名が刻まれたオブジェがあるくらい。

マレーシアの方がいかにも的なオブジェを作っていた分だけ最南端アピールは強かった。

そういえば「ユーラシア大陸」最南端を目指す旅という目的だったが現地では「ユーラシア」という言葉は出てこなかった。

シンガポールでは「SOUTHERN MOST POINT OF CONTINENTAL ASIA」だったし、マレーシアでは「SOUTHERN MOST TIP OF MAINLAND ASIA」という表記だった。

いずれもアジアとは謳うものの、ユーラシアとは謳っていない。

ユーラシア大陸という表現は日本独自のものではないと思うのだが、ユーラシアという言葉を使わないのに何か意味はあるのだろうか。

未だにヨーロッパに対して植民地時代の劣等感を抱いているから?と思うのは考えすぎだろうか。

その辺の微妙かもしれない事情はさておき、シンガポール版のユーラシア大陸最南端も踏破。

先述の通り突っ込みどころ満載のシンガポール版最南端とはいえ、元がリゾート島なので観光客はそれなりに多い。

観光客の数だけはシンガポールに軍配。

でもやっぱりユーラシア大陸最南端は多少の苦労をして行ってこそ意味があるものだと思う。

誰でも簡単に行けるリゾート島のオマケみたいな所へ行って「ユーラシア大陸最南端へ行ってきた」とは言って欲しくない、なんて偉そうに思ってみた。

大陸最南端碑?
どう見ても島です

あまりに暑かったので売店でビールを購入、タイガービール小瓶4S$(≒260円)。

リゾート島なので朝からビールを買って飲んでいても違和感が無いところが良い。

旅の目的を達成し、暑い中でビーチ眺めながらビールって最高すぎるシチュエーション。

飲んだそばからすぐに汗になっているのではと思うくらい暑い。

小休止した後に次の行動に移る。

セントーサ島の目的はもう1つ、10年前にも来ているが改めてココのマーライオンを狩る。

園内の無料巡回バスに乗り、マーライオンのいるインビア駅へ。

全長40メートル近い巨大なマーライオンは相変わらずながら、周囲は10年前より賑わっている印象。

そもそも10年前はセントーサ島にユニバーサルスタジオもカジノも無かった気がする。

もっと閑散としていてこれから発展しようとしているリゾート島という雰囲気だった。

それが今ではシンガポールを代表する1大観光施設、10年一昔とはよくいったものだ。

巨大マーライオンは中にも入れるのだが、10年前に入っていたのでそれはパス。

世界一大きいマーライオン
巨大マーライオン

冷やかしで入場料だけ調べると8S$(≒520円)、10年前の旅記を見ると3S$(≒当時のレートで213円)となっていた。

倍以上の値上がり、これがインフレか?と思ったらセントーサ島の入場料は10年前だと6S$(≒当時426円)。

今はモノレールの入島料込み3S$(≒195円)。

島へ入る料金は安くして島の中で金を取ろうという商売戦略なのかもしれない。

その商売戦略の最たるものが島の中にあるカジノ。

冷やかしに行ってみたが場所柄かマカオやソウルのカジノよりもオープンな華やいだ雰囲気。

ルーレットやブラックジャックなどの最低レートは10S$(≒650円)からのようだった。

ギャンブルをする習慣はないし、1人でやっても面白く無さそうなので冷やかすだけで終了。

最南端と巨大マーライオンを済ますとセントーサ島でやるべきことは終わった。

次に目指すはセントーサ島からケーブルカーで行けるマウント・フェーバーという山。

ココに5頭目、最後の公式マーライオンがいることが確認されている。

マウント・フェーバーまでのケーブルカーが往復で26S$(≒1,690円)。

まだ午前中ということもあり、空いているケーブルカー乗り場。

6人乗りくらいのケーブルカーを1人独占。

好天の下、セントーサ島やシンガポール市街が綺麗に見渡せる。

風が吹くと意外に揺れて結構恐かったりする。

ハーバーフロント駅を経由してマウントフェーバーまで10分強。

そこから5分ほど道なりに歩いて坂を登ると到着するマーライオン。

世界一高い所に位置するマーライオン
山頂マーライオン

人は数人しかおらず、それも私と入れ違いにいなくなった。

マウントフェーバーのマーライオンを独占、今回の旅はこんなんばっかりだ。

これで公式マーライオン全5頭を制覇。

・マイナーマーライオン(シンガポール政府観光局)
・元祖マーライオン(マーライオンパーク)
・小マーライオン(マーライオンパーク、今回は見られなかったが5年前に見ているのでカウント)
・大マーライオン(セントーサ島)
・山頂マーライオン(マウントフェーバー)

元祖は有名すぎ、小は小さすぎ、大は大きすぎ、マイナーはマイナーすぎる。

5頭の中ではサイズや容姿や知名度や発見までの難易度を総合すると山頂マーライオンが最もバランス良く出来ている。

コイツを私が認定するナンバーワンのマーライオンとしよう。

マーライオンに座れるのもコイツくらい
勝手に認定

公式マーライオンを制覇するとちょうどお昼の時間帯。

ケーブルカー乗り場に展望レストランが付属していたのでそこで食事をすることに。

良い天気だったが山の上なので風が心地良く、オープンテラスの席が気持ち良い。

さて昼飯、とメニューを貰うとランチのセットメニューが30S$(≒1,950円)前後とか高すぎる。

昼飯は諦めてビールだけ飲むことにするがこれも18S$(≒1,170円)弱とかなり高い。

観光地値段としても相当高い、下界の倍くらいの値段。

けれど折角ココまで来たし、公式マーライオン全制覇記念に1杯。

ゆっくりビールを飲んでから復路のケーブルカーに乗って下山。

復路では終点のセントーサ島までは行かず、途中のハーバーフロント駅で降りる。

ハーバーフロント駅はケーブルカーやMRTやモノレールの駅などと一緒に大きな駅ビルになっている。

中にはフードコートもあるとのことだったので昼飯はそこにする。

フィッシュフライビーフンヌードルが4S$(≒260円)。

マウントフェーバーの展望レストランの1/7以下の値段。

これぞ庶民の値段で安くて美味かったがフードコートにはビールが無かった。

飯が安けりゃビールが無い、コッチを立てればアッチが立たない。

同じ建物内にバーがあったので食後はそこでビールを1杯、11S$(≒660円)。

朝からビールを飲み続けている気がする。

腹ごしらえと燃料補給を済ませて次に向かうのは非公式マーライオン。

郊外の中国庭園にある亀博物館という所に非公式マーライオンがいるというネットの情報があったのだ。

ハーバーフロント駅からMRTでチャイニーズガーデン駅まで2.1S$(≒137円)。

チャイニーズガーデン駅は文字通り中国庭園駅で、駅を降りるとすぐに中国庭園の入口がある。

入場無料の公園内は広々としていて中国風の建物や塔や石像などが広がる。

その一画に亀博物館がある。

目的は亀ではなくマーライオンなのだが入ってみる、入場料5S$(≒325円)。

博物館と謳っているものの、公園の一画を仕切って庭に亀が放し飼いにされ、水槽に色々な亀が入っているだけ。

全く広くないので目指すマーライオンもすぐに分かった。

正面から見ると妙にスリムなマーライオン。

世界一細いマーライオン
スリムマーライオン

亀博物館とマーライオンの結びつきは不明だが一応はマーライオンの体をなしている。

非公式マーライオンもこれで3頭目、着実に狩猟数を伸ばしている。

亀博物館ならではというわけでもない
横から見るとマー普通?

折角なので亀博物館の中も見て回る。

池の中には小さい亀が大量にいて、餌(1S$≒65円)をあげられるようになっているため、人を見ると鯉のようにワラワラと寄ってくる。

大量の亀が一斉に寄ってくるので気味が悪いくらい。

庭に放し飼いにされている亀は一様に穏やかなのばかりでかなり牧歌的な雰囲気。

水槽の中にいる亀も人が寄ると餌がもらえると思うのか必死にコッチを見て愛嬌を振りまいているようなのもいる。

一方で全く動かず固まっているものなど、亀にも色々いて意外に可愛らしい。

ちなみに亀博物館の観光客は2,3人(日本人はゼロ)、やっぱり今回の旅はこういう星の下にあるようだ。

この日最後の目的は旧シンガポール駅。

マレー鉄道の終着駅として10年前に初めてシンガポール入りしたときに辿り着いた駅。

現在のマレー鉄道はマレーシアとの国境を越えたすぐの所が終点になっており、シンガポールの中心部までは延びていない。

ゆえにシンガポール駅も閉鎖され、歴史的建造物として遺されているという。

10年前の旅でマレー鉄道の終点として到着したシンガポール駅は僅かな時間の滞在だったが強烈な印象を残している。

なにより駅構内のトイレで大をしたら水流が弱くて何度やっても流れず、そのまま放置して駅を逃げ出した若気の至りが思い出される。

その駅にもうマレー鉄道が止まることは無いのかと思うとどことなく寂しさを感じる。

MRTのタンジョンパガー駅から徒歩10分ほど、どことなく見覚えのある気がする建物が見えてきた。

駅の横を走っている道路も覚えている、10年前はこの道路沿いにセントーサ島まで歩いて行った。

駅へ近づいてみるとフェンスがあって中へは入れない。

周囲をウロついてみたけれど入れそうな所は見当たらない。

誰も人がいないのでその気になれば入れそうだったが、監視カメラ撮影中のような看板が出ていてその気が無くなる。

ただでさえ10年前に悪いこと?をしているのでこれ以上シンガポール駅に迷惑をかけるわけにはいかない。

歴史的建造物として遺されているというので中に入れるものかと思っていたが、どうやらそうでは無いらしい。

駅舎自体もかなりガタが来ていてあまり手入れもされていないように見受けられた。

遺されている、というよりも放置されているといった雰囲気で、駅舎の止まった時計が哀愁さを倍増している。

いつかこの駅が博物館として公開されるような日が来たらその時にはまた来よう。

マーライオンの呪いを解く旅に来たはずが、どうやら新たな呪いにかかってしまったようだ。

「シンガポール駅の呪い」、10年前に大を流さ(流せ)なかった時から既に呪われていたのかもしれない。

立ち入り禁止
旧シンガポール駅

シンガポール駅を後にしてチャイナタウンまで歩く。

チャイナタウンのマックスウェル・フードセンターというホーカーズ(飲食屋台街)へ行ってみる。

チキンライスが絶品と地球の歩き方に紹介されていた天天海南鶏飯。

夕方には売り切れるので注意、と書いてあったがまだ営業しているようで列も出来ている。

折角なので食べていこうと、少し早い夕食。

10分ほど並んでチキンライス3.5S$(≒228円)、安いのが素晴らしい。

飲み物を売っている屋台ではビールもあったのでタイガービール大瓶5.5S$(≒358円)と一緒に食す。

確かに美味いチキンライス、値段の安さも含めてこの旅で1番の当たり飯。

ホーカーズの食事はどれも3〜5S$(≒195〜325円)程度。

お世辞にも綺麗とは言えない場所や食器類等の衛生面を気にしなければ飯は全部ホーカーズで問題無さそうだ。

食事を終えてチャイナタウンをブラブラと街歩きし、夜は前夜同様にクラークキー周辺へ。

この辺りへ来れば確実にビールにありつける。

この日何杯目かも分からないビールを飲みつつ、10年前に思いを馳せる。

 

 

2012年5月7日 月曜日

翌朝の飛行機で帰国するため、今回の旅の実質最終日。

飛行機は朝8時過ぎに出発するため、最終日はホテルを取らずに空港で宿泊することにした。

世界一の設備を誇るとも言われているシンガポールのチャンギ空港。

今泊まっているホテルにもう1泊するよりも快適に1泊出来るかもしれないし何より無料だ。

この日の予定は夜まで街をブラブラして、夜になったら空港へ行ってそのまま1泊。

ということはこの日のうちにホテルをチェックアウトしないといけない。

そうなると荷物が邪魔になる。

チェックアウトの際に夜まで荷物を預かってくれるかを聞いてみるとあっさりOK。

最後にして初めてこのホテルで良いサービスを受けた気がする。

終わり良ければ全て良しとはよく言ったものだ。

ホテルを出てまず向かったのはマーライオンパーク。

そういえば今回は明るい中での元祖マーライオンを見ていなかったなと思って再訪。

いつ来ても観光客は多数。

小マーライオンが少しでも見えないかなと思ったが、中が見えないフェンスでしっかり囲われてしまっていた。

マリーナベイを挟んでマーライオンの向こうにあるのがシンガポールの新名所として名高いマリーナ・ベイ・サンズ。

湾沿いに歩いて行ってみることにした。

3つのタワーとその上に載った船のオブジェの他に、大きな商業施設も併設。

中に入るとビルの中なのに運河が流れていて、小船も行き来している。

MRT駅とも直結していて、その建物一体がまるで1つの街のよう。

ホテルのある3つのタワーへ行くとそれと分かる日本人が大勢。

某携帯電話会社のCMでSMAPがこのホテルの屋上にある船のオブジェで撮影をしていたので日本人にも馴染みがある。

船のオブジェは展望台になっているが、曇天だったのと有料なのでやめておいた。

宿泊者なら無料で登れ、展望台に付属されているプールにも入れる。

料金も2万円台くらいから泊まれるらしく、結構な人気だとか。

とはいえ1人旅で泊まるところではないだろうな。

地下にカジノがあったので冷やかしに行ってみる。

セントーサ島のはあくまでもリゾート地の一環という雰囲気があったが、こちらの方がよりディープな感じがした。

カジノ内部の作りは大差ないのだが、客の雰囲気が明るく華やかというよりも少し淀んだ感じとでも言おうか。

喫煙可のフロアーはタバコの臭いとギャンブルの雰囲気が合わさってアングラな雰囲気を醸し出していた。

ルーレットなどの最低レートは2S$(≒130円)と、セントーサ島よりも安かった。

カジノで賭け事はしなかったが、カジノのATMでお金はキャッシングした。

残り半日のシンガポール滞在で必要な食費や飲み代や交通費を考えるともう50S$(≒3,250円)くらい欲しかった。

現金を両替するよりもキャッシングの方がレートが良いという説を検証するためにも敢えて挑戦。

高級ホテルのカジノの中にあるATMならまず安心だろうというセキュリティ面も考慮した。

日本ではなんとも思わないATMでの引き出しも、海外で英語の案内に従ってやると妙な達成感。

こんな機械からお金が出て来るんだもんなーと感心する。

カジノへ行って結果的に資金が増えたところでマリーナ・ベイ・サンズを後にする。

直結しているMRTの駅からシンガポール東部を目指す。

イースト・コースト・パークという所に非公式マーライオンがいるという情報を得ていたのだ。

マリーナ・ベイ駅からパヤ・レバ駅まで20分ほどで1.7S$(≒111円)。

この辺りはカトン地区と呼ばれ、マレー・中国・ヨーロッパの文化が融合したプラナカン文化が息づくエリア…らしい(by地球の歩き方)。

確かに建物などはシンガポールの中心部とは少し違った雰囲気…というかシンガポール中心部は近代的な建物ばかりだったか。

昼飯時だったのでゲイラン・セライ・マーケットというマレー系が集まる市場のホーカースへ。

焼きソバっぽいミーゴレンと焼き飯っぽいナシゴレン。

どちらも3.5S$(≒228円)と安かったし、どちらも食べたかったのでどちらも注文した。

しかしどちらも量が3.5S$とは思えないほど多くて食べるのに苦労した。

おまけにマレー系の市場だからかビールを売っている店が無かったのも痛手。

マレー料理は良いけどビールは欲しいな。

かなり満腹になった食後はカトン地区を歩きながら南下して海を目指す。

3kmほど歩いた海沿いがイースト・コート・パークという公園になっている。

月曜の昼過ぎ、人は少なめで穏やかな雰囲気。

海沿いの道を歩きながら目指すのはリリパットという室内パターゴルフ場。

そのゴルフ場のコースに非公式マーライオンがいるらしい。

ゴルフはしないけれどマーライオンだけ見せてくれと受付で頼むつもりで頭の中で英語での受け答えをシミュレート。

公園内を更に1kmほど歩いてようやく到着したリリパット。

室内ながら18ホールあるパターゴルフ場というから大きな施設かと思ったらさほど大きくない建物の3階が目指す所。

こんな所に非公式マーライオン?と疑問に思う。

エレベータで3階に上がり、妙に暗い入口のドアを開けようとしたが開かない。

アレ?電気ついてない?まさか…ドアの横の案内を見ると「Monday:CLOSED」の文字。

まさかの休日!

改めて地球の歩き方を見てみると確かに月曜は休みと書いてあった。

なんということだ、最後の最後に再びマーライオンの呪いにかかってしまうとは。

延々歩いて到着した結果がコレとは。

なんとかマーライオンの欠片を探そうと入口脇においてあったパンフレットを見てみる。

するとあった、この建物内にいるであろうマーライオンの写真が。

そしてそれを見て思ったのは、これは非公式マーライオンにカウントじゃなくて良いのでは?ということ。

写真のそれは室内パターゴルフ場のアトラクションに過ぎない感じ。

そのパターゴルフ場はコース全てがシンガポールの観光スポットにちなんだ造りになっているという。

マーライオンはセントーサ島を模したコースのオブジェの1つ。

こういうのまでマーライオンとしてカウントしだしたらお土産屋に売っているマーライオンもカウントしないといけない。

故にこれは非公式マーライオンではない、証明終了。

半ば強引に自分を納得させてマーライオンの呪いを退ける。

病は気から、呪いも気から。

でも悔しかったので帰国後にリリパットのマーライオンを探してみた。

そして某所でその写真を見つけ、管理人さんに許可を貰ったのでここに転載。

世界一まぁ…ライオン
カップインすると目が光るらしい

うーん、まぁ、マーライオン、か。

非公式マーライオンにカウントするか否かは各人のご想像に任せよう。

空振りに終わったマーライオンにドッと疲れて戻りの道はタクシーを捕まえる。

30分以上歩いた距離を10分ほどで5.6S$(≒364円)。

MRTの駅から向かうのはこの旅で最後の目的地となるハウ・パー・ヴィラ。

世界中の奇妙な風景や建造物を集めた「奇界遺産」という本で紹介されていて行ってみたくなった所。

タイガーバームガーデンという通称でも知られ、タイガーバームで財を成した富豪が作ったという公園。

MRTで文字通りハウ・パー・ヴィラ駅へ、駅を出るとすぐそこが入口。

以前は有料だったらしいが現在は入場無料。

園内はまるごとそのままナニコレ珍百景に登録できそうな造り。

中国の伝記や歴史などを模したジオラマが所狭しと並ぶ。

西遊記と三国志の桃園の誓いは分かったが、それ以外は何が何やら。

どの展示物もどこかグロテスクだったりユーモラスだったり毒々しい独特な色彩をほどこしている。

ハウ・パー・ヴィラ
変な展示

日本だとこんな変な公園はPTAとかの反対にあって作れないだろうなと思わせる代物。

園内の閑散具合や、風雨に晒されてだいぶ痛んでいるジオラマといい、B級観光地っぽさが満載。

華やかなイメージのあるシンガポールにこんな妙な観光地があるのもご愛嬌。

入場無料だし日本では見られなさそうな妙なものという点で来ても損は無い…かも。

ハウ・パー・ヴィラ→4travel

今回の旅はユーラシア最南端に始まりハウ・パー・ヴィラに終わったがいずれも閑散とした観光地。

たまにはこんな旅があっても良いか。

旅の目的を全て果たした後はMRTで都心に戻る。

オーチャードロード沿いのカフェバーがハッピーアワーでビールが安かったので入って一息。

最後のマーライオンで少しケチはついたが、それ以外は目的を全て遂行できた心地良い充実感と疲労感にビールが沁みる。

程よく酔いが回ったところでいよいよ帰国を実感されられるイベント、お土産の買い物。

これまでの経験から空港で買うよりも市内のスーパーで買った方が絶対に安い。

とはいえ下手なものを買っていくわけにもいかないのでオーチャードロード沿いにある高島屋デパートへ。

地下がスーパーになっていて適当なお菓子も買えそうだと思った。

4月から職場でのチーム内異動のようなものがあり、私は一時的に他チームの応援に入っている。

というわけで今回は自分のチーム以外にもお土産が必要で、いつもより多く買っていかなければならない。

「お土産(贈り物だったかな?)のことを考えている時間はその人のことを想う時間」みたいな気取ったCMがあったのを思い出した。

だけどゴメンナサイ、正直言って人数とコストパフォーマンスのことしか考えていなかった。

マーライオンクッキーなる「これぞシンガポール」的なお菓子の中にドリアン味も見つけたので瞬間的にコレだと思った。

マンゴー・マンゴスチン・ライチ・パイン味と一緒にドリアン味も購入。

無難にチョコレートを買うよりもネタとしてドリアンも混ぜられたし、値段も高くない。

これでシンガポールに思い残すことは無い。

最後の晩餐は3夜連続でクラークキーへ。

ただ、晩飯を食おうにも昼にそれぞれ1人前ずつのミーゴレンとナシゴレンを食べたので全くお腹が空かない。

とりあえずビールを飲んでいればお腹も空いてくるかなと思い自家製ビールを出すと紹介されていた店へ行ってみる。

メニューには複数の種類のビールがあり、それぞれの特徴が英語で記載されている。

小グラス300mlずつ複数種類のビールを飲んだが、どれも味が違ってそれぞれ美味い。

時間帯によって値段が変わるらしく、最も安いランチタイムだと5S$(≒325円)〜で最も高い20時〜だと11S$(≒715円)〜になる。

こんな店があったのなら最後の夜じゃなくてもっと早くから来ていれば良かった。

まぁ最後に良い店で締めくくれたということでポジティブに捉えておこう。

ゆっくりとビールを3杯飲んだが一向に空腹感が来ない。

お腹の容量を考えると食事が出来る回数は決まっているのだから旅先では調子に乗って1度にあまり食べ過ぎない方が良い。

複数人の旅なら食事もシェア出来るが1人だと当然全て自分で処理しないといけない。

1人旅のデメリットが1番大きいのは食事かもしれない。

最後の晩餐をビールだけで締めていよいよ帰路につく。

ホテルへ戻り荷物を受け取ってMRTに乗って空港へ。

最後の夜は空港泊だが、シンガポールのチャンギ空港は世界的にも設備が良いことで有名な空港。

泊まる所には不自由しないどころか今回シンガポールで泊まったホテルより快適かもしれない。

そんなことを考えながら空港に到着してチェックインゲートへ行く。

「日本航空のご搭乗手続きはご出発時刻の3時間前より開始致します。」という貼り紙。

翌朝にならないとチェックインが出来ない…

世界的な設備を誇るチャンギ空港だが、それらの設備は殆どが出国手続き後のエリアにある。

つまりチェックインを済ませないとそちらに行くことは出来ない。

予想外の展開に戸惑いつつも、こうなったら仕方ないので普通に空港内で夜明かしするしかない。

23時過ぎになってようやくお腹が空いてきた。

空港内にあった24時間営業の店でラーメン的な麺類6.9S$(≒449円)を食べる。

街中のホーカーズならビールも付けられそうな値段だ。

食事を済ませると後は今夜の寝床を探すだけ。

時間は無駄にあるのでチャンギ空港の3つあるターミナル全てを回り(無料の巡回モノレールが走っている)環境の良さそうな所を探す。

暑い国の空港はどこもそうだが、シンガポールでもクーラーが効きすぎて寒い。

ターミナル3が最近出来た近代的な所らしく、クーラーも控えめな気がした。

隅にあるベンチでは寝ている人もチラホラいたので私もそこで寝ることにする。

この旅で初めて長袖を着て堅いベンチに横になる。

空港の係員が通りかかっても注意されることは無かった。

シンガポールで泊まったホテルは良くなかったが、普通にホテルのベッドで眠れただけ前夜は快適だったんだなとこの時になって初めて思う。

 

 

2012年5月8日 火曜日

5時前に起床。

長袖着てもやや肌寒いクーラーと堅いベンチで寝たせいで身体が固まっている感じ。

飛行機の搭乗手続きは5時すぎからのはずだったのでさっさと済ませてしまいたい。

早朝で客は誰もいない日本航空のカウンターへ行き、カウンターが開くと同時に1番乗りで搭乗手続き。

チャンギ空港の出国前エリアは前夜に散々ウロウロしたので、搭乗券を貰うとさっさと出国手続きに進む。

昨夜来たくても来られなかった出国エリア。

出国手続き前よりもクーラーが控えめでソファも柔らかそうなのがいくつもある。

無料のミニシアターやインターネットスペースも充実。

出国手続き前のエリアとのこの格差はなんだ。

JALも前夜からアーリーチェックインさせてくれればここで夜を明かせたのに。

免税店を冷やかしつつ、タバコが予想以上に安かったのでお世話になっている人に買っていくことにした。

シンガポール国内だと1箱で10S$(≒650円)以上したタバコが、免税店では1カートン(10箱)で21.8S$(≒1,417円)とだいぶ安い。

裏を返せばタバコの殆どは税金ということか。

残金は10S$(≒650円)強、朝飯を食べにフードコートに入る。

フィッシュボールスープヌードルが5S$(≒325円)で残り5S$(≒325円)。

するとちょうど1番安い缶ビール(タイ産のレオビール)が5S$。

これは飲まざるを得ない。

イヤ、朝から飲みたかったわけではなく、たまたまビールが5S$(≒325円)で残金が5S$だったからビールを買っただけ。

たまたま、たまたまだよ…と誰に言い訳するでもなく朝っぱらからビールを飲む。

そういえば10年前にシンガポール入りした時も夜行列車で朝に到着し、最初に入った店で朝からビールを飲んだのを懐かしく思い出した。

朝食を終えても搭乗まで時間はあったので出国後も3つのターミナルをウロウロする。

そのうち1つのターミナルのお土産物屋で予想外のマーライオンを発見、しかも黄金のマーライオン。

マーライオンの呪いを解く旅の最後を締めくくる金色のマーライオンは旅をクリアした記念にも思えた。

ありがとうマーライオン、また来るよ。

世界一金のマーライオン
ゴールデンマーライオン

帰国の飛行機に乗るとキャビンアテンダントが「お帰りなさいませ」とお出迎え。

なんか地味に心くすぐられる。

隣に座ったのはアメリカ人のオジさん。

いかにも陽気なアメリカン、という感じで話しかけてくる。

シンガポールから成田・ロスを経由してマイアミまで帰るらしい。

話していて気付いたのはアメリカ人のネイティブな英語よりも、旅先で聞いたアジア人の拙い英語の方が聞きとり易いということ。

お互い片言で話すからこそ分かり易いのかもしれないけれど、一応元帰国子女としては複雑な心境だ。

およそ6時間半のフライトで成田着。

成田に着くと隣のオジさん、「Tsunamiはココまで来たのか?」と聞いてきた。

話には聞いていたが「Tsunami」というのは本当に国際語なんだなというのを実感できた。

成田着は日本時間の16時前。

行きは羽田でも帰りは成田、ココから2時間強の帰路が現実へ戻る旅。

初日は機内泊、最終日は空港泊、終わってみれば3泊6日という強行スケジュールだった。

 

 

マレーシアとシンガポール。

国境を越える手続きを時間に入れても僅か数時間で出来る国境越え。

それにも関わらず両国の文化がまるで違う。

アジア先進国といっても良いであろうシンガポールとイスラム色・東南アジア色を色濃く残したマレーシア。

10年前はほぼ通過しただけだった両国を改めて体感できた今回の旅は良かった。

マレーシアで殆どビールが飲めなかったのは想定外だったが、その分シンガポールでは沢山飲めた。

目的だったユーラシア最南端も2つ果たせたし、マーライオンの呪いも恐らくは解けたのだろう。

これでもうシンガポールへ来る必要は無いはずだが、また来ても良いと思わせる国だった。

英語が通じ、現地も観光客慣れしていて、治安も良い。

分かり易い観光地マーライオンやシンガポール動物園のナイトサファリ(行かなかったけど)、ショッピングセンターも充実。

日本からの直行便も多数で値段も高くない。

海外旅行初心者にも優しい国だと思う。

ただ物価はそう安くなく(高くも無いが)ホテル代は高い。

アジア諸国で1万円も出せば高級の分類に入るホテルに泊まれるが、シンガポールだと中級。

現にマレーシアでは7千円弱で泊まった高級ホテルに対し、シンガポールは1万円越えたのにしょぼいホテルだった。

1人旅でのデメリットの第1は食事だと思うが、第2は折半できないホテル代かもしれない。

いずれにせよ気楽に来られそうなシンガポールはまたいつでも来ることが出来るだろう。

その時はシンガポール駅の呪いも解く時かなと思う。

ではまた会いましょう、シンガポール。

 

 

旅の費用

シンガポール往復航空券(日本航空直行便)
39,000円

航空券関連諸税(空港使用料・保安料・保険料・サーチャージ)
30,440円

マレーシアホテル1泊(プテリ・パシフィックホテル、ウェブサイト経由予約)
6,900円

シンガポールホテル2泊(ベンクーレンホテル、ウェブサイト経由予約)
21,618円

現地両替(日本円からマレーシアリンギット)
5,000円

現地両替(日本円からシンガポールドル)
13,000円

クレジットカードキャッシング(シンガポールドル)
50S$3,236円+手数料105円+利息55円=計3,396円、実質1S$≒67.92円

クレジットカード買い物(高島屋でお土産と空港免税店でタバコ)
お土産36.90S$=2,404円(1S$≒65.168円)
煙草21.80S$=1,423円(1S$≒65.278円)

海外旅行保険料
2,110円


合計125,291円

レートが良いと思っていたクレジットカードだったが、キャッシングに関しては小額だったことも影響してか悪いレート。

単純に買い物に使う分には悪くないが、キャッシングにはあまりメリットを感じない。

その辺のさじ加減は国や通貨や経済状況によっても変わるのだろう。

それも含めて経験という名の旅費だと割り切ろう。

 

 

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