ベトカン一人旅
2008年2月26日 火曜日
夜にはシェムリアップ空港から帰路につく。
19時頃には空港にいる必要があると考えて18時頃までは時間に余裕がある。
この日の予定をどうしようか考え、折角3日間有効のアンコール遺跡入場券を買ったので再度行ってみることに。
今度はトゥクトゥクと直に交渉してアンコール遺跡を目指すことにする。
早速ホテル前にいたトゥクトゥクドライバーと交渉。
私「アンコール遺跡を周遊していくらだ?」
ト「15ドルだ」
私「高いな、5ドルで行ってくれ」
ト「そりゃ無理だ、12ドル」
私「いや、5ドルだ」
ト「分かった、10ドルにしよう」
私「んー、6ドルだな」
…なんて交渉をやっていると別のところからバイクタクシーが登場。
バ「よし、オレなら5ドルで行くぜ」
私「バイクタクシーなら1ドルだな」
もともと荷物が多いのでバイクタクシーに乗る気は無かったが敢えて交渉。
するとトゥクトゥクドライバーが
ト「8ドルにしよう」
私「よし7ドルでどうだ」
…で交渉成立。
基本的には英語でドルを連呼して苦笑いやジェスチャーでの交渉。
それ自体がなかなか楽しく、結果的に前日の半額以下になった。
初日からホテルを介さずに交渉していれば良かった。
もっとも初日は相場も分からなかったし確実にアンコール遺跡へ行くことがテーマだったのでそれはそれで良いが。
前日とは逆にこの日は最初にアンコールトムへ行くことにする。
トゥクトゥクに乗っていると雨が降ってきた。
ホーチミンで少しだけ降ったことはあったが、今回のはそれよりも本格的な雨。
最終日にして雨に祟られたか。
つくづく前日にアンコール遺跡へ行っておいて良かった。
結構本格的な雨の中をアンコールトムのバイヨンに到着。
傘や雨具は持ってきていなかったのでタオルを頭に巻いて雨のバイヨンへ突入。
雨の観光地と言うのもそれはそれで悪くない。
ガイドブックや絵葉書では決して見ることが出来ない雨の観光地。
晴れているに越したことはないけれど、観光地で雨に祟られたらそう思って自分を納得させている。
雨のバイヨンでも観光客はちゃんといる。
下が濡れているので足元が滑りやすく危ない。
バイヨン内部などの雨が当たらないところで適度に休憩しつつバイヨンをウロウロ。
次第に雨も弱くなってくる。
乾季のこの時期はそうそう降り続くことはないっぽい。
バイヨン脇にある売店でビールでも飲みながら雨宿りをすることに。
カンボジアにはアンコールビールだけではなくバイヨンビールもある。
前夜の鍋料理のときにバイヨンビールがメニューにあり、バイヨンでバイヨンビールを飲めば良かったと変な後悔をした。
売店では小学生くらいの女の子が店番をしている。
「Beer?」と聞くと元気よく「2dollers!」と答えられた。
オイオイ、ビールは相場からいって1ドルだろ…
苦笑いして「2dollers?No〜」と言って行こうとすると「Nonono 1doller!」と慌てて訂正した。
抜け目無いけど憎めない。
とりあえずバイヨンを眺めつつバイヨンビールを飲むという小さな目的を果たす。
ビールを飲んでいるうちに小雨になり、トゥクトゥクに乗ってアンコールワットを目指しているうちに上がった。
前日と変わらないアンコールワットだったが、雨上がりのせいか昼過ぎのせいか観光客がだいぶ少ない。
なんだか得した気分。
主に前日の後半部分で疲れて眺めていたところを中心に見て回る。
アンコールワットを出てシェムリアップに戻る頃にはすっかり青空と強烈な陽射し。
アンコール遺跡の次はシェムリアップ最大のマーケットであるプサールーマーケットへ。
シェムリアップ中心部からはやや離れた所にあるマーケット。
こちらは地元民用の市場らしく、観光客は殆ど見られず。
当然観光客相手の店らしきものも無い。
ホーチミンでビンタイ市場へ行った時のような場違い感。
ただホーチミンの時よりも地元に根ざした市場のような感覚。
市場内を一通り歩いてからシェムリアップ中心部に戻る。
もはや新たにどこかへ行くくらいの時間と気力は無い。
バーストリートへ行って夕方のハッピーアワーで1米ドル(≒110円)1Buy1Getのビールを飲んでゆっくりする。
2杯で1米ドル(≒110円)ってことはコンビニで缶ビール買うより安い。
シェムリアップで最後に飯を食べる所は事前に決めていた。
ガイドブックに日本の有名なカメラマンが通っていた店として有名、と書いてあった所。
今回カンボジアへ来るにあたって読んだ本、一ノ瀬泰造「地雷を踏んだらサヨウナラ」。
ベトナム戦争を経て内戦下のカンボジアでアンコールワットの写真を撮ろうとした写真家。
「地雷を踏んだらサヨウナラ」というフレーズは聞いたことがあったが今回初めて一ノ瀬泰造の名前を知った。
現在の私よりも若くして逝ったカメラマン。
ベトナム戦争やカンボジア内戦下の写真を撮り続けた。
内戦下のアンコールワットの写真を撮りたくて単身潜入し、最終的には…という彼の手記を元にした本だった。
そう遠くない過去の出来事だと考えるとこうして平凡に平和に旅が出来るのは幸せなことだ。
日本の有名なカメラマンが通った店とは間違いなく一ノ瀬泰造が通っていた店だろう。
負傷してレストランに担ぎ込まれ、その後もそこで食事を取るシーンが本にあったのを覚えている。
地図で場所を確認して向かうとレストラン脇に「Spirts of TAIZO」の文字。
やはりココだったか。
17時開店のその店に開店と同時に入る、当然客は誰もいなかった。
綺麗な店内、一ノ瀬泰造が通っていた頃とはだいぶ違うだろう。
席に案内されると「Are you Japanese?」と聞かれる。
「Yes」と答えると店員がメニューのページを開く。
そこには日本語で「TAIZOさんが好きだった料理です」と。
苦笑しながらもそこからカンボジア風オムレツ3米ドル(≒330円)を注文してしまうミーハーな私。
最後のアンコールビールと共に可もなく不可もない食事が終了。
あとは空港に行って帰路につくだけ。
止まって休んでいたトゥクトゥクドライバーに声をかけ、この旅最後の交渉。
私「空港まで1ドルで行ってくれるか?」
シェムリアップに到着した時に空港から街までのバイクタクシーが1ドルだったのでそれを参考にした。
ト「1ドルは無理だ、4ドル」
私「1ドルと4000リエルでどうだ?」(4000リエル≒1ドル)
ト「1ドルと8000リエル」
私「1ドルと5000リエル」
ト「1ドルと6000リエル」
私「自分が持っているリエルは全部で5500なので1ドルと5500リエルにしてくれ」
ト「分かった、1ドル5500リエルだ」
というわけで交渉成立。
余ったカンボジアリエルも巧く処分することが出来たのでまずまずの成果。
本当は5600リエル持っていたのは内緒で(100リエル札は記念に取っておきたかった)。
夕暮れのシェムリアップを15分ほど走ってシェムリアップ国際空港に到着。
シェムリアップの街を少し外れるだけで風景はただ広大な土地が広がるだけ。
様々な国の主要都市のように、街中を空港に向かうよりも風情があって良い。
まだ発展途上なのか、だけどこれ以上発展しなくても良いと思えてしまう。
アンコール遺跡群は所々で遺跡の補修作業が行われていた。
野ざらしにされている遺跡の現状を考えれば頷ける。
街を発展させるよりも遺跡を修復した方が結果的に街の発展に繋がるような気がする。
なんてことを一見の観光客が偉そうに語ってみる。
シェムリアップ国際空港に到着したが半分くらいは日本人なんじゃないかってくらい日本人が多い。
空港内アナウンスでも日本語が流れるくらい。
余裕を持って早めに空港へ到着したが、それほど大きくないシェムリアップ国際空港。
免税店などを冷やかすもすぐにネタ切れ。
出国手続き代金(?)の25米ドル(≒2,872円)を払って手続きを済ませる。
なるべく人の少ないベンチで旅日記などを書きつつ時間を潰す。
帰りの飛行機はバンコク経由の日本行き。
ホーチミンからシェムリアップに来た時と同じくらいの小さな飛行機でバンコクまで1時間弱。
ここでも離陸直後に慌しく機内軽食が出てくる。
国際線では機内食を出さなきゃいけない決まりでもあるんかね。
すぐに到着したバンコク、窓から眺める夜景はシェムリアップとは比べ物にならないくらい明るい。
前回2002年に来た時とは違うスワンナプーム国際空港。
後で調べると2006年に開港したらしい、そりゃ2002年(ドンムアン国際空港)とは違うわ。
やたら大きい空港で乗継カウンターまでだいぶ歩かされた。
乗継までの待ち時間は2時間ほど。
その程度の時間だと外に出るわけにもいかない。
すぐ外はバンコクなのに入国できない悔しさ。
日本へ向かう飛行機は日本航空。
日付が変わる直前の23:55に出発。
機内で流れる日本語と出される日本産のビールを見ると帰るのを実感する。
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