ベトカン一人旅
2008年2月23日 土曜日
一旦ホテルへ戻って小休止。
翌日の夕方にはカンボジアのシェムリアップへ向かうことになる。
ホーチミンの夜はこれが最後だ。
晩飯に何を食おうかとガイドブックを眺める。
どうせなら珍しいものをと思い「地元で人気のヤギ肉専門店」とあったのでそこへ行ってみることにした。
ガイドブックには大衆食堂の欄に書いてあり、予想通り地元民が行くような店で綺麗とは言い難い。
ヤギ肉のグリルセットみたいなのを注文。
七輪に炭火がセットされて出てきて、皿一杯のヤギ肉を焼いて食う。
まさかホーチミンまで来て一人でこうして焼肉を食べることになるとは思わなかった。
衛生的とは言えない店で得体の知れないヤギ肉をヤキ肉で食べようとしている。
最初は必要以上にしっかり焼いて食べる。
クセが強いものかと思ったが、ヤギ肉のクセよりもツケダレのクセが強くて全部そっちに持っていかれる。
殆ど油だけなんじゃないかというようなタレと甘辛いんだけどパクチーとは違う草臭さが漂う妙なタレ。
美味いとも不味いとも言えない何だか不思議な感じ。
ヤギ肉だけで食べてみても味が無いから味気無い。
必然的にその妙なタレにつけて食すことに。
最初は不安だったので必要以上によく焼いて食べていたが次第にどうでもよくなってくる。
ビールと共にヤギ肉ヤキ肉を完食。
得体の知れない肉とタレはともかく、つけあわせで出てきたオクラは美味しかった。
合計で7万7千ドン(≒539円)。
しっかり焼き肉食ってビールも飲んでこの値段。
やはり地元民が行くような大衆食堂なだけに物価も安く感じる。
ホーチミン最後の夜なのでこれだけでは終わらない。
ベンタイン市場の脇には夜になると屋台が多く並ぶ。
ベトナムの屋台にあるという料理で興味本位で食べてみたいものがあった。
ホビロンという孵化寸前のアヒルの卵をゆで卵にしたもの。
高校時代の友人がそれを食べたってのを旅行記で見た記憶があった。
初日に合流した地元の友人は「孵化寸前のアヒルの卵」ってイメージだけで食べられないと言っていた。
それならば私もチャレンジしてみようとベンタイン市場脇へ。
一通り屋台街を眺めてホビロンがあるのかどうか確認。
すると表にメニューが出ている中にあった「Hot Vit Lon」。
正式な表記は忘れたが「Half Duck Egg」みたいな英語も書いてある。
半分アヒルの卵、まさにコレだ。
その店には店頭の写真入メニューに「Grilled Frog」(焼き蛙)なんてものもあった。
まさに蛙を焼いて開きにしたような写真が載っていた。
興味はあったがさすがに姿がもろに蛙だったので注文することは躊躇われた。
料金も5万ドン(≒350円)くらいしたので注文して全く食べられなかったら失礼だとも思った。
とりあえず初ベトナムなのでホビロンくらいにしておくことに。
ホビロン5千ドン(≒35円)と生春巻き(Fresh Spring Roll)5千ドン(≒35円)、ビール1万ドン(≒70円)を注文。
ビールを飲みつつ待つこと数分、やってきましたホビロン。
見た目は日本で見るのと同じ何の変哲も無い単なるゆで卵。
半熟卵を食べる時のような卵を起く台座に乗せられている。
これは半熟卵を食べるようにするのだろうか。
食べ方がイマイチよく分からない。
とりあえず卵の上部分を少し割ってみるとドス黒いものが出てきて汁が浮いている。
汁をすすってみるとアッサリした鶏がらスープみたいな味で悪くない。
内部は半熟のようにトロトロしているのかと思ったがそうでもない。
殻を全部剥いても問題無さそうだったのでやってみる。
殻を剥ききったそれは私の知っているゆで卵とは似ても似つかないものだった。
パッと見では分かりにくいがよく見ると目を閉じて丸まったアヒルの形が視認できてしまう。
1度しっかり確認してしまうと衝撃的、これを食うのか…
一緒に出てきたライムを搾り塩をまぶす。
さすがに噛み切る度胸はなく一口で一気に食べる。
咀嚼咀嚼咀嚼。
ん、ゆで卵より濃厚な味付けで何の問題も無い。
少し口の中に筋みたいなものが残ったのは骨だったのだろうか。
いずれにせよ見た目の印象と比べれば拍子抜けするほど普通だった。
もっと珍味的で賛否両論な味を想像していたのだが。
しかしベトナム人(?)はよくこの中途半端な状態で卵を食べようと思い立ったものだ。
生春巻きは文字通り生春巻き。
日本で食べるものよりも香草の味がきつく、皮がベタッとした感じがあった。
ビール2本とホビロン・生春巻き等で4.4万ドン(≒308円)。
ヤギ肉と屋台で腹を満たしてから向かったのは高級ホテルのバー。
ホーチミンでの最後の夜なので雰囲気のある所で軽く飲もうと思った。
カラベルホテルにあるサイゴンサイゴンバーへ。
早い時間帯だったので空いている店内。
窓際のオープンテラス席に座りギムレットを注文。
これもただ雰囲気で「高級ホテルのバーでギムレット」をやってみたかっただけ。
まぁ普通にジンライム。
生暖かい夜風を浴びながらホーチミンの夜景をバックにチビチビとカクテルを飲む。
その雰囲気にほろ酔い…ってか既に昼から飲みまくっているわけだが。
1杯だけでサラリと店を後に。
ギムレット1杯7.97米ドル(≒876円)。
さすがに路上とは比べ物にならないが、前日に友人と飲んだモスコミュールも8ドルだったんで想定の範囲内。
だいぶ酔っ払ってきてホテルまで徒歩。
夜になっても声をかけてくるバイクタクシーのおっちゃん兄ちゃん。
「オニイサン、オンナ、オサワリ、ストリップ」
さらにはバイク2人乗りの女性が並走してきて「オニイサン、ホテル」。
いずれもあからさまな夜の誘い。
バイクタクシーにも昼の顔と夜の顔があるらしい。
車道の喧騒といい、夜の誘いといいタイのバンコクのようだ。
まだ1日を終えるには早い時間、ということで泊まっている中級ホテルのすぐ近くにある高級ホテルへ。
ホーチミンの老舗ホテル、マジェスティックホテル。
そのホテルの上にあるバーからサイゴン川を見下ろす夜景が見えるという。
ガイドブックには窓際川沿いの席は予約をして行ったほうが良いと書いてあったが店内はガラガラ。
ジントニックを注文して窓際川沿いの席でチビチビ。
ジントニック1杯5.78米ドル(≒635円)。
川を見下ろす良い席だが川と平行している車道ではクラクションがひっきり無しにプープー。
ホーチミン最後の夜の感傷はクラクション音と共に。
もっとも、ひっきりなしのクラクションはホーチミンのいたるところで聞こえる。
これがまさに今のホーチミンか。
夜でもホーチミンは元気だ。
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