タイ旅日記

9月5日 木曜日
翌朝7時には日本に帰国するので、この日が事実上の最終日。
この日の予定は郊外のカンチャナブリーへ行く。
カンチャナブリーは映画「戦場に架ける橋」の舞台となった場所だ。
バスターミナルへ行き、窓口でカンチャナブリー行きチケットを購入、80B(≒240円)。
バス内は全席指定で満席、殆どが観光客。
13時にカンチャナブリーのバスターミナルに到着、街は思ったよりも栄えていた。
インフォメーションで簡易地図を貰い、戦場に架ける橋の舞台であるクワイ川鉄橋までの道を聞く。
クワイ川鉄橋は歩いて行くには遠いので、近くに3台程いたバイクタクシーに声をかけた。
1人20B(≒60円)だという運転手を15B(≒45円)で了承させてバイクの後ろにまたがる。
てっきり2台のバイクで行くかと思いきや、1台のバイクに運転手・私・相方の3人がまたがる。
バイクの3人乗り、なかなかスリリングだが気持ち良かった。
クワイ川鉄橋の近くで降りて、そこから徒歩でクワイ川鉄橋駅を目指す。
周りは何もない、ただ自然だけがある。
クワイ川鉄橋駅は観光地駅、駅からすぐの所に戦場に架ける橋の舞台、クワイ川鉄橋がある。
鉄橋は見事に観光客だらけ、総スタンド・バイ・ミー状態とでも言おうか、皆が橋の上を歩いている。
鉄橋上を歩くことは出来るのだが歩けるスペースが狭くて結構恐い。
すれ違う時はどちらかが道を譲らないと通れないくらい狭い。
あれだけの観光客が歩いているのだから年に数人は落ちているのでは?と思えるほどだった。
クワイ川の水は思ったよりも綺麗で(バンコクのチャオプラヤー川が汚すぎるのか)、透き通っていた。
映画「戦場に架ける橋」の舞台となったクワイ川鉄橋だが、映画では作られるのは木造の橋。
その木造の橋は戦争で連合国軍の爆撃によって破壊された。
現在のは戦後新たに修復された鉄橋である。
映画の舞台、戦場だったとは思えないほどのどかな光景。
橋を渡り終えた所、橋の下あたりに土産物屋が並んでいる。
青空の下に机や椅子なども並んでいて、見るとビールもある。
特に何するわけでもないが、ボーっと川や橋などを眺めながらビールを飲んだ。
橋のななめ下なのでそれほど観光客もいなくて時間がゆっくり流れているのを感じた。
しばらく何もせずにゆっくりしている。
どこからか音が聞こえる、列車の音だ、だんだん大きくなる。
橋を見ると人がいる、橋には待避所みたいな所があったから皆そこに避難するのだろう。
次第に列車が近づいてきてクワイ川鉄橋を渡る。
我々がバンコクからアユタヤへ向かった時に乗ったような普通の列車。
車内は観光客と思われる連中が大勢窓から顔を出していた。
列車が通りすぎるのは一大イベントだった。
ワーワーキャーキャー言いながら待避所に避難したであろう修学旅行生。
列車の最後部をしきりに走って追いかけていた人、気をつけろよ。
列車の窓から顔を出しては写真を撮っていた乗客。
浮世を忘れた時間を過ごし、列車が通りすぎるのも見られたし、小1時間休んだので行くことに。
鉄橋の近くに第2次世界大戦博物館があるというので行ってみた。
30B(≒90円)を払って中へ。
橋を建設しているシーンの等身大(?)人形や橋のミニチュア・模型。
当時使用した道具や当時の様子を描いた絵などが多数。
日本語の解説もついているものが多く、それらを読み進むと実に複雑な気分にさせられる。
クワイ川の橋は映画の中では人の手で爆弾を仕掛けて爆破されたことになっていたが、実際には空爆で破壊されたことを知った。
日本語の解説は、ここを訪れた日本人が、展示の内容を日本人だからこそ知らなければいけないと思い、ボランティアで邦訳を付けたという。
相方との会話もなくなるような、何かどこか重苦しい気分になり博物館を出た。
思えば原爆資料館など日本が被害者の展示は見た事があったが、加害者の展示を見たのは初めてかもしれない。
複雑な思いで戦争博物館を出て、バスターミナルに戻る。
16時40分にバスは出発、大渋滞もあり、19時15分にバンコクバスターミナルに到着。
私はバンコク最後の夜なのでレストランと呼べるちゃんとした所へ入って、タイ料理を食った。
しっかり食って飲んで計800B(≒2,400円)弱。
タイ料理は唐辛子系の辛さと、パクチーと呼ばれる香草のクセのある味が特徴だと思う。
私は好きな部類に入るが、好き嫌いが極端に分かれそうな料理だ。
翌朝が早いので、ギリギリまで飲み歩こうと決めていた。
中央にステージがあり生演奏をやっている野外ビアホール(…と呼べるのかな?)などで飲む。
2,3件をハシゴしてビールばっかり飲んでいた。
夜の街を歩いていると、一輪の花を持った小学生くらいの子供がその花を売りに来る。
「トゥエンティバーッ、トゥエンティバーッ」(20B≒60円)と連呼して無邪気な笑顔で花を売りに来る。
その彼らの笑顔と、昨日アユタヤで見た子供達の笑顔が重なる。
どちらも同じ位の年齢だ、その無垢な笑顔は変わらないように見えるのだが…
信号待ちの車の窓を拭く子供達もいるし…何ともいえない気分にさせられる。
ホテルへ戻り、時刻は1時過ぎ。
翌朝7時発の飛行機で台北へ向かい、東京へ帰る。
7時発なので2時間前には空港に着いているとして5時。
タクシーで1時間はかからないだろうから、4時くらいに出れば問題ない。
1時過ぎにホテルへ戻ってきたので、眠るのはやめておいた。
これから眠って疲れた体で4時前に起きるのは至難だ。
風呂に入ったり、帰りの準備をしたり、旅日記を書いたり。
私が帰国した後も数日滞在する相方は早々と眠ってしまったので暇。
そして、帰る時間。
声をかけても起きなかった相方に「それじゃ日本で」と言い残し3時30分にはホテルを出た。

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