タイ旅日記
8月31日 土曜日
5時30分頃に「Hello breakfast.」と起こされる。
ずっと同じ体制で眠っていた所為か、背中と腰が痛かった。
手早くベッドが収納されて再び向かい合った席が出来て、テーブルが出される。
昨夜の晩飯時に今朝の朝食の予約もしておいたのだ。
鶏入り粥とオレンジジュース、コーヒーで65B(≒195円)。
少し昨夜の酒が残っていたので、鶏入り粥が胃に優しかった。
7時30分(タイ時刻)に国境の駅に到着。
国境駅ではBorder Borderと乗務員が連呼して全員が列車の外に出された。
辺りには何もない駅。
駅構内で出国審査、終えると同じ駅構内で入国審査と税関。
こっちで出国審査、あっちで入国審査と税関という感じ、すぐ近く。
1時間30分程何もない国境駅で待たされて出発。
マレーシアに入ったからか、景色が平野から森っぽくなっていた。
密林とまではいかないが、明らかに木々は増えた気がした。
木々の枝葉が何度も列車の窓にぶつかる、手入れする人なんかいないのだろう。
タイ時刻11時55分、マレーシア時刻12時55分、バタワース駅に到着。
マレーシアとタイの時差は1時間、タイが9時ならマレーシアは10時、日本だと11時。
タイを14時20分に出た列車がタイ時翌11時55分に到着、総乗車時間は約21時間30分。
寝台車で眠る時間があったこともあるが、殆ど退屈はしなかった。
窓の景色を見ているだけで楽しかった。
相方がいたというのも退屈しなかった原因の1つだろう、1人で21時間30分はきついかも。
バタワース駅に着いてまず今夜の寝台列車の予約をした。
今夜の夜行でマレーシアの首都クアラルンプールへ向かう予定なのだ。
駅に両替所があったので、そこでマレーシア通貨、リンギットに両替。
1万円=310リンギット(1リンギット≒32.2円、以後文中ではリンギットをRMと表記、1RM=32円のレート計算で表示)
両替をしてすぐに駅の窓口へ行って今夜の寝台車の有無を確認。
「We want today's night train to Kuala Lumpur.」
幸いにして空きがあり、その場で発券してもらった、1人40RM(≒1,280円)。
21時50分発の夜行寝台列車、出発まで8時間近くある。
バタワースから海を隔ててペナン島という島があるので行ってみた。
駅のすぐ近くから渡しフェリーが出ていて、料金は0.6RM(≒19円)。
曇り空で蒸し暑いペナン島をブラブラ歩く。
所々で燃料を補給しつつ、ペナン島中心部にして繁華街のジョージタウンをうろつく。
繁華街のジョージタウンは何だかいまいち物足りない。
人通りはあり、栄えてはいるのだが、どことなく田舎臭さを感じさせる。
そもそもペナン島はビーチリゾートで有名な地。
そこの繁華街に何かを求めても仕方ないか…。
夕暮れになった頃、フェリー船着場近くの屋台街でビールの看板を掲げている所へ入った。
晩飯を兼ねて飲んで食うことに。
ビール大瓶8RM(≒256円)とホッケンミーなる麺類2RM(≒64円)やお粥みたいなもの2RM(≒64円)など。
屋台なので殆ど外に面している。
小蝿は飛んでくるし、店内は汚いし、皿や鍋はバケツの汲み置き水で洗っているし、不衛生極まりない。
その分値段が安くてそれなりに美味い、衛生状態など気にしていたら飯が食えん。
屋台の料理は量によって少しの差はあるが殆どが2RM(≒64円)前後。
それに比べるとやはり大瓶8RM(≒256円)のビールは高価だ。
やはりビールは嗜好品、贅沢品だ。
その屋台を出てブラブラしてもまだ時間があるので、違う屋台に入りまたビールと飯。
屋台によって出す料理が違うので、それも楽しめる。
列車出発の1時間30分前にはバタワースに戻った。
駅構内の待合所で今後の予定を検討。
翌朝にはクアラルンプールに到着する。
当初の予定はクアラルンプールで1泊して、翌日の飛行機でバンコクまで戻るつもりだった。
ところがマレー鉄道の時刻表を見ると、クアラルンプールからシンガポールへ行く夜行列車がある。
どうせクアラルンプールまで行くのならマレー鉄道最後の都市シンガポールまで行ってしまおう。
クアラルンプールでの1泊の予定を、シンガポールへの夜行の1泊に充てれば予定も狂わない。
早速バタワース駅の窓口でクアラルンプールからシンガポールまでのチケットが買えるかを確認したら、空きがあった。
その場でクアラルンプール〜シンガポールの夜行寝台列車のチケットを購入した。
1人37.5RM(≒1,200円)、これで列車内3連泊が決定したわけだ。
それにしても…
バンコク〜バタワース≒3,000円
バタワース〜クアラルンプール≒1,280円
クアラルンプール〜シンガポール≒1,200円
合計約5,480円で寝台列車に乗ってマレー半島3カ国を縦断することが出来るのか…。
列車は21時50分発で、翌8時頃にはクアラルンプールに到着する。
機内食ならぬ車内食は出なさそうな時間帯だ。
乗務員にレストランカー(食堂車という意味のつもり)はあるかと尋ねるとあると答えた。
それならば食堂車へ飲みに行くことにした。
しかし行けども行けども食堂車は出てこない。
ん?!まさかあれか?
発見したのは車両の連結部分のスペースにあった新幹線などの車内販売に使われるようなカート。
食糧も積んでいた、レストランカーと言えないこともない
乗務員が言ったのはこのことだったのか…
酒を積んでいる形跡はなかったし、積んでいても買ってお互いのベッドで飲むだけだ。
すごすごとベッドへ引き返し、することもなく早々と眠った。