日々是ネタ也

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退職

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人事異動により私が店長から副店長になり、私の上に先輩社員が店長として付いた。
そのことにより仕事はかなり楽になった。
これまで1人でやっていた店長(社員)の仕事を2人で出来るようになったのだから。
月に3回が平均になりつつあった休みも週に1回取れるようになったし、
特にする事が無ければ早く帰るということも出来るようになった。
そしてその店長と色々と話す時間も出来た。
辞めたいという意志を口に出せたのもその店長と色々話す機会があったからだ。
エリアマネージャーには恐くてそんなこと言えなかったけれど、
私の上についたその店長は私と学年は1つしか違わなかったし話し易かった。
辞めたいと表明してからはその店長だったり、
同じエリアの他の社員だったり、
色々な人から色々なことを言われた。
当初予想していた「何言ってるんだお前!!」と説教される感じではなかった。
それよりも一緒にやっていこうよ、頑張ってみようよ、といった励ましが多かった。
私にはそれが逆に苦痛だった。
皆はそう言ってくれているが私は会社の雰囲気そのものに違和感を覚えていたのだから。
励まされれば励まされるほど「勘弁してくれ」という感じだった。
辞めたいと表明してもなかなか辞められなかった。
私も「辞めてやる」って啖呵切って辞める程の気持ちはなかったのだ。
副店長になったとはいえ、私は入社した時から約1年間ずっと同じ店にいる。
私が採用をしたアルバイトも沢山いる。
彼・彼女らを放って辞められない、辞めにくいし何よりも自分の店やスタッフは好きだったというのが第1。
それから辞めることが他の社員に対して申し訳ないというのもあった。
それに加えて、社員2人体制になったことで仕事内容も楽になったというのもあった。
そんなこんなで辞めたいと表明してからも2ヶ月ほど騙し騙し仕事を続けてきた。
辞めたいとは思ってはいるが、辞めてやるとまでは思っていなく、きっかけが無いような状況だった。
そのきっかけとなる出来事があった。
6月の半ばに全社員参加の海外ロサンゼルス研修が実施される。
全社員が集まる5月の会議の時にその海外研修に参加する為に「自分はこういう気持ちで参加します。」みたいな決意表明を書かされることになった。
単純にロスへ観光に行くだけなら私も行きたかったが海外"研修"である。
会社の経費を使って全社員参加の"研修"である。
当然参加するにはそれ相応の決意をして行かなければならない。
そう考えると行きたくなかった、行けなかった。
これがきっかけだ、と思った。
決意表明の用紙には「自分には行く資格がない。」と書いた。
後日、店長から飯を食いに行こうと誘われた。
これは何かあるなと思った。
研修参加云々の話しなどから辞めるかどうするかなどの話し、
そして店長から「辞めたいと言ってから2ヶ月くらい経ったけど、店のことや他の社員とのコトなどのしがらみを一切抜きにしてお前はどうしたい?」と聞かれた。
辞めるか続けるか、その決断を迫る質問だった。
「辞めたいです。」
「そうか、辞めるか。」
「辞めます。」
意外なほどアッサリと終わった。
そしてその数時間後に店長から大きな人事異動の話を聞いた。
エリア全体での大きな人事異動で私の上の店長も異動してきてから2ヶ月しか経たないのに他の店に異動、
私の店の店長も変わることになった。
それでなんとなく判った。
店長が辞めるか辞めないかの決断を私に迫ったのはその人事異動が裏にあったからなのだろう。
恐らく私が辞めないで続けると選択していたら私も異動だったのだろう。
退職が決まってからは早かった。
仕事の引継ぎといっても店長ならまだしも副店長だったのでそれほど引き継ぐこともなかった。
私が住んでいたアパートは会社が借りているもの。
人事異動があり、私のいる店の店長も変わるので、アパートには新しい店長が入居することになる。
だから引越も急がなければいけない、とりあえず実家に帰ることになった。
電話帳片手に引越屋に電話して見積もりを取ってもらい、1番安いところに決定。
5月だから引越閑散期らしく、かなり大幅に値引きしてもらった。
正式に辞めることを表明してからちょうど1週間後に引越。
就職して1年と1ヶ月チョット、仙台への一人旅を終えた。
1台の車と少しの貯金、多くの経験を得て…

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