日々是ネタ也
日常全てが題材(ネタ)
退職
会社を辞めた。
入社してから1年1ヶ月ほど勤めたが、遂に耐えきれずに退職となった。
新入社員として入社してから1年が経とうとしていた3月の半ばになって人事があり、
私のいる店で私の上に先輩社員が異動してきてその人が店長になった。
つまりそれまで店長だった私はその店で副店長となった。
給料は変わらなかったが、降格だ。
私のいるエリアを仕切るエリアマネージャーは「お前がもう1度勉強しなおす良いチャンス」みたいなコトを言ったが、
その裏には口にこそ出さなかったが"売上が落ちている"という大きな事実があったからだろう。
退職を決意する要因として人事が引き金になったのは間違い無い。
ただ、それ以前から辞めるコトは考えていた。
判り易い理由としてまずは何よりも労働時間の長さとそれに対する報酬の無さ。
店に社員は1人だけ(=店長)で私も自分の店に社員は私だけ、あとは全員アルバイトだった。
必然的に社員の仕事というのは私にしか出来なかった。
そういう現状もあり、休みは基本的に週1回取れれば良い方。
勤務時間は10時開店22時閉店の為朝は9時30分までには出勤。
夜は23時を越えるし、帰宅は0時を越える日の方が多かったくらい。
営業時間中に休憩は合計で1時間30分〜2時間くらいだったので単純に営業時間合計(12時間)から休憩時間(多くて2時間)を引いても1日10時間は働いていた計算になる。
そんな労働時間だったが、それに対する報酬(残業手当や休日出勤、深夜手当)があればまだ良かった。
しかし店長という役職は、労働者を管理する立場にある"労働監督者"というものになる。
この労働監督者は労働基準法による労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用除外されている。
労働監督者が時間外や休日に労働した場合でも割増賃金を支払う必要は無いのだ。
だからいくら労働時間が長かろうが、休みがなかろうが関係無い立場なのだ。
それに加えて私がいた会社では社員に対してタイムカードが存在しなかった。
故に何時に出勤し、退出したかという記録は一切残っていない。
入社当時からその辺りのコトについては釈然としない部分があった。
もっとも逆に考えると、いくら遅刻しても早退しても休んでも判らないとは言えるが、
他の店長や社員と話していても殆どの人が休みは週に1回、
店にはフルタイムでいるし、全社的に「休むのは悪」みたいな体質を感じた。
全社員が集まる会議等で上の人が壇上で「今日は会議なので私は休日を使って参加しています。」と言ってのけたり、
「一生の内に死ぬ気で働く時があってもいいんじゃないか」みたいなコトを言う。
週休2日取るなんてとてもじゃないけれど出来ない環境だった。
あってないようなもんの就業規則には月に7日の休みと書いてあったが1年以上勤めて月7日休めた月は1度もなかった。
休みの日でも携帯電話には容赦なく仕事絡みの電話がかかってきていたし、なんだか監視されているような気さえしたこともあった。
以上のような理由は世間一般の人でも判り易い退職理由だが、
もう1つの理由が会社の雰囲気と自分とのギャップだ。
少し前でも触れているが、「休むのは悪」みたいな体質。
休むのは悪というよりも社員は皆「仕事大好き」という感じである。
仕事は仕事と思ってやるものではなく楽しくやるもので、自分の目標に向かって仕事をすることは苦痛ではない。
会議の後で飲み屋で懇親会があるのだが、そういった場でもいわゆるバカ話しは厳禁。
他の店長や社員と会えるそういう場を大切にして意味のあるものにしなければならない(懇親会費用は自腹)。
会議の後でホテルに泊まったりするときも1つの部屋に沢山の社員が集まって店のコト、仕事のコト、スタッフのコトを延々話し合う。
会社や仕事の愚痴などは厳禁…というかそれが出る雰囲気すらなかった。
私は仕事がつまらなくて仕方ないとは思わなかったが、それほど楽しいとも思わなかった。
やはりいつでも「仕事は仕事」と思っていた。
入社当時から労働時間の長さや休日の無さには疑問を持っていた。
だけどそういった考えを他の社員の前で口に出すコトはできなかった。
そういうコトを言わさない雰囲気、そういったものを排他する雰囲気があった。
入社当時の懇親会で同期の1人が「(他の会社に就職した)友人にウチの会社の話をすると労働基準法違反だって言われる」と話したら先輩社員の1人が
「そんなレベルの低い話しをしてるのか。」と言った(最低限の権利だと思うのだが…)。
そういう雰囲気から私は他の社員と接するのは苦手になっていった。
そうしたことから辞めたいという考えは入社したその年に既にあった。
だけどその考えを口に出すことがなかなか出来なかった。
まずは何よりも入社して1年も経たないのに辞めるというのは自分に対して納得いかなかったし世間体も勿論気になった。
そして店長になってからは自分の店を放って辞めたいなどと軽々とは口に出来なくなった。
もう1つは辞めたいなんて言った途端にエリアマネージャーや先輩社員が飛んできて「何言ってるんだお前!!」と説教されるような気がして言えなかったというのがある。