インド一人旅
2008年7月30日 水曜日
観光客が大勢いるガートだったがボートは出ていない模様。
ボートに乗って河の上から沐浴している人を眺めるのが定番の観光コースらしいのだが。
勝手に説明しだしたガイドによると雨季で水位が上がっているからボートは出ていないと言う。
河の向こう側は不浄の地とされているらしく、確かに建物もあまり目に付かない。
たまに死体が流れているという話を聞いていたが、河自体が大きく流れも早いので確認は出来ず。
足だけではあるがガンガーに浸かるという目的を着いて早々に果たしてしまった。
あとはガンガー沿いにあるという火葬場を見ることくらい。
火葬場であるマニカルニカーガートを目指して歩く。
ところがガンガーの傍の道はだいぶ入り組んでいてどうも曲がるタイミングを間違えたらしい。
なかなか火葬場に辿り着かず、結局大きな通りに出てしまった。
朝飯も食べていなかったことを思い出し、小休止がてら開いていたレストラン?に入る。
朝っぱらからカレーは勘弁…だったのでチーズオムレツとマンゴーラッシーで70Rs(210円)。
腹も満たして再び火葬場を目指して歩く。
この辺かなという所へ来るとガイドもどきの若者が「カソーバ、コッチ」と案内を始める。
案の定途中でゲストハウスの前を通り「泊まるならココだ」と言われたが無視。
入り組んだ路地を歩くと河沿いに薪が積み上げられている一角に出た、火葬場だ。
火葬場へ近づけるのは近親者のみらしく、観光客は物見台のような建物から火葬場を眺める。
物見台に登るとそこには老婆が点在して座っている。
事前に調べた情報だと、来たるべき死に備えて自分を火葬するための薪代を喜捨で集めているとか。
老婆とガイドもどきの若者が数人いる物見台。
そこから見える火葬場は5,6つくらいの薪の山があり、2つほどから黒煙が上がっている。
私の横について英語でアレコレ説明し始めるガイドに静かにしてくれと言って火葬場を眺める。
まさに今、飾り付けられた担架に乗せられて運ばれてくるモノも。
薪の上にセッティングされたそれは布に包まれているが完全に人の形をしている。
目の前での火葬に衝撃を受けるかと思ったが、特別な感慨は抱かなかった。
作業員?も淡々とやっていたし、どうもそこで繰り広げられている光景が「死」と結びつかない。
火葬が特別なことではなく当たり前に行われている。
下の方では骨っぽいものをガンガーに放り投げている人。
そのすぐ近くではガンガーで沐浴をする人や、水遊びをする子供。
「生けるモノの沐浴」と「死せるモノの火葬」、ガンガーではその両方が日常として行われていた。
…ように感じた、ガンガーの日常なんて知らないが。
物見台を出ようとするとガイドもどきが老婆に薪代を払っていけと言う。
強要されている感じが嫌だったがまぁ礼儀だろうと思い10Rs(30円)札を渡す。
するとガイドもどきが「少ない!」と喚く。
無視して歩き去る背中に何かゴチャゴチャ言ってきたが勿論振り返りはせず。
何で喜捨に文句をつけられなきゃならんのだ、最後は嫌な気持ちになり火葬場を後にする。
ガンガーに浸かって火葬場を眺めたことでガンガーでの目的は全て果たしてしまった。
することが無くなり適当なガートに座ってガンガーを眺める。
静かにガンガーでも眺めようかと思っていたがそうもいかない。
どこからか現れる現地人が話しかけてくる。
ガイドもどきか土産物屋か旅行代理店の回し者か。
10Rs(30円)でマッサージをしてやるなんてオッサンも現れる。
陽が高くなり、暑くなって木の下に避難。
そしたら晴天なのに雨が降ってきた、と思ったらすぐ止んだ。
何だったのだろうと木を見上げる。
「あぁ、猿のオシッコ」と饒舌な日本語で現地人の若者が話しかけてくる。
「猿はインドで神様だからインド人は猿にオシッコかけられて喜ぶ」
猿がハマヌーンと呼ばれる神であることは知っていた。
だけどさすがにオシッコかけられて喜びはしない(というかインド人が喜ぶって本当かよ)。
ガンガーに浸かった後で猿に小便をひっかけられるとは、とことんインドの洗礼を浴びているようだ。
日向にいれば暑いし、木の下にいれば猿に小便をかけられる、そしてどこにいても話しかけて来る現地人。
朝から行動していた疲労も重なって色々面倒になってエアコンの効いたカフェに避難。
当然?ビールはなく、コーラ20Rs(60円)で喉を潤す。
だいぶ涼めたので少し元気になり再び行動開始。
黄金寺院の異名を持つヴィシュワナート寺院がすぐ近くにありそうだったので行ってみる。
入口が商店や土産物屋が立ち並ぶ細い路地で分かりにくかったがどうにか到着。
到着はしたものの人が多くて入場のためのセキュリティチェックも面倒そう。
というかそれ以前にガイドブックを見るとヒンドゥー教徒しか入れない所だったらしい。
結局やることがなくなり、手頃なガートに座ってガンガーを眺めるくらい。
ビールでも飲みながら河を眺められれば最高なんだが。
本当は火葬場を延々眺めていたかったが、行くのが大変だし行ってからも現地人が面倒なんでやめた。
座っているとやはり話しかけて鬱陶しい現地人。
いつもは無視を決め込むのだがそれでも話しかけてくるのでハッキリと「I don't want to talk with you.」と言ってやった。
観光客が集まる所にはこうした輩も集まってくる。
期待が大きかったヴァラナシだけにあまりにも観光地化しているガンガーにはやや失望。
時間的には早かったが飯食って早めに駅まで行ってしまうことにした。
陽射しと暑さが強烈だったのでエアコンが付いていそうなそれなりのレストランへ。
16時前という中途半端な時間だったので誰もいない店内。
カレー以外のものを注文したかったが時間が中途半端だからかターリーしかないと言う。
結局ここでもターリーを食べることになる。
またもやビールは無くてコーラで我慢。
これで3日連続でターリーとコーラのコンボを食べたことになる。
相変わらず米・ナン・ナン煎餅とボリュームがあるターリー。
カレーが余っても充分に腹が膨れる、今夜は車内食不要だな。
ガンガー近くの大通りゴードウリヤー交差点でリキシャーを拾うことに。
オートリキシャー相手に50Rs(150円)でヴァラナシ駅までと言っても皆70Rs(210円)〜80Rs(240円)を請求してくる。
そんな中で昔ながらの自転車型リキシャードライバーに話してみたら50Rs(150円)で1発OK。
バイクを使ったオートリキシャーの方が早いしガソリンも使うから高いのは当然かもしれない。
だけど自転車型のサイクルリキシャーの方が自力で漕がなければいけないから大変だろう。
かなり疲れた感じのリキシャーでシートも硬くて乗り心地は良くない。
道も悪くガタガタしてケツが痛く、スピードも殆ど出ない。
列車の時間まではだいぶ余裕があったのでゆっくり行くのも悪くない。
悪路では殆ど前に進まない中を必死になって立ち漕ぎ。
ようやく駅に着いた頃にはゼーゼーハーハー言っていたリキシャードライバーのオジサン。
支払いで50Rs(150円)札を出すとオジサンは済まなそうに「10」と言う。
こちらも50Rs(150円)だと気分的に安すぎる気がしたので躊躇せずに10Rs(30円)札を渡す。
オジサンは当然のように受け取るわけでなく、両手で受け取って手を合わせて「Thank you」と。
そうしてくれるとこちらとしても+10Rs(30円)した甲斐があるというもの。
ロクな奴がいないと思っていたヴァラナシの現地人だったが最後に少しだけ気分が晴れた。
それがオジサンの戦略なのかもしれないが日本人相手には有効な気がする。
中途半端に交渉するよりも日本人相手なら情に訴えた方が遥かに稼げると思う。
必死にサイクルリキシャーを漕いでいる姿を見させられたら尚更だ。
疲れていたので駅のベンチで列車が来るのを待つ。
待っている間に何度も断続的な停電が起こる。
全ての電気が消えて空調設備(巨大な扇風機)も止まって静かになる。
数秒後には電力が復旧、そんなことが何度も繰り返し行われた。
電力事情は不安定なようだ。
列車は出発の1時間前にはホーム到着。
デリーに戻る席は寝台の上段。
置き引きのリスクが減るからか下段よりも値段が15Rs(45円)程高い。
だけど上段は窓が無いのでつまらない、15Rs(45円)払うから下段にしてくれと思えてしまうくらい。
定刻通りに出発した列車。
今回は車内食も食べる気は無かったのでシーツと毛布が配られたらさっさとベッドメイク。
インドの車窓からを眺めることも出来ないので早々に就寝準備。
諸々を済ませて落ち着いてみるとどうも何か臭う。
臭いの元を辿るとどうやら私の足とハーフパンツがドブ臭い。
心当たりは1つだけ、ガンガーで妙なお土産を貰ったみたいだ。