インド一人旅

2008年7月29日 火曜日
ラールキラーは通称レッドフォート(赤い城)というだけあってレンガ造りの赤茶けた砦のような建物。
入場料は250Rs(750円)、やはりインド人は20Rs(60円)。
他の物価に比べるとやはり観光地の入場料は高い。
入場口前は列が出来ていて、直射日光をもろに受けて暑い。
どうやら入口で金属探知機を通ってボディチェックもやっているから時間がかかっているらしい。
クソ暑い中を並んで待つ。
後ろのインド人が早く前に行きたくて仕方ないのか少し列が進むたびに必ず後ろに接触してくる。
ただでさえ暑くてイライラしてるのに逐一接触してくるんじゃねーよ。
そいつだけなのかと思ったら列が2列になった別のインド人も同様。
ったくコイツらは…。
ようやく入場できたラールキラー、広い庭園の中に建築物が並ぶ。
アグラでもそうだったが、観光地の城はそれ自体が広いので良い時間潰しになる。
タージマハルのように「コレ!」という明確な目標が無いのでダラダラとブラブラ。
正直ヴァラナシ行きの夜行列車までの時間潰しだった。
16時過ぎになりそろそろメインバザールへ戻ることにする。
デリーの下町というチャンドニーチョウク通りをメインバザール方面へ向けて歩き出す。
時間はあったので声をかけてくるリキシャーには強気に10Rs(30円)なら行くよと言っていたら予想通り皆NG。
なら歩くから良いよ、としばし歩くが西日が強烈で体力は消耗し早くも疲れてきた。
何人かのリキシャーにこちらから声をかけたが「メインバザールへは行かない」という奴らが2,3人続いた。
どうも縄張りが違うのだろうか。
リキシャーが捕まらないと余計に疲れる。
持っていた水はお湯となり、正しい方向へ歩いているのかも不安になり始めた頃に見えた希望の看板。
幸いにも地下鉄の駅があった。
調べるとニューデリーまで1駅の所まで来ていた。
これまで歩いてきた距離を考えると歩けない距離ではなかったが疲労が勝ったので迷わず地下鉄を選択。
エアコンの効いた地下鉄でスムーズにニューデリー駅からメインバザールへ。
昨夜と今朝の少しの時間だけしか滞在していないメインバザールなのに「戻ってこられたー」とホッとしてしまった。
旅行代理店へ行くとちゃんとヴァラナシへの往復寝台特急券を渡してくれた。
これで今度こそようやく一安心。
旅行代理店のオジサンからは「駅でチケットを見せろと言ってくる人がいても絶対にチケットを見せてはいけない」と。
チケットを見せるのは列車内で車掌にだけだと強く念を押された。
ガイドブックにも載っているが駅構内で駅員のフリをして「このチケットでは乗れない」という詐欺を働く輩が多いと言う。
そして改めてお金を払わされてチケットを再発行させられるらしい。
私が初日に会ったのもそうした輩の1人だったのだろう。
無事にチケットを受け取り、ニューデリー駅へ向かう。
列車の発車まで1時間ほど時間があったので駅前の露店に寄ってみる。
ビールの看板が出ていたのを思い出し、暑い中歩き回ったしこれからヴァラナシということで景気づけ。
瓶ビールが1本40Rs(120円)。
売店のオジサンに注文すると中身の見えないビニール袋にくるむ。
栓抜きを持っていない私は「今飲んじゃうから開けてくれ」と頼む。
するとオジサンは「No. That's problem.」と。
飲酒が好ましくないヒンドゥー教、その一端を垣間見た気がする。
「それなら要らない」というとオジサンが「チョット待て」と。
ペプシの紙コップを2つ持ってきて瓶ビールを開けて一気にドボドボと移し替える。
溢れそうな2つの紙コップを持たされて早く飲め、と急かすような雰囲気。
暑い中歩き続けて喉も渇いていた、よっしゃ望むところだ!と1杯目を一気に飲み干す。
ところが苦味が殆ど無くほんのり甘いビールでしかも冷えていなくてヌルイ。
正直あまり美味しくない…。
2杯目も少し息つきながらも飲み干したがアルコール入ってるのか?というくらい張り合いが無い。
空きっ腹に一気にビール流し込んだ時のクラクラっとくる感覚が全く無い。
ビールテイスト飲料を飲み干したようで無駄に腹が膨れてゲップだけ立て続けに出る。
銘柄は分からず仕舞いだったがこのインドのビールは外れだった(アグラでのキングフィッシャーは悪くなかった)。
夜行列車の予定では12時間超の長旅。
それに備えて露店で2リットルの水ペットボトルを買っておく20Rs(60円)。
駅へ行くと「チケットを見せろ」と言ってくる輩もおらず、スムーズにホームへ(チョットつまらない)。
発車の30分前だったが既に列車は止まって待っていた。
「NEW DELHI⇔VARANASI」と書かれた通称ガンガーエキスプレス(ガンジス河は現地語でガンガー)。
号車とシートを確認して乗り込む2等寝台車。
私の席は寝台の下段。
狭い寝台だったがマレー半島を縦断したマレー鉄道の寝台車もこんな感じだったので問題無し。
出発前に警察みたいなのが乗ってきて英語で書かれた紙を読まされ、サインをするように求められた。
どうもその紙には「見知らぬ人から物を貰うな」や「荷物は自分で守れ」みたいなことが書いてあった。
自分1人だけ署名させられるなら警戒していたが、西洋人バックパッカーも同様にサインしていたので大丈夫なんだろう。
定刻の18:30に発車した列車。
履いてきたサンダルを脱ぎ、念のためにビニール袋に入れて荷物と共に寝台の足元に置く。
サンダルで歩き回っていたので足がそこらのインド人より酷いんじゃないかと思えるほど汚くなっていた。
持参した洗顔用メントール入りウェットティッシュで念入りに拭く。
エアコンの効いた寝台車でベッドに足を伸ばして車窓を眺める。
初日はデリーからアグラへのギュウギュウ詰め立ちっ放し。
次はアグラからデリーへの指定席だけど3人がけの狭い席でエアコンなしの車内。
日に日に列車環境は良くなっていくな。
どうやらヴァラナシまでノンストップで行くらしく、途中の駅に止まる形跡は無い。
だけど割と頻繁に物売りが車内を往復する。
前日の列車と違うのは物乞いが乗っていないことか。
途中で係員が「Dinner?」と聞いてきたので「Yes」と答える。
ベジorノンベジ?とのことだったのでノンベジ。
注文してからだいぶたった頃に運ばれてきたのは簡易式のターリー。
3種のカレーとご飯・ナン、またまたカレーか。
どうやら乗客全員に配られているわけではないところを見ると別料金のようだ(後で請求されて80Rs≒240円)。
寝台の上で食べなければならないので、こぼさず食べるのが大変。
ご飯とナンは完食できるがカレーはどうしても余ってしまう。
日本なら全部食べるだろうが、インドだと下痢が恐くて食べ尽くせない。
食べ終わったお盆と器を寝台の下に置いておき、そろそろ就寝の準備。
各寝台に配られたそれなりに綺麗なシーツと毛布をセッティング。
予想はしていたが、ずっと車内にいると冷房の効きすぎで若干寒くなってくる。
寝台のカーテンを閉め、荷物は寝転がった足の下において更にその上から毛布をかける。
それでも寝てしまうと置き引きの不安はある。
ワイヤーロックを持ってきておけば良かったと思った。
真っ暗な車窓を眺めるのにも飽きてきて就寝。

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