インド一人旅

2008年7月27日 日曜日
発車は今から30分後となっている。
まだインドに着いて何も口にしていなかったのでとりあえず駅の売店で水1.5リットルを購入13Rs(≒39円)。
発車時間の10分ほど前に列車が到着。
持っている切符とホームに到着した列車が合っているのかどうか分からないのでホームにいる駅員(多分)に確認。
恐らくは自由席だろうと思われる車両に行くと既に列車のドアからはみ出るくらい人がギューギュー詰め。
どこの車両を見ても状況は変わらず大混雑。
えっ…コレに乗るんですか?
郷に入っては…と突入!通勤ラッシュが日常茶飯事な日本人なめんなよ!!
…と突入はしたが殆ど通勤ラッシュを味わっていない私の現状。
おまけにそこは朝の通勤ラッシュ以上の詰め込み具合。
さらにはエアコンも無い列車内、インド人も皆汗ダクで身体密着で蒸し蒸し。
慌てて乗ったのに発車時間になっても動き出さず、その間にも後からどんどんインド人が乗ってきて圧迫感が増す。
10分遅れてようやく動き出す頃には既にこちらも汗ダククタクタ。
放っておいたら確実に脱水症状になるんじゃないかという車内、事前に売店で水買っておいて良かった。
列車が動き出してようやく窓とドア(ドアは閉まらない)から風が入ってくるが、ムワッとした風なので爽快とはいかず。
インドに到着して数時間しか経っていないが早くも2度とインドへ来たくなくなりつつあった。
前夜は空港で夜明かし、この日も朝から行動を開始して午前中で早くもクタクタ。
こんなことになるなら多少ボッタクラレても旅行代理店で指定席を買えば良かったと激しく後悔。
どこかの駅に止まるたびに何人かが降り、何人かが乗るを繰り返すが車内はなかなか空かない。
出発から3時間以上が経過した頃にこれまでで最も多くの人が降りる。
降りる乗客に「アグラ?」と聞くと「アグラ」と答える。
ホームに降りてもアグラの表記はどこにも無い。
駅員っぽいのに「アグラ?」と聞くと「Yes」と。
はぁー、本当に着いたのか。
デリーからアグラまでおよそ3時間20分。
エアコンも無いギューギュー詰めの暑い臭いムサイウザイ列車の中でよく耐えた。
それにしても到着したアグラの駅。
世界的観光地であるタージマハルがある町の中心駅にしては華が無い。
「ようこそ"タージマハルの玄関口"アグラへ」くらいのアピールがあっても良いではないか。
何はともあれアグラの中心駅アグラカント駅に到着。
駅構内から早くも「タージマハル?オートリキシャー?」と客引きが寄ってくる。
アグラカント駅からタージマハルまでは距離があったので素直にリキシャーを使うことにする。
リキシャーはチケット制になっているらしく、駅を出たところにある窓口でチケットを買う。
タージマハルまで50Rs(150円)。
10分ほど走って「ココをまっすぐ行くとタージマハルだ」という所で降りる。
これが世界的観光地のタージマハルに通じる道か?ってくらいしょぼい。
ともかく進んでいくと途中から列ができている。
先頭へ行ってみると予想はしていたがタージマハルへ入るための列だった。
初めて世界的観光地たる一面を見た。
結構な長蛇の列だったので一旦並ぶのはやめて、まずはこの日の宿を確保することにした。
ガイドブックにタージマハルが見える宿、と載っていたホテルへ。
アグラの町を歩いていると噂には聞いていたが牛が普通に道路を歩いたり寝そべっていたり。
インドでは牛は聖なる動物とされ、邪険に出来ないのだとか。
ヒンドゥー教のシヴァ神が牛に乗っているためらしい。
ちなみに恥ずかしながら今回初めて知ったのだがインドという国名はヒンドゥーから来ているとか。
インド国民の8割はヒンドゥー教徒らしいし、牛もそれを知ってか実に悠然と過ごしている。
牛を尻目に目指すホテルはすぐに見つかり1泊1260Rs(3780円)。
念のために部屋を見させてもらったが問題無さそうだったので即決。
疲れていたので余程のことがない限りそこで決めるつもりではあったが。
荷物を置いて身軽になったところで改めてタージマハルへ。
先ほどは正面の南門から入ろうとしたら長蛇の列だった。
泊まるホテルに近い東門は全く列が出来ていなくて実にスムーズに入場できた。
入場料は750Rs(2250円)、1つの施設としてはこれまで行ったどこ観光地の入場料よりも高いんじゃないだろうか。
隣にはインド人用チケットカウンターがあり、インド人の入場料は20Rs(60円)。
外国人料金はインド人料金の実に37.5倍!こりゃもう国家的なボッタクリのような。
入口では金属探知機ゲートをくぐらされ、兵士によるボディチェックも受けた。
門の向こうに見えてくるタージマハル、ゆっくり歩いて出ましたお馴染みのタージマハル全貌。
想像以上でも以下でもなく思った通りのタージマハルがそこに。
タージマハル正面は記念撮影の観光客でいっぱい。
「Do you need guide?」と話しかけてくる奴らを無視してタージマハル本体へ向かう。
高い入場料を払っているのでさっさと見終えるのが勿体無く、ゆっくり歩いて時間を使う。
間近で見るタージマハルは思ったほど白くはなく、所々が傷んでいる。
完成したとされる1653年から350年以上も風雨に晒され続けていれば傷むのもやむなしか。
タージマハルは王妃の墓として作られた建造物。
大理石造りの建物だから内部は石造りでヒンヤリしているのかと思ったが人が多くて外よりも蒸し暑い。
暗い内部は中央に棺と思われるものがあり、周囲を歩くことが出来るだけ。
外から見るインパクトに比べると中は意外なほど拍子抜け。
川を背にして建っているタージマハル。
一説によると対岸に黒いタージマハルを作り、王妃の墓(白タージ)と王の墓(黒タージ)にしたかったとか。
だけど黒いタージを作る前に王が失脚してしまい、その夢は叶わなかった。
白黒タージがあったらそれは壮観だっただろう。
一通りタージマハルとその敷地内の公園を散策。
早朝から行動しっぱなしだったわけでそろそろ疲労もピーク。
タージには正門の南門の他に東西に門がある。
南門は最初に通り、私は東門から入場したので、出る時は通っていない西門から。
17時過ぎに西門から出たが、正門同様に大行列が出来ていた。
駅や主要な通りに近い西門だからこその混雑だろう。
私が入った東門では全く列が出来ていなかった。
多少歩いてでも東門から入った方が賢い気がする。
西門を出てすぐのところで目にしたタージレストランなる所に見つけたBEERの文字。
インドに到着してから先へ進むことばかりを考えていた。
とりあえずアグラへ行かねば、とりあえずホテルを探さねば、とりあえずタージマハルへ行かねば。
そんなわけで気が付けばインド入りしてからここまで食料を口にしていなかった。
我ながらよく持ったな、というわけで迷わずタージレストランに突入。
現地のビール「KING FISHER」120Rs(360円)、他の物価に比べれば高い感じ。
少し薄い感じはしたが普通にビールで問題なし。
ともかく必死に行動した後のビールなので不味いわけがない。
メニューは夕方のスナックタイムとのことで限定されていた。
インドっぽいメニューはなく、ポテトフライトとチキンパカラなる鶏に衣つけて揚げたもの。
チキンパカラはどことなくタンドリーチキンっぽい味付け。
いずれもビールと良くあう。
ビール2本と合わせて会計は450Rs(1350円)。
ほろ酔い気分で夕暮れのアグラの町をホテルまで歩く。
ホテルへ戻ってシャワーを浴びようとしたがシャワーが全く出ない。
フロントに文句言うことも考えたが英語での会話と部屋を替えて云々を考えると面倒に。
結局疲れていたのでもうイイやと我慢。
持参していた洗顔用メントール入りウェットティッシュで身体中を拭いて終了。
寝る前にホテルの庭から夜のタージマハルを眺めてみることに。
ライトアップでもされているかと思ったが何も無し。
真っ暗な闇の中にタージマハルのシルエットが浮かんでいるだけだった。
インド初日にして勢いでタージマハルまで来てしまった。
翌日はガンジス河のある聖地ヴァラナシへ行こうと思う。

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