インド一人旅

2008年7月27日 日曜日
デリー時間6時頃に起床(以降の時間表記はデリー時間、日本との時差は3時間30分)
まずは安全確実に両替をするために、空港内にあった両替所へ。
1万円が3500ルピー、1ルピー≒2.85円、以降は1ルピー≒3円でレート計算、ルピーの表記はRs。
天気は薄曇り、インドは雨季なので心配していたが今のところは大丈夫そうだ。
ムッとする暑さだが思ったほどは蒸さない。
この日の予定は未だ決めていなかったがニューデリーの鉄道駅へ向かう空港バスがあったのでそれに乗車。
50Rs(≒150円)でニューデリーまで3,40分ほど走ってバスの係員が「New Delhi station that way.」と言って降ろしてくれた。
バスを降りた所からまっすぐ進むとニューデリーの鉄道駅だという。
駅へ進む道は舗装もされていなく土埃が舞う道。
そこをオートリキシャーやバスが行き交うのでかなり空気が悪い。
汚い屋台が並び野良犬がウロウロ、とても首都の駅へ向かうとは思えない発展途上ぶり。
「Hello where are you going?」と現地人みたいなのに声をかけられる。
ニューデリー駅へ向かっていると言うと、駅はそっちじゃないコッチだと途中を曲がる。
私も駅に向かっているにしてはあまりのボロ道だと思っていたので言われた方に曲がってみる。
するとソイツが付いてきて親しげに英語で話しかけてくる。
こういうパターンはトルコでも経験した危険なサイン。
歩きながら話すとココを行った先にDTTDC(デリー観光開発公団)があるからそこで無料の地図を貰うと良い、と言う。
これはガイドブックにも載っていた典型的な詐欺パターン。
インドではDTTDC(デリー観光開発公団)の名前を騙る悪質旅行代理店が大量にあるとか。
自分からDTTDCの名前を出す奴はほぼ間違いなく正式なDTTDCでは無いという。
そこへ旅行者を連れ込んで高額なツアーを組ませたりするらしい。
薄々感づいてはいたが、やはりそうか。
私「DTTDC?駅はこっちじゃないのか?」
奴「駅はこっちじゃない、今から行くのはDTTDCだ」
私「No、オレは駅に行きたいんだ」
奴「駅へ行っても切符がないと意味が無い、DTTDCへ行って切符を買うんだ」
私「DTTDCなど行きたくない、オレはただ駅へ行きたいんだ!」
と強く言って来た道を引き返す。
後ろで奴が「ニューデリー駅はそっちじゃない、そっちはオールドデリー駅だ」と言っている声が聞こえる。
(デリーはニューデリーとオールドデリーという2つの駅がある、新市街と旧市街のようなもの)
私は奴の言うことは信じなくなっていたので最初にバスの係員が行った方向へ戻ることにする。
戻る道すがらまた話しかけて来る別の奴「Hello where are you going?」。
やれやれまたか。
「No problem.You can go.」と言って追い払う。
「オレはガイドじゃない、ただ喋りたいだけなんだ」と言って付いてくるが無視を決め込む。
こうした馴れ馴れしく話しかけて来る輩はこれまでにも経験していた。
だけど早くも分かったのはインド人のしつこさはこれまでの諸外国以上だということ。
歩いてもひたすら付いてくるので一旦立ち止まって無視し続けてようやくやり過ごす。
最初にバスの係員が言った方向へ歩いて行くと駅があった。
駅に向かっているとは思えない道だったが、ちゃんと最初っから駅へ向かっていたのだ。
バスの係員のように損得勘定関係ない人の言うことを信用するべきだった。
ニューデリー駅、外観はかなり汚い感じでボロイ(後から知ったが裏側だった)。
これがIT大国として発展途上国の上位を行く国の首都であるターミナル駅なのかと疑うほどの外観。
駅構内は人で溢れかえっていて、そのエネルギーは発展途上国っぽい。
階段を登ってみるとプラットホームだけでも10以上はある巨大駅をとにかく大量の人が行き交っている。
とりあえず駅構内を散策すると「Wait」と駅係員みたいなのに声をかけられる。
どこへ行く?と聞かれ、まだ何も考えていなかったので「I have no plan.」と答える。
今度はどこへ行きたいんだ?と聞かれた。
近いうちにはタージマハルを見に行くので「アグラ」(タージマハルのある町)と答える。
するとアグラへ行くなら切符を買わないといけないと話し始めた。
切符は外国人用のツーリストオフィスで買うことが出来るので案内してやると言われる。
駅構内のツーリストオフィスは改修工事中だからニューデリーの中心部であるコンノート・プレイスへ行く必要があると言う。
ニューデリー駅のオートリキシャー乗り場まで案内され、駅係員が1台のリキシャーに何やら一言。
「このリキシャーに乗っていけば外国人用ツーリストオフィスまで連れて行ってくれる、料金は10Rs(≒30円)だ。リキシャードライバーが30Rs(≒90円)と言おうと50Rs(≒150円)と言おうと10Rs(≒30円)しか払う必要が無いから安心しろ」と。
流れでリキシャーに乗ってしまったが途中で後悔。
あまりにも事が巧く運びすぎている、これは騙されるパターンな気がする。
10分ほど走ってリキシャーが辿り着いたのは「DTTDC」と書かれた建物の前。
どう見ても正式なDTTDCには見えない、これも悪徳旅行代理店っぽい。
何しろココまで連れてくる手口が鮮やか過ぎた。
不幸中の幸いはそのDTTDCに先客がいて中で少し待ち時間を与えられたこと。
待っている間に慌ててガイドブックを開く。
あった!「政府観光局(DTTDC)に騙されるツーリストが続出」の項目。
内容を見るとまさに私と似たような状況。
駅構内で駅員のような人に声をかけられてDTTDCを騙る店に連れて行かれて切符を買わさせられた人の被害談。
インドへ着いて間もない旅行者を騙して旅行代理店に連れ込むという。
そもそもDTTDCのような公的機関がリキシャーを手配して旅行者を連れて行くことなどありえないと断言までしている。
教科書に載っているような典型的なパターンに物の見事にはまるところだった…というか半分はまっている。
そうと決まれば長居は無用。
「I changed my mind.」(気が変わった)と言ってさっさと旅行代理店を出る。
「オイ、行っちまうのか」みたいなことを言われた気がしたが完全無視で乗ってきたリキシャーに乗って「ニューデリー駅へ」と告げる。
恐らくはこのリキシャーも私が旅行代理店で金を落とせばマージンが手に入ったのだろう。
渋々リキシャーは走り出したがすぐに止まり、今度は違うDTTDCと書かれた建物の前で止まった。
早くもうんざりし始める。
私「オレはニューデリー駅へ、と言ったんだ」
リ「駅へ行っても切符がないとダメだ、切符はココで買え」
私「切符は要らない、ニューデリー駅へ戻れ」
リ「ニューデリー駅へ戻るなら30Rs(≒90円)必要だ」
私「ニューデリー駅からさっきの所まで10Rs(≒30円)だった、だから駅へ戻るのも10Rs(≒30円)だ」
リ「ココ(さっきとは違うDTTDCと書かれた建物)まで来たら駅へ戻るのは遠回りになる、30Rs(≒90円)だ」
私「オレは駅へ行けと言ったんだ、ココへは連れて来いとは頼んでいない!」
この時点ではまだニューデリー駅からの往路のリキシャー代も払っていなかった。
私「今ココで降りて(往路の)10Rs(=30円)か、ニューデリー駅まで戻って20Rs(≒60円)かどっちか選べ」
リ「今ココで降りて20Rs(≒60円)だ。」
私「ふざけんじゃねぇ!(←全て英語で喋っていたがココだけは日本語で怒鳴りつける)」
すぐに出せるように最初から用意していた10Rs(≒30円)札を1枚叩きつけてリキシャーを降りた。
追っかけて来ることはなかったのでこれで交渉成立?ということになる。
それにしてもインドに着いてからろくな奴に会っていない。
適当に歩くとすぐに地下鉄の入口があった。
インドでも都市部では地下鉄が走っているのだ。
地下鉄に乗るとニューデリー駅まで1駅。
歩けない距離でもなかったが6Rs(≒18円)と安かったので利用してみる。
改札前に金属探知機をくぐらされ、荷物の中身まで確認させられた。
地下鉄駅構内は地上のニューデリー駅とは比べ物にならないくらい近代的。
東京メトロの地下鉄駅と言われてもおかしくなく、すぐに来た地下鉄も東京のものと遜色なし。
地下鉄の前にニューデリー駅をなんとかしろよと思うが。
再び到着したニューデリー駅。
今度は話しかけてくる奴もなく、無事に正式な外国人用ツーリストオフィスに到着した。
こうなったら今日のうちにアグラへ行ってしまおうと思いアグラ行きの切符を買うことにする。
窓口で聞くと外国人用オフィスで買えるのは翌日以降の切符で、当日の切符は駅の窓口で直接買えとのこと。
仕方ないので駅の窓口へ。
一番早い列車でアグラへ行きたいと言うと54Rs(≒162円)と言われる。
言われるままに金を払うと切符をくれた。
なんともアッサリと切符購入に成功。
こんなに簡単だったのか。
これまでに話しかけてきた現地人どもめ、どうだ見たかバカヤロー。
そして改めて切符をよく確認するとどうも指定席では無いらしい。
号車や席番号の記述が全くない。
インドの列車で自由席か…。

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