富士登山2009

2009年8月29日 土曜日
AM3時、後輩に起こされて目覚める。
風呂から上がって、携帯も腕時計も何も無くそのまま眠っていた。
我ながらそんな状況でどうやってAM3時に起きるつもりだったのだろう。
むしろ起こしてもらう前提だったとしか思えない、というかそうでしたゴメンナサイ。
全員起きて準備が整ったのが3時20分頃、これから未明の道を走って富士山5合目を目指す。
富士山登山車道に入る直前のコンビニで買い出し。
朝・昼飯用のおにぎり、ペットボトル飲料、栄養補助食品、飴など。
持ち物を整えてAM4時前、富士登山道須走口5合目を目指す道路へ。
すぐに看板が見えてきた「5合目駐車場満車」。
そんなバカな、この時間から満車とか考えられない。
見たところずっと立ちっぱなしの看板に見えた。
ピーク時に出しておいたのをしまい忘れたのだろうと無視して登り始める。
外灯など無く、周囲は樹海で真っ暗な夜道をジグザグ進む。
お化けでも出てきそうで恐い。
真っ暗闇をマウンテンバイクで登山している猛者が数人。
最初に目に付いた時はうわぁっと声をあげるほど驚いた。
まさかAM4時に富士山を自転車で登っている人がいるとは。
少し走ると眼前に山のシルエットとおぼろげな光。
真っ暗な山のシルエットにぼやけて見える灯りはなんだか幻想的。
恐らくは山頂御来光を目指して未明の登山をしている人々のヘッドライトだ。
いよいよ富士登山が近付いてきたのだと心がはやる。
そして見えてくる路上駐車の列。
え?まさか…コレ全部駐車場に入りきらなかった車?
そのまさかを裏付けたのがこんな時間(AM4時過ぎ)に立っていた交通整理のようなオジさん。
「5合目の駐車場は満車だと思います。ココじゃUターン出来ないから上まで行ってUターンしてください。」
麓にあった「5合目駐車場満車」の看板は本当だったのだ。
それを裏付けるように対向車線から下りてくる車が。
8月とはいえ、土曜日とはいえ、月末最終土曜だから大丈夫だろうとタカをくくっていた。
まさかこんなに車が多いとは思わなかった。
とにかく一旦5合目駐車場まで行かないと引き返すことも出来ないのでとりあえず登ってしまうことに。
5合目駐車場にも係員がいて「満車です」と無情の宣告。
仕方ないので来た道を戻りつつ路上駐車の列で空いている隙間を探す。
勿論そう簡単に空いている所は無くどんどん下りていく。
するとカーブで車が途切れている所にギリギリ1台なら入れそうな隙間が。
そこに止めようと奮闘していると係員のオジさんがやってくる。
注意される、ダメか…と思ったら「ギリギリまでバックすれば大丈夫」と神の一声。
これでようやくスタートラインに立てる。
富士登山道須走口5合目を目指す車道から登山開始。
AM4:50、かなり肌寒く長袖のシャツを着てちょうど良いくらい。
まず目指すは本当のスタートとなる須走口5合目。
じわじわと空が白み始め、20分ほど歩いて標高2,000メートルの須走口5合目に到着。
そして時を同じくして雲海の中から御来光。
バッチリのタイミング。
まさに雲の海となっている眼下から陽が昇るその瞬間を拝む。
前回は7合目の山小屋での御来光だったが、5合目でも充分すぎるほど美しい。
視野全体がじわじわ明るくなりつつオレンジの陽が昇る様は写真では伝わりきらないだろう。
これで目的果たしたな、と言えちゃうくらい綺麗だった。
時間は5時過ぎだったが既に5合目の土産物屋は営業していた。
前回は吉田口(別名河口湖口)の5合目からスタートだった。
それと比べるとだいぶスケールの小さい土産物屋だった。
先述の通り、既に須走口で標高は2,000メートル。
気休め程度だろうが多少は身体を慣らした方が良いだろうということで朝食がてら休憩。
買っておいたおにぎりを食べる。
メンバー全員がおにぎりを買っている、やっぱ力つけるには米でしょう。
時間がキリの良い6:00、いよいよ本格的に登山開始。
登山道に入ってすぐの所にあった古御嶽神社とやらで登頂祈願。
最初の登山道は林の中。
10分ほど登って林を抜けると空は綺麗な青空で頂上まで見晴らせる。
事前の天気予報だと御殿場地方の降水確率は高めだったらしいが心配は無さそう。
地面は基本的に砂と土だが、整備された登山道で登り易い。
天気も良いのですぐに暑くなり、上着を脱いでTシャツ1枚に。
序盤は未だ疲れが無くても15〜20分おきに1度は休憩を取るように心掛けて登る。
登山開始から1時間ほどで6合目(標高2,400m)に到着。
山小屋前はチョットした休憩所のようになっていて多くの人が休憩している。
そこでは登山道よりも長く休憩を取って次に備える。
以後、高度が上がるにつれて休憩を取るペースが増えていく。
明らかに前回登った時よりも人が多い。
前回は9月上旬のしかも平日だった。
今回は8月下旬の土曜日、当然といえば当然か。
6合目の次が7合目かと思いきや次に現れるのは本6合目(標高2,700m)。
次は新6合目とか元祖6合目とか本家6合目とか出てこないよな…
「砂走り」と呼ばれる下山道も見えてまさに砂を巻き上げながら駆け下りていく人々が沢山。
傍から見ていると結構急な勾配を駆け下りているのでかなり恐そうだ。
本6合目辺りでは緑が見られるが標高が3,000mを越える7合目まで来ると点在している程度になる。
今回の須走口登山道は植物なども見られるルートとのことだったが頂上ばかり見ていて結局植物は殆ど見なかった。
7合目(標高3,090m)の山小屋で休憩中、急に辺りに雲が増えてきた。
気にせず登り始めると周囲が霧に包まれつつあった。
恐らくは雲の中に入ったのだろう、霧が辺りを覆う。
霧の中を流れる雲に触ることができ、それはまるでクーラーから出る風に手を触れたような感覚。
ヤバイ、天気崩れるかと思ったら上空は青空が見えていたりする。
山の天気は何とやら…というのを見事に感じた。
幸いにして雨が降ることは無く、序盤より明らかに休憩のペースが増えつつも先へ進む。
8合目(標高3,350m)に到着するとこれまでより明らかに人が増えた。
ここで吉田口と合流するのだという。
人気の高い吉田口からの登山者が合流するので一気に人が増えるらしい。
吉田口は前回私が登ってきたルート。
つまりココから先は前回も経験した登山道を登ることになる。
8合目から20分ほどで本8合目(標高3,400m)に到着。
これまでは1合につき1つの山小屋しかなかったのが、本8合目では2,3つある。
おまけに富士山ホテルなんて立派な名前がついたものまで。
人の多さも賑わいもコレまでの山小屋休憩所とは比較にならない。
しばし休憩して本8合目を出発、山頂まで1.2km80分の案内板。
前回もそうだったがこの辺りまで来ると少し歩いただけですぐに休憩を挟まないとキツイ。
激しい動悸と足の痛みと偏頭痛。
他の登山者も同じようで、倒れ込んで休んでいる人なども。
殆どハイキングのような富士登山とはいえ、やはりそこは標高3,000メートル越えの世界。
何でもない行動に対して疲労は何倍にも増して襲ってくる。
それでも親子連れで小学校高学年か中学生くらいの連中もいたので我々に登れないはずがない。
登山道のクネクネを1,2つ曲がっては休憩を繰り返す。
本8合目越えて9合目か?と思ったら8合5勺(標高3,450m)とか…
簡単な神社があるだけの9合目(標高3,600m)を越えるとあと目指すは頂上のみ。
見上げると頂上の鳥居が視界に入る。
頂上が見えたからといって慌てて先を急ぐことはせず、落ち着いて1,2角進んで休憩のペースを維持。
頂上に近付くにつれて人も増えていく、噂には聞いていたが頂上に続く渋滞だ。
そして13時過ぎ、富士山登頂の碑が立つ頂上鳥居に到着。
AM6時に5合目を発ち、およそ7時間。
誰1人欠けることも怪我することも体調悪くなることも喧嘩することもなく無事登頂。
全ての苦労が報われる瞬間。
天気はもったが、下界は雲に覆われていて見晴らしはイマイチ。
それでもこの達成感で心は何よりも晴れ渡っている。

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