欧州旅日記

2月6日 火曜日
朝の9時にフロントへ行くと昨夜ホテルのフロントにいたオジさんが我々を待っていた。
彼の運転する車(普通の車)に乗り、アウシュビッツを目指す。
天気は曇り、雨が降っていなくて良かった。
車内では英語で少々の会話。
オジさんが英語を話せたので幾分気が楽だ。
ネイティブイングリッシュではなかったので逆に判り易く感じた。
何を言っているのかはだいたい判るが単語の意味が判らないことが多かった、単語力って重要だわ。
1時間強走ってアウシュビッツに到着。
少々寂しい所にあって、バスや電車を使って自力で来ていたらちょっと不安になっていたかもしれない。
アウシュビッツは跡地が博物館になっていて自由に中に入って見る事が出来る。
入場は無料、館内には日本語のパンフレットも売られていた。
アウシュビッツに到着するとインフォメーションでオジさんが軽くアウシュビッツの説明をしてくれた。
そして「後は自由に見てくれ、私は車で待っている」と自由行動になった。
「ARBEIT MACHT FREI」(働けば自由になる)と書かれた門をくぐってアウシュビッツ跡地へと入る。
その門からは外周を有刺鉄線が取り囲んでいる。
敷地内は当時のままなのか再建されたのかは知らないが同じような建物が整然と並んでいる。
外観は収容所とは思えないくらいにただ整然と同じ建物が並んでいるだけ。
それらの建物は収容者を収容する為のものだ。
その建物の内部1つ1つが展示室として公開されている。
数多くの建物があるが、その中は電気も殆どないので暗く空調も効いていなく寒い。
そしてその寒気をもっと増長させるような展示の数々。
ガラスケースの中には大量のメガネ、ブラシ、靴、スーツケース、義足など。
その全てはアウシュビッツに強制送還されてきた収容者の持ち物。
無造作にそして大量にガラスケースの中に積み上げられたそれらを見ていると強烈な寒気がしてくる。
極めつけはガラスケースの中に入れられた大量の髪の毛、もちろん収容者のものだ。
その無造作にガラスケースの中に積み上げられたさまには人間のカケラも感じなかった。
それがまさにナチスの非人道的な行為を表わしているような感じを覚えた。
展示品を見ているだけでかなり迫ってくるものがあった。
常に鳥肌が立っていたのは寒さのせいだけではあるまい。
建物の地下には地下牢が当時のまま残されていて、殆ど陽の光がささない地下だけに真っ暗で不気味。
「死の壁」と呼ばれる収容者を大量に銃殺した広場の壁は当時のままだという。
ガス室跡や焼却炉跡もしっかり残っていて中は冷え冷えとしている。
展示室内の強烈な展示の数々でかなり気分が暗くなる。
広島や長崎の原爆資料館を見たときと同じような気分。
しかし原爆資料館よりも迫ってくるものはあった。
アウシュビッツの場合はまさにココでそれが行われたということ。
さらにヒトがヒトを非人道的な方法で惨い仕打ちを行なっていたということ。
建物内部の冷え切った暗い雰囲気も一層現実味を持たせていた。
パンフレットによると当初アウシュビッツはポーランド人政治犯を収容する為に作られたと言う。
そしてポーランド人もそこで大量に虐殺された。
その現場であるアウシュビッツはポーランドにある。
そして現在アウシュビッツ跡地はユネスコの世界遺産に指定されて博物館となっている。
それに対するポーランド人の国民感情と言うのはどういうものなのだろうか。
他国から侵略して自分達の土地に自分達を殺すための施設を建てて、それが現在は観光地…
複雑だろうな、果たしてそれを観光に来るドイツ人はどんな気持ちなのだろうか。
なんてことも考えた…
14時頃にクラクウ市街へ戻ってきた。
オジさんに料金を払う、280ズォティ(≒9520円)。
高いような気もしたが、安全に確実にアウシュビッツへ行くことが出来たから良しとしよう。
クラクウに着いてまずすべきことは両替、ポーランド通貨1ズォティは約34円。
ポーランド通貨を手にしたのでクラクウ駅へ向かい、翌日行く予定のチェコ・プラハへの乗車券を買う。
この旅初めての夜行列車だ、約8000円1等寝台を購入。
思ったより高くなかった、移動と宿泊が同時に出来るから何だか得した気分だし。
明日の行く所が決まったら次に我々がすべきことはただ1つ、飯である。
まともな飯と言うことになると、前日のベルリンのホテルでの朝飯以来だ。
コンビニみたいな所で缶ビール3.5ズォティ(≒119円)を購入。
駅のすぐ近くにいくつか地元ファストフード店があったので適当な店へ入った。
メニューを指差してハンバーガー3.5ズォティ(≒119円)を注文。
缶ビールと一緒に久しぶりのまともな飯。
たかがハンバーガー、されどハンバーガー、かなり美味かった。
まだ夕方前だったのでクラクウの街をブラブラ。
歴代ポーランド王の居城だったというヴァヴェル城(世界遺産)へも行った。
ホテルに戻って小休止後に晩飯。
いつものように目に付いたレストランに入る。
やはり物価は多少安いようでチキンとポテト、サラダ、生ビール2杯で40ズォティ(≒1360円)
ホテルへ戻って就寝。
真夜中のアウシュビッツなんてめちゃくちゃ恐いだろうな、なんてことを考えながら寝た。
夢に出るなよ…

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