欧州旅日記
2月7日 水曜日
この日の夜行列車でチェコ・プラハへ向かう。
夜行が出るのが22時40分、だからそれまでどうにかして時間を潰さねばならない。
時間を潰す第一の策、ホテルのチェックアウトギリギリまで部屋にいること。
11時過ぎにホテルを出てクラクウの街をぶらつく。
2月1日のパリ以来、久々に晴れた日になった。
この日のテーマはいかにして夜行列車の発車時刻まで時間を潰すか、ということ。
まずは歩いてユダヤ人地区があったというカジミエーシュ地区へ。
クラクウ中心地から歩いてヴァヴェル城を越えてさらに歩いた所にある。
そしてクラクウのユダヤ人地区は映画シンドラーのリストの舞台になった場所だという。
シンドラーの工場もあったらしいのだが、地図が途切れていて場所がよく判らなかった。
そういえば映画「シンドラーのリスト」はビデオで見たが、長くてあまり面白く感じなかったのを覚えている。
上下2巻のビデオで早く終わらないかなとばかり思って見ていたような気が…。
あまり実りのなかったカジミエーシュ地区見物を終えて腹も減ってきたので飯を食うことに。
ガイドブックに載っていたポーランド料理を出すという店へ行ってみた。
これまでの旅での飯は常に肉料理ばかり食べてきた。
メニューを見て外国語で書かれていても肉を表わすsteakやchickenなどは読めてしまう。
だからどうしても無難に肉料理と思われるものを頼んでしまっていた。
しかし今回入った店ではメニューにfishという文字が。
たまには肉ではなくて魚を食おう、と一大決心。
しかしfishの文字しかわからないので何の魚かは全く分からない。
fishの欄に書いてあったメニューから適当な値段の所を指差しで注文。
そして出てきた魚料理…見た目からして不味そう…食べてみて不味かった…
冷たい魚料理なのだ。
酢漬けにでもした魚を豆みたいなものと混ぜて変な黒いソースがかかっている。
不味くて食えないって程ではなく、慣れれば食べられるが美味しいとは絶対に言えない。
ビールが美味かったのだけが唯一の救い。
魚料理食ってビールで流し込むという感じでなんとか完食。
やはり得たいの知れない料理は頼むものではないと実感。
無難に肉料理にしておけば良かった、ポーランド料理ってこんなもんじゃないよな?
店内も空いていたので飯を食い終えてもしばらくそこで時間を潰してから店を出た。
地元スーパーで缶ビール2.5ズォティ(≒85円)とつまみを買ってクラクウを流れるヴィスワ川沿いへ。
ヴィスワ川沿いのベンチに座り、缶ビールを飲みつまみを食う。
天気も良かったので川沿いのベンチはなかなか気持ちが良い。
犬の散歩をしている人、小さな子供を連れた家族、ジョギングをしている人。
日曜日でもないのに結構色々な人達が川沿いの道を歩いて行く。
クラクウでは殆ど東洋人を見なかった、だから我々東洋人は珍しいのだろう。
川沿いを歩く人はチラチラこちらを見て行く。
珍しい東洋人が川沿いのベンチで昼間からビール飲んでるのが珍しいのだろうか。
こっちも異国で川沿いを歩く異国人を珍しげに見ているのでお互い様といったところか。
夕方、陽が傾いてきたらだんだん寒くなってきたので歩くことに。
だいぶ外は暗くなってきた、それでも残り時間はあと5時間以上もある。
暗くなってきてから人気のないところへ行くのは少々恐かったので街の中心部へ。
少し晩飯には時間があったのでインターネットカフェで時間を潰すことにした。
1時間3ズォティ(≒102円)のネットカフェへ行き1時間を過ごす、インターネットは日本語もカバーしていた。
だいぶ腹も減ってきたので適当に歩いて目に付いた店に入った。
外は暗いので外で時間を潰すのは危険が伴う、レストランでいかに時間を潰すかが重要になる。
昼飯の教訓から無難な肉料理を注文。
セットメニューで「potato or rice?」と聞かれたので「rice」と答えた、久しぶりに米が食える。
ところが出てきたライスは米にあらず。
いや、米なのだろうが我々日本人が食べる米より遥かに不味い、パサパサだった。
肉料理は無難な美味さだったけどあの米は頂けなかった。
ソースかけてどうにか食ったという感じだ。
時間を潰すためには飲むしかないという短絡的考えからビール(500ml)を3杯。
昼飯時(500ml)、昼過ぎのヴィスワ川のベンチで500ml、晩飯時500ml×3杯…
この時点で2.5リットルも飲んでいることになる。
結局そのレストランでは2時間30分も時間を潰すことに成功。
レストランを出てインターネットカフェに直行、1時間を過ごした。
22時過ぎ、インターネットカフェを出てクラクウ中央駅へ。
我々の乗るべき夜行列車は既にホームに到着していた。
列車の前に立っていた駅員に乗車券を渡して列車に乗る。
1等の寝台は2段ベッドがある個室でしっかり鍵もチェーンもかけることが出来たので一安心。
22時40分過ぎ、夜行列車はチェコ・プラハへ向けて動き出した。
列車が動き出すとクラクウのスーパーで買っておいた缶ビールを飲む。
実にこの日3リットル目となるビールだった。
私の中でこの旅でもっとも不安視していたのがポーランド・クラクウだった。
やはり旧共産主義圏というイメージが恐かったし、唯一首都ではない所へ行くというのにも不安があった。
だからポーランド・クラクウを出てチェコ・プラハまで無事に到着できれば後はどうにかなるだろうと考えていた。
チェコも旧共産の国だがプラハと言うと綺麗な街並みのイメージがあり、なんとなく安全と考えていた。
そしてクラクウ〜プラハまでの夜行列車に無事に乗れたことにより、旅の1つの山場を越えたと認識した。