欧州旅日記
2月2日 金曜日
まだ夜も明けきらぬ5時30分には起きて、6時にはホテルを出た。
パリ・ノード駅から出る特急列車タリスに乗ってオランダ・アムステルダムを目指す。
2等車の車内はほぼ満席、朝早い時間ということもあってか旅行者以外にビジネスマン風の人もいた。
定刻6時55分に出発、外はまだ暗い。
発車してすぐに車内で車掌が乗車券の検札に来た。
フランスからオランダへ行くにはベルギーを通って行かなければならない。
8時20分、ベルギーの首都ブリュッセルに到着、数人の客の乗り降り。
列車内からしかブリュッセルの街は見られなかったが、高層ビルもあって近代的な感じもした。
アムステルダムへ向かう車中で雪が降ってきた、いかにも寒そうだ。
考えてみるとパリですら緯度は北海道よりも高いのだ、寒くないわけがない。
11時過ぎ、アムステルダム・セントラル駅に到着。
結局ここでもパスポートチェックや税関などの国境通過行事(?)はなかった。
駅構内から外へ出てみると雪が降っていてものすごく寒い。
この寒い中で銀行等を探して両替するのはキツイかもしれん。
ということでレートは悪そうだったが駅構内で両替、オランダの通貨は1ギルダー(≒47円)。
まずは腹ごしらえ、目に付いたマックへ入る。
マックの味はどこの国でも変わらない。
バーガーとポテト、ジュースのセット9.95ギルダー(≒467円)。
アムステルダムでの目的は2つ。
1つはハイネケンのビール工場がアムステルダムにあるのでそこへ行く。
そしてもう1つはアンネ・フランクの隠れ家がアムステルダムにあるというのでそこへ行くことだ。
腹ごしらえを済ませてまずはハイネケンのビール工場へ向かう。
しかし天気は雪、しかも到着した時よりも明らかに雪が強くなり降るというより舞うという感じ。
風も強くてめちゃくちゃ寒い。
そんな中で地図を頼りにハイネケンビール工場を探し歩いた。
アムステルダムは街の中いたるところに運河が通っている。
似たような運河がたくさんあって自分がどこにいるのか分からなくなる。
そんなこんなで雪の中迷い歩きながらどうにかハイネケンビール工場を発見。
とても寒い中ビールを飲むのもどうかと思ったがせっかくこれ目当てで来たのだからと入り口へ向かう。
すると入り口の外に貼り紙が、そこにはこう書かれていた(英語で)。
"工場見学は2001年5月まで休みます。"
ふざけんなー!このクソ寒い中歩いてきたのにこの仕打ちかー!
もぉ絶対ハイネケンなんか飲まねーよ。
ただでさえ疲れていた体が精神的にも一気にどっと疲れた。
雪のオランダとハイネケンの仕打ちに腹が立ってオランダで2泊する予定だったのだが急遽予定を変更。
この日のうちにアンネ・フランクの隠れ家に行ってしまい翌日にはドイツ・ベルリンへ行ってしまうことにした。
そうと決まればまずは駅へ行ってドイツ・ベルリンまでの乗車券を購入することに。
駅の窓口で列車番号等を書いたメモを渡して英語で乗車券を無事に購入。
ドイツ行きが決まったらあとはアンネ・フランクの隠れ家へ行くだけだ。
相変わらず雪の降りしきる中、アンネの隠れ家を目指す。
………見つからない。
地図を頼りに探し歩くがハイネケン工場同様なかなか見つからない。
裏通りみたいな所を歩いていると風貌の怪しげな若い男が
「コカイン、エクスタシー、ホニャラララ…」
と呟きながら近寄ってきた、目も合わせずに無視したが恐かった。
そういえばガイドブックにオランダは自由な街だから売春OK、ドラッグやゲイも横行みたいに書いてあった。
雪と寒さと迷いながら歩くことにより体力は消耗…
危険な香りのする裏通り…
アンネの隠れ家は見つからない…
夕方になってきて辺りも暗くなる…
当日のホテルすら未だ決めていない…
やめた!もーやめた!!
アンネの隠れ家なんてもぉいーや!!
だいたいアンネの"隠れ家"なんだ、見つからなかったからって何がいけないんだ。
そうだ、アンネの隠れ家は隠れてたから見つからなかったんだ、そうに違いない。
むしろ見つけたら"隠れ家"じゃねーよ、いーんだ、これでいーんだ、アンネよ安らかに…
無理矢理に自分を納得(してないけど)させてホテルを探すことにした。
かと言ってフランスのようにホテルに飛び込んで1泊いくらだ、部屋を見せろってやるのも面倒臭かった。
目に付いたホテルがツインで200ギルダー(≒9400円)だったのでそこに決めてしまった。
2泊するつもりで両替していたので金は持っていたし、もう高くてもなんでも良かった。
とにかくホテルをさっさと決めてとりあえず落ち着きたかった。
それほど参っていた。
あんだけ寒い雪の中を歩いてなんの成果もなし。
暖かい部屋でしばらく休んでようやく晩飯を食いに行くくらいの元気は取り戻した。
夜になっても雪は止まない。
ホテルは繁華街近くに取ってあったのでレストランは結構あった。
少し前にハイネケンなんか絶対飲まない、って思っていたのに…
オランダ産のビールだけに街のレストランにはハイネケンの看板が多数。
なんだかんだ言ってもやはり生ビールが飲みたい!ってことでバーレストランみたいなところに入った。
そこではやはり生ハイネケンを注文してしまった。
フン、これが飲めなかったハイネケンか…苦労した後だけに美味いじゃないか。
オランダでのテーマは"生ハイネケンを飲む"で妥協しておこう、ウン。
アムステルダムの印象はやはり運河の街ということと寒いということ、これに尽きるな。