義母の葬儀とそれに続く一連の儀式などであわただしく過ごしてきた年末年始も一段落し、普段の生活が戻ってきた感じのする今日この頃です。
振り返ってみると、なぜか12月というのは、師走で慌ただしいということは別にして、わたしにとって大きな意味のある出来事が起こることが多いように感じています。わたしが今のこの仕事へと導かれる直接のきっかけとなった16年前の気づきの体験も12月の中旬に起こっていました。
昨年の12月初め、このテーマで何か文章を書こうと思っていたとき、「命日反応」という言葉を思い出しました。命日反応とは、大切な人を失う体験をすると、毎年、その人の命日が近くなると心身に不調が生じる、という症状のことをいいます。
そのときは、それについて書いた本が手近に見当たらなかったので、一度ネットで調べてみようと思ってgoogleで検索してみると、どこかで見たような文章がヒットしました。おや?と思ってよく見てみると、わたしのページでした!なんと、6年以上も前にも同じようなテーマの文章を書いていたのに、すっかり忘れていたのです。毎年12月前後の心の変化は、それだけわたしの心の深いところと関連しているのかな、と思いました。
昨年は、秋くらいから自分の内側で新しいエネルギーが動いているような感覚を強く感じて、久しぶりに新しい本をたくさん読んだり、プライベートでも新しいことを始めたりしていました。その変化のピークに義母の死を体験し、自分の中の古い何かが壊れて、新しいものを受け入れるためのスペースがぽっかりと出来たような不思議な感覚がしています。
セラピーというのも、同じことを行っているように感じます。もう役割の終わった古いものを静かに手放して、そこに新しいエネルギーが入ってくる空間(スペース)を作るのです。新しいエネルギーが満たされるまでには多少の時間が必要です。スペースは出来たけれど、まだそこが満たされていないときというのは、ある種の空虚感、虚脱感、不安感のようなものを感じます。恐れることなく、その感覚をしっかり見つめ、感じとっていくことで、そのスペースがより豊かなエネルギーで満たされていくのでしょう。
昨年、わたしたちの世界は大きな災害をいくつも体験しました。このことを、世界が悪い方向へ向かっていることのあらわれだと感じる人もいるかもしれません。でも、わたしはそうではないと思っています。
今起こっているプロセスは、地球という大きな生命体がこれまでため込んできた古いエネルギーを手放そうとしているプロセスなのです。歪みがあまりにも大きくなっていたため、多くの犠牲者を出すような形でそのプロセスが進んでしまいました。これからは、そうなってしまう前に、わたしたち一人一人が心のスペースを意識的に作っていく必要があるでしょう。
地球が大きく揺れ動くときはわたしたち一人一人の心の奥が揺れ動いているとき。揺れ動く自分の心をしっかり感じ取り、癒していくことが、災害の犠牲者の魂を鎮め、地球の自然環境と社会環境を整えていくことに繋がっているのです。(【まほろば通信】vol.102掲載2005/01/20)