「なんだかわからないけれど生きるのがつらい」とおっしゃる方が多いです。特に理由はないのだけれど、なんとなく興味があるのでセラピーを受けたい、という方(案外多いのです)も、ゆっくりお話をうかがっていくと、自分自身の生きづらさを自覚してくることがあります。
人は誰でも皆、ゆったりと、楽な気分で、人生を楽しみながら生きていく能力を持っている、とわたしは考えています。最近、特にその思いが強くなってきました。それは、自分自身の体験と、スペースまほろばに来て下さる多くの方を見ていて感じることです。
では、どうしたら、その「楽に生きていく能力」が発揮されるのでしょう。同じようなテーマでたくさんの本が書かれています。多くの本を読んで、自分がもっと楽になれるらしいことはわかった。でも、どうしたら?そう思っている人がいるかもしれません。
もしかしたら、その方法はとてもシンプルなことなのかもしれません。それを難しく感じてしまうのは、きっと考えすぎなのです。ヒントの一つは「考え」です。
生きづらさを感じている人はみな、「考える」ことが人生のほとんどすべてを占めていて、「感じる」ことを忘れています。ひとときも頭の中の考えが止まる事なく、その考えそのものが自分自身だと思い込んでいるのです。
考える必要のないときにも自分の考えをストップすることができないのだとしたら、あなたは感じることを恐れているのかもしれません。無意識に考え続けるということは、感じること拒否しているのです。
何か感じたくないことが、過去にあったのかもしれません。そのとき、それを感じないようにしたのは、生きるための本能であって、しかたなかったのでしょう。
しかし、もうその必要がなくなってからも感じことを拒否し続けていると、生きる喜びも同時に感じられなくなってしまうのです。
絶えまなく続く思考を、ちょっとだけ脇にどけて、さっきまで思考が流れていた空間を感じてみて下さい。きっと今までとは違う視点から世界が見えてきます。(【まほろば通信】vol.88掲載2002/08/05)