「なぜだかわからないけれど生きているのがつらい」とおっしゃる方のお話をうかがっていると、ご本人は意識的にはそんなことは全然考えておられないと思うのですが、そのつらい状況にしがみついているとしか感じられないときがあります。
わたしがそのことをお話ししても、そんなことはあるはずがないと否定されたり、場合によっては怒りだしてしまう方もいます。中には、わたしの言葉を聞いてからしばらくの沈黙ののち、自分がしがみついているものについて少しずつ語り始める方もいます。
「しがみついているもの」というのはその人が持っている「思い込み」と言い換えてもいいでしょう。
「わたしは自由になってはいけない」
「わたしは幸福に値しない」
「わたしはこの場所を離れてはいけない」
「わたしは生きている価値がない」
「わたしは楽になってはいけない」
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生きていくことを苦しくしてしまう思い込みは他にもたくさんあります。
あなたの心の中にはどんな思い込みがあるのでしょうか。この話を読んで「そんな思い込みなんて何もないよ」と思った方は心の奥を探っていく必要があるかもしれません。
「思い込み」は自分で気づいていないからこそ「思い込み」なのです。
「自分は自分のことをこんなふうに思い込んでいたのだ!」と気づいた瞬間、あなたはその思い込みから自由になっています。楽になっていくプロセスというのは、このような「思い込みに気づいていくこと」のくり返しです。それを何度も何度もくり返していくうち、あなたは以前とはまったく違う世界に住んでいることに気づくでしょう。(【まほろば通信】vol.93掲載2003/11/01)