「ネガティブ(否定的)な」感情ってどんな感情でしょうか。怒り?悲しみ?妬み?恨み?もっともっと思いつく人もいるかもしれませんね。
お客様としばらくお話をしていると、自分の中にとても大きな「否定的」感情がある、ということを、恐る恐る語り始める方がいます。何かとんでもなく恐ろしいことを話すかのように。
お話をよく伺っていくと、その人が恐れているのはその感情そのものよりも、自分がそんな感情を持っているという事実の方だったりします。自分はこんな恐ろしいことを考えている、自分はなんというひどい人間なのだ、と。
誰かに対して怒りを感じることは悪いことでしょうか?恥ずべきことでしょうか?
そんなことはありません。本来、感情に「いい感情」や「悪い感情」はありません。どんな感情も同じ自然のエネルギーの表れです。感情に関して問題が起こるとするならば、その自然なエネルギーの流れを意識的に、あるいは無意識的にせき止めようとするときです。
怒りを感じたときに、この感情は「悪い感情」だから、出来るだけ感じないようにする、自分の中になかったことにしてしまう。もちろん、生まれてすぐにそんなことをする人はいないでしょう。人生のさまざまな体験の中で自分にとっての「よい感情」と「悪い感情」を選別し、「悪い感情」は切り捨ててしまおうとするのです。本当は自分の中にあるのに。そんなプロセスをくり返していくことで、自分の一部切り捨てていくようになるのです。
自分の中に怒りがある。どうしようもなく醜い否定的な感情がある。そのことをそのものを認めてあげて下さい。誰かに対してどうしようもなく激しい怒りを感じている、殺したいほどの憎しみを感じている、そのこと自体は完全にオッケーです。怒りを感じること、殺意を感じることはだれの迷惑にもなりません。思いっきり感じて下さい。自分の中にそんな気持ちがあることを許して下さい。
もちろん、その怒りを誰かにぶつけること、殺意にまかせてその人を殺してしまうことはやめて下さい。あなたの人生に取り返しのつかない混乱を引き起こす可能性があります。
でも、このことだけは理解して下さい。怒りを感じること、殺意を感じることと、それを行動で表現することとはまったく別ものです。
感じることはオッケーです。何を感じてもオッケーです。「否定的な感情」も思いっきり感じて下さい。「否定的な感情」をしっかり感じ取ることができるようになったとき、あなたは深い喜びをも感じる力を取り戻すことでしょう。(【まほろば通信】vol.54掲載2000/10/28)