このところ、また、意味もなく涙があふれ出ることが多い。先日も、真夏のような日差しの中自転車をこいでいたら、街路樹の緑の葉っぱが揺れているのが目に入った瞬間、しゃくりあげるように幾筋かの涙が流れ落ちて来た。
悲しいわけではない。どちらかというと嬉しい涙。
そんなときにはたいてい、自分の身体が、自分の存在全体が、まわりの空気に溶け込んでいくような、不思議な一体感がいっしょにやってくる。自転車に乗っていたこのときは、まさしく「風になった」ような感じ。
涙はエネルギーの解放。心の底深くに眠っていたエネルギーが外に出てきて嬉しかったのかも。
いろんな人の話を聞いていると、涙を否定的に捕えている人が案外多いみたい。特に男性はそうかな。でも、泣くことは、悲しい涙でも嬉しい涙でも、なんだかわからない涙でも、どれも閉じ込められていた内的エネルギーの解放。自分の拡がり。
もし涙が込み上げてくるのを感じたなら、それがやってくる心の奥深くにある源泉を存在を感じつつ、抵抗せずに込み上げるままにしてあげてほしいな。
そして、ひとしきり涙が流れていったら、お別れと感謝の言葉を忘れずに。
涙くん、ありがとう!(【まほろば通信】vol.20掲載1999/08/11)