セラピーを受けに来られた方々からよく聞く言葉があります。
「セラピーを受けたいと思って予約をしたら、それだけで気持ちが変化した(楽になった、問題となっている現実の出来事に新たな展開が起こった、などなど)。
このような言葉を聞くと、不思議な感覚を感じると同時に、わたしの中でも何かが流れて行くような心地よい感じがします。
セラピーを受けに来られる方は、実際に受けると決めるまでは、ずいぶん悩んだり迷ったりしていることが多いと思います。そのプロセスの中で、受けると決めるということはとても大きな転換点になるのでしょう。そう決めるだけで何かが動き始めるのです。
もっとも、これは、決めたから動き始めた、というような単純なものではないように感じます。
ここで「シンクロニシティ」という言葉を思い出す方もいるかもしれません。これは、日本語では「共時性」と訳されていますが、原因と結果、という関係ではないのだけれど、何か意味があって2つ以上のことが同時に起こるという現象、というふうに理解すればいいと思います。
受けると決めたから変化が起こった、というわけでもないし、変化が起こったから受ける気になった、というわけでもないのだけれど、大きな流れ、大きな変化のプロセスの中で、受けようと思った時期と変化が始まる時期が同時に来た、そんな感覚でしょうか。
セラピー受けたいと感じるときというのは、どちらかと言えば、辛かったり、苦しかったり、しんどかったり、あまりよくない状態のときが多いと思います。ただ、それも、自然の大きな流れ、大きな変化のプロセスの一つの段階にすぎません。波は打ち寄せて来るときもあれば、引いて行くときもあり、どちらも自然の中で必要なステップなのです。
その大きな流れ、大きな波の動きをしっかり意識していれば、波が引いているときに必要以上にもがくこともないし、また打ち寄せて来たときにその波にうまく乗っていけるのでしょう。
セラピーというのは、その自然なプロセスにより意識的になっていくためのお手伝いといってもいいかもしれません。(【まほろば通信】vol.105掲載2005/04/23)