ブレンドコーヒー

遠き日の思い出が
ゆれるゆげにゆらいでよみがえる
のどかな春の日に
何も言わずにただ川岸を歩いた
夕方の駅へ向かう人ごみの中に
君を見つけて追いかけた
夜中のガードレールに腰掛けて
流れる光たちを見つめていた
四月になれば彼女は・・・
あぁ あれは春だったね

幼き日のクリスマスツリーは
大きくなんかなかった
大人になった僕よりも
ずっと大きくなったモミの木は切り倒されてしまった
五月の始め
若葉の頃

初めてのくちづけは
酸っぱいレモンの味などしなかった
タバコの煙の中で
隠れて見えない心があった

ほろ苦い思い出は
クリームの渦に巻き込まれて
コーヒーシュガーの甘さにかき消されてしまった

あっ ぼーっとしてたら
すっかり冷めてしまった

1.トップへ
3.メニューへ