新・闘わないプログラマ No.63

ディストリビューションがいっぱい


うちの職場でも今になってやっと、フリーUNIXを使って行こうかいな、なんて話が持ち上がるようになりました。私なんかがだいぶ前から散々言っていたのですが「フリーソフトは信頼性が無いからダメ」の一点張りだったのに比べると、ちょっとはよくなってきたかな、というところです ←遅いんだけどね。
でも、この話、ずーっと上の方の人間が「日経なんちゃら」とかそういった雑誌を読んで、「なんでうちではやらないんだ」とか言ったのが発端らしくて、いろいろと社内に波紋を投げかけているようです。問題は、指示した上の方の人間も、指示を受けた方も、とにかくいろんなことをいろんなふうに誤解しているというか、そのために話がとんちんかんになってしまっていることなんですね。

誤解に基づく話として、やっぱり一番多いのがいわゆる「オープンソース」に関連することだったりします……などと言いながら、私も誤解しているところがあるかも知れません。「お前、それ間違っているぞ」と指摘は、歓迎いたします。
「オープンソースのソフトは、トラブルが起きたらソースを自分で修正しなければいけない」→だからダメだ。私は、これ、社内でも本当によく聞きました。「トラブルが起きたからって、いちいちOSのソースを追って修正しくなんてことは出来ない」とかね。でも、これ「ソースを自分で修正しなければいけない」じゃなくて、それを言うなら「ソースを自分で修正することが可能」というか「ソースを自分で修正することすら可能」ですよね。そもそもソースが公開されていないソフトの場合、自分じゃ修正できないんだから。だから、市販ソフトのようにソースが公開されていないソフトの場合は、開発者が修正してくれなければどうしようもない。オープンソースのソフトウェアの場合は、それに加えて、自分で修正することも出来るし、第三者が修正してくれるかも知れない。
「フリーソフトは責任が明確じゃ無い」→トラブった時に誰も責任を取ってくれないから仕事では使えない。まだ、こんなこと言う人がいるんですよね。そういう人には、市販ソフトの使用許諾契約書を読め、と言いたくなります。有償ソフトのバグで損害を受けたってそれを補償もしてくれないし、バグを直してくれる保証すら無いわけですから。
最近の私は、こんな話を社内で何度もやっています……いいかげんむなしくなってくる。

そんな中で、とにかくフリーUNIXを使ってみよう、ということで私の部署の上の了解がとれたので、まずはトラブってもあまり影響の無い部署内のサーバーで使ってみようということになりました。
行きがかり上、私がやることになったのですが、とりあえずは部署のメールサーバーと社内向けWebサーバー、部署のドメインのネームサーバーあたり、を手始めに使ってみようか、といま作業しています。それが出来たら、ファイルサーバーあたりとか、あとX端末として使う、というのを考えています。特にX端末は、今はハードをわざわざお金を出して買ったりしているのですが、これなんかは以前から無駄遣いだなあ、なんて思っていました。

そんなこんなで、導入に関しては全部任されているのですが、とにかく安く上げるということで、ハードウェア(PC他)は、そこいらへんに転がっている(「遅くて使い物にならない」と言ってうち捨ててある)486やらPentiumのクロックの遅いやつを積んでいるのを使おうとしています。
で、あとは肝心のOSですが、選択肢としてはやはりLinuxなんでしょうね、常識的には。FreeBSDという手もあるけど、いまうちで仕事で使っているUNIXはBSD系のやつはもうほとんど無いんで(SunOS 4がまだ多少残っているけど)、あえてBSD系にするだけの根拠にも乏しいし、マスコミの露出度の点ではLinuxの方が多いようだし。
さて、入れるOSはLinuxに決まった、と。ここで問題になるのがディストリビューションですよね。私も「あれ、どのディストリビューションを使おう??」状態になってしまいました。自分で個人的に使う分にはどれでもいいんですよね。そんなにややこしいことはやっていないから、いいやつが出たら簡単に乗り換えられるし。でも、仕事で、サーバーとして使おうということになると、そうも言っていられない。
Slackware、Red Hat、Debianと言ったメジャーなやつもあるし、そこから派生したディストリビューションもいっぱいあって、さて、どれを選んでいいものやら……。
まあ、仕事で使って、しかもなんかあっても簡単に別な奴に乗り換えたり、再インストールしたり出来ないだろうことを考えて、Red Hat、Debian、TurboLinuxあたりから選ぶのが妥当かな、なんて思っていますけど。Slackwareはバージョンアップが困難、ということなんでやっぱり外さざるを得ない……とは言え、他のディストリビューションでも、私はバージョンアップをした経験が無いので(いつもまっさらにして新規インストールばかり、個人用途だったのでそれでもほとんど問題なし)、バージョンアップがどれだけ容易に行えるのかは未知数ではありますが。

ディストリビューションの多さは、それがLinuxの面白さでもあるわけですけど、なんか仕事で使おうとすると、そのあたりでいろいろと悩ましい問題に直面してしまいます。まあ、どれでもいいと言えば、それはそうなのかも知れませんけど、仕事で使うとなると、そうそう簡単に別の奴に乗り換えるわけにも行かないですし、ディストリビューションによって、特にシステム管理のあたりが結構違っているので、出来れば統一しておきたいですね。
私はずっとSlackwareを使っていて、去年TurboLinuxを使い始めた(インストールが楽なんだもん)のですが、あちこち違っていて、結構とまどいました。たとえば、/etc/rc.dというディレクトリの下に、OSの起動時等に動くスクリプトがありますが(強引なたとえで言えば、DOSのCONFIG.SYSやAUTOEXEC.BATに相当する)、TurboLinux(Red Hatも?)では、勝手にここのファイルをいじっちゃまずいみたいですね。Slackwareの時には、ここに勝手にファイルを作ったり、削除したり、書き換えたりしてましたが。

いろんなディストリビューションが出ること自体は決して悪いことでは無いと思うのですが、仕事で使う上では、ある程度メジャーな(みんなが使っている)ディストリビューション、というのが欲しいですね……というか、Red Hatがそれに当たるのかも知れませんが、特に米国あたりでは。
日本の場合には、日本語環境、という厄介な問題があって、Red Hatが普及する前に、日本語環境を一緒にパッケージングしたTurboLinuxがシェアを取っちゃった、という風に理解してるのですが(←この理解、間違っています?)。私自身は、TurboLinuxを「Red Hat 日本語版」というような位置づけと見ていた(TurboLinuxはRed Hatから派生したディストリビューション)のですが、どうも別の方向に行こうとしているようですね。私自身はTurboLinuxにかなり期待していたのですが、libcのあたりとか、どうもいろいろとごちゃごちゃしていて、ちょっと……、という気分になっています。
いろいろ見て行くと、仕事で使うんだったら、面白味は無いけど、Red Hatが一番なのかな、などという当たり前の結論になってしまいましたです。3月に、「日本語版 redhat Linux 5.2」が出るようなので、それは期待しているのですが。

というわけで、今週のコラムはオチはありませんです(^^;)
私自身、Linuxはユーザーとして、ほんの一部の機能を使っているに過ぎませんから、勘違い、大ボケがあるんじゃないか、と密かに不安になっています。そのあたりはご指摘頂けるか、あるいは、見なかったことにしてやって下さい。よろしくお願いいたします。m(_ _)m

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