新・闘わないプログラマ No.26

3年の歳月


3年の歳月と巨額の開発費をかけたWindows98の発売日がやっと決まったようですね(あれ?日本語版はまだだっけ?)。また秋葉原はお祭り騒ぎになるんでしょうか。

しかし、Windows98って売れると思います?? だいたい、Windows95と比べてどこがよくなっているんでしょうか、って、前から疑問に思っていたんですが、結局のところ全然分かりません。要するに目玉がないんですよね。Windows95にはアプリケーションの32bit化という目玉がありましたけど(GUIの変更なんかより、こっちの方が重要だと思う)、今回は何も無いですねぇ・・・・悲しくなるほど。
USBやIEEE1394やAGPやDVDのサポートなんてデバイスドライバレベルで実現出来る機能だから、別にWindows98が標準でサポートされたからといってさほど嬉しいわけではないですし。マルチディスプレイはまぁ、評価できなくも無いけど、いままで出来なかった方が不思議(Macintoshならはるか昔からできたし・・・私もいつ頃から出来るようになったのかよく知らない、少なくともSystem6の頃には既に出来るようになっていた)。実は、アプリケーションの起動を速く出来る、ってのが一番の目玉だったりして(^^;)

いま、この文章を書くにあたって、Windows98の紹介記事を探していくつか雑誌をひっくり返して見たのですが、いやもう、悲しくなるほど歯切れの悪い文章が並んでいますね。結局、何も売り物になるような機能が無い製品なのに、それをよいしょする記事を書かなければいけない辛さ(^^;)
「日経バイト」の1998年2月号「講座 Windowsプレビュー 第1回」から引用してみますと(285ページ)

Windows98は、IE4.0を統合した環境など、Windows95上でも実現できる機能をのぞくと、これまでと大きく変わるところは少ない。新たに追加された機能は、使い勝手を中心にしたものが多い。新しいソフトウェア技術として、注目すべきものはない。しかし、これらの機能は、これからWindowsを使い始める多くの初心者にとっては、大切な機能になるかもしれない。

いやぁ、歯切れが悪いですねぇ。「大切な機能になるかもしれない」だって。なるわけねーじゃん(^^;) せめて「大切な機能になることは確かだ」とでも断言していれば、その態度は、それはそれで評価できないこともないですけど、「かもしれない」じゃあね(だったら書くなよ)。

また、Windows98は、動作が不安定な部分が多かったWindows95を改良して、より安定したOS環境を提供すると言われている。これは、ベータバージョンでは、正確に評価することができないが、何かあると簡単にハングアップしていた、これまでのWindows95を考えれば、それだけでも十分に価値があると言えるだろう。

あのーこれ、もしかしてジョークなんですか?( >筆者)。「より安定したOS環境を提供すると言われている」って、いったい誰が言っているの? まさか、マイクロソフトが言っていることをそのままうのみにしているわけじゃないですよね :-p 「ベータバージョンでは、正確に評価することができない」のに「十分に価値があると言えるだろう」なんて結論が出てくるあたりが、もう私は何も言う事ありませんです。このあとも、笑える文章が並んでいますが、長くなるので、このくらいにしておきます。
「日経バイト」って以前は結構まともだったように思うのですが、最近はもう駄目ですね。そういえば、最近は送られては来ても全然目を通していない。余談になりますが、最近の日経BPの雑誌だと、「日経コンピュータ」がここのところ結構いい記事が多いですね。あと、ちゃんと目を通しているのというと「日経コミュニケーション」くらいかな。

何度も同じような事を言っているような気がしますけど、Windows98って、商品としてのコンセプトというか、そんなものが全然見えてこないような気がします。だから、何のためにバージョンアップするの?、って気持ちになってしまうわけです。私はWindows95はノートパソコンで(いやいや)使っていますが、多分まちがいなく、バージョンアップはしないでしょう。別に今のままで困らない・・・・いやいや十分困っていて、せめてWindowsNTにしたいのだけれど、リソースの問題で現状では我慢しています。
そう言えば、今のWindows系列(非NT)はWindows98で打ち止めだそうですね。発売前から、もうこの系列には将来性は無いよ、と言われているようで、かわいそうなWindows98(^^;)

最近思うんですが、OSに限らずソフトウェアのアップグレードは、方向性を見失っているというか、どう見ても変な方向に向かっているような気がしてなりません。要りもしない機能をどんどん取り入れて、とてつもなく肥大化してしまったソフトウェアを見るにつけ、そんな感想を持ってしまうのです。
PC UNIXの流行や、まだ海のものとも山のものともつかないBeOSのようなOSに注目が集まるのも、そういった風潮に対する反動でもあるわけです。ユーザーでもあり開発者でもある私のような立場の人間から見れば、選択肢が増える事は非常に歓迎する状況なのです。
別に、Windows98の不買運動をしよう(^^;)とか、そういう意志は私にはありませんけど、あまりマスコミに躍らされることには注意した方がいいんじゃないかな、と思います。最後に一言

「あなたのWindows95、98にバージョンアップする必要あるのですか?」

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