新・闘わないプログラマ No.512

512


2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512, 1024, 2048, 4096, 8192, 16384, 32768, 65536 といった数字はこの業界の人間なら「きりのいい数字」として、まず間違いないく暗記しているわけですが、今回は512です。512といえば 29 (2の9乗) です。一般的には、256(=28)と比較すると「きりのいい数字」としてのランクは落ちます。それは、いま世間では、8ビットを1バイトとするコンピュータが大多数を占めているので、その場合1バイトで表現できる情報が256種類(28 = 256)であるからではないでしょうか。
前にも何度か書きましたが、私が最初に使い込んだコンピュータは、NECのACOS6というOSが動作するコンピュータでして、これは1ワードが36ビットの「ワードマシン」でした。一方、いまどきのたいていのコンピュータは1バイトが8ビットの「バイトマシン」と言えます。
ワードマシンは、1ワードに対してアドレスが振られていて、原則として、そのワードを単位として処理を行います。しかし、7ビットや8ビットで1文字を表す場合、それよりずっとビット数の多いワードを単位とした処理が原則のワードマシンでは非効率です。そこでワードマシンでも1バイトを単位とした処理もできるようになっているのが一般的です。たとえば、ACOS6の場合、36ビットを6ビット6個に分割して6ビットで1文字を表したり、9ビット4個に分割して9ビットで1文字を表したりしています。今は1文字7ビット以上の文字エンコーディングが普通ですから、9ビット×4個が一般的に使われているようです。つまり「1バイト = 9ビット」ということになります。そして、この場合、1バイトで512個の値を表すことができます。

などと「長々と何を書いているんだ」と思われたかも知れません。前回、「次回で終了します」と書いたのは、今回が512回目だったからに他なりません。前回は10周年記念の回、そして今回は512回目、ということで2週連続で「きりのいい」回ということになりました。
別に狙ってこうしたわけでは無いのですが、考えてみれば1年は約52週ですから、10年で500週強なわけで、こうなることはあたりまえでしたね。いずれにしても「きりのいい」回が2週連続したことになります。「こりゃあもう、ここで一区切りつけて終わりにしろ」って言われているようなものではないでしょうか。
さて、前回「次回で終了します」と書いたところ、もう読みきれないほど(←嘘です)「止めないで」というメールをいただきました。それはたいへんありがたく思っておりますが、今までにも何度か「10年で止めます」と予告していましたとおりで、これはある意味予定通りの行動です。20年の1024回で終わりにするというのも魅力的だったのですが、あと10年も続けるのは大変だろうな、ということで10年512回となったわけです。
正直、最近はマンネリに陥っていたように思えます。お読みになった方からの反応も以前より減ってきていますし、そろそろ頃合ではないか、と思ったのも事実です。まあ、反応が無いのは、blogなどと違ってコメント欄もありませんし、「トラックバック? 何それ? 美味しいの?」という、今としては時代遅れなサイトになってしまった、というのもありますので、「みんなが反応くれなかったから、こんなサイト止めてやる〜」といじけているわけではありません(たぶん)。

というわけで10年間、ほんとうにありがとうございました。このサイトがきっかけになって本を出すこともできましたし……って、あれ? このサイトの更新を終了しちゃうと、次の本が出たとき(って出るのか?)、宣伝する術がないではありませんか。ううむ、困った。次の本(まだ予定が決まっていません、ここをお読みになった編集者の方、執筆の依頼は私宛にメールにてお願いいたします ←おい)が出るまでにはなんとかしないと。ううむ。

〜完〜

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