新・闘わないプログラマ No.448

さよならアスキー


「月刊アスキー」がついに休刊になりましたね。一応、3ヶ月くらい休んで生まれ変わるみたいですが、いわゆる「ビジネス誌」かなんかになるらしく、それってもうただ単に同じ「アスキー」という名前の付いた別の雑誌が創刊するのと何も変わらないような気がします。
今回の件については一言で言ってしまえば「雑誌としての役割が終わった」ということになるかと思います。というか「役割」自体はもうはるか以前に終わっていた、それをなんとか延命してきた、というのが正確でしょうか。「総合誌」であったが故に、ここのところの「アスキー」は読者層が見えない、「いったいこの雑誌、誰が買うの?」と思わせるところがありました。
その昔「I/O」「アスキー」「マイコン」「RAM」でパソコン(じゃなくて「マイコン」か?)4誌などと言われた時代もありましたが、結局最後まで残ったのは「I/O」という結果になりましたね。そういえば「I/O」は「パソコン」ならぬ「パーコン」という言葉を使っていた(広めようとしていた?)と記憶しておりますが、普及しませんでした。

「アスキー」は、たぶん私が最初に買ったコンピュータ誌だったと記憶しています。そして、いまから20年くらいまえには欠かさず買っていた雑誌だったのですが、それ以降は何かの記念号をごくまれに買ったのを除けば、ずっとご無沙汰していました。
で、さすがに最後ということなので、何年ぶりかで買ってみたわけですが、まあ千円もしないだろうと、値段も確かめずに千円札を握り締め会計に向かったところ、レジのおねえさんから「1280円になります」。え? そんなにするの? DVDが付いているとは言え1280円はちょっと高んじゃ?
さて、その最終号(って言っていいのか?)は「完全保存版 パソコン30周年 記念特別号」です。休刊になるのでこの特集をやったのか、それとも偶然この特集をやることになった後に休刊が決まったのか、はたまたこの特集をやることを知ったアスキー上層部が「ちょうどいい機会だから」と休刊を決めたのか。そのいずれかなのかは知りませんが、最後のが事実なら「墓穴を掘る」とはまさにこのことですね。
しかし、久々に見て最初に思ったのは、悲しいくらいに広告が少ないことですね。昔は半分くらいが広告のページだったと思いますが、今はもう雑誌の広告を見て買うような人が減ったということなのでしょう。内容的には自画自賛ではあるとは言え、さすがに歴史の長い雑誌だけあって「ああ、懐かしいなあ、これ」というのが随所にありました。
その中で、「月刊ASCIIの記事で見る パソコンの30年」という記事の見出し、

01 ショーレポートが目玉記事だった時代
インターネットもない時代, ショーが最大の情報源だった
マイクロプロセッサあるところ, ASCIIの取材陣あり

02 月アス一番の人気企画と言えば――ベンチマークテスト
一番いいのはどれなんだよ?
製品対決こそ, 最も信頼できるお買い物ガイドだった

が、自ら自分の雑誌の役割が終わってしまったことを告げているようで、なかなかに悲しいものを感じてしまいます。
しかしまあ、あちこち読んでみて思ったことは、当時(20年くらい前?)は夢がありましたね。今や、この分野で新製品を心待ちしつつ雑誌の発売日(18日……昔は25日だった記憶が)を待つことも無くなりましたし。パソコンの買い替えだって、「もう数年使っているから、そろそろ新しいパソコンに替えようか」と、そのとき出てるやつの中から手ごろなのを見繕って買うだけ。パソコンを新しくしたって、OSはほとんど変わらず、CPUがちょっと速くなって、メモリとハードディスクの容量が増えただけで、出来ることがそう変わるわけでもない。そんな時代になってしまいました。

ところで、書店に行ってこの雑誌を手に取った瞬間、最初に思ったことは「か、軽い……そして薄い」。軽いのはページ数が少ない(たったの120ページ)というだけではなく、昔より紙質が落ちているせいのようです。いつのまにこんな哀れな姿になってしまったのでしょうか? いったい誰のせいで、こんなことに ←「お前みたいなのが買わなかったせいだろ」ですか。はい、そうです。すみません。

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