新・闘わないプログラマ No.304

裏話


この週末はばたばたしていて時間が無くて、「これ」というネタも思い浮かばなかったので、まあ「アホでマヌケなプログラミング」が発売されて1ヶ月近く経ったことでもあるし、この本ができるまでの裏話でも書いてみたいと思います。とは言え、それほど面白い「裏話」があるわけでもないのですけど…。
おかげさまで売れ行きの方はそこそこ順調なようでして(詳しいデータは知らないのですが…)、先日第2刷が出来上がってきました。私としては別に売れなくても損はしないわけですが、そうは言っても大々的に売り出している書店さんもあるようで、これでさっぱり売れなかったりするとそれはそれでヤバいだろうなあ、とか思ったりもしていました。
本を書いてみて気づいたことには「売れないと出版社をはじめいろいろなところに迷惑がかかったりするんだろうなあ」ということでしょうか。売れないと困るのは私じゃなくて、私以外の他の人たちです。もし仮にここで「こんなつまらない本、お金の無駄だから買うな! 著者が言うんだから間違いない」などとは冗談にも言えない、ということですね(←もちろん「買うな!」というのはあくまで例です、念のため。書店で立ち読みでもして、面白そうだと思ったら買ってください)。

さて、以前にも書きましたが、出版のお話を翔泳社の編集者さんからいただいたのが今年(2003年)4月のはじめのことです。コンピュータ関係の書籍を主に出版している翔泳社という会社自体は以前からもちろん知ってはいましたが、どちらかといえば(私の嫌いな)資格試験関係の書籍とか、(これまた私の嫌いな)いわゆる「ビジネス書」のようなものを多く出版している会社というイメージがありまして、家にも、この出版社の書籍は2冊しかありませんでした(いま数えてみたところ…)。
そんなわけで、私としては逆に興味を持ちました。「そういう出版社が、自分にどんなことを求めているんだろうか」と。実は、今から2年ほど前になりますが、別の出版社(ここもコンピュータ関連書籍で有名なところ)から、「本を出さないか」というような話がありました。で、編集の人と会って話をしたのですが、妙に不愉快な、というか高飛車な態度で(以下293文字削除)というわけで、お断りしたことがありました。いったい、あの編集者の目的はなんだったのでしょうか…本を出したいのか、それとも私を不愉快にしたいだけだったのか…ううむ。

話を戻しまして、4月の中ごろ、翔泳社の編集者さんとお会いしまして、あとはとんとん拍子に話が進みました。「闘わないプログラマ」にある文章をベースに再構成して、新たに文章を書いて、「プログラマになりたい人」「プログラマになったばかりの人」でも面白く読めるような内容に、ということにしました。そのために注釈の部分にはかなり力を入れたつもりです…いや、手抜きした部分もありますけどね。「Linux こんなOSが無料で手に入るなんて、いい時代になったものです。家では、サーバ用OSとして常時使用しています。メールサーバやファイルサーバや、その他諸々」とか。全然、注釈になっていないかも。
最終的な本の章立ては、書き始める前に決めた構成とほとんど変化がありません。一番大きく違うのは、最終的にChapter 6になった「私の『コンピュータ』履歴書」が、最初の構成ではChapter 1にあった、ということでしょうか。ここ、自分で原稿を書きながら「見ず知らずの他人の思い出話なんか最初に持ってきたら、読む方はうんざりするだけかも」ということで後ろに持っていった、というのが真相です。
ちなみに、この「私の『コンピュータ』履歴書」には、昔の写真をたくさん入れたいなあ、ということで編集者さんの方でいろいろ手配してもらいました。かなり手間がかかってしまったようで、申し訳なく思っているところです。で、ほとんどの会社は快く掲載を許可していただいたそうですが、1社だけ製品写真の掲載許可が下りなかった会社があるそうです。この本に昔の写真を載せて困ることでもあるんでしょうかねえ、不思議です。
イラスト(と、表紙のオブジェ作成)は、イラストレータの水野真帆さんに描いていただきました。私は水野さんのイラストが非常に気に入っておりまして、この本の価値の大半はイラストにあるのではないか、などと思ったりもしております。著者校正のためのゲラ刷り(って、今でもそう言うんですね)が送られてくるのが楽しみでした(このゲラ刷りで初めて、どんなイラストが挿入されるのかわかるので)。

さて、原稿書きは5月終りから7月終りにかけて行いました。すべてノートPC上でフリーウェアのエディタを使って書いたわけですが、書き方やファイルフォーマットについては特に制約を設けない(自由に書いていい)ということだったので、HTMLもどきの書き方をして文書の構造を示すことにしました。Chapter 1の最初の部分の原稿はこんな感じです。

<H1>プログラマという人種</H1>

<H2>いろいろなプログラマ</H2>

<H3>一口にプログラマと言っても</H3>
<P>一口にプログラマと言っても、仕事でやっているのか否か、どんなコンピュータ上で、どんなプログラミング言語を使っているのか、そして、どんな種類のプログラムを開発するプログラマか、によって性格がかなり違います。そのあたりをちょっと見ていきたいと思います。

<H3>メインフレームのプログラマ</H3>
<P>まずメインフレーム(*)のプログラマ、この人たちは、十年一日のごとく(誉め言葉です……多分)COBOL(*)などの言語で業務アプリケーションを作ってきました。

もっと厳密にやろうとすれば他に最適な方法がいろいろありますが、ここでは見出しと段落がわかりやすければいいかな、ということでこんな感じにしたわけです。なお、この原稿の中に出てくる「(*)」は「注釈がありますよ」程度の意味です。
ちなみに、原稿を書いたときの環境は、「テーブルに座って」4割、「ベッドに腹ばいになって」5割、「電車の中」1割、といったところでしょうか。電車の中で長い原稿を書くのは結構大変だったのと、インターネット接続ができないのでその場で情報検索が出来ないので、電車内で書いた割合はかなり少なくなりました。逆に、赤ペンを持っての校正は電車内でかなりやりました、隣に座った人間に「ナニやってんだ、こいつ?」と不審そうな顔をされながら。

と、あまり「裏話」らしくない「裏話」を書いてみました。まだ書ける話はあるので、またネタの無いときの手抜き企画として続編などを…。

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