新・闘わないプログラマ No.296

MARS


「火星大接近」だそうで、仕事帰りに東の空を見上げると、確かに、一際明るくオレンジ色に輝いている火星を見ることができます。実際にこれだけ明るい赤みがかった色を見ると、それが不気味な色、血の色に例えられて、またローマ神話の軍神(Mars)の名を与えられたのも頷ける感じがします。
もう30年近くも前のことになりますが、NASAのバイキング計画によって、初めて火星に探査船を着陸させ、そこから送られてきた火星の地表写真を見てわくわくしたのを思い出します(って、トシがバレる ←もうバレてるか…)。当時は「21世紀にもなれば、火星に人類を送り込んで、もっと詳しい調査が行われるんだろうなあ」と思っていたものですが…。
というわけで、今回は火星についてのお話を…するわけはありません。

国鉄…じゃなくてJRの指定券等の予約の処理を行っているコンピュータシステムがあります。名をMARS(「マーズ」じゃなくて「マルス」と読む)と言います。昔々聞いた話では「Magnetic electoronic Automatic Reservation System」(「磁気的電子的自動予約システム」?)の略だと記憶していたのですが、いまGoogleで調べてみたところ、
「Magnetronic Automatic Reservation System」
「Multi Access seat Reservation System」
の略、という説もあるみたいです。上の例にある「magnetronic」という単語、辞書で調べましたけど載っていませんでした。「magnetron」というのは「マグネトロン」という一種の真空管(電子レンジなどで使われる)のことですから、「magnetronic」というのは「マグネトロン的な」と言うような意味でしょうか。でも座席予約システムにマグネトロンは使わないと思うしなあ、いくらなんでも。
下の説は、JR西日本や、MARSの主要部分を作ってるらしい日立のサイトで見つけましたので、最近はこれの略ということになっているみたいですね。省略語にあとから「この省略語は、なになにを省略したものなんだよ」とこじつける、というのはよくある話ですし、なぜか省略前の言葉が後から変わってしまうこともありがちです。

さて、このMARS、初代のシステムはもう40年以上も前に稼動開始したみたいです。そのあたりの歴史は、鉄道情報システム株式会社(JRシステム)のサイトにある、マルスの歴史というページにまとまっています。JRシステムという会社は、国鉄が分割民営化される際に、JR各社の出資でできた会社です。
MARSは典型的な「ホスト-端末」型のシステムで、端末台数から見ても、トランザクション数から見ても、日本でも有数のオンライントランザクションシステムであろう、とは思われます。こういう形態は今となっては時代遅れだ、という言い方も可能かも知れませんが、これだけの大規模なシステムを高信頼性で運用するのは至難の業ですし、冒険は絶対に避けるべきなのでしょう。システムダウン(MARSがシステムダウンするとまず間違いなく全国ニュースになる)は、私の記憶ではせいぜい数年に一度くらいですし、かなり優秀な方ではないか、と思います。
このMARSの端末として主要なものは、駅の「みどりの窓口」に置いてある端末ですね。私が見たことがある一番古い端末は、駅名や列車名のスタンプ(?)を端末に差し込んで、それで予約するタイプのものです。で、席が取れると、切符にそのスタンプで駅名や列車名を印字する仕組みみたいでした。その後、いろいろなタイプの端末を見ましたが、最近はWindowsを入れたPCを使った端末もあるようですね。なんか、そんな感じのも見たことがあります。
なんでそんな端末のことまで知っているか、と言うと、鉄道を使って私があちこち出歩いていた、ということもありますが、みどりの窓口で、開いている窓口が複数あった場合、旧型の端末の窓口と、新型の端末の窓口では、新型の端末の方が切符の印字速度が速いので列の進みがいい、という「生活の知恵」からきていました。もちろん端末だけではなく、並んでいる人もよく観察してから、どこの列に並ぶか決めないといけないのは言うまでもありません。窓口で延々と相談をもちかける人の後ろに並んでしまうと…今のように「フォーク並び」が普及していませんでしたし。

ところで、最近はやっと、インターネットによるJRの予約もかなり使えるようなレベルになってきました。航空会社の予約に比べると遅れている感じは否めませんでしたが、鉄道の方が条件が複雑になりがちなので仕方の無い面もあるのでしょう。
私の場合は、首都圏に住んでいて、かつ西方面にはあまり行かない(以前はときどきあった大阪出張も最近はほとんど無いし)ので、JR東日本の予約サイト「えきねっと」を主に使っています。このサイト、JR東日本の列車に限らず、JR各社すべての列車の予約ができるのですが、受け取りがJR東日本の駅にあるみどりの窓口だけなので、たとえば大阪に行って、そこで帰りの「新大阪〜東京」の新幹線の予約を「えきねっと」でしても、切符の受け取りようが無い、という厄介な事態に…このあたりが国鉄を地域で分割した弊害だと思うのですけどねえ。いやまあ、JR各社が共同でインターネット予約サイトを運営して、どこでも予約できて、どこでも切符の受け取りができるようになればいいのですが、「JR東日本とJR東海」「JR西日本とJR東海」は仲が悪い、というのが定説で(「敵の敵は味方」というわけで「JR東日本とJR西日本」は仲がいいみたいですが)して、まあ競合している路線があるから仕方が無いのでしょうけど、とにかく共同で何かやるというのは難しいのかなあ、とも思ってしまいます。

というわけで、「火星大接近かあ、火星と言ったらMarsだよなあ」「Marsと言ったら、JRの予約システムがMARS(マルス)という名前だったっけ?」という、単なる思いつきで駄文を書いてみました。しかし、コンピュータネタですらなかったような気も…。

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