新・闘わないプログラマ No.187

電源を落とすと…


週末にサージプロテクタなる製品を買ってきました。サージプロテクタとは何か、と言いますと、要するに雷よけの御札のようなものです ←何か違う。
いま家では、回線に繋がっているISDNルータやら、無線LAN関連の機器やら、サーバ機やら、そんなものが常時動いているわけでして、雷にやられると結構金銭的やら精神的やらのダメージがでかいので、まあどれだけ有効なものなのか分かりませんけど、とりあえず御守り代わりに買ってきた、というわけです。でも、本当にご利益はあるんだろうか?
で、早速取り付けようとしたわけですけど、取り付けるためには当然のことながら、機器の電源を落とさないといけないわけです。よくよく考えて見ると、サーバ機などは半年以上電源を落としていないし、それどころかリブートもしていない。中古PCにLinuxを入れたサーバなのですけど、ハードもソフトもノートラブルで結構頑張って動いていたなあ、と感心してしまったりしますが…はて、ここでこのサーバ機の電源を落としたとして、ちゃんと立ち上がってくれるんだろうか。

こんなことを心配するのは、それなりにわけがあります。
まあこれはどこのビルでも同じだと思うのですけど、年に1回(あれ? 2回だったかな)、そのビルの電源設備の定期点検ってのがあって、建物全体が停電してしまう日があります。
この定期点検、大抵は休日に行うわけですけど…でないと、その日一日は、照明も無いし、エレベーターも動かないし、空調も無いし、というような環境で過ごさないといけくなりますから。
で、人のいない休日に行うわけですが、でも、確かに人はいないかも知れませんが、いまどき、コンピュータやらネットワーク関連の機器は、どんなところにもある程度は存在しているわけで、しかも、それらの機器は常時電源が入っていたりすることも多いわけで、そういう電源設備の点検の日には、そういった機器を使うサービスは停止せざるを得ないこともあったりして、結構不便なわけです。
まあ電源が落ちて、その日はサービスが停止する、というだけならそれはそれで仕方が無いと諦めることも出来るかも知れませんけど、この点検による停電の最大の問題点は、停電前に電源を切った機器が、復旧後正しく立ち上がるか、ということだったりします。
別にそんなの、前日までちゃんと動いていたんだから、また動くだろう、などとお気楽に考えていると痛い目に逢います。
その理由はいくつかあるのですけど、まず、機械の類って、電源の切る瞬間や入れる瞬間に壊れやすい(ような気がする)というのがあります。ずっと電源を入れっぱなしにしている間は問題なく動いてたのに、電源を切る瞬間に故障してしまって、二度と立ち上がらない、とか。
これと似たようなのに、停電前に電源を切り忘れて正常のシャットダウンを行わないまま、停電によっていきなり電源が切られてしまった、なんてのもあります。これにはハード的な故障のほかにも、コンピュータなんかの場合、ディスクに書き込み中に電源が切れちゃって、ディスクの内容に不整合が発生してしまう、なんてことにもなります。
あと、これは故障じゃないですけど、電源の入れ忘れ。数千台・数万台といった機器が設置してあるような場所では、電源の切り忘れ、入れ忘れ、なんてのが起こりがちです。これも、なかなか発覚せずに、休み明けになってから大騒ぎするような場合も多いですね。
それから、これも直接は停電に関係するような障害じゃないのですけど、ある機器の電源スイッチがずっと奥のほうにあって、そのスイッチを操作しようとして、手前にジャングルのように張り巡らされているケーブルを引っ張って、抜けかかっていたコネクタが外れてしまう、なんてのもあります。
まあ、機器を最初に設置するときには、電源スイッチの場所なども考慮して(操作しづらくないように)設置する(と思いたい)のですけど、その後に別の機器のケーブルやらがその前に覆いかぶさるようになってしまう、ってのはありがちな話だったりします。私も、そんなケーブルをかき分けかき分け、目的のスイッチのところへ手を伸ばそうとしたことは一度や二度ではありません。
あとは、ソフト的な原因というのも結構ありますね。ルータなどのネットワーク機器の設定って、コマンドで設定するとその場ですぐに変更出来るのですけど、設定内容を不揮発性メモリに書き込んでおくのを忘れると、電源を入れなおすと元の設定に戻ってしまう、ってのが結構あります。管理がいいかげんなルータだと、だれがいつどんな設定をして、で不揮発性メモリに書き忘れたか、なんてのが分からなくなってしまっていて、大騒ぎになることがあります ←管理がいいかげんなのが一番悪いのですけど。
似たようなことはUNIXのサーバなどにもあって、デーモンを手で立ち上げてはおいたはいいけど、/etc/rc.dの方の設定を忘れて、起動時にデーモンが動かない、とか。

まあ、そんなこんなで、多数の機器が設置されているようなビルの停電のときには、多くの人間がかり出されて、シャットダウンから電源の投入、正常に復旧したかどうか確認、故障時には修理の依頼なんてことをやったりするわけで、結構いい迷惑だったりします。
で、電源設備の点検のときにも停電しなくていいように、電源設備自体を2系統もっているようなビルもあることはあるのですけど、数はそんなに多くないですねえ。

さて、たかが家の電源と回線にサージプロテクタを取り付ける、というどうということの無い作業をやりながら、「うーん、これはネタになるかも」などと考えていた私なのですが……だから間違うんだよ。余計なこと考えながらやっているから、サーバをシャットダウンしないうちに、電源ケーブルを抜いちゃったりするんだってば。

[前へ] [次へ]

[Home] [戻る]


mailto:lepton@amy.hi-ho.ne.jp