新・闘わないプログラマ No.120

おかね儲け


ちょっと古い話題なのですが(←本当は先週書くつもりだった、けど先週は別のネタを優先しちゃったので…)、すごいシェアウェアがあって、Vectorに登録されている、ということなので早速行ってみました。そのシェアウェアというのが、「time2date.cgi 数値から日付に変換するスクリプト」「date2time.cgi 日付から数値に変換するスクリプト」ってやつですけど、確かにすごい。
UNIXあたりの時刻の管理って、世界標準時で1970年1月1日の午前0時(日本標準時なら午前9時)からの通算の秒数で行っています。こうやって通算の秒数で管理おくと、時刻の加算や減算が簡単に出来て便利ですよね。
で、この「シェアウェア」は、この通算の秒数と、実際の日付の変換を行うためのPerlのスクリプトのようです。しかも何故か、Webサーバ上で動かすCGIプログラムの形になっているようです。
ところで余談ですけど、世の中には「Perl = CGIプログラムのための言語」と思っている人が沢山いるようですね。「ここの部分のデータ処理はPerlで書いたら…」と言ったら「えー、CGIでやるの?」と言われたり、「このCGIプログラム、Perlだと遅いから、Cで書きなおしたら…」と言ったら「CGIプログラムってPerlで書くものでしょ?」と言われたり。
それはともかく、そもそもこのプログラム、いったい何の目的があるのでしょうか。というか、何に使えるんでしょうか。機能そのものは、ブラウザからこのCGIプログラムのURLを指定して、日付または秒数を入力すると、変換した結果が表示される、ということのようですけど(お金を払う気が無いので、実際に動作させてはいない…だって、試用期間すら定められていないようだし、使えば即、お金を払わないといけないようなので)、いったい何に使うんでしょうか??
このシェアウェアには、不思議なことがまだあります。Vectorでの登録のカテゴリが、「UNIX用 > ビジネス > 計算・表計算・グラフ」になっているというところです。何故に「UNIX用」限定? 何故に「ビジネス」? 何故に「計算・表計算・グラフ」? もっと適切なカテゴリがあるんじゃないか、などという気がしないでもないのですけど。まあ、この微妙なずれ方が、いい味を醸し出しているとも言えますが。
さてさて、いったい何に使えるか分からないシェアウェア、お値段はというと、なんと1万円ポッキリ。いやまあ、どんなプログラムを作って、それをシェアウェアにして、どんな値段を付けるか、というのは作者の自由ではありますけど、それならそれで「えー、こんなんが1万円?」と言ってネタにする自由もあるわけで、早速ネタにさせてもらいました。
作者のページに行って見ると、「販売」という言葉を使っていますから、この人は完全に「ビジネス」(笑)としてこのシェアウェアの「販売」を行っているようなので、それならなおさら「へー、こんなPerlスクリプトが1万円ねえ、いったいどこをどうすれば、こんな値段設定になるんかいな。ところで今までに何本売れました?」などと言ってもいいのではないか、と思うわけです。

こういう「勘違いシェアウェア」って、Vectorあたりを探していると頻繁に見つかるのですけど、しかしこれは特に凄いですね。
前にも書いたことがありますけど、私は現在シェアウェアと呼ばれているもの(Vectorあたりで「シェアウェア」として登録されているようなもの)が、基本的に嫌いだったりします。今も昔も、シェアウェアは一本も使っていませんし、もちろんお金も払ったことがありません。
いやまあ「ケチ」だとか「お金が無い」とか、そういう理由もあったりしますけど、たとえば「えーと、こういうことが出来るソフトは無いかなあ」とかVectorあたりを検索するときには、一覧で「Share」のマークが付いているソフトは、私の目には無かったことになるような仕組みになっています。
しかし「勘違いシェアウェア」を作る人の動機、というのには興味があったりします。「ラクしてお金儲け」とか「ゆくゆくは職業『シェアウェア作家』」とか、そんなのが多いのかなあ、などと思ったりもしてますけど、どうなんでしょうか。
でも、これからの時代、「シェアウェア」という名の商業ソフトを販売して、それで食って行く、というのは結構厳しいのではないかな、などとも思います。結局はアイディア勝負だし、ブランド力も無いと、似たようなフリーソフトが出てくればそっちに流れるのは自明なことなわけです。

話は変わりますが、「著作権情報センターの解説文について抗議します」は、いまだに何の進展も無いんですね。これだけ話が大きくなった(と、思えるのですけど、実際はそうでも無いのでしょうか)のに、当事者は無視して、時が過ぎるのを待っているのでしょうか。
そのうち「サイトの内容をリニューアルしました」とか言って、あのあたりの記述がごっそり無くなっていたりして ←一番ありがち。
ところで、あの問題となっている記述ですが、フリーウェアをバージョンアップ時に有償にして利益を得よう、というのは、現実問題としてはそんなに有効じゃないと思うんですよね。有償にしたら、今までのユーザは別のソフトに逃げちゃうし、ライバルソフトというか別の選択肢があるような健全な状況を保つのが重要であるわけです。
仮にLinuxがバージョンアップに伴ってある日突然有償化されたとしたら(んなことは無いでしょうが)、今のバージョンを使い続けるか、FreeBSDなどの別の選択肢を選べばいいだけで、それほど重大な問題にはならないわけです。

そもそも、ソフトを作って、みんなに使ってもらって、それでお金を儲けよう、という「ビジネスモデル」(笑)自体にかなり無理があるというか、沢山の人が「お金を払ってでもぜひこのソフトを使いつづけたい」と思うような、よほどすごいソフトを作りつづけないといけないわけで、そういうのはごく一部の人にしか出来ない芸当だったりするかも知れません。
というわけで我々凡人としては、別のメシの種を考えねばならなかったりするわけですが…どっかに、「ラクしてお金儲け」などという都合のいい話は無いでしょうか?

[前へ] [次へ]

[Home] [戻る]


mailto:lepton@amy.hi-ho.ne.jp