長与善郎『青銅の基督』


『青銅の基督』
長与善郎 著
新潮文庫

 若書きではないと思うが、かなり生硬な印象を受けた。武者小路よりも、より理想主義的な作品だ。当時白樺派のメインストリームとしての理想主義を、武者小路か長与かと引っ張っていった面目躍如といった感じ。この本ももう絶版になってしまったようで、残念。
 岩波文庫版も図書館にあったがこちらも絶版のはず。こちらは解説を長与自身が書いていて、海外で数多く翻訳された例を紹介し、その中である外国人のエージェントのやり口は道義にもとると憤慨していた(作品の解説以前に)のが、潔癖性なところをうかがわせて、ちょっとおもしろかった。


ホームページへ戻る読書速報へ戻る

(C) KONISHI Satoshi