S817(PCIサウンドカード YAMAHA YMF724チップ使用)導入奮闘記

それは、とある日曜日の夕暮れどきであった。私は自宅でネットサーフィンに励んでいた。そう、あのときにときめきは忘れない。なんとなしに大学の近くにあるパソコンショップのHPを開いてみると・・・
入荷情報 PCIサウンドカード(YAMAHA YMF724)
なにぃ! こっこれは・・・!
YMF724というのは、YAMAHAが開発したPCIバス用のサウンドチップである。PCIサウンドカードも最近ではかなり定着してきたが、ネット上ではこのチップを使用したカードがかなりの人気を呼んでいる。というのも、このチップはYAMAHAが提唱しているMIDI規格XGに対応し、MIDIの音は他の追随を許さないほど良いかららしかった。この時点で私のマシンはSoundBlasterAWE64valueを搭載していたが、MIDIの音がイマイチ(特にドラム)だったので、かねてからYMF724を使ったカードに換えようと画策していた。しかし、家の近くにはその手のショップは無いし、大学の近くのショップには置いてないし、アキバに行くのはめんどうだし・・・と、手を出せずにいた。
しかし事態は変わった。守備範囲内にヤツはいるのだ。あした買ってこよっと。

そしてあしたが来た。私は大学の帰りにそのショップに赴き、ヤツをさがした。・・・あった! ヤツは、変なトンボの絵がついた青い小さな箱の中に入っているようだ。その箱は、10個ほど(もっとあったかな?)積まれていた。値段を見ると、3980円。安い。まぁ、アキバに行けばもっと安く手に入るだろうが、絶対的な評価として、安い。箱の表には、次のように書かれている。

・YAMAHA YMF724 PCI Sound Chipset
・Plug and Play Opereation
・Sound Blaster Pro compatible
・64-voice XG Capital Wavetable Synthesizer
・Sample Rates up to 48KHz
・Full Duplex Record and Playback with Different Sampling Rates
・YAMAHA Proprietary Audiostation

さらに裏を見る。

Features

・PCI bus specification revision 2.1
・PC97/98 specifications
・PCI bus Power Management rev. 1.0 Compliant (Support D0, D2 and D3)
・PCI Bus Master for PCI Audio
・Full Duplex Playback and Capture with different sampling rate
・64-voice XG capital Wavetable Synthesizer including GM compatibility
・DirectSound and Directmusic Hardware Acceleration
・Downloadable Sound (DLS) level-1
・Supports PC/PCI interface
・Legacy Audio compatibility
 - Genuine OPL3
 - Hardware Sound Blaster Pro compatibility
 - MPU401 UART mode MIDI interface Joystick
・Single Crystal operation
・Sample record/playback rates up to 48KHz
・Built-in 4W speaker amplifier

Specifications

・Bus Type PCI bus
・Chipset YAMAHA YMF724
・S/N >90dB
・Audio Quality 16-bit stereo CD quality
・I/O Interface
 Audio Input 1 stereo line-in, 1 microphone-in
 Audio Output 1 stereo speaker-out
 CD-audio Input SONY, CREATIVE and MITSUMI audio connector standards
 Joystick/MIDI port Fully compatible with Sound Blaster Pro
・Driver support
 
Windows 95 or higher
Windows NT4.0
・Application YAMAHA Audiostation

System requirements

・A Pentium 100 computer or higher with a PCI slot available
・1 CD-ROM drive
・Windows 95 or higher
・5 MB of free harddisk space
・Speakers or headset with a stereo jack


この時点で私はすでに買うことを決めていたのだが、そのまま無条件で買うのはなんとなくしゃくなので、店員にいくつか質問をぶつけてみた。

私   「このサウンドカード、MIDIはハードですか? それともソフトで出すんですか?」
店員 「たぶんハードだと思いますが、ホントのところはわかりません」
私   「カード内部の入出力はどうなってますか?」
店員 「(箱を開けて)こうなってます」
私   「このチップの構成から見て、YMF724を使った他のカードと異なる点は?」
店員 「たぶん同じです」

こんなところだろう。どうやらディジタル出力端子は無いようだが、あったところで繋げるものはないので特に問題ない。3980円+消費税−値引で購入した。名前はDCS PCI Sound Card S817。DCS Multimedia Worldという会社の製品らしい。箱の中には、ボードの他にはCD−ROMとごく簡単なマニュアル(英語+中国語)しか入っていない。ケーブル類は一切ない。ま、こんなものか。

土曜日がきた。ついに取り付けだ。(それまでヒマがなかったのだ・・・)
マシンのケースをあけ、PCIスロットにカードを挿す。これですべてのPCIスロットがうまってしまった。SoundBlasterはとりあえずそのままにしておき、スピーカーのジャックを新しいカードのほうに挿す。
そして電源投入。Windows95が起動し、プラグアンドプレイが新しいハードウェアを検出してCD-ROMからドライバを入れる。そして再起動。そして待つこと約1分、いつものデスクトップが・・・出てこない。フリーズしてしまっている。リセットボタンを押して再起動。やはり起動中にフリーズする。SoundBlasterとの競合がまずいのかもしれないと思い、セーフモードからSoundBlasterのドライバを削除して、念のためにカードもはずす。それでもやはりフリーズする。

むむぅ・・・

しかたないのでWindows95を再インストールすることにする。まずは「変更されたファイルだけ置き換える」にして、新しいファイルがある場合は「そのまま使用する」を選択。インストールが終わって再起動。・・・やはりフリーズする。

しかたあるまい。今度は全上書きで再インストールだ。インストール作業が終わり、祈りを込めて再起動・・・ するとスピーカーから「ぽんぽろぽ〜ん」と聞きなれた音が・・・ やった!今度はちゃんとに起動した!

とりあえずCD-ROMから一通りアプリケーションをインストール。そしていくつかMIDIデータを再生してみる。う〜ん、いいですねぇ、この音。とても3980円のカードとは思えませんよ。くぅ〜、いい買い物した。

しかし、Windowsを再インストールしてしまったため、環境がかなりボロくなってしまった。元に戻さなければ。まずはグラフィックカードのドライバから・・・
ゲッ! グラフィックドライバを更新して再起動したらさっきと同様に起動中にフリーズしやがった。原因はコイツかッ?! むぅ〜・・・ いきなり原因が見つかって、喜ぶべきなのだろうか・・・

とりあえずグラフィックドライバはWindows95付属のドライバに戻して、ほかの設定を戻していく。この作業は特に問題なく進んだ。やはり問題はグラフィックドライバとサウンドカードの相性の悪さなのだろうか・・・
だとすれば、サウンドカードのドライバをバージョンアップすれば解決するかもしれない。DCS Multimedia WorldのWEBサイトを探し(マニュアルや箱にはURLが記載されていないので検索エンジンを使用)、ドライバダウンロードのページからS817を選択・・・ ない?! S817なんてどこにもないぞっ! あせりながらPRODUCTSのページでS817を探すと、やはりない。これは・・・正式には販売していないってことっスかぁ?(そういえば、買ったショップには「OEM品」とか書いてあったような・・・)

しかたないのでドライバはあきらめる。ほかにできることはないだろうか? ・・・なくはない。マザーボードのBIOSアップデートだ。可能性としてはかなり低いが、BIOSが問題になっていることもありえる。ウチのマシンは2年以上前に買って以来、一度もBIOSをアップデートしていない。だって、こわいんだもん。アップデートの方法は知っていたんだけど、「もし失敗したら・・・」なんて考えると、こわくてしょうがなかったんですよ。でも、もうそろそろこのマシンも古くなってきたし、失敗したら新しいマシンを買うきっかけになるかも・・・ てなわけで、あえて挑戦することにする。
最新のBIOSをダウンロードして、重要なデータのバックアップをとって、いざ、アップデート!
M/Bのマニュアルによると、まずジャンパの設定を変える必要があるらしい。ジャンパの位置を確認して・・・ なんでこんなところに付けるんじゃぁっ! カードをいくつかはずさないと変更できないじゃないかぁっ! ・・・しかたないのでPCIカードを2枚はずしてジャンパの設定を変更する。そしてカードを元に戻して電源ON。マニュアルによると、Safe Mode command prompt onlyからBIOSアップデートプログラムを起動すると良いらしいので、その通りにすると・・・ アップデートプログラムの起動画面が現れない。やはり英語モードじゃないとダメらしい。プロンプトに戻して、「US」と入力する。・・・エラーメッセージが出て英語モードにならない。私はWindows95が出てからDOS/V機を使うようになったので、そこらへんに仕組みがよくわからないのだ。しょーがないので起動ディスクを作成する。「format a: /s」・・・なんとなつかしいコマンドだろう。よし、起動ディスクから起動だッ! あれ?なんでハードディスクから起動しちゃうんだ? BIOSのセットアップ画面でBOOT Sequenceを確認してみると、なぜか C,A の順になっている。A,C に変更して再起動。今度はちゃんとにフロッピーから起動する。
あとはあっけないほど簡単にアップデートできた。ジャンパの設定を戻して(めんどーだなぁ、もう)、作業終了。

で、グラフィックドライバを最新のものにして再起動。・・・やっぱりフリーズするぅっ。(;_;)

くそぉ〜! こうなったら検索エンジンを駆使して情報集めだぁっ!
・・・あった。ありましたよ。YMF724の最新ドライバが。他の会社のFTPサイトに。・・・だいじょぶなのかなぁ? 今入れているドライバのプロパティを見ると、どうやら全部YAMAHA製らしいことがわかる。つまり、YMF724のリファレンスドライバってことだろうか。もしこのFTPサーバにアップされているドライバがこのリファレンスドライバの最新版なのだとすれば、利用可能なはずだ。ということで、ダウンロード&インストール。どうやら正常に動作しているようだ。そこでグラフィックドライバを更新。・・・やっぱりフリーズするよぅ。

結局グラフィックドライバを最版に戻して使うことにするのであった・・・

 


YAMAHAのホームページ
http://www.yamaha.co.jp/

YMF724のページ
http://www.yamaha.co.jp/news/97072401.html

DCS Multimedia World Index Page
http://www.sertek.com.tw/dcs/


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