DONNA MARIE

 1950年6月28日、アメリカ人の父とスペイン人の母との間に、Marie Ladagona としてニュージャージーで生まれました。10歳のころから歌い始め、13歳の時にゲートウェイ・レーベルから、マリー・ラ・ドナという芸名で、シングル「ボビー・ベイビー」をリリース。2年後、ドナ・マリーに改名し、コロンビア・レーベルから数枚のシングルを発表しました。このころはThe Mystics というバック・バンドを従えていました。コロンビア・レーベルを離れ、1970年、20歳の時にはTracy Russell を名乗っていましたが、新しいマネージャー Lenny Mietus の勧めでジェフバリーのオーディションを受け、アーチーズのプロジェクトに参加します。シングル2枚"Who's Your Baby?"と"Together We Two"だけのセッションでしたが、トニ・ワインが抜けた後の女性シンガーとして十分な存在感を示しました。その後は結婚して、残念ながら音楽から離れていましたが、2005年には、キーボーディストのカレンGと組んで、初アルバムを発表しています。

SINGLES

IMAGES RELEASE LABEL TITLE TIME WRITERS NOTES
- - - I'll Cry for You - - 10才の頃、父親と作ったデモ・レコーディングです。
63 Gateway 45-G-713
(Gateway 28009)
Bobby Baby (What Am I Gonna Do With You) 2:15 Don Stirling ドナと言えば、なんといっても、このデビュー・シングルでしょう。マリー・ラ・ドナの芸名でリリースされました。「ボビー・ベイビー」という呼びかけがこだまして始まり、一転テンポのいいロックン・ロール風に転調します。13歳という幼さ全開で、何でも許せてしまいますネ!
Pretty Little Baby 2:20 Don Stirling - Bill Nauman コニー・フランシス1961年のヒット「可愛いベイビー」です。むしろ、「ドナ、君自身がベイビーでしょう!」と突っ込みを入れたくなる可愛さですね。作曲とプロデュースはA面と同じドン・スターリングで、彼の代表作をカバーさせたわけですが、こっちも抜群のヒット性があります。
- 64 Gateway 45-730 Georgie Porgie 2:03 Don Stirling - George Francis 元気のいいバック・コーラスが、「ヤイ・ヤイ」とはやしたてるロックン・ロールです。アーリー・シックスティーズのアイドル然とした曲です。
How Can I Let You Know 2:11 Don Stirling ドゥー・ワップ・グループの The Chapelaires がバック・アップしてくれてます。古いタイプの曲です。
- Gateway Walkin' Through the Hurt 2:28 - 市販されなかったアセテートのみのデモ盤です。ホーン・アレンジも楽しいポップ・ソングです。ドナのボーカルも伸びやかですが、高音が少々きつい感がします。レーベル面に曲名の記載がなく、正しいか不明です。
Grow Up Baby 2:16 - アセテート盤のB面で、ピアノを主体としたロッカバラードです。ハーモニーも素敵です。泣き節の演技力は素晴らしいですが、聞くのはつらいものがあります。
- 64 Gateway Little Snowflake - (Murray the K's mother) -
65 Coral 62445 Man Killer 2:26 Irwin Alan Field 前作"Georgie Porgie"と似た雰囲気を持ちますが、より洗練され、ウキウキするアップ・テンポのポップ・ソングになっています。結構、難しい歌かと思いますが、上手に歌いこなしています。
Eddie Wasn't There 1:51 Irwin Alan Field ドナのささやくような歌い方にしびれます。落ち着いた曲ですが、コニー・スティーヴンスのような伸びやかなボーカルには、とても親しみが持てます。
66 Columbia 4-44015 The Whole Wide World is Watching Us 2:34 W. Gold - J. Brooks コロンビアに移籍してからのドナは、背伸びした感じの曲ばかり歌っていて、正直あまり好きではありません。歌い方も意識して声を裏返しているようで、アイドル脱却を狙っていたのかもしれません。
Through the Eye of a Needle 2:35 B. Bacharach - H. David バカラック作の、流れるようなメロディーの佳曲です。
67 Columbia 4-44402 The Penthouse 2:46 P. Leka - S. Pinz ひねりを加えた音楽性のプロダクションと、この時代特有のサイケなギターが、異様なムードを醸しています。性犯罪を題材にした映画からインスパイアされたシングルとのことで、ドナを売りたいのか、映画を売りたいのか、あまり釈然としないプロモーションです。ピクチャー・スリーヴはうれしいけど、気味悪い映画のワン・シーンが写ってるし…。
Pretty Thing 2:09 P. Leka - S. Pinz むしろ、こっちのストレートなポップスがいいですね。「パパパ」というコーラスや駆け抜けるドラムス。
68 Columbia 4-44549 He Gives Me Love (La, La, La) 2:39 M. Julien - M. de la Calva - R. Arcusa 明るいイントロの割に悲しい導入部ですが、転調して明るく一気に盛り上がり、ドナのボーカルも伸びやかで名曲の雰囲気です。それもそのはず、マシェルがユーロビジョン・コンテスト1968で歌って、金賞を受賞した曲です。
Sunshine Mind 2:26 P. Levinson これもストレートなポップスです。タイトル通り明るいイメージで、ドナも元気に歌っています。
- 70 Kirshner 63-5003 Who's Your Baby 2:54 Jeff Barry - Andy Kim アーチーズの6枚目のシングルです。全米第40位のヒットを記録しました。邦題は「すてきなベイビー」。ドナとロン・ダンテのささやきから始まる印象的なポップ・ソング。コロンビア時代の背伸び感はなく、自然体でセクシーさが漂っていて、ドナの最も輝いていた瞬間と言えるでしょう。
- 70 Kirshner 63-5009 Together We Two 2:37 Jeff Barry - Andy Kim アーチーズ7枚目のシングルです。ロン・ダンテとのかけあいは、もうお手の物といった感じです。カリプソ風のパーカッションが楽しい、南国的な曲です。

 


ALBUM

Sandy Constantinople (circa 1968   Regent Sound Studios, Inc.)
ドナはペントハウスがヒットした1967年ころ、次のステップはアルバムだと語っていましたが、公式アルバムの発売には至りませんでした。これは、サンディ・コンスタンティノープルの名義で録音されたデモ・アセテート盤。サンディ・コンスタンティノープルは、コニー・フランシスのロード・マネージャーをやっていた方で、ドナはサンディの元で音楽のトレーニングを積んでおりました。全7曲で25分程度のアルバム。2曲のバンド曲を除いて、ドナがリード・ボーカルを担当しています。
A1 I Think I'm Going Out of My Head 3:51 Teddy Randazzo - Bobby Weinstein リトル・アンソニー&インペリアルズの1964年のヒット曲です。ドナの張りがありながらも、どこかブルーなタッチの歌い方が曲調とマッチしています。
A2 You Don't Know 2:31 男声ボーカルによるガレージ・バンド風ですが、なかなかいいです。
A3 Knock on Wood 5:31 前曲と同じバンドによる2曲目。この時代を象徴するちょっとサイケな電子オルガンをフィーチャしており、長めのセッションです。
A4 Heat Wave 3:14 Brian Holland - Lamont Herbert Dozier - Edward Jr. Holland ライブ風の前奏で、司会から「コロンビア・スターのドナ・マリー」と紹介されます。マーサ&ザ・ヴァンデラスの1963年のヒット曲。
B1 It's the Same Old Song 2:43 Brian Holland - Lamont Herbert Dozier - Edward Jr. Holland フォー・トップス、1965年のヒット。
B2 Break Some Bread with Me 2:27
B3 But It's Alright 3:02 Jerome Jackson - Pierre Tubbs JJジャクソン、1966年のヒット。



Morning Prayer / Karen G & Donna Marie (2005 Morning Prayer Music 0238)
カレンGとコラボしたクリスチャン・ミュージックのアルバムで、ドナ・マリーがすべてのボーカルを担当しています。55歳にして初のフル・アルバムです。ポップ・アルバムではないので、それほど変化に富んだ内容ではありませんが、ドナの清楚な朗々とした歌声を堪能できます。カレンGこと、カレン・アン・ジアマリーノは、全曲をプロデュース、作詞作曲、キーボード演奏しています。
1 He's Coming Back 4:16 Karen Ann Giammarino ちょっと悲痛な曲で始まります。
2 Destined for the Throne 5:19 Karen Ann Giammarino
3 Your Morning Prayer 4:58 Karen Ann Giammarino
4 I'll Love You Always 4:27 Karen Ann Giammarino ダン・フォーランによる、男声ボーカルがフィーチャされています。
5 The First Time I Saw Jesus 6:00 Karen Ann Giammarino アルバム中、最も長い曲ですが、明るく聴きやすいです。
6 With Heaven's Love 3:05 Karen Ann Giammarino
7 The Road to Calvary 4:04 Karen Ann Giammarino
8 Even Now 4:38 Karen Ann Giammarino
9 I Wanna Hear You 4:04 Karen Ann Giammarino ホーンやストリングスをもっと加えたら、より素敵な曲に仕上がりそうです。
10 Make a Change 4:00 Karen Ann Giammarino