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| (ハチャメチャな設定になっていますが、細かいところは気にしないで読んでくださいね〜) |
| 東呉も、今年は暖冬という長期予報が大いに外れて、週末から雪になっていた。 ここ、孫策の屋敷も一面の銀世界 ―――――― まだ外は明るいというのに、先ほどから居間のこたつで、孫策は周瑜を相手に酒を飲んでいた。 大喬はクラス会があるといって、下の娘を連れて朝から出かけているので、昼間っから好き勝手ができる。そこで孫策は周瑜を自宅に呼び出しての飲み会となった。周瑜は、そんな孫策の誘いはどうしても断れない。一方で小喬の目も怖いので、急な仕事が入ったと嘘をついて家を出てきたのだ。 「雪の日は、こうやって気の合う友と、さしつさされつ雪見酒っていうのがいいよなあ」 などといいながら、孫策は赤い顔をして周瑜に酒を注ぐ。 「それにしても、意外と君は寒いのは苦手なようだな。仲謀さまはウインタースポーツ派のようだが」 「俺は夏男なんだからいいんだよ。冬は冬眠することにしているんだ」 そう言って、酔っ払い独特の緊張感のない笑いを浮かべると、孫策はご自慢のコレクションの酒を選び始めた。目の前に並ぶ酒瓶の減り方や床に転がっているビール缶をみると、孫策はすでにだいぶ出来上がっているようだ。 「まあ、供もつれずに狩猟に飛び出していってしまうよりは、冬眠してくれている方が私としては安心だけどね…」 身動きが取りにくい分、護衛のものにとって冬の狩りは気を使うのだ。 「寒いときは、じっとして体力を温存しておくのが動物の本能ってもんだ」 まさに本能だけで生きている男らしい。そのわりには、先ほどからこたつの中で触れ合う脚の動きが気になる;(←別の本能か?) 雪は相変わらず降り続いている。このまま降り続くと、週明けの最初の仕事は役所の周りの雪かきかと思うと気が重くなるが、これだけ降るとさすがに美しい。窓の外を見ながらグラスを傾けると、周瑜はちょっと詩心を刺激された。 「音もなく舞い下り、汚れたものもすべて覆い隠してしまう…。雪というのは…」 「…お前に似ている」 「…???」 「その美しさを捕らえようと思わず手を伸ばすと、繊細なそれは俺の掌の上に一瞬止まってくれるが、すぐに溶けて消えてしまう。冷たさだけを残してな…」 「…何を、詩人のようなことを言っているんだか…(^^;;」 周瑜は、自分よりも孫策が巧い比喩を披露したことに軽い嫉妬を覚えた。どこかで覚えてきたのだろうが、こんなキザな言葉を口にし始めると、そろそろ危険領域だ。ヘタなくどき文句と共に自分に擦り寄ってくるのだ。そして、それに弱い自分が確かにいる; しかし、ここは孫策の屋敷だ。大喬は出かけているというが、確か何人か家僕や侍女、そして孫紹がいたはずだ。いくら孫策でも、白昼からこんなところで襲ってくることはないだろう…。 「おい、その酒…!」 新しい酒を周瑜のグラスに無理やり継ぎ足すと、孫策は半分とろんとした瞳で周瑜を見つめていた。 「…な、何だ…;;」 危険を察して、思わず周瑜は杯から唇を外した。実は今日は“仕事”で出てきていることになっているので酔っ払って帰宅するわけには行かないのだ。孫策の底なしの酒にまともに付き合うわけにはいかないので、杯の端をなめるようにして抑えていたのだが、気づかれたか…。 「うまいだろう(^^)」 「あ…ああ…ははは…いい酒だな(^^;;」 「お前に飲ませたくて、正月も封をしていたんだ。お前の酔ったところをみたいと思ってな…」 …やはり下心があったのか;;; 「いいじゃないか、美人が酔う様は絵になるぞ」(←強引) 「いや、君が豪快に飲む姿もいいものだ。惚れ惚れするよ」 下心があるのでは仕方がない。さっさと酔わせて冬眠させてしまおうと、今度は周瑜が酌をする。もう少し飲ませてダウンさせたら適当なところでここを出よう。策士は、内心ニヤリと笑う。 そのとき、二人のいる部屋の扉がいきなり開いて、孫策の息子 孫紹が顔を出した。 「あん…? 紹、何の用だ?」 「明日までにやらなければならない宿題があるんだけど、僕…まだ終わってないんだ」 「だからぁ?」 「パパ、暇そうなんだから手伝ってよ!」 孫紹はそう言うと、孫策の後ろから首に抱き着いて、猫なで声で甘えはじめた。 「宿題は自分でやらなきゃ身に付かないだろ〜。ダメだよ〜」 酩酊直前の割には、けっこうまともなことをいっているでないか。しかし、孫策が子どもの頃、まじめに自分で宿題をしなかったことは、よく知っている。しかも孫紹が持っていた宿題帳は、孫策が一番苦手な算数だ。そうとわかっていたからか、孫策は首にぶら下がる息子を軽くあしらう。しかし、この親にしてこの子あり。孫紹はすかさず隣に座っている周瑜の方に、ニコニコしながら擦り寄ってきた。 孫紹の宿題を見てやり、それで孫策の下心から逃れた方がいいかなと周瑜が一瞬悩んだとき、運悪く孫策邸を訪問してきた者がいた。呂蒙である。彼は年末の年越しの合宿でひどい風邪をひいたせいか、それとも花粉症のせいかわからないが、鼻をグシュグシュさせている。 「すみません、急ぎの決裁をいただきたくて、お休みのところお邪魔しました」 「うちって、こんな雪の休日を返上してまでやるような、忙しい会社だったっけ(爆)」 玄関に千鳥足で出てきた孫策が、視点の定まらない顔でそんな冗談を言う。 そんなとき、居間から心配そうな顔を出した周瑜と視線が合った呂蒙は、ハッとして玄関で固まった。孫権と陸遜が正月の合宿で言っていた我が社の大スキャンダルが、今、目の前に再現されている。 「か、勘違いするな、子明。わ、私も仕事で重要なことを伯符と話し合っていただけだからな;」 こうなったら、開き直るしかない。そう…、今日は休日だけど仕事なのだ! 「ところで、それは…魯粛の仕事じゃないのか?」 玄関まで出てきた周瑜は、さすがにびっしり書かれた契約書もすぐに理解したようだ。 「それがどうしてここへ?」 「実は、子敬どのなんですが、この雪で足を滑らせて腰をひどく打ったようで…。当面お休みをいただきたいそうなんです。で、この兵糧と武器の調達契約書は重要だから、伯符様に直接見てもらえとの伝言がありまして…」 「雪で滑ってぎっくり腰か? くっくっ…あいつらしいなぁ。…で、え…っと、どこにサインをすればいいんだぁ?」(←重要な契約書だろう。内容を読まなくて大丈夫か?;) 「ここです」 呂蒙は玄関の床に書類を広げると、持ってきた筆を差し出した。 「すみません、書きにくくて…」 「おい、重要書類だろう。こっちの居間の卓の上で書けよ;」 (契約書の内容については、一応周瑜がチェックしてくれたらしい(笑)) 「…あ、曲がっちまった…。ま、いーか(^^;」 墨の色も鮮やかな署名は、判読不能に近いよたった文字。隣で見ている周瑜の方が恥ずかしくなった。代筆してやればよかった。(←重要書類だろう;) 「ありがとうございました(^^)」 「あ、そうだそうだ。子明に頼みがあるんだ。悪いけどこいつの宿題を見てやってくれないか? いいか紹、この呂蒙お兄ちゃんは、すっごく頭がいいんだぞ。そんな宿題なんかチョチョイのチョイだ」 「…と、殿ぉ…。俺も急いでいるんですけど〜(^^;;」 孫策は、ちゃっかりと邪魔者二人を子ども部屋に閉じ込めることに成功したのだった。 「よーし、飲みなおしだ(^^)」 満足そうな孫策は、再び周瑜と居間に戻ると、座布団を引っ張ってきて、今度は対面からすぐ横へ席を移して来た。今のことで、少し酔いが醒めてきたのか、なかなか冬眠に入ってくれない。 「あの〜、ごめんください〜」 二人が再び酒盛り(の真似)をはじめようとすると、またもや来客があった。 「また来客かよ〜。せっかくいいところだっていうのに…」 面倒そうに孫策が立ち上がろうとするが、足元がふらついてひっくり返る始末。(←魯粛のことは言えない;)しかたがないので、周瑜が代わりに出てやることにした。 雪を帽子や肩に乗せ、寒そうにやってきた来客は陸遜だった。彼は、この前の合宿とは一転して、今にもスキーに行きそうないでたちに身を包み、宅配便のような箱を抱えていた。ところが玄関の扉を開けた瞬間、目の前に現れた人物をみて、彼もまた固まってしまった。 この人たちは、こんなところで二人で何をやっているんだ; 親戚なんだから、休日に訪問していても全然不思議はないのだが、そんなことまで考える余裕が若い陸遜にはなかった。 もしかして、また自分はおじゃまな場面に出くわしてしまったのだろうか;; 「ど、ど、ど…どうして…;;;」 彼が固まっている理由がわかるだけに、周瑜も複雑な表情で応対するしかない。 「だから、私も仕事なんだ (--; ところで何の用なんだい?」 「い、いえ、伯符さまにというか、奥方さまに仲謀さまからの預かり物がありまして」 そういって彼が差し出したのは、最近、話題の純愛ドラマのDVD一式が入った箱だった。 「お前、宅配のサイドビジネスでも始めたのか?」 「と、とんでもない。こちらの奥様が、仲謀さまがDVDを安く手に入れられるというのを聞いて頼んでいたらしいんです。で、…」 「おーおー…伯言じゃないか、お前、元気だなあ。正月の海岸ランニングの次はスキーか?」 居間からトドのような姿で、酔っ払いが這い出してくる。 「はあ、クロスカントリーだそうです。仲謀さまに誘われまして…」 「その次は射撃にジャンプかな。次の冬季オリンピックの東呉代表だな(笑)」 「…、僕はあまり高いところは得意じゃないので、ジャンプはちょっと…(^^;」 酔っ払いの戯言に対しても、マジメに答える陸遜であった。 「…ところで、とりあえずこれを奥方様にお渡しくださいとの、仲謀さまからの伝言です」 そういって、箱を孫策に渡した。 「DVD…か?ああ、そういえば大喬がこの韓流ドラマの主演俳優にハマっていたな。俺のほうがイイ男だと思うけど、今はこういう優男が流行っているのかな(笑)」 「で、では、外で仲謀さまをお待たせしてますので、失礼します」 「何だよ、仲謀のやつ、こんなくだらんことに伯言を使っているのか。どうして自分で持ってこないんだか。ま、いいか。そうだ、今、丁度うちで酒盛りやっているから一緒にどうだと声をかけて来い」 孫策は、陸遜の背中をドンと叩いた。 思わず振り向いた陸遜の顔が「いいんですか?」と訊いている。 だって、二人だけでやっていたんでしょう。僕らを誘うなんて、何かヘン…。 「ただし、つまみはないぞ」 そういう言い方には、やっぱり裏がありそうだ。一応誘うが、ホントは断れといっているのだろう。 「いえ、仲謀さまとトレーニング中ですから」と、玄関を出て行こうとした陸遜は、ふとあることを思い出した。 「そうそう、周瑜どのにもお知らせしておかねばならないことがありました。この前、正月にお借りしたダウンコート、すぐにお返しできなくてすみませんでした。一応、クリーニングに出しましたので、先ほど奥様にお届けしておきましたので」 陸遜の報告に、今度は周瑜の表情が凍り付いた。 ―――小喬に届けたってぇ〜!! 「…あ、仲謀さまがお待ちなので、僕はここで失礼しますっ;;」 周瑜の端正な顔が何か恐ろしいものに遭遇したように蒼白になっていくのを見て、陸遜は転がるようにして孫策邸を飛び出していった。 「よかったなあ。あれお気に入りだったんだろう。それを奥方に渡すことに何の問題がある?」 それがよくないのだと、この能天気な男に言っても、わかってはくれないだろう。 実は、初日の出を見にいったあの朝、あの寒さの中では絶対に必要な防寒着をなくしたことについて、最初から正直に陸遜に貸したといえばよかったものを、海岸で縄張りを張っていた川賊くずれのチンピラに奪われたなどと孫策がくだらない嘘を言ったので、ついつい周瑜も小喬にそう言い訳をしてしまったのだ。 陸遜に貸した事は小喬にとってさほど問題ではないだろう。問題は見え透いた嘘をついたことだ。以前から孫策との関係に不信感を抱いている小喬に、陸遜の気配りが逆に油を注いでしまったのではないか。伯言のことだ。あれこれ鋭く問いただす小喬にかないっこない。私のついた嘘や言い訳など、とっくの昔に化けの皮を剥がされているだろう。今日だって“仕事”を口実に家を出てきたが、小喬は疑っているに違いない。 「あ〜、このまま雪が降り続いて、家に帰れなくなってしまえばいいのに…;」 「そうかそうか、やっとその気になったんだな。じゃあ泊まっていけ。今日だけとは言わず、ずっと俺の部屋に泊まっていってもいいぞ(^^)」 どさくさに紛れて、孫策は周瑜の肩を抱き寄せていた。 ―――さっさと帰ってらっしゃい、あなた! 腰に手を当てて玄関に仁王立ちしている妻の姿が、周瑜の脳裏に浮かんでいた。 (終) |
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【作者コメント】 |
素材提供「みどりの素材屋さん」