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Graduation 〜旅立ちの春

(1)

亮太 「原田委員長、忙しそうだね」
原田 「卒業式が来週に迫っているからね。これも伝統らしいんだけど、生徒会が式典の細かな部分を手伝うんだ」
キタシロ 「それにしても、ウチの卒業式、けっこう遅いほうみたいだな。早いところでは、2月1日に卒業させる学校もあるっていうし」
江藤 「さっさと追い出すのか?」
原田 「ウチは昔から土曜だろうが日曜だろうが3月9日の卒業式と4月9日の入学式は不動らしいよ」
亮太 「9日に何かこだわりがあるのかな?」
キタシロ 「サンキュー>東都かな(笑)」

亮太 「ところでどんな式になるんだろう」
原田 「そうか、普通の生徒はかかわりないもんな。キタシロは取材にくるだろうけど」
キタシロ 「部長の旅立ちだしな〜」←天下を狙っている
原田 「式自体は厳かでオーソドックスなものらしいよ。吹奏楽部の演奏で「蛍の光」と「仰げば尊し」も歌うっていうし…。これも伝統かな」
亮太 「卒業式の歌といえば、「旅立ちの日に」じゃないの」
原田 「そして在校生代表の送辞と卒業生代表の答辞」
キタシロ 「答辞は会長だろう」
原田 「当たり〜。最後の晴舞台だから、かなり文面を凝っているらしいよ」
江藤 「こういうの長いのは困るんだよな」
亮太 「会長のスピーチは天下一品だよ」←ファン
キタシロ 「で、送辞は誰なんだ?」
原田 「馨先輩」
一同 「やっぱねえ〜」
原田 「先生からは、舞台で舞わないようにと釘を刺されていたよ」
キタシロ 「…らしいや」

亮太 「でも…あの個性豊かな3年生の先輩たちが、4月からはいなくなっちゃうなんて、やっぱり寂しいな」
原田 「そうだね…(しんみり)」
キタシロ 「しゃーないじゃないか。その分を俺たちが盛り上げるんだ」
江藤 「一年生も入ってくるしな。鍛えてやろう」
原田 「龍先輩が、これからどうまとめるのか、お手並み拝見だね」←どうやら龍くんが新生徒会長に選ばれたらしい
江藤 「そういう原田もな」
原田 「頑張るけどさ〜」←新副会長
キタシロ 「だけど、あの3年生、なんだかいつまでも学園にたむろしてそうな気もするんだけど…」

***

九十九 「輝くん、答辞の案文は書けたの?」
 「まあね。僕の最後のスピーチだから、バッチリ決めるぞ。原稿も読まずにやるからね」
坂本 「たいしたもんだ…」

宇都宮 「ところで卒業式の後の謝恩会には出るのか?」
九十九 「部活とか生徒会とかで活躍した生徒は表彰されるじゃない。例年、そういう生徒と保護者は出席しているみたいよね」
 「僕は出るよ。元生徒会長だしね」
宇都宮 「…やっぱりな」
九十九 「そういうウッチーも新聞部長だったしね。アタシも映画部長だったし」
坂本 「僕は、寮から引き上げる準備があるから出ない」
 「坂本くんも生徒会活動と数学オリンピック高校生大会だかで優勝したってことで表彰されたじゃないか…」
坂本 「それはそれ。もう卒業しちゃうんだから関係ないさ」
九十九 「ところで新居は決まったの…なんていうと結婚するみたいね(笑)」
坂本 「え?(--*」
 「たとえが極端だよね」
坂本 「…大学に近くに建設中の賃貸ワンルームが見つかったので、それが完成したら引越しさ」
宇都宮 「ほう…ついに本当にひとり立ちなんだな。俺たちより坂本のほうが大人って感じがするな」

 「あ、それからこれは馨くんからの提案だったんだけど、翌日のパーティ、キタシロくんちのレストランが貸切できることになったんだ。顔なじみになったので、朱雀高校にも声をかけてきたよ」
坂本 「ふうん…」←ウッチーを見る
宇都宮 「ふふふ…」
九十九 「卒業生以外も有志が集まるカジュアルパーティらしいわね。今回はコスプレはなし?(笑)」
 「やりたい人はどうぞ(^^)」
九十九 「なんだかサプライズゲストとか、来るといいわねえ。あ、そうだ!」←何かひらめいたらしい

@教員室から出てきたところ
原田 「ふう…けっこう準備も大変そうですね」
 「これを毎年、生徒会が請け負ってきたんだね。僕なんか要領が悪いから、みんなに迷惑かけちゃいそうだな」
原田 「去年、どうやったのか、こっそり聞いてみますか」
 「うーん、卒業生にそういうのを聞くのって、ちょっとカッコ悪いな。だけどあまりに個性のないのもねえ…」←プライド

かおる 「あれ?りう様、なんだか冴えない顔しているね」
原田 「やっぱり馨先輩に頼みましょう!」
かおる 「え?卒業式の準備?まだやってなかったの?」
 「ごめん;要領が悪くて…」
かおる 「もっと早くに相談してくれればよかったのに。えーと、どれどれ?」←図面と次第をみる
かおる 「まずは去年の記録を探そう。掲示物とかは新聞部が写真持ってるでしょ。あとは式典用の倉庫を調べて…」
原田 「さすがですね…」
かおる 「うーん、式典がオーソドックスなのは、それはそれでいいんだけど、もうちょっと華が欲しいなあ」
 「式のメイン部分は手を出さないようにって、先生からクギ刺されているよ」
かおる 「やっぱり音楽が欲しいよね(←聞いてない)吹奏楽部とナルミーを動かすか」
原田 「ナルミー先輩。馨先輩の言うことだけは聞くからなあ(笑)」
かおる 「それから、やっぱり花!会長には赤い薔薇だな」
 「そりゃ喜ぶでしょうが…(^^;」
原田 「一人だけ特別待遇ですか?」
かおる 「あと、こういうイベントは人海戦術がすべてなんだよね。毎度おなじみのサッカー部と野球部と、力仕事に柔道部に声をかけよう。あと舞台演出のためには映画部と演劇部にも協力を頼もう」
原田 「…ホントに顔が広い;」
 「あの…それで僕たちは何をすればいいの?」
かおる 「かおるのやることに文句言わないで。黙って指示を出しているような顔して座っていてくれればいいよ(爆)」

@緊急連絡網
坂本 「あ、九十九くん?実は学年主任の佐藤先生から連絡があって…」
九十九 「聞いたわよ〜、輝くんがダウンしちゃったんだって?」
坂本 「そう。インフルエンザじゃあないらしいんだけど、昨日から自宅でへばっているらしいよ」
九十九 「気の毒にねえ。あとでお見舞いに行ってあげよう〜っ♪」
坂本 「それよりも、問題なのは卒業式の答辞。万が一、会長が欠席の場合、誰かが穴埋めしなければならないんだ」
九十九 「答辞なんて役目、輝くんしか考えられなかったし、本人もそのつもりだったろうし、代役なんて決めてなかったわよね」
坂本 「それで僕のところにまず電話が来たんだけど…」
九十九 「いいじゃない、敦志くん。一世一代の晴れ舞台よ」
坂本 「冗談じゃない。僕はそういう目立つのはキライなんだ」
九十九 「そのわりには、けっこう今までも押さえるとこ押さえていたんじゃないの〜?ミニスカ・サンタは可愛かったわよ〜(笑)」
坂本 「いずれにしても、僕は辞退したんだけど、じゃあ代りに誰か選んでくれって言われてさ。…で」
九十九 「あたしに?」
坂本 「ほら、クリスマスのときに司会進行、板についていたじゃないか>九十九く〜ん。愛しい輝くんのピンチだよ〜」
九十九 「痛いところついてくれるわね…」
坂本 「君が断ったら、あとは宇都宮くんしかいないよねえ」
九十九 「ウッチーの演説なんて、あまり聴きたくないわね。それに輝くんだって、きっと喜ばないだろうし(おいおい)」
坂本 「ね、頼むよ。君ならば芸術的で後世に残る素晴らしい答辞になるよ」←思いっきりヨイショ
九十九 「そうねえ〜〜考えてみる」←けっこうその気

その頃…
 「あ〜、のどが痛い。頭が重い。鼻水がとまらない、くしゃみが…はっ、ハクション」
如月 「典型的な感冒ですね。お熱はどうですか?少し顔が赤いようですが」
 「37.5度…」
如月 「ちょっとありますね。やはり早めにお医者にかかったほうがよさそうですね」
 「この時期、医者も混んでるからなあ」
如月 「そんなこと言っている余裕はないはずですよ」
 「くっそ〜、なんでこんな時期に風邪引いちゃったんだろう。せっかく答辞の草稿ができたっていうのに。うわ〜、あと4日しかないよ〜」
如月 「安静にして栄養のあるものと水分をしっかり補給されれば、大丈夫ですよ。インフルエンザではなさそうですから」
 「佐藤先生も電話で風邪引きましたって言ったら、けっこう驚いていたなあ。でも、あれは式に穴が空くのを心配していたんだぞ。今頃、誰かに代打を頼んでいるのかなあ。悔しい〜」
如月 「ともかく、今はゆっくりお休みください。卒業式には相談役さまご夫妻も出席される予定ですから、輝さまが出席していただかないと…」
 「はあ〜、不覚だったなあ。クシュン;」

原田 「ついに卒業式本番が明日だっていうのに、会長、まだ復帰できないんですかね」
 「今日の予行演習も欠席だったしね」
かおる 「去年の私みたいに、相当悪い風邪をひいたみたいだね。あの時は辛かったからなあ」←ピアノ王子登場の時の話
ナルミー 「ホントにあれもひどい風邪だったよな。移された僕も1週間休まざるを得なかったし…」
亮太 「会長がいない卒業式なんて。僕、一生懸命に校歌を歌おうとおもってるのに〜(泣)」

キタシロ 「あ、三年生たちだ。部長〜、会長は今日も休みだったみたいっすね」
宇都宮 「ああ。今日も代役で予行練習したし、先生方も半分諦めているみたいだったな」
原田 「でも、生徒会長って答辞以外にもいろいろ役割があるんじゃないですか?」
宇都宮 「内容によって、関連する部活の元部長みたいな連中に割り振った」
坂本 「でも本人にとって一番ショックなのは、やっぱり答辞でしょうね。せっかく後世に残る答辞を披露するって張り切っていたのに、気の毒に…」
九十九 「そうなのよ。なので一世一代の答辞を作ったなら代読してあげるわっていったら、電話の向こうで、すごいガラガラ声で断られちゃったわ」
 「断ったってことは、当日はやるつもりなんじゃないですか?」
九十九 「すっごい声だったわよ」
かおる 「やる気だよ>会長 そういう部分ではド根性ある人だし」
ナルミー 「這ってでも来るってやつか」

江藤 「おーい、第二会場の飾りつけができたぞ〜」
亮太 「第二会場って?」
かおる 「うふふ…生徒会が用意したんだ。力仕事だったので、柔道部に応援頼んだんだけど、ちょっと様子をみてこようか。あ、三年生は当日のお楽しみだから、来ちゃダメだよ」
宇都宮 「何を考えているんだ?」
九十九 「どうやら、かおるさんのプロデュースみたいね」
坂本 「こりゃ、やっぱり会長。這ってでも来ないとなあ…」

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