| レクイエム・第二章 想い出として生き続ける e continue a grandir pour une memoire | |
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| 想い出として生き続ける ― e continue a grandir pour une memoire |
| 邪悪の化身となった教皇を倒す為にと、一人の少女 否、アテナと共に青銅聖闘士数人が、この十二宮へやってきた。 そして、オレも一人の聖闘士と対峙したのは、もう何時間前の事だろう。 友が護る宝瓶宮 普段は仄かに冷たい空気が漂うが、今は仄かどころでは無く身を引き裂かれそうな程の冷気が充満している。 中へ進むに連れ、破損した柱や床の至る所に散りばめられている細かい氷の結晶が目に留まり、それらの爪痕は、壮絶な戦いが繰り広げられていた事を物語っている。 オレは、天蠍宮で対峙した聖闘士・白鳥座の氷河に、『師弟対決』という試練を与えた。 教皇の間へ向かう為には致し方が無かったとは言え、まだ若い氷河には過酷な試練となろう事は承知していた。 此処で自らの命を賭すか、師であるカミュを殺める結果になるかは、オレには判らなかった。 教皇を倒しに刺客として来た愛弟子・氷河に、カミュが今度こそ本気で対峙しただろうが、何故か最悪な事態は想像が付かなかった。カミュはきっと、再び氷の棺で、彼を永久の眠りに就かせるだろうとばかり思っていたから――。 何と安易な想像だろうな。 しかし、その憶測を覆す結果となってしまった。 歩を進めて行くと、互いが放った冷気をまともに受けたらしい二人が横たわっているではないか。 何か信じられないものを見ている様な錯覚に、自然と歩調が早まる。 「……カミュ?」 うつ伏せに倒れている友を抱き起こし、そっと頬に触れる。まだ温もりを感じる彼に意識を失っているだけだと思いたかったのに、何時まで経っても体温は戻るばかりか、寧ろ下がる一方。その現実に、額に冷や汗が滲むのが判った。 「なぁカミュ……お前、気を失ってるだけだよな? 再び目を開けてくれるよな? またオレを友と呼んでくれるよな? カミュ、頼むから返事してくれよ……!」 ―― お前、悪ふざけもいい加減にしろよ? 友を失う事への焦燥感を感じながら、声を荒げ肩を揺するオレを、シャカが止め給えと制止する。 「頼むよカミュ……目を開けてくれ……!」 まさか、カミュが死ぬなんて! そんな事は絶対に無いと高を括っていたオレは、腕の中で尚も冷たくなっていく友を、未だに信じられずにいた。いや、信じられなかった。 数時間前までは、此処で青銅聖闘士達を待ち構えていた筈。 そして、刺客として現れた氷河と、今度こそ本気で対峙して ―― お前、どうしてオレを残して逝くんだよ。友を置いて逝くなんて 遺される方は遣り切れない事、お前知ってるか? お前が居なくなったら、誰を頼れば良いんだよ――! 幾ら声を荒げても、もうお前の声を聞く事は叶わない。 それを察したのは、今まで柔らかさを感じたカミュの身体が、死後硬直を始めた所為だった。 「嘘だろ……なぁ……カミュっ!!」 オレは硬直し出したカミュの身体を強く抱き締め、辺り構わず泣き崩れた。 時間が経つに連れて重く感じる友の亡骸 ―― もう受け入れざるを得ないのに、未だカミュが死んだとは思えなかった。 まさか、オレにも『友を失う』という試練が下るなんてな 氷河が前へ進む為には、この師弟対決は避けて通れなかった。 その試練を与えたのは確かにオレだけど、それと共にカミュの死を乗り越えるという試練が待ち受けているなんて ―― 否、氷河に血止めを施して、その時点で最悪のケースも念頭に置いておかねばならなかった筈。 でもまさか、本当にお前が死ぬなんて――! 「ミロ……」 アテナに因って意識を取り戻したらしい氷河が、オレに声を掛けた。 「……早く星矢の許へ行ってやれ」 「……」 「オレに構うな。直ぐ追う……」 「済まない……」 ―― 謝る必要など無い 何時かはカミュの死を乗り越えなければ成らない時が来る。その『時期』が、思っていた以上に早かっただけだ。 誰も居なくなった宝瓶宮には、亡骸となってしまったカミュと、オレの二人きりになった。 「お前の愛弟子は、教皇と対峙している星矢の許へ向かった」 不本意な戦いで、多くの犠牲を出してしまったな。 お前の愛弟子・氷河には、お前を殺めてしまったという深い心の傷を負わせてしまった。師を殺めてしまったという現実を、生涯背負って生きていかねばならない。聖闘士とは言っても若干14歳の少年には過酷な試練だ。 「お前の代わりにはなれないが、氷河はオレが責任を持って面倒を見るから……」 カミュを抱き締め、今度こそ声を上げて泣き崩れた。 そんなオレに呆れてくれても構わないぜ。友を失った悲しみ、お前には判らないだろうから。 ―― 何を言う。私とて 『友を失った』身なのだぞ 腕の中に居るカミュから、声が聞こえた様な気がした。 ―― 私は死しても、お前の心の中で生き続けるのだから、泣かないでくれ 「……思い出として、オレの中で行き続けるとでも言うのか?」 ―― そうだ。お前なら私の記憶を風化させることは無いだろう。『友』なのだから 「死しても尚、お前はオレを『友』と呼んでくれるんだな」 『友』であるお前との思い出を風化させてなるものか。お前が生きていた証は、確かにオレの中に有り、思い出では無く『記憶』として生き続ける。 「カミュ、今まで有難う。安らかに眠って下さい……」 彼のショルダーパーツからマントを外し、それを掛けてオレは氷河の後を追うべく踵を返した。 ―― もしオレが命を賭してお前の許へ逝く様な事があれば、また『友』として慕ってくれよ ―― その時まで、さようなら。我が友、黄金聖闘士・水瓶座のカミュ |
| SS by 風華さん |
| 《創作の経緯》 mixiのマイミク風華さんから、SSの挿絵を依頼されまして構想を暖めていた作品です。 「ミロの片手はカミュの手を握りしめ(カミュに代わり、愛弟子の面倒を見ていくことへの誓い)、片手はカミュの頬を(カミュに出会えたことと無二の友でいられたことへの感謝の思いを込めて)愛おしそうに撫でている。腕の中に納まっているカミュは、僅かながら微笑みを浮かべていると嬉しい」という詳細なリクエストがありまして、なるべく忠実に描いたつもりなんですが、そういう風に見えますかねえ?(笑) #あまり微笑んでるようには見えませんね; 前に、チャチャと描いたCG「レクイエム」も、私が思っていた以上に共感してくださる方が多いのですが、いわゆる「ミロカミュ」の原点みたいな場面なんでしょうね。宝瓶宮の闘いって 今回は、そのリメイク版という感じで描いてみましたが、たくさんのミロカミュファンの視線と情熱を感じて、「こりゃ、手を抜けないぞ」と、心して描いてみたところです(^o^) ホントは「宝瓶宮」のシーンなんですが、困った時の「廃墟と星空」っていうのもマンネリ化してきたので、今回はステンドグラスを背景に入れてみました。聖闘士の世界にはあるまじきアイテムですけが、魂の昇天のシーンには合わなくはないかな…と。(こじつけ〜) でも、こういう背景にすると聖衣に翼を付けてあげたくなるなあ。私の脳裏には「聖闘士=闘う天使」というイメージがあるのです(^o^) |
| 《お絵かきメモ》 絵師としての今回のこだわり(目標)は、次の3点です。
まずは、表情などが大きく見れるようにトリミングした絵をご覧ください ↓(^^;; ![]() |
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今回、かなり意識して「爪の先からまつ毛の先まで」シャープに美しい線を意識して描いてみました。 実は今回お絵描きで初めて男性キャラに「爪」をつけてみました。原作(車田正美さん)の絵にも、時々綺麗な爪の黄金聖闘士が出てくるんですが、これ、闘う男の爪じゃないっすよね〜。でも…ま、いっか〜、美しければ(笑) 一方「まつ毛」ですが、このぐらい思いっきり濃くて長いと、まつ毛フェチなワタシとしてはモニターの前で常時ルンルン・ワクワク状態。今回二人とも閉じた瞳。そういうシチュエーションということもありますが、描いている方としてもかなり楽しかったですねえ。こういうところ、もうイラレ(ペンツール)での塗りつぶしじゃないと、満足できないかも知れません。 しぐさの中に現れる「愛」としては、やはり手の表情、あとは唇とか目とか・・・。 最初は思い切ってキスシーンにしようかと思ったのですが(リクエストの趣旨とずれてしまうかもしれないし)、その一歩手前で止めました(笑) 顔の位置をぎりぎりのところで止めたことで、ミロの「息(呼吸)」が、カミュの額にかかっているというのが想像できます。ここに「生と死」を表現してみたつもりです。 「死の世界にいる」カミュは、顔色も唇の色も血の気を失い、その体は温もりを失って冷たく、また時間とともに硬くなっていく。固く閉じられた瞳は二度と開くことはなく、ミロの支えがないと首も後屈し、右手もズルっと落ちてしまうだろう。自ら動くことはないのだという状況を意識して描いてみました。 いや〜、こういう作者しかわからないマニアックなこだわりって、楽しいな〜(^o^) ★このCGのメイキングのページを作ってみました ⇒ こちらからどうぞ ところで「聖闘士星矢」の二次創作に関して、私なりの考えをちょっと書いておきます。 過去の作品リストを見ると、意識していたわけではないのですが、なぜか「ミロ&カミュ絵」ばかりをたくさん描いていました。 この傾向から、もしかすると私の推奨CPなのではと思われるかもしれません。 確かにこの二人は好きなんですが、このイラストサイトの本来の趣旨としては、キャラやCPそのものを妄想した絵を並べるのではなく、「絵になるであろう美しい情景を描いてみたい!」というのが、究極の目標となっています。そのため作画テーマのこだわりなどを追及しております。 あくまでも、この「エルドラド」のCGギャラリーは「聖闘士星矢の二次創作」の部屋ではないということをご理解の上、ご覧くださいね。また、「女性向け仕様」については、そのイラストの世界を構築するにあたり、必然性ありと判断した時には、表示した上で描いていくつもりです。 |
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| CG INDEX |
09/05/04