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夢一夜   〜下の方にイメージCGがあります〜

こんな夢をみた。


私の傍でしどけない姿で眠っていた彼が、静かな声でぽつりと、まもなく死ぬと言う。

彼は波打つような長い髪を枕に敷いて、頬の柔らかな細面をその中に包まれている。
雪のような頬には温かい色が差して、唇の色は桃花の様だ。
到底死ぬようには思えない。

しかし彼は静かな声で、死ぬとはっきり言った。何故か私も確かに死ぬなと思った。
そこで上から覗き込むようにして、もう死ぬのかと聞いてみた。
死ぬといいながら、彼は密やかに瞳を開けた。
切れ長の潤んだ瞳で、長い睫毛に包まれた中には、海を閉じ込めたかのような碧玉が澄み渡っていた。
その瞳の奥に、私の姿が鮮やかに映っている。

私は深みに沈みこむかのような美しい色を眺めて、これでも死んでしまうのかと考えてた。
そして、耳元へ口を近づけて囁くように、嘘だろう?と聞き返した。
すると彼は碧い目を朧気に瞠ったまま、静かな声で、死ぬことは仕方がないことだと口元を微笑みを浮かべて言った。
じゃあ、私の顔が分かるか?と尋ねると、分かるかって、傍にいるじゃないかと笑ってみせた。
私は黙って、顔を耳元から離した。
彼の髪に触れながら、どうしても私を置いて死ぬのかと思った。

しばらくして、彼はまたこう言った。
「私が死んだら、お前の手によって月夜の砂漠に埋めてくれ。そして輝く星の欠片を墓標にして、傍で待っていてくれ。必ず逢いに来るから」
私は、いつまで待てばよいのかと聞いた。
彼はその艶やかな唇から、歌う様に言葉を紡ぎだす。
「天かける太陽が東から西へ――日々変化していく月が東から西へと落ちて行くうちに……待っていられるか?」

私は黙って頷いた。彼は低くても通る声で、「百年待っていてくれ」と切実に言った。
「待っていてくれ、必ず逢いに来るから」

私は必ず傍で待っていると答えた。
すると、碧い瞳の中に鮮やかに映っていた自分の姿がゆらりとぼやけてきた。水面に映る影が乱れる如く揺らいだと思ったら、彼の瞳が静かに閉じた。柔らかな睫毛の間から涙が頬へ流れた。――既に死んでいた。

私は彼を胸に抱いて砂漠に行き、心静かに穴を掘った。
砂地に横たわり、冴え冴えとした月に照らされた彼は、ある種の神々しさを兼ね備えていた。
日が昇っているうちは焼け付くように熱いであろう砂が、冷たい月に擁かれて清か(さやか)に煌めいていた。
穴を掘り、彼をその中に横たえた。そして、冷ややかな砂を一つまみずつそっと掛けた。掛けるたびに大地に擁かれる彼を見つめながら。

それから星の欠片を拾ってきて、墓の上にのせた。星の欠片は円やかだった。
きっと地上に落ちてゆく間に滑らかになったのだろうと思った。

私は墓の前に座った。これからずっとこうして彼を待っているんだなと考えながら、墓を眺めていた。
そのうち、彼が言った通り、太陽が東から昇った。大きな深緋色をしていた。それが彼の言った通り、西へ沈んだ。そして光は収束した。
1つと私は数えた。

しばらくするとまた太陽が昇り、空を掛け渡り沈んでいった。
2つと私はまた数えた。
 
この様に数えていくうちに、何度深緋を幾つ見たのかわからない。
何度となく数えても数えても、数えきらないほど日と月が交互に頭上を通り越して走り去っていった。

いつまでたっても百年が来ないので、しまいには彼に欺かれたのではなかろうかと思い返した。

すると墓標の欠片の下から私の方に向かって鮮やかな緑の茎が伸びてきた。
するすると伸び、私の傍まで来て留まったと思うと、心持首を傾けていた筒のような緑の茎から、すんなりとした花が広がるように開いた。

真白なカラーが、私の顔に触れるかのごとく覗かせている。
そこへ遥か天空から、ぽたりと露が落ち、花は自分の重みでゆらゆらと動いた。

私は首を前に出して冷たい露の滴る、白い花びらに接吻した。

私が花から顔を離す拍子に思わず、空を眺めたら、暁の空に星が一つ瞬いていた。

「百年はもう経っていたんだな」と、この時始めて気が付いた。

SS by ヘーゲルさん
百年は、もう経っていたんだな…
Copyright by Yomogi
(無断転載禁止)

mixiの星矢仲間のマイミク:ヘーゲルさんが「夢十夜」という幻想小説を読まれて、その影響で書かれたSSに私が思いっきり惹かれまして、無理やりイメージイラストを描かせていただきました。

登場人物(「私」も「彼」も)は作者としては特に特定せず、読者が自由に妄想してお楽しみくださいとのことですが、私の脳裏には、「私=蠍座のミロ」と「彼=水瓶座のカミュ」が浮かんでおりました。やはり、そういう関係が前提としてあって、長い髪と砂漠が、彼らと特定するポイントでしたかねえ。砂漠で待つ人=ミロ=蠍…(単純なワタシ)
登場人物は特定しないということでしたので、絵も(聖衣などは描かず)国籍不明の民族衣装をまとった人物にしてみましたが、紫というぶっとんだ髪色と蠍がオマケでついてきたことで、まあ、わかる人には誰かかすぐわかる絵でしたね。

SSに合わせて、いろんなアイテムも描き込んでみました。
砂漠に咲くカラーの花、星のかけら、(蠍は出てきませんが)…
で、まあ、ここまで描くなら、やっぱり
「彼=カミュ」の「しどけない姿」も見てみたい…ですよね?(^^*
ということで、さらに妄想をもう一歩踏み込んだ絵も描いてみました。⇒ 
こちら(★)
★ご注意★
(ウチのサイトにしては) ちょいと踏み込んだ色っぽい絵(R15ぐらいか?)になってます。
いわゆる「女性向け」とかが苦手な方は、ご注意くださいませ。

こうして、絵の背景のドラマが確立していると、絵に起こすのも早い早い!
しかも、ヘーゲルさんの文章が、人物から風景まで、実にイメージしやすい。この一瞬の妄想を、いかに吸収して下絵に起こせるかが、創作物として日の目をあびるかどうかの分かれ道みたいです。

《お絵かきメモ》
最初は鉛筆線の絵でしたが、スキャナで取り込んで描線を調整していたときに、かなり人物の頭が大きいというのに気付きまして、PC上で顔だけ描き直したことで、結局、全部を(フォトショの)パスで起こすこととなり、そうだったら、しっかり腰を落ち着けて描こうということになりました。面倒だけど、描線がしっかりしていると、ホントに後が楽なんですよね。

蠍は別に描いてペタリ。本物を見て事がないので、ザリガニと伊勢海老と、尻尾以外のどこが違うんだろう?
墓標は、聖域の慰霊地にあったカミュのお墓を真似してみましたが、もうちょっと描線薄くして、砂にうずもれるようにすれば雰囲気出たかもしれないな。
星のかけらと砂漠はPC上で直描き。できそこないのクッキーみたいな星のかけらになってしまいました。砂漠は、もうちょっと風紋みたいになるかなと思ったのですが、ちょっと技術不足でした。
あとは、月の砂漠にすればよかったのですが、そうすると月光と影の関係が難しそうだな。
こうした自然物や自然現象などの描き方も、もっともっと精進しなくては…。
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09/03/22