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2009 獅子誕 「恋心」
お前を解き放ってやりたい…
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(無断転載禁止)


8月16日は、獅子座の黄金聖闘士:アイオリアの誕生日だそうです。

その数日前に、アニメでアイオリアの声優(田中秀幸さん)が歌ったキャラソンもどき (灯りになりたい)
#ニコ動のID持っている場合は、↓こちらの動画サイトで実際に曲を聞いてみよう!(17分45秒ぐらいからスタート)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2101971
(実際は「アンジェリーク」の闇の守護聖クラヴィスのキャラソンだったらしい)を聞いたのですが、これがまた声も曲も、すげ〜〜色っぽくて萌えツボを突きまくってくれまして、そのイメージ〜どちらかというと超人的な聖闘士というよりは、フツーの恋する青年っぽいアイオリアを描きたくなってしまったんですね。

…ということで、女にも勝る美形ぞろいの黄金聖闘士たちの中にありながら、あまりBL的なイメージがないアイオリアなので、ノーマルに魔鈴さんとのツーショットでお祝いすることにしました。
ところで、女性が聖闘士になるためには、素顔をマスクで隠さねばならないという女神アテナの掟があります。
顔を見られることは、裸を見られるよりも屈辱的なことであるとされ、それを見た男は、殺すか愛するか、二つに一つを選ばねばならないということになっているそうで…(なんか、アテナおばさんの底意地の悪さを感じさせる掟ですな;)
愛を取ると、お互いに聖闘士除籍か?
その掟を黄金聖闘士が知らないワケはないとは思いますが、まあ脳筋(体育会系)で健全な20歳の男ですし、ちょっと気のある彼女には、いい顔して甘い言葉の一つや二つかけたくなることもあったのでしょう。そして、無防備にもアイオリアは魔鈴さんのマスクを取ってしまい、その顔をデレーっと見つめております(美人さんなんでしょうね)。
しかし、もしかすると彼女の選択は、「アイオリア、お前は私を辱めた。殺す!」だったのかもしれません(…なコトはないか(笑))。


ところで、このイラストイメージで、みきこさんから素敵な獅子誕お祝いSSをいただきました。


『恋心』


「どうしたんだ、アイオリア?その顔は…色男が台なしじゃないか?…さては…振られたか?」
教皇宮に参上した俺の腫れ上がった頬を見た兄さんは、書類にサインする手を止めて面白そうに語りかける。
聖域一の鈍感だったくせに、自分の想いが成就された途端余裕を見せ付ける兄の傍らには、そんな言動を窘める教皇補佐官の兄の恋人が立っている。
紆余曲折あって漸く想いが通じた兄さんとサガを弟として心から祝福しているが、ついこの間まで色恋に無縁だった兄に、事実、魔鈴のマスクを外した途端に平手を喰らったとは言え、自分の恋路をからかわれるのは甚だ不満だった。

「どういうご用向きでしょうか?『教皇』!」
殊更教皇の部分を強調して憮然としたまま言う俺に、兄さんは上機嫌で答えた。
「女神が『おぼんやすみ』とやらが終わるので日本にお帰りになる。明日空港まで護衛を頼む」
日本には国民的な長期休暇が年に三回あり、夏のそれが『お盆休み』というらしい。先祖の御霊を供養する為、それぞれの故郷に帰り親しい人達と過ごすのが主だった筈だが、最近はバカンス傾向が強くなっているとも聞く。
日本の大企業の殆どもそれに倣っているので、それを機に女神は聖域に戻っていたが、日本の経済界が休みを終えるならばグラード財団総帥たる女神も帰らなければならない。

「了解しました。それだけ?兄さん?」
「後、御学友にお土産を買って帰りたいと仰せだ。今日午後からアテネ市街にもお出ましになるそうだから、それの護衛も頼む。今日は市内に宿泊して、明日はそこから女神を空港にお連れしてくれ。頼んだぞ」
世界を邪悪から守り切った我らが女神は、グラード財団総帥であると同時に日本有数の名門女子高校生であらせられ、学校生活を満喫なさっている。
そのギャップに今更驚きはしないが、『女子高生』のノリと買い物欲に圧倒されるのは俺だけではないはずだ。
誕生日の前日に魔鈴に告白し損ね、当日は女神のお守りとは今年の誕生日はついてない。
特大の溜息をつきながら、兄さんだけでなくサガまでが、やたらとにこにこしていたのを気にしながらも教皇宮を辞し、市街に下りる支度を整えて女神神殿に向かった。

「アイオリア、今日はよろしくね。さあ、魔鈴、行きましょう!」
…迂闊だった。
あのサガの意味ありげな笑顔を思い出し、俺は内心で二人に毒づく。聖戦が終わり危険性が減った今、女神の身辺警護は同性の女性聖闘士が付く事が増え、特に魔鈴やシャイナ、ジュネは戦闘能力の高さも買われ、今や女神の秘書として常に随行しているのだ。
そんな理由で魔鈴が聖域を空ける事が多くなり、久しぶりに会えたのが嬉しくて、昨日は調子に乗ってマスクを外してしまったのがそもそもの間違いで、頬を染め、驚いた彼女に横っ面を強かに張られる結果を招いていたのだ。

聖域外に出る為、いつもの見慣れた防具を纏った姿ではなく、いかにもバカンスを楽しんでいる歳相応の日本人観光客が着ているような服装の魔鈴は、俺の顔を見た途端には息を飲み、サングラスの下から俺を睨みつけた。当然の反応だ。
お互い、少なからず好意を寄せている事は感じているが、俺はまだ告白すらしていない。互いの気持ちの確認もせぬまま、マスクを取ったのは如何にも不躾だった。
弁解など受け付けてくれないのは明らかで、魔鈴は女神ににこやかに笑むと、俺の横を擦り抜けて行った。
いつもと全く違う、化粧もされた魔鈴の顔に見惚れていた俺は、女神の急かす声に我に帰って二人を追いかけた。

女神と魔鈴の買い物を見ながら、俺は魔鈴ばかりを目で追っていた。
聖域外とは言え素顔を見せるのを憚っているためサングラスは外せないが、屈託なく笑う表情などは容易に見てとれる。
昨日、久しぶりに会い、時が経つのも忘れる程楽しく互いの事を話していた。楽しそうな笑い声を聞いている内に笑顔が見たくなって、何の気無しにマスクを取ってしまい、初めて見た彼女の素顔に見惚れていたのに、魔鈴からの返事は黄金聖闘士の俺すらかわせなかった強烈な平手打ちだった。
殺されなかっただけマシとは思うが、我ながらの情けなさに兄さんと大差ない自分に、また溜息する。

「アイオリア、これもお願いね」
そんな傷心の俺など歯牙にもかけず、女神はブランド物の紙袋を手渡した。一体ご友人は何人おいでなのか、既に両手に抱え切れない程の荷物を持たされてる俺は、護衛と言うより完全に荷物持ち扱いだ。
女神の購買意欲は衰えるところを知らず、荷物を持って歩けなくなった俺は、女神の入った貴金属も扱うブランド店の外のカフェで荷物番をしながら、二人が戻るのを待っていた。
グラスの氷も溶けてすっかり温くなったにもかかわらず、一向に戻る気配がないので、さすがに心配になってきたところに魔鈴が店から出てきたのが見えてホッとした。
きっとまた荷物が増えてしまい、自分を呼びに来たのだろう。会計を済ませ荷物を持つ俺に魔鈴が言った。

「このお店で最後だそうだから、沙織様の買い物が済み次第ホテルに行くよ。後少し待っててくださいってさ」
「なら、女神のお側を離れるな。すぐに戻れ、魔鈴」
「わかってるよ!そんな事…!…これ、よろしく!」
そう言いながら魔鈴は小さな箱を放って寄越した。
女神の物を投げて寄越すなど不埒にも程があると思いながら受け取った小さな箱には、『HAPPY BIRTHDAY』と書かれていた。
慌てて魔鈴を見ると、店の入口でサングラスを外してこちらを見ている彼女と視線があい、自分に微笑んで店の中に消えて行った。
突然の事にほうけていた俺は我に帰って、慌てて手の中の箱を開けてみる。
入っていたのは俺の誕生石のペリドットのカフスだった。
魔鈴が俺の誕生日を覚えていてくれただけでなく、素顔を見せて笑ってくれた…。それだけで最高の誕生日祝いだ。
カフスを見ながら自分でも顔がにやけているんじゃないかと思う程、喜びを噛み締めていると、店の入口から女神がこちらに手を振っているのが見えた。
横の魔鈴はサングラスをかけてそっぽを向いているが、頬が少し染まっているのを可愛いらしい。
今度はちゃんと告白して、このカフスをしていける店に魔鈴を連れていこうと決意を固めながら、俺は大量の荷物を持って二人の元に急いだ。

(完) 著作:みきこさん



兄である射手座の黄金聖闘士アイオロスが謀反の疑いをかけられたことで、黄金聖闘士という最高の地位と実力を持っていても、常に反逆者の弟という辛い立場に置かれていたアイオリア。しかし聖域で修業中の星矢のよき兄貴分でもあり、その星矢の師である白銀聖闘士:女聖闘士・魔鈴とも友人?って感じでしたよね。
魔鈴さんは、原作では星矢の行方不明の姉じゃないかと匂わせていましたが、結果的には未完の天界編に出てくる天闘士イカロスの姉なんだそうですな〜(うろ覚え) 
いずれにしても、同じ女聖闘士であるシャイナさんに比べ寡黙で、でも何か過去を引きずっているような感じがするので、このように「お前を解き放ってやりたい」とか言われたら、鋼鉄の女心も、ふとゆるんでしまうかもしれませんな〜。

<お絵描きメモ>
今回は上のような女殺しのキャラソンもどきで萌えてしまったため、ノーマル気分で
「色っぽい男に見つめられている図」というのを意識してみました。チャッチャで描いたので不十分ではありますが、眼力はもちろん、私が通常からこだわっている「唇や手の表情からも、男のフェロモンを込めてみました(笑) 
ギリシャ英雄譚から登場したような、
栗色の髪翠の瞳をもった身長185センチの美丈夫が、筋肉ムキムキな上半身ハダカで、女として生きることを封印してきたマスクを外してくれて、上のような愛の歌で(しかもテノールの超美声♪)で髪を優しく梳きながら愛を語ってくれるというのを、ぜひぜひ妄想してみてください (*^o^*)
こういうのって、もしかすると「
夢小説(二次創作に自分が登場するSSらしい)」のイラスト版といえるかもしれません。
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SS追加 09/08/17
09/08/15