デジタルカメラの選び方

目的を考える

気軽にスナップショット

デジタルカメラはフィルム代や現像代がかからないし、 液晶モニタ付きなら撮った写真をすぐに見ることが出来るのが魅力。 コンパクトカメラやレンズ付きフィルムの代わりにいつも持ち歩けば、 友達と遊んでいるとき、街を歩いているときなど、 気軽にシャッターを切ることが出来ます。 撮った写真は電子メールなどで手軽に送信できるのも便利です。

どのデジタルカメラが向いているか

いつも持ち歩いて使うのに便利な、小型軽量の機種がいいでしょう。 画素数は100万から200万画素くらいあれば充分。 もっと画素数が少なくても大丈夫でしょう。 光学2〜3倍程度のズームレンズならば撮影の幅が広がりますが、 これも必須ではありません。 液晶モニタがあれば、撮った写真をその場で見て、みんなで楽しめます。

お手軽メモ

フィルム代がかからないことや、 撮影した画像を液晶モニタですぐ確認できる利点を生かせば、 メモの代わりに使えます。 バス停の時刻表を紙にメモするのは大変だけれど、 デジタルカメラで撮影するのなら一瞬で完了。 ほかにも出かけた先の観光地にある案内板を撮影したり、 住所や電話番号を書き写すのではなく撮影したりと、使い道は色々です。

どのデジタルカメラが向いているか

いつも持ち歩くのにじゃまにならない、小型軽量の機種がいいでしょう。 小さな文字もしっかり記録するためには、 マクロ (接写) 撮影の性能が優れた機種を。 いつでもメモを見るための液晶モニタも欲しいところです。

美しい写真作り

かつてはフィルムに撮った写真と比べて画質が低いといわれたデジタルカメラですが、 最近は高画素化が進み、L サイズ程度のプリントなら、 フィルムでもデジタルでも余り見分けが付かなくなってきました。 200万画素、300万画素を超える機種なら、A4 サイズでプリントしてもとても綺麗。 また、プリントする前にパソコンを使って画質を調整したり、 思い切って合成したりと、フィルムでは難しい絵作りが簡単に出来ます。

どのデジタルカメラが向いているか

高画素対応の大型 CCD (または CMOS) センサー、 明るい大口径レンズを持つ機種を。 高倍率ズームレンズの一眼レフもいいでしょう。 更に上を目指すなら、値段は跳ね上がりますが、 レンズ交換可能な高級一眼レフもあります。

Web ページのために

Web ページに写真を載せるために、 最初からデジタル画像を得られるデジタルカメラが便利なことは言うまでもありません。 フィルムに撮影した写真は、スキャナを使って取り込まなければならないところです。 ここで大事なのは、ページを早く表示できること。 画質の善し悪しも重要ですが、 だからといってサイズの大きな写真は使えません。

どのデジタルカメラが向いているか

どのような写真を Web ページで扱うかにも因りますが、 基本的にはどんなデジタルカメラでも特に問題ありません。 勿論、自分で撮った写真を作品として公開したいのなら、 高画質の写真を撮影するのが得意な機種を選ぶことになります。 しかし、高画素に対応した機種でも、 最高画質のモードで撮影した写真はサイズが大きすぎてそのまま載せられませんから、 画素数を重視する必要は余りないといえます。 何か解説ページの中で使用したいのなら、 その対象を撮影しやすいように、 マクロ機能やズーム機能を重視してもいいでしょう。

デジタルカメラの大雑把な分類

高機能型
フィルムを使う高級一眼レフカメラとほぼ同じ形状のボディを持ち、 勿論、レンズ交換も自在です。 最上級の画質で撮影するために、豊富な機能と拡張性を持っています。 価格は数十万円程度します。 この種類を選択する人は、私の拙い解説を読む必要もないでしょう。
標準型
デジタルカメラの中核をなす製品群です。 最も種類が豊富です。 一般のコンパクトカメラと同程度か、やや大きめのボディです。 液晶モニタが付いていて、 取り外し可能なメモリカードを使用できるのが普通です。 最近は、短時間の動画を記録できるものや、 メモリカードに記録した音楽を再生できるものも増えてきました。 価格は数万円から十数万円程度。
低価格型
俗に「おもちゃデジカメ」などといわれる種類です。 液晶モニタが付いていなかったり、メモリカードが使えないものが殆どです。 その代わり USB などのインタフェースが付いています。 35万画素程度のものが多く、概ね1万円以下で購入可能です。

選ぶ観点

形状、大きさ

デジタルカメラに限った話ではありませんが、 どんなに高性能なカメラも、持ち歩かなければ意味はありません。 いつも持ち歩くのに手頃な大きさかどうかを考えることは重要です。 また、突起物の少な形状だと、鞄やポケットに収めやすくて便利です。

収納時に液晶モニタを折りたためたり、カバーのある機種だと、 指紋や傷などが付くのを防止できます。

デジタルカメラの中には、横型 (フラットタイプ) になっていて、 フィルムのカメラと構え方の違う形状のものもあります。 この形状だと、撮影しようとしていることに写される側が気付きにくいため、 写す相手の自然な表情をさり気なく撮影できるという強みがあります。 また、低い位置 (ローアングル) からの撮影も簡単です。 こうした撮影方法はデジタルカメラならではといえます。

動作速度

デジタルカメラは、レンズから受光した画像を処理し、 メモリに書き込むまでに、いくらかの時間がかかります。 シャッターを切った瞬間に画像がフィルムに記録されて、 フィルムを巻けばすぐに次の撮影に移れる銀塩カメラ (フィルムを使ったカメラ) のようにはいきません。 この動作速度は使い勝手に大きく影響します。 デジタルカメラの機種により、動作速度は結構違います。 カタログを見ただけではなかなか分からない部分です。

レンズの明るさ

レンズの明るさ (開放絞り値) は、レンズの周囲に F2.8 とか 1:2.8 などと表記されています。 ズームレンズの場合、F2.8-4 などと表記されることもありますが、 これはズームの操作によって F2.8 から F4 まで変化するという意味です。 この 2.8 という数値が小さければ小さいほど明るい (大口径の) レンズといえます。

明るいレンズ、つまり光を集めやすいレンズは、 少し暗いところでもフラッシュを使用せずに、 速いシャッター速度で撮影することが出来ます。 シャッター速度が速いということは、ブレが起きにくくなるということです。 また、フラッシュを普通に使用すると、 被写体が明るく写って背景が暗くなりがちですが、 フラッシュを使わないで撮影すれば、 背景も被写体も程良い明るさで写せるようになります。

ズーム機能

ズームは大きく分けて、光学ズームとデジタルズームに分けられます。

光学ズーム
レンズを駆動して光学的に被写体を大きく寄せたり (望遠)、 広い範囲を写したりする (広角) 機能です。 望遠時には、近くにあるものと遠くにあるものが寄って見えたり (圧縮効果)、 背景をぼけたりします。 広角時には、遠近感が強調されて、 近くにあるものと遠くにあるものが離れて見えたり、 遠くも近くもピントが合っているようにはっきり写ったりします。 こうした効果を生かせるのも、光学ズームの特徴です。
デジタルズーム
撮影した画像の一部を拡大して大きく見せる機能です。 光学ズームは撮影時にズームを操作しなければなりませんが、 デジタルズームは撮影後にズームを操作できます。 撮影した画像データを単に拡大するだけなので、 光学ズームのように遠近感や背景のぼけの量が変わったりはしません。 また、拡大する分、画質は荒くなります。

ズームを積極的に活用したいのなら、光学ズーム機能を持つカメラを選びます。 デジタルズームの効果は、パソコンに取り込んで編集することでも得られるので、 必須の機能ではないでしょう。

尚、ズームの機能がなくても、撮影者が被写体に近づけば大きく写るし、 遠ざかれば小さく写ります。 ズームに頼らず、自らの足で動いて撮影するのが上達の近道というのも、 よく言われる話です。

最短撮影距離、マクロ

マクロとは接写、近接 (クローズアップ) 撮影のことです。 デジタルカメラには一般にマクロが得意で、 最短撮影距離 4cm とか 1cm といった機種が多くあります。 マクロ機能は、例えば草花や昆虫、 アクセサリーなどを画面いっぱいに写すときに活躍します。 また、電話帳に書かれた電話番号や住所をメモする代わりに撮影しておくなんてのも、 デジタルカメラならではの使い方です。 勿論、最短撮影距離が短ければ短いほど、マクロ撮影が得意といえます。

電源

電源はニッケル水素充電池、アルカリ乾電池、リチウム電池、 専用リチウムイオン充電池などを使うのが普通です。 また、別売りで AC アダプタもあります。 デジタルカメラは電力を非常に消費するので、電源は大切です。

ニッケル水素充電池、アルカリ乾電池
ニッケル水素充電池は、リチウムイオン充電池に比べてやや性能が劣るけれど、 充電をして何回も繰り返し使えるし、 大電流に強いので1回の充電で長く使えるのはやはり経済的です。 もし手持ちの充電池がなくなったときは、アルカリ乾電池が使えます。 アルカリ乾電池はどこにでも安く売っているので、非常用に便利。 両方使えるのはやっぱり安心です。 最近は、ニッケル水素乾電池、ニッケルマンガン乾電池といった、 アルカリ乾電池の代わりに使えて、より高性能な一次電池も出ています。
リチウム電池
一般のカメラ用として主に売られているリチウム電池は、 小型の機種に時々使われます。 電池の値段がやや高いのと、 アルカリ乾電池ほど容易に入手できないのが難点です。 特に海外では手に入りにくい所もあるのだとか。
専用リチウムイオン充電池
大容量でありながら、軽くて使い勝手がいいのが特長です。 問題は予備を用意するのが難しいこと。 電池を使い切ってしまったときに、 アルカリ乾電池を代わりに買ってきて使うというわけにはいきません。

画素数

画素数は一般に多ければ多いほど きめの細かい画像を撮影することが出来ます。 上位機種がより多い画素数に対応しているのも、このためです。 画素数が多ければ、 沢山の人で記念撮影したときに一人一人の顔が潰れてしまうことはありません。

しかし、高画素タイプのデジタルカメラで記録された画像は、 以下に示すように取り扱いに面倒な点も多くあります。

画像の面積が大きくなる。
300万画素、400万画素級で撮影した画像をパソコンのディスプレイで 100% の大きさで表示させても、多くの場合、 ディスプレイからはみ出てしまいます。 はみ出ないように表示させるためには、画像を縮小しなければなりません。 これでは宝の持ち腐れです。
画像ファイルのサイズが大きくなる。
より多くの画素数で記録した画像は沢山のメモリを消費します。 言い換えると、同じメモリ容量で撮影できる数は少なくなります。 高価な大容量のメモリカードを用意したり、 予備のメモリカードを用意する必要もあるでしょう。
高画素が高画質とは限らない。
画質は画素数だけで決まるものではありません。 例えば、同じ大きさの撮影素子 (CCD など) を使用している機種同士を比べたとき、 画素数が増えると一つの画素の大きさが小さくなるため、 一般に感度が低くなります。 このため、暗いところでの撮影が難しくなったり、 画像にブレを生じやすくなったりします。 また、安価な機種では発色が均一にならないこともあるようです。 画質を重視するのなら、画素数だけでなく、 撮影素子の大きさも注意してください。
価格が高い。
一般に画素数が多ければ多いほど、デジタルカメラの価格は高くなります。

撮影した画像をどのように利用するかによって、画素数の選択が決まるといえます。 パソコンのディスプレイで見たり、葉書や L サイズ相当にプリントするのが中心なら、 100万〜200万画素もあれば充分でしょう。 300万画素以上の性能が発揮できるのは、A4 の用紙目一杯にプリントするときなど。 家庭用テレビのビデオ端子に繋いで鑑賞したり、 Web ページに載せたりするのなら、35万画素でも充分です。

いっぱいプリントしたいから高画素タイプのデジタルカメラを選ぶというのもいいけれど、 プリントしなくていいもの (ディスプレイで鑑賞したり Web ページに使う画像) はデジタルカメラで撮って、 プリントするものはフィルムのカメラで撮るという具合に、 カメラを使い分けるのも賢い方法だと思います。 特にネガフィルムで撮った写真は多少撮影に失敗していても、 写真店でとても綺麗にプリントしてくれるわけですから、 プリントするならフィルムを使った方がうんと楽です。 デジタルカメラは、フィルムのカメラが苦手とする場面で生かしたいものです。

その他の仕様の見方

ちょっと細かいことですが、参考までに。

撮影素子 (CCD と CMOS の違い)

レンズから入ってきた画像を受光して電気信号に変換するのが、 CCD センサーや CMOS センサーなどの撮影素子です。

CCD センサー
デジタルカメラや小型ビデオカメラに多く使われています。 CMOS センサーに比べて感度が高く、高画質であることが利点です。 反面、回路が複雑になったり、消費電力が大きくなったりするため、 小型の機種には採用されていません。
CMOS センサー
CCD に対して小型、高速、低消費電力などといった利点があり、 低価格の機種や小型の機種、携帯電話などに多く採用されています。 反面、感度が低く、ノイズが入りやすいため、画質は CCD と比べてやや劣るといわれています。

両者にはそれぞれ利点、欠点がありますが、 昨今の CMOS センサーは画質面での欠点を克服したものも出ており、 高級一眼レフのデジタルカメラで採用されている例もあります。 また、CCD センサーでも小型化が進んでおり、 携帯電話などに採用されている例もあります。

通常のデジタルカメラを購入するに当たって、 撮影素子の違いを強く意識する必要は余りないでしょう。

フィルター

撮影素子は光の強弱しか判別できないため、 フィルターを使用してカラーの撮影を可能にしています。 このフィルターの種類によって、撮影される画像の特徴が変わります。

原色フィルター
光の三原色 (赤、青、緑) を使用したフィルターです。 色鮮やかな画像を特徴とします。
補色フィルター
光の三原色の補色 (黄、紫、水色) と緑を使用したフィルターです。 落ち着いた色合いと、きめ細かな画像を特徴とします。

レンズ焦点距離

レンズの焦点距離は、長いほど被写体が大きく写り、 短いほど小さく写ります。 言い換えると、長いほど狭い範囲が写り、短いほど広い範囲が写ります。

デジタルカメラは撮影素子の大きさがバラバラなので、 単純に比べることは出来ません。 このため、通常は 35mm フィルムのカメラに換算した値も一緒に載っています。 焦点距離 50mm 程度のレンズは一般に標準レンズといわれます。 50mm より焦点距離の短いものは広角レンズ、長いものは望遠レンズです。

前述のズームとも大きく関連する項目です。 5mm - 15mm (35mm 換算 45mm - 135mm) といったら、35mm フィルム換算で広角側 45mm、望遠側 135mm の光学 3倍ズームレンズ (45×3=135) です。

ファインダー

撮影する際の構図を決めるのがファインダーです。 液晶モニタを搭載したデジタルカメラは、 この液晶モニタがそのままファインダーになります。 多くの機種は、このほかに実像式などのファインダーがついています。 液晶モニタは常時使用すると電力を大量に消費してしまい、 撮影できる枚数が減ってしまうので、液晶モニタの表示を切って 実像式ファインダーを使用することが必要になります。 勿論、液晶モニタのないデジタルカメラは、フィルム用のコンパクトカメラ同様、 実像式ファインダーだけです。

実像式ファインダーで見えるのは、レンズから入ってきた画像ではないので、 近くのものを撮影するとき (特にマクロ撮影時) に、見える画像と撮影される画像にずれが生じます (視差、もしくはパララックスといいます)。 液晶モニタはレンズから入ってきた画像がそのまま表示されるため、 このようなずれは生じません。 また、一眼レフのデジタルカメラは、 レンズから入ってきた画像をそのままファインダーで見ることが出来ます。

液晶モニタや一眼レフのファインダーは、 画像を見てピントが合っているかどうかを確認することが出来ます。 実像式ファインダーでは、 ピントが合っているかどうかを目で確認することが出来ません。


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