コピーガードキャンセラーの解説


以下、キット添付の資料より抜粋したものです。


コピーガードキャンセラーのブロックダイヤグラムを下に示します。
(下の段の四角2つは少し不鮮明ですが「カウント12」です)



【動作概要】

スクランブル信号

 上図をご覧ください。 Aがスクランブル入りの映像信号です。このスクランブルは映像信号の第10ラインから第21ラインの間に挿入されています。  このラインは垂直同期終了後から実際の映像信号が含まれる第22ラインまでの婦線消去期髄にあり、モニタには映りません。 この矢印部分が同期を乱したり、 常にレベルを変動させ、ビデオデッキのAGC(オートゲインコントロール)を支配してしまいます。 1Vp-p規定の入力の場合、最大2Vp-p程度の信号が常に変動しているため、 その信号に合わせ抑圧してしまい、結果、画像は暗くなってしまいます。
 これに対処するためには、作戦はいたって筋単。この信号が発生している部分だけを他の信号に差換てしまえばよいことになります。  ですが実際にはニセの同期信号があったりなかったりしますし、本物の同期信号はそのまま残し、10-21ラインのみを検出しなければなりませんので結構やっかいです。


 ここで実際の回路を説明します。 下記の回路図及びブロックダイヤグラムをご覧ください。

 入力された映像信号は75Qで整合された後、同期分離回路に入ります。  同期分離には専用ICであるLM1881を使用します。 このICは入力レベル0.5-2Vp-pで同期分離でき、コンポジット(C sync), 垂直(V sync),バックポーチ (BP:水平同期信号から映像信号までの間の期間)の各同期信号を分離出力します。 このICの幅広い入力レベルにより、ひねくれた映像信号でも同期を分離できます。(ICデータ参照)

 垂直同期の立ち下がりエッジで4011で構成されたセット・リセット型フリップフロップをセットします。このタイミングでカウンタである4520がコンポジット同期の立ち下がりの エッジを12個カウントし第9ライン終了後フリップフロップをリセットさせます。  前段で第9ラインまでカウントし、そのエッジで2段めのフリップフロッブをセットします。これで4520が第10-21ラインまでをカウントし、 リセットします。ここでは前段と同じようにコンポジット同期をカウントしたのでは、ニセの同期信号で誤動作してしまいますのでひと工夫必要です。  ここには後述する映像信号差し替えパルスを使用しカウントします。

 ここで話は変わり映像信号差し替えパルスについてですが、当然スクランブル期間の同期信号およびバックポーチ(クロマバースト)部分はそのまま残し、 映像信号部分のみ切り替えなくてはなりません。 前述のカウンタにより第10-21ラインの制御信号によりワンショットマルチバイブレータ(パルス引き延ばし)である555は、 1881のバックポーチの立上りパルス検出のTrを通りトリガーがかけられます。 これによりCRで決定した一定時間、全てのニセの同期信号を無視し、Hiのパルスが出力します。  ここにC-MOS40シリーズのワンショットマルチを使うとニセ同期でリトリガーが掛かりうまく動作しません。 CRで同期信号のてまえまでに合わせ込めば、常に第10-21ラインの 映像部分だけのパルスが得られます。 また調整時には各4520のリセットタイミングを12個目から16個目に切替え、第14-29ラインを差し替えパルスを発生させてモニターに映るようにし、 555のCRの調整を行ないます。
 差し替えパルスで、映像切替えIC、2246を制御し通常はスルー、スクランブル期間のみー定のバイアス値に切替え、NTSC遵守の信号になります。また2246には 6d8アンプが内蔵されていますので、 レベル整合上出力にTrのバッファを通すだけで75Qに適正レベルで整合出力となります。

タイミング図



回路図   調整要領