フィルムカメラ

Canon XT(5T)型


1956年(昭和31年)に発売されたキヤノンレンジファインダーの高級機で、写真の50mmF1.2との組み合わせだと、115,500円でした。(公務員の初任給8,700円の時代・・カメラって高かったですね)
スペックについては キヤノンカメラミュージアムを参照願います。
Canon VT
底のレバーを横に平行移動するようにスライドさせることによってシャッターチャージとフィルムが巻かれます。
連射目的で採用されたようで、自分で試した感じだと、左手の親指をボディの脇に当てて指で残り4本の指でレバーをスライドさせる感じになり確かに巻きやすいです。

このレバーのほか、裏面のメッキボタンを押しながら右上部のノブを上に上げるとクラッチが繋がり、ノブで巻くこともできます。
Canon VT

フィルムの巻き戻しは左側の部品を矢印の方向に動かすとノブがポップアップしノブを回すことで行います。
この凝ったギミックはこの型のみで、その後のモデルVT Deluxeでは一般的なクランクになります。(巻き戻ししやすくなるので進化ですが)
Canon VT
このモデルは、この辺の部品が全て削り出しで美しいです。

ファインダーは50mm 35mm RF(測距用の1.4倍)の3種類で、後のVI-T,Lにはある100mm用のブライトフレームは採用されていません。パララックス補正もありません。
ハーフミラー・プリズムには高反射性の金メッキが採用されていますが、マイナーチェンジしたVT-de luxe型の後期モデルでは、さらに見えやすい銀メッキに変更されます。

ファインダーの見えは、5T⇒6L⇒7,7sの順によくなっていくのは確認していたので、5Tだと撮影に厳しいところもあるかと思ったのですが、外で撮影した感じでは大丈夫そうです。

Vシリーズは未だシャッタースピードダイヤルが回転式で、シャッタースピードを合わせるのはシャッターチャージしてからです。(シャッターチャージするとシャッタースピードのダイヤルがくるくる回ります)
逆にやると壊れる可能性もあると言われています。
1/30秒以下は上側のダイヤルを30に合わせてから前側のダイヤルで合わせます。逆に1/30以上は前側のダイヤルを30に合わせておき、上側のダイヤルで設定します。

外部ファインダーのパララックス補正(上下首振り)連動はこのVシリーズとその後のVIシリーズのみで採用されていました。
Canon VT

遠くにピントを合わせた場合にはピンが上がります。
パララックス補正 パララックス補正
近くにピントを合わせた場合にはピンが下がります。
パララックス補正 パララックス補正
Canon5Tに25mmを装着した状態。
パララックス補正

フィルムカウンターはオートリセットではなく、自分で合わせます。36枚フィルムを入れたときは36にセットしフィルムを巻き上げると減算されるという仕組みです。オートリセット式は加算していくので何枚フィルム入れたか記憶しておかなければいけませんが、こちらはその心配は無用。ただ、フィルム入れたときにセットし忘れたときは不安で仕方ないでしょうね(^_^;
Canon VT
1秒の動きがとても不安定(ということで格安)だったのですが、ずっと動かしていたら段々動きがよくなってきました。
この型のシャッターは、布幕のはずなのですが、何故かその後のモデルのステンレス幕でした。修理したときにステンレスに改良されてしまったのでしょう。私が持っているモデルは全てステンレスなので布幕がどんな音なのか聞いてみたかったのですがその点が残念でした。。。

カメラ保護用のVT(おそらくVT-de luxe用)の速写ケース装着した場合。
Canon VT Canon VT Canon VT

左は6L用。底が厚いので5T用のものとレンズカバーの位置が微妙に違います。
底のネジの位置も左右逆です。
Canon VT

VTを使ってみたら、トリガー式のワインディング機構を入れるので底が厚いため、カメラを構えたときに大きすぎる感じがしていました。そこで、純正のグリップを購入し、使ってみました。
グリップ グリップ
左手は拳銃を持つような感じでグリップを持ちトリガーを引いてフィルムを巻くのですが、グリップが無いときよりもホールドしやすいです。
canon名がついたカメラ本体をホールドする部分があるので、厚みのある革のハードケースとは併用できません。

壊れているものが多く、ずっと探していたCanon5Tの連写ケース。
アメリカに壊れていないものがあったので入手しました。
Canonで初めて工業デザイナーがデザインしたカメラとケース。
ケースには蝶番が使われていたりと凝っていますが、蝶番がよく壊れたりします。
速写ケース 速写ケース
速写ケース 速写ケース 速写ケース



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