2005.11.12 矢野絢子 青山月見ル君想フ

窓の日

こぢんまりとしたライブハウスです。B1の座席はほぼ関係者席として占拠され、B2には丸椅子が
40ほど、また壁際にも数人分の座席があります。整理番号が90番台だったので、当然立見みと
なってしまいました。生ビールのジョッキを凍らす配慮があるのですから、座ってじっくりと
飲みたいところでしたが……。

この日は2回まわし。1回目のステージは予定より僅かに遅れて17:05頃開演します。
矢野さんのPf弾き語りです。

1 瞬き
2 かなしみと呼ばれる人生の優しさよ

MC>こんばんは、お久しぶりです。ようこそお越しくださいました。最後までゆっくりと
  お楽しみ下さい。お尻が痛くなったらちょっと浮かして揉んでください。
  先月半ばからツアーが始まって、今回のツアーでは今日初めて飛行機に乗った。久々に
  飛行機に乗って、全然へっちゃら。私も大人になったなぁと。
  この会場は半年ぶり。「浅き夢」の時に着物でこのステージに立ったのが一年くらい前の
  ことのような気分。小さな頃に住んでいた街に行くと、全部が小さく見える。久しぶりに
  ここにきたら「あら、こんなにちっちゃかった」…ちっちゃかったというか、あれーっと
  思ったけれど、今こうしてお客さんが入っているのを見ると広く見える。
  今日はセカンドアルバム「窓の日」から何曲かと冬の歌を唄います。

3 冷たい手

MC>おとついとその前の日に兵庫・大阪でライブをしてきた。高知をクルマで出て、ちょこちょこ
  歌小屋の仲間を連れて行った。大阪では5人行って4人ステージに上がってくれた。東京だけ
  一人ぼっちで。何というか、ホントっぽい。だいたい私はこういうライブをやっているので。
  ゲストが入ると楽しいし心強いけれど、東京では一人の力をじっくりと味わってみたい。
  大阪が終わってすぐに車で帰って昨日の夜中の2時に着いた。それから12時間眠って今朝旅立って
  きたので、私の中では昨日がすっかり一日ない。歌小屋に行って受付をしたりしてすぐに出てきた。
  その歌小屋の尊敬するミュージシャンの歌を唄います。

4 坊や

MC>今年はいろいろなことがあった年だった。毎年そう思うけれど。
  6月まではゆっくりしていた。高知のファンの人に「そんなに高知にいて大丈夫?!」と言われる
  くらいゆっくりしていたけれど、後半はいろんなことがあった。その中の一つに、私が初めて
  ライブをやってこういうことをやるきっかけになった場所、「歌小屋の二階」の前身である
 「メキシコシティ」というライブハウスで、97年に歌い始めて98年にはその小屋を閉めたけれど、
  その後も人の住居になったり遠くからやって来てくれる人の宿泊施設になったりした。私も
  3年ほど住んでいた。犬の春吉を飼い始めたのもそこだった。そこが道路の拡張で本格的に
  出て行くことになっった。最後にライブをやって終わろうと、10月の最後の日曜日に歌小屋の
  メンバーや今はもう唄っていないけれど以前そこで唄っていた人が集まって、20時から2時まで
  ライブをした。本当にマッチ箱みたいに小さい小屋だけれどそれぞれに思い入れがあって
  最後に唄えて良かったと思った。終わってからもなくなったという実感がなくて、取り壊す日は
  いつやろねぇと思っていたら、昨日高知に帰ったら半分なくなっていた。本当になくなるんだと
  思った。全部なくなって空き地になって道路になって…そこに小屋があったということを多くの
  人が思い出せなくなった時に、何か一つ完了するというか、歴史の終わりを見たように感じた。
  97年に歌い始めた時、一番曲を作った。45曲くらい。ライブをやりたいという気持ちはあったけれど
  曲がなかったのでどんどん曲を作った。次の曲もその年に作った。

5 かくれんぼ

MC>(イントロを弾きながら)大久保和歌と一緒に音楽を始めて「モナカ」という変な名前のグループを
  作った。今月20日が彼女の誕生日。彼女の18か19の誕生日に贈った歌。

6 ひとつふたつ

MC>何か照れくさい。「アホやない?!あんた」とか。普通、友達や家族とかに「光があなたの胸に洩れ」
  なんて言わないですよね(微笑)。歌を贈られたことがないのでどんな気分なんだろうって思う。
  手紙を書くのが好き。文章は書き出すのが面倒くさいけど書き出すと夢中になる。でも大事な気持ちは
  歌にして聞いてほしいと思う。

7 九月の高原
  メジャーデビューの契機となった出会いをモチーフにした歌だそうです。直前のMCと併せて聞くと
  感慨深いものがありました。

8 雨のレストラン

MC>前回の「月見ル君想フ」で私のライブのやり方を延々語り、アンケートにCDにいれてほしい曲を
  書いてもらったけど、私の場合はアルバムのために作ると言うより「こういうのを作りたい」と
  テーマに分けている。アンケートに書いてもらった曲を見ていたら次の曲はどう考えても冬の
  アルバムには入らなかったけれど、書いてくれていた人がたくさんいたので作品にできた曲です。
  ベランダから布団を干した時、てっぺんの方が折れてしまった。

9 吉野桜
10 窓
  ブルースハープも吹きながら。

11 小石
12 吐息
13 サンタの家
  この曲でもブルースハープを吹きます。

14 ふたつのプレゼント
  イントロで「メリークリスマス!」 途中で歌詞に詰まってしまいペロリと舌を出す一幕も。

15 一人の歌

MC>(上手側の客席を見て)私の足しか見えないね(笑)。(そう話しつつ椅子の高さを上げます)

16 てろてろ

MC>『てろてろ』は私にとってよく分からないくらい大きな曲。もしかしたら皆さんとの出会いの曲かも。
  今回のツアーでは(唄うのは)東京だけです。この曲で東京にやってきたので自然に唄いたくなる。
  いろんな人に聴いてもらって、入り口みたいになって、『てろてろ』だけ好き!って言う人もいます。
  ここから入ってきて聴いてくれている人もたくさんいるから大事に唄っていきたい。お婆ちゃんに
  なっても(笑)キーを下げてね。『てろてろ』を大切にして、いい曲をたくさん生んで、そろそろ子供も
  産んだりして(笑)唄っていきたいです。皆さん拾ってください。
  最後の曲は良かったら一緒に歌ってください。

17 明るいほうへ
  手拍子と合唱で賑やかに。矢野さんもハープ。

(encore)

MC>こんばんは、お待たせ。
  来年の抱負を言います。今年は今日と明日でもう東京に来ないので、2005年を締めるつもりで。
  一部の人に心配されているみたいだけれど、「辞めるんじゃないか、矢野絢子」って。
  やめません(笑)。大人なのでいろいろあるんです、都合が。でも曲を作ることとライブをすること、
  高知の「歌小屋の二階」を続けていくこと、この3つは絶対にやめないです。
  「高知までしょっちゅう行けんし」って距離もあるし、私もしょっちゅう東京には行けんしって
  距離があるけど、でもこうやって聴きに来てくれる人がいるってことは毎回感動する。
  いつも思うけど、こんなにたくさんの人、歌小屋に入れない(笑)。3回に分けたら入れるくらい。
  でも、ずっと唄っていくので何とか探し当てて来てください。
  オリオンが最近よく見える。冬の星です。

18 オリオン

MC>お尻痛くないですか? 優しいでしょ?!(笑)
  みんなの心の中に一つでも私の歌の花が咲きますように。

19 ソリダスター


終演は19:05。会場外では20時からの2回目の公演を待つ人が既に集まっていました。

2時間、最後まで力強い歌唱を聞かせてくれました。これまでのライブとは異なって饒舌とも思えるほど
たくさん語る矢野さんの姿からは、強い信念と音楽に対する意欲がひしひしと伝わってきました。
メジャー契約が切れてこれからは独自の活動を展開していくことになり、当然地元高知でのライブが
中心となるのでしょうが、末永く良い歌を作り、また歌い続けてほしい人だと感じました。 ..
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