2004.06.25 矢野絢子 キリスト品川教会
ナイルの一滴
あいにくの雨の中、品川駅から15分ほどの距離にある会場まで歩きました。開演時間が迫った
場内は8割方の席が埋まっています。普段のライブ会場とはやはり雰囲気がかなり違いますね。
観客も息を潜めて開演を待っている風。
ステージ中央やや下手寄りにはスタインウェイのグランドピアノ。後方には机と椅子があります。
上手側にマイクスタンドとモニターが置かれており、ゲストの登場を予感させます。
開始予定より10分ほど遅れて客電が落ちます。バージンロードを白いドレスにヘッドライトという
姿で小柄な矢野さんが入場。ステージに上がり、椅子に座ってヘッドライトを外して一息つき、
そしてピアノへと移動します。
1 ライオンフラワー
2 嘘つきの最期
3 ゼンマイ仕掛け
マイナー・アップテンポの曲を一気に畳みかけるように歌います。中高音域に力のある声です。
4 夕闇
一転してゆったりとしたメロディながら、音に対して言葉が多い曲。
歌い終えて、水をごくごく飲みます。
MC>雨の中、ありがとうございます。チャペルで歌うのは初めてではない。高知の結婚式場で
以前コンサートをやったことがある。定期的にやるという話だったが、バージンロードが
大理石でできていて、そこにヒビが入ったとかで二度とお呼びがかからなかった。
今日もバージンロードを一人で歩いてきたが、なかなか乙なものだった。ここのバージンロードが
大理石でなくて本当に良かった(笑)。
今日は『ナイルの一滴』というタイトル。普段は一人でpf弾き語りでやっているので(距離が)
もっと近い方がいいのだけれど。素敵なゲストを呼んでみたい。連れてきます。
(いったん下手側の楽屋口まで出向き、Vn 金子飛鳥さんをエスコートしてきます。金子さんの
身体に触れるか触れぬか程度に両手を近づけ上下させる矢野さん)
ちょっと魔法をかけてみました。いつもライブを一緒にやる人には魔法をかけて、ステージで
やったことを忘れるようにしている(笑)。
次は『てろてろ』 CDを1枚しか出していないが、まだ買っていない人がいたら5枚くらい
買ってください。日々の暮らしの中からできた曲です。
5 てろてろ
メジャーデビューとなった曲。
6 "愛してるよ〜"
Vnが効果的に絡んでバラードのスケール感を増していました。
歌い終えて、金子さんを舞台袖まで送ります。
MC>ちょうど今の季節、本格的に雨が降り注ぐ前、雨の降る前にけだるい風が吹いたりして、
そういうときの夕暮れ時にふと昔のことを思い出す。「この感じは....」と、記憶がどんどん
つながっていって、「あぁ私はこうしてここにいるんだ」と思うことがある。
椅子に座ってそういう風に吹かれている
7 水の月
3拍子、マイナーキー。
8 "僕は毎日この手で〜"
9 闇の現
M8〜M9と続けて叩き付けるような演奏。粗っぽいけれど、ストレートな歌声と相まって強烈な
印象を与えてくれます。
10 坊や
前奏・後奏でブルースハープを吹きます。Gt弾きの人がやるのは見かけますが、Pfで見るのは初めて。
歌詞に方言が織り込まれています。
MC>ライブタイトルである「ナイルの一滴」は志賀直哉の言葉で「人は皆、大河の一滴である」から。
「大きな大きな時間の中でホントたったの一滴。だからつまらぬことで、その一滴を台無しにしては
いけない....」ということばがある。私もこうやって「一滴」として歌を唄っている。ここに来て
くれた人が皆一つしかない一滴。それが決して汚されることがないように、その一滴を大事にして
いけばそれだけでいいとおもう。
私はいろんなことはできないから、これからもこうやって歌っていく。その一滴が誰かの支えに
なったり、そんな風な歌を歌えたらいいなと思う。
11 ナイルの一滴
インスト曲。
乱れのないアンコールの拍手の中、弦楽カルテット(Vn 金子飛鳥,Vn 黒木薫,Vi もろずみりか,
Vc 木村隆哉 各氏)が登場。その演奏が始まってから、矢野さんも再登場します。
E-1 ニーナ
10分を越える大作です。映画を見るような物語のある詩。繰り返される間奏のフレーズも印象的。
1時間半ほどのコンサートでした。
まずは力強く訴えかける歌声とピアノに惹かれました。マイナー調の激しい曲とメジャーコードの
包み込むようなやさしいメロディの交錯、叙事的な歌詞が心に響きます。声の力、詞の力、曲の力、
これらがうまく調和して矢野さんの独自の世界観を作り上げていました。 ..
2004年Index/TopPage/BBS
著作権情報 : © SAKAGUCHI toshihiko 2004 toshicha@anet.ne.jp